■BB/1st full length album "BLACK BABEL" release live Noise Slaughter vol.13(2019年3月3日)@新大久保Earthdom
そんな記念碑のレコ発は2017年に共にスプリットをリリースしたREDSHEERとの2マン。共に激音の可能性を追求し更新し続ける猛者の激突だ。
BBとREDSHEERの両者の激突は果たして地獄の底の底へと堕ちる悪夢なのか?それとも神の門が開く新世界への導きか?
この日は節句だったが生憎の雨模様。まだ冬が終わってない肌寒さを感じたが、暗黒の祝祭にはそのくらいが丁度いい。
多くの激音フリークスが待ち望んだ祝祭は正に事件と呼べるものだった。
・REDSHEER
スタート時間から10分ほど押してまずはREDSHEERのライヴから。
リフを弾き倒す凶悪なベースから始まった「Spiral Eyes」から三者の音が螺旋を描き渦巻いてくるサウンドスケープにいきなり圧倒される。
この日はアースダム自体の音響がかなり低音が強く凶悪な物になっていたのだが、そんな音響がREDSHEERのグルーヴとドンピシャにハマる。
今年の頭にリリースされたSUNDAY BLOODY SUNDAYとのスプリットから「Putrefaction」と「Forthcoming Fire」の2曲もこの日はプレイしたが、音源より更に強烈な音圧が雪崩のように押し寄せてくる様にカタルシスを感じたフリークスも多いだろう。
繰り広げられるのは息つく暇もない激昂の連続。時にはクリーントーンのパートで落として来たりもするが、REDSHEERは常に激昂の先にある赤黒い音の渦を生み出している。それこそがREDSHEERのライヴの一番の魅力だと感じるのだ。
1stアルバムからの「Curse From Sad Spirit」での不穏なメロディアスさからドラマティックに繰り広げられる展開はREDSHEERの変わらぬ核の一つだろう。REDSHEERはこれまでリリースした楽曲もライヴも常に筋書き通りにいかないドラマがたしかにある。
ラストはREDSHEER流のヘヴィロックこと「Me And Your Evil Spells」で締めくくられた。
この曲で締めくくられたのは一つの気づきだったのではないかと僕個人は思ったりする。地獄巡りの行き着く果ては自分たちが生きる世界なのかもしれないなんて自分勝手な事を思ったり。
・BB
この日の主役であるBB。毎回ライヴを観る度に進化を遂げているのは実感し続けていたが、この日のBBはこれまでの活動の集大成とも言えるライヴだった。
神々しくも混沌とした「INTRO」の時点でこの日のBBはこれまでのBBを置き去りにしていた。
REDSHEER同様に低音が凶悪なまでに出た音響が目の前に真っ黒な音の壁を感じさせるほど。音圧も音量も相当なものだった筈。
続く「SADOWY」とBBのライヴではお馴染みの流れではあるが、観る者をねじ伏せてやるという気概が音にそのまま現れていたのではないだろうか?
照明が常に赤一色で、ステージ上のメンバーを照らし、影を作り続けていたのも音と相まってより圧迫感と厳格さを表現。
しかし凶悪な音でねじ伏せるだけがBBではない。「SCARS」の爆音の中から感じられるメロディアスさもまたドラマティックであり、変拍子を駆使しながらもグルーヴ感溢れる演奏が複雑かつ混沌としながらも、一つの手がかりのように音の輪郭を確かに掴ませてくれる。
ラスト2曲の「DISENGAGE」と「FEEL」は特にこの夜を象徴するものだった。前者はBBの持つダークネスの真骨頂であり、後者は混沌の先の光を感じさせる救いの様な1曲。そんな相反する筈の2曲が当たり前に同居し、鬼神の声と演奏と共にバーストする。そのドラマティックさはBBだからこそ辿り着けた領域だろう。
やると思っていなかったアンコールではデモから「Anguish」をプレイ。BBの中でも特にドライヴ感に溢れロックを感じさせる曲で終わったのもREDSHEER同様に気づきであったのかもしれない。なによりも爆音の高揚感で観る者を昇天させた筈だ。
圧巻の約1時間。鬼神BBのこれまでを総括し、そしてこれから先に待つ進化を期待するしかないライヴだった。
BBとREDSHEERという激音を更新し続ける両者の地獄の2マンはフリークスたちにとって大きな事件としてこれから語り継がれていくだろう。
常に予想と想像の遥か先にある景色を体感させてくれる両者に改めて感服した次第だ。
しかし両者共、今後のライヴでこの日体感した音像を余裕で超えるものを体感させてくれるのも確信している。それは僕だけじゃなく、この地獄の2マンを目撃した人たちも同じだと思う。
■【残酷なまでに無垢な美しき真夜中の音楽】しののめ、ロングインタビュー
2018年も終わりに差し掛かり、SNSではフリークス達が今年の年間ベストなんかをツイートしたりしているが、僕個人として2018年の一番のベストリリースはしののめの1stフルアルバム「ロウライト」だった。
シューゲイザー/ギターロック/エモといった括りのサウンドスタイルではあるが、しののめは安易なるカテゴライズを拒むバンドだ。
バンド名を出してしまえば、syrup16g 、きのこ帝国、それでも世界が続くなら、ANCHOR(新潟)、bloodthirsty butchers、Discharming Man、mogwai、Low、U2といったバンドと共振する部分はあるが、バンド名を羅列しただけではしののめの本質には迫れない。
気付けば作為的でSNS映えを狙った表現もどきばかりが増えてしまった病みきった今であるけど、そうした本当の病巣を無垢で無作為な表現で暴く力を持つのがしののめの魅力だと個人的に思う。
深いリヴァーブのかかったボーカルと音像、冬や夜に映える美しいメロディ、果てしなく諦めを言葉にした歌、それらは安易に鬱ロックだとかメンヘラ御用達といった安い評価を蹴散らす力がある。
今回は実に10ヶ月振りのライヴとなったブラックナードフェスでのライヴ後にメンバー3人にインタビューさせて頂いたが、具体的なバンド名やジャンルとしての音楽の話はほぼ皆無だ。
メンバー3人は非常に穏やかな人達だが、決して多くない言葉は3人の確かな反抗声明である。
作為やジャンルやSNS映えといったくだらない物に辟易としている人にこそしののめに触れて欲しい。
こんな時代だからこそ、しののめの持つ暴く表現は聴く人の感受性に響くはずだから。
・今日は約10ヶ月振りのライヴでしたが、手応えとしてはどうでした?
真下(Dr):前よりみんなの気持ちが揃い始めた感がありますね。
私はしののめに途中から加入しているので、やっとバンドらしくなって来たかな?
眞保(Gt.Vo):みんながバラバラな感じが凄かったので。
・まず今年の2月に1stアルバム「ロウライト」をリリースしてのリアクションなどはどうでしたか?
久間(Ba.Vo):活動してない割には聴いてもらえている感じはします。
眞保:Twitterとかで検索したりすると、気合いの入った感想を書いてくれている方がちょこちょこいたりするので、ハマる人にはハマるバンドなのかな?
・僕はしののめを初めて聴いた時に、不特定多数に向けているのではなくて、そこからはみ出してしまった人達に向けている音楽だと思いました。
眞保:大衆受けが嫌なわけではないのですが、自分は正直に言うと好きなバンドがあまりいなくて、それで自分が好きなバンドを作ろうっていうのがしののめですね。90年代とかだと結構好きなバンドはいるのですが。
・現行の邦楽ロック系のシーンの中ではかなり浮いてるバンドにも見えるのですが、90年代や00年代のシーンで当てはめてみるとすごくしっくりくるバンドでもあると思います。
オルタナティブな感覚が当たり前だった時代とリンクするバンドだなって。
眞保:「ロウライト」はCDとMVでアレンジが違いまして、音源の方は短いんですけど、MVの方では1分半くらいイントロを付け足したらMVを撮影・編集してくれた方に「これ聴かれねえよ。」って言われましたね。
・僕はMVを観てからCDを聴いたので、アレンジが全然違ったのはびっくりしましたが、個人的にはMVの方のアレンジが好きですね。あのイントロは聴く人を引き込むなって。
眞保:MVを観て気に入ってくださった方は「あのイントロが良い。」って言ってくれてますね。
ライヴではMVの方のアレンジで演奏してますが、まずアルバムをレコーディングした時はドラムは真下さんじゃなかったので。MVの方のアレンジでは真下さんが叩いてるのでそっちのアレンジでやっています。
・「呼吸」もCDとMVでアレンジ変わってますね。
眞保:CDの方は僕一人でのアレンジでしたが、そっちはバンドアレンジでやってみたらどうかなと思ってアレンジを変えましたね。
・今日初めてライヴを観て、やっぱり音源よりもバンド感が出ていると思いました。
ある種の生々しさや無作為さを強く感じましたね。
眞保:我々は器用なタイプではないので。
・僕がそもそもジャンルって括りが好きな人間では無いのですが、しののめはシューゲイザーやギターロックって括りで語られたりもすると思うんですよ。
でもそれは触りでしかなくて、寧ろしののめの音楽は一つのスタンダードですらあると思ってます。純粋に良いメロディと良い歌と刺さる言葉で成立してる音楽だなって。それと同時に本質的な意味でオルタナティブであると感じます。
鬱ロックだとかいうくだらないカテゴライズだったりとか、わかりやすいセンセーショナルな言葉だったりとか、そうした作為的なSNS映え狙いみたいな打算がしののめには無いのが本当に好きなんですよね。
眞保:そうした計算はないですね。少しはなきゃ
駄目じゃないかって話はしたりしますが。結局そんな計算は必要ないからやらないだけですね。
・僕はそうした打算で作られた音楽が溢れている現代に対して、しののめは「本当はそうじゃないだろ!」って暴いてる気もします。
眞保:音楽って本来は芸術的なものだと思ってるんですが、そうした芸術的な音楽が相当減っているように感じてます。
・音楽って芸術の中でも一番人に伝わりやすいものでもあると思うんですよね。
感情や思想を音と言葉でダイナミックに表現出来るのが僕の中の音楽なので。
眞保:表現の手段として音楽をやっているだけなので、必要のないものは削ぎ落とされているのかなって。
・しののめは核がしっかり見えるからこそ、響く人には本当に響く音楽をやっていると思います。
眞保:そうであり続けたいですね。
・久間さんはしののめのオリジナルメンバーですが、久間さんから見たしののめってどういうバンドなのでしょうか?
久間:「みんなおいでよー!」って感じではないけど、「ロウライト」に関しては辛い気持ちの夜とかに優しくはないけど朝まで付き合ってくれるアルバムみたいな感じなので、バンドも基本的にそんな感じですね。優しくはしないけど突き放しもしないみたいな。
・駆け込み寺みたいな。
久間:「大丈夫だよ!元気出してよ!」みたいな感じじゃないけど、朝まで一緒にいてくれるみたいな感じはしてます。
・真夜中に聴くと本当に映えるバンドですよね。
久間:そんなバンドだと思っています。別に昼間っぽいバンドではないので。陽が出てない時に聴くバンドって感じはあります。
・「しののめ」ってバンド名もそれを表してますよね。
久間:最初に曲を作った時から夜っぽい曲が多かったので。
眞保:夜っぽいバンド名にしたいなって感じで決まったよね。
久間:それで大体バンド名は略されるから四文字くらいでって感じでバンド名は決まりました。
眞保:エゴサが異常に難しいバンド名。
・真下さんの加入はアルバムレコーディング後ですよね。
久間:一年がかりでアルバムどうにか完成させたんですけど、アルバム用のアートワークの写真の撮影でまた時間がかかって、そんな時に加入しました。
眞保:色々ギリギリになってしまったんで大変でしたね。真下さんから見るしののめはどんなバンドですか?
真下:良いなって思うところは想像の余地があるところですね。
歌詞とかはちゃんと具体的な言葉で書かれてはいるんですけど、曲からイメージが浮かぶ様な曲が多くて。
元々、私と久間ちゃんが美大の先輩後輩の関係なんですけど、私は絵を描くのが好きなんですが、音楽以上のものをくれると言うか、インスピレーションが膨らんで良いなって。二人の歌声も大好きだし。
私はこういう暗いバンドをやるって思ってなかったんですけど、今はやるって決めて良かったですね。
眞保:真下さんが加入して最初のスタジオは衝撃だったらしいです。
真下:最初に眞保君に呼ばれてスタジオに行ったんですけど、何曲か曲をコピーして合わせるってなって、その時は久間ちゃんは体調が悪くてあんまり歌えなくて、眞保君はギター弾いて歌い始めるけど全然やる気がないんですよ。
そんな雰囲気だったので「この異様な雰囲気はなんだろう?」ってなって、眞保君に聞いたら「あんまりカバーやる気でないんですよね…」って。そして凄く辛い空気が流れてましたね。
私は高校生の時からドラムをやってるんですけど、バンドってもっと楽しいものだって感覚だったんですよね。だから「バンドって楽しい…よね?」ってのを投げ掛けるところから始まった感じです。そしたら二人は「楽しいって何だっけ?」みたいになって。
眞保:真下さんが加入する前はピリピリしてたので。
久間:当時はお腹が痛くなって携帯見たら眞保君から連絡が来てるとかあって、それを予知してお腹が痛くなる感じでした。
眞保:スタジオの時、全く私語無かったよね。
久間:みんな下を向いてお酒を飲むだけみたいな。それで曲合わせてピリピリした空気が流れてまたお酒に逃げるみたいな。
そんなのを数年やっていたので、真下さんに問いかけられた時に楽しいの概念の振り返りから始まりました。でも今は楽しいですね。
眞保:最近はスタジオでの私語が多すぎるかなって。でも最近は明るい…のかな?
・そもそもしののめの音楽に楽しい要素が全くないので。しののめはやはり真夜中の真っ暗な部屋の片隅で体育座りで聴くのが礼儀だと思ったりします。
久間:ロウライトが完成した当時は宇都宮に住んでて、丁度寒くなり始めた頃だったので、取り敢えず窓開けて正座して聴きましたね。そして「これだ!」ってなりました。
・しののめの持つ暗さって日常生活や人生の中で失ってしまった物に対する後悔というか…どうしても拭いきれない物悲しさや喪失感を歌ってるバンドだと思います。
しののめって僕の中で感情なり景色なり時間なりを想起させる音ってのがありまして、だからこそしののめをジャンルで括りたくないですね。
眞保:ジャンルなんて手段でしかないですから。シューゲイザーっぽい音作りとかは多いですが、それはあくまで曲の表現方法として使ってるだけで、僕はたまたまギターが弾けるからギターを弾いてるだけですし、たまたま僕の表現方法が音楽だっただけです。
パンクバンドだから奇抜な格好をして過激なことを言うってのは僕にとっては手段であって目的ではないですね。
・パンクバンドだからって全ての曲でポリティカルなメッセージを放たないとダメとかってルールは僕もないと思います。
眞保:音楽はあくまで表現の手段と考えてるので、そこが他のバンドとのノリの違いかなって思います。
・眞保さんが具体的に表現したいものとは何でしょうか?
眞保:色味だったりとか、冬の寒さだったりとか、内向的なところだと自分が思ってる事とか、そうしたものをどうやって音楽に昇華してこうかってところを考えてやってますかね。
・「楽園」という曲の歌詞に「生きる事は素晴らしくない」ってあるじゃないですか?あの曲を初めて聴いた時に「本当はそんな風に思いたくない!」って足掻いてるように思いました。
眞保:本当はかなり期待してるのかもしれないですね。人生そのものが絶望的だと感じてるので「救いはないものか?」という気持ちはすごくありますね。
何の考えもなく肯定されてるのに違和感を覚えたりとかあって、「自殺ダメゼッタイ!」とか「生きていれば良いことあるから生きましょう。」とか何の根拠もなく言ってる事が、みんなそれを何の疑いもなく受け入れてるのが本当に怖くて、だから触れちゃいけない部分を暴くというか…そういうノリはあるかもしれません。
音楽というかロックというかそうしたものがポップスとなんら変わらなくなっちゃったって感じもありますね。
・それこそ作為的なものが増えてしまったのかなって。
眞保:大量に売らないと回らなくなったんでしょうね。だからわかりやすくて作為的で消費されるものが増えてる傾向があると思います。
・ここまで眞保さんの考えを話してもらいましたが、眞保さんがしののめの中心人物じゃないですか?その眞保さんの表現に対して久間さんと真下さんはどうリンクさせてる感じでしょうか?
真下:私はイメージの拡張器でありたいなと思っていて、眞保君が曲に込めてる思想とかに触れて、そこで感じた情景とかを音に出して、眞保君が3考えてるなら6にして返したいなって。それがバンドでやってる意味だと思います。
私は空想とか妄想が好きなので、そういう情景だ!ってなったら私の中ではそういう世界になってるんですよね。それを眞保君に伝えると最初はレスポンスが良くなかったりするんですけど、合わせてるうちに気付いてくれてる事もあって、それが他人が介在する意味だと思います。
・眞保さんが描いた色をブーストさせるのが真下さんなら、そこにまた違う色を加えるのが久間
さんだと個人的に思います。一つのテーマやコンセプトに対して近いけど違う色を付け足してるというか。
久間:基本的に暗いので、根っこが暗いというか。一番暗いかも。
眞保君がデモを持ってきた時に普通にリスナー目線で聴くんですよ。それを聞いてブーストみたいにはならないんですけど…何だろうな?
真下:私はこういう意味が分かってない人がいるのも重要だと思うんですよ。自分なんでいるのかな?みたいな。そういう感覚の人も重要だなって。
私みたいにしっかりと思考を持ち過ぎてるとまたそれはそれでバンドの雰囲気とかバランスが変わりますし、ウジウジと「何で!?」って感じで久間ちゃんにはいて欲しいなって思います。無理しないで「何で私が歌っているんだろう?」みたいな人も重要ですね。
久間:分からぬままで、ずっとファンみたいな感じで所属してて、デモ聴いて「これめっちゃいいじゃないですか!!え?これ私歌うんですか?」って感じなんで。
・ますます一筋縄ではいかないバンドですよね。しののめって。こうして話していると皆さん穏やかな方ですが、根はダークサイドだなって。
久間:もしかしたら眞保君が根っこは一番明るいかも。
・次の展開は決まってますか?
眞保:アルバム出してから今日までゆっくりし過ぎたので、少し飛ばして行こうかなって。何なら今月とか来月とかには色々動こうかなって感じですね。
久間:寒い間に何かします。
眞保:冬の間だけ頑張ります。
・逆冬眠ですか(笑)。
真下:夏は夏眠します。冬は頑張るので夏の間はWANIMAみたいな明るいバンドに頑張ってもらう感じで。冬は私たちしののめが頑張ります。
・改めて夜や冬が似合うバンドですよね。次のアルバムやライヴも楽しみです。
眞保:アルバムは出しますけど、ライヴはどうしようかって感じですね。
真下:基本的に作るのが好きな人たちが集まっちゃってるんで。
・100s結成前の中村一義みたいな。
久間:レコーディングしたりとかMV撮ったりしてる方が楽しいです。
真下:でも今日のライヴで観ている人たちの顔が見れたのは本当に幸せでしたね。
久間:観てくれてる人がいるって状況が半年以上なかったので…
・しののめの音楽は今の時代だからこそ広まる筈なので、マイペースながらも頑張って作り続けて欲しいです。20年とか30年とか続けて欲しいなと。
真下:今日、割礼さんのライヴを観て、自分があの位の年齢になった時にどんな音を出してるんだろうって興味が出ましたね。
眞保:割礼すごく格好良かったな。
真下:目指せストーンズで!転がる石になります。
久間:割礼さんがMCで「公民館で練習したりもする。」と言ってたので、私たちも次のライヴはまた公民館かな?
眞保:個人的に蒲田温泉でライヴしてみたいですね。
・次のライヴはまた公民館で!ライヴハウスでライヴしないバンドって感じで。真冬の水上公園とかも良いですね!水元公園とか。
久間:寒さに震えてもらいながら。
真下:でも冬のフェスとかやりたいよね。
久間:「ロウライト」の長くなったイントロの部分を私たちは「レイキャヴィークの部分」と呼んでまして。
眞保:当時シガーロスにハマってて、アイスランド行きてえ!って思いながらフレーズ作りましたね。
・アイスランドでもライヴして欲しいですね。
眞保:シガーロスと対バンしたいと思いながら、それを目標に末長く続けていけたらなと。
オフィシャルサイト:https//:www.shinonomenome.com
Twitter:https://twitter.com/ShinonomeBand
Instagram:https://www.Instagram.com/shinonomeband
■GRAY WORLD Vol.7(2018年9月15日)@東高円寺二万電圧
毎回エクストリームミュージックの猛者を迎えての企画だが、今回の3マンはそれぞれのサウンドの方向性がバラバラで、どんな化学反応が起きるか非常に楽しみであった。
・ele-phant
トップバッターのele-phantはこの日がラストライヴ。思えばREDSHEERの初ライヴはele-phant企画だったり、REDSHEERのレコ発企画に出演したりと色々とREDSHEERとは縁が深いバンド。そのラストライヴがREDSHEER企画というのは何だか感慨深さもある。
ラストライヴではあったが、感傷的な瞬間は全くなく、ele-phantが提示し続けたギターレスによるドゥーム経過型のロックをこの日も鳴らしていただけだった。
ミドルテンポでタイトかつ爆音のドラム、メロディを奏でながらソリッドな重低音を鳴らすベース、そして艶やかなボーカルの三位一体のグルーヴはele-phantの持ち味であるが、それがより研ぎ澄まされ妖艶なる世界が色濃く目の前に広がって行く。
2人時代の楽曲をプレイした以外はラストライヴらしさは本当に無く、以前より更にサイケデリックに花開くサウンドを体感し、今回のライヴで解散という事実は本当に勿体無いと思ってしまった。
従来のドゥームともサイケデリックとも違う新しいロックをele-phantは確かに描いていた。出来れば早々に解散を撤回して頂き、しれっと活動を再開させてしまえば良いと思う。
・Kowloon Ghost Syndicate
二番手のKowloon Ghost Syndicateも今回のライヴで下手ギターの松田氏のラストライヴ。
ボーカルの笠沼氏が「これからは概念として見守ってくれます。」とMCしたのはフフッとなってしまったが、以前よりも更にストレンジなハードコアを鳴らすバンドへとパワーアップしていた。
終始照明は赤のみで照らし続けていたステージの視覚的な効果もあるのかもしれないが、生々しい血飛沫と肉が裂ける様な破壊的なサウンドに終始圧倒されっぱなしになる。
爆音かつフルバーストで突き抜けるだけで無く、楽曲そのものがよりシャープかつファストになった印象も強い。
この日は30分で16曲プレイしていたが、ライヴがほぼノンストップで繰り広げられるだけでなく、極端なまでに短い楽曲の中でそれぞれの音が喧嘩し、全力で殴りつけてくる。無駄を一切無くした楽曲構成だから余計に終始リミッターの振り切れたテンションが炸裂する。今の東京でこれだけのテンションでライヴ出来るバンドは本当に少ない。
少し観ない間により禍々しいバンドへと進化を遂げていた。この途方もないエネルギーは果たしてどこへ向かうのか。これからも楽しみ。
・REDSHEER
トリは主催のREDSHEER。久々にライヴを観るのもあって、新しいハードコアを未来に向けて放つ3ピースが今回の企画ライヴでどのような進化を遂げているか本当に楽しみだった。
今回のライヴのセットは「IN A COMA」以外の楽曲は全て1stアルバム以降に生み出された楽曲だったが、改めて1st以降の楽曲に肌で触れ、益々カテゴライズや◯◯っぽいといった言葉で説明する事が不可能なバンドになったと思う。
そしてREDSHEERは本当に武器が多いバンドだ。ブラッケンドに接近した地獄の轟音、陰鬱なる感情に訴えるメロディアスさ、刻みつけるリフのフック、感情移入をさせない冷徹なクリーントーン、それらが変拍子とテンポチェンジを繰り返しながらドラマティックに展開される楽曲。実に多彩なアイデアが楽曲の中にこれでもかと詰め込まれてる。
それを愚直なまでに全力で解放するライヴは魂の解放だ。知的に練り込まれた音を構築しながら、それを全力で放出するのがREDSHEERのライヴの大きな魅力だろう。
この日披露された新曲もハナから全力で爆音を叩き付けるより殺気立った楽曲であり、更なる地獄を描く。それぞれの楽曲のベクトルが多彩だからこそ、こうした殺気がより際立ち、容赦なく刺し殺していく。
アンコール含め全7曲、赤黒く渦巻く闇のハードコアは更なる高みへと上り詰めていた。
3マンという事もあって、各バンドを中だるみせずにじっくり堪能。3バンドとも僕が大好きなバンドで非常に自分得な今回のブッキングだったが、それぞれが持つオリジナリティと進化の精神はREDSHEER企画だからこそ堪能出来るものだろう。また次回のREDSHEER企画も楽しみだ。
■それでも世界が続くなら活動中止ワンマン公演「休戦協定」を目撃して。
ドラムのクリハラ氏が「燃え尽きた」と言う事で脱退を申し出た事、それを受けての活動中止。解散でも活動休止でもなく活動中止ってのがなんとも彼ららしい。
それから来年の2月11日にバンドがどうなるかの報告の約束がアナウンスされたが、一旦活動中止という事で彼らのホームグラウンドである下北沢QUEにて活動中止ワンマン。チケットが販売された頃はまだまだ寒い季節で、それから季節は巡り9月2日を迎えた。
何処か漠然と活動中止の事実を受け入れつつ、それでも世界が続くならという不器用すぎるバンドと休憩協定を結びに下北沢QUEへと足を運んだ。
実際この文章は活動中止ワンマンから大分日が経ってから綴っているけど、自分の中で色々な感情が何もまとまりきってなんかいない。
僕自身はこのバンドを知って三年程の人間で、決して長くバンドを追えてた人間ではない。
だけど自分なりに可能な限りライヴには足を運び、何度ライヴを体感しても、彼らの鳴らす痛みは理屈を超えた感情にいつも襲われ、バンドと真正面から対峙する闘いだと思い続けていた。
休戦協定なんてタイトルが付けられたライヴであったが、休戦の意味を彼らは本当に分かってるのか疑いたくなってしまう。
これまで何度も目撃したどのライヴよりも、4人はステージの上で全力で闘い、音楽で痛みを鳴らしながら、観る人々をぶん殴る轟音を鳴らしていただけだった。
アンコール含め2時間以上に渡って繰り広げられたライヴは何度も何度も涙が溢れてしまい、正直今でもまともにそれを記録する事が出来る状態じゃない。
MCはほぼ無し、序盤からフルスロットルで襲い来る轟音、メンバー4人が全力で倒れそうになりながらも異様な気迫で繰り広げる演奏。
いつだってこのバンドはボロボロになりながら曲を作り続け、ライヴを続けて来た自他共に認めるライヴバンドでしかない。
器用な演出やステージングも、気の利いたMCも出来やしない不恰好過ぎるバンドだった。
これまで何度も何度も再生し続けた曲達が毎回ハイライトの様に目まぐるしく鼓膜から感情を殴りつけて来る瞬間ばかりで本当にしんどくなって立ってるのも辛くなった瞬間も情けないけどあった。
グルグルと頭の中で色々な過去の記憶がフラッシュバックして、嬉しかったことも忘れてしまいたいことも走馬灯の様に駆け巡りながら、ずっとステージから放たれる轟音に掴まれたまま。
最後の最後に本当に忘れられない瞬間があった。
アンコールの最後にプレイされたのは僕がこのバンドで個人的に一番大好きな「最後の日」だったのだけど、篠塚氏が「アンコールさせねえような演奏しろよ!!」って叫びから曲の頭のリフが弾き倒されたその瞬間、僕の中で張り詰めてた気持ちが一気に解放されていく。
歌詞は殆どアドリブで必死に観る人々にその感情を伝えようと闘う4人の姿は本当に美しくて、立ってるのもやっとでフラフラで無様なのに、その姿に「演奏会」なんか出来やしない本物の「ライブバンド」の姿があった。
最後の言葉は「殺せるもんなら殺してみろ。」やっぱり休戦協定って言葉の意味を間違えてるんじゃないか。
2時間以上に渡るライヴと言う名の闘いは轟音と叫びと共にそれぞれが血を流しながらそれでも生きているという事実を叩きつけるものだった。
ライヴレポなんてとても呼べる文章を今回はいつにも増して書けてない。その瞬間にしがみつくだけで精一杯になってしまった。
でも彼らが鳴らす音楽に確かに心が動く人間でいれて本当に良かった。
カテゴライズされた等身大とか痛みじゃ無い。それぞれが生き続ける上で薄っすらと残してしまった傷跡に直で響き渡る音楽をこのバンドは鳴らし続けていた。
オルタナティブだとかシューゲイザーだとかそんな物じゃなくて、その言葉と音を食らって感じたことが全てな音楽。音楽を聴き始めたばかりの頃の自分はそんな感覚で音楽を聴き続けていたんだなってのをふと思い出した。そしてこの年齢になっても音楽を聴き続けている人間でいれて本当に良かった。
それでも世界が続くならの今後は来年の2月11日まで分からない。それがどんな報告になろうとも、僕は自然とそれを受け入れる事が出来る気がする。
この日のライヴを体感して、このまま休戦するなんて到底思えやしない。例え形は変わってしまったとしても、この4人はまた全力で不器用に血を流しながら音楽を続けてくれるって信じる事が出来る。
この日の休戦協定は死ぬまで忘れる事の出来ない記憶として僕の中に残り続けるだろう。
そんな忘れられない瞬間は音楽を聴き続けて来た僕にとってずっと大切に守り続けていきたいものだ。
そんな瞬間があるなら音楽をこれからも聴く。新しい音楽を探し続ける、自分の痛みと共に生きていく。
そしてそれでも世界が続くならというバンドへの感謝をこのライヴレポ紛いな手紙で記させてもらう。本当にありがとう。
■TJLA FEST 2018いよいよ開催
3LAとTokyo Jupiterの共同主催によるエクストリームミュージックフェスことTJLA FESTが約3年振りに開催されます。
前回のTJLA FESTには二日間とも足を運ばせて頂き、国内外のエクストリームミュージックの今を肌で感じるフェスとなりましたが、今回は前回とはまた大きく趣を変えた面子が集結して、前回に負けずかなり事件性の高い2日間になると思います。
個人的には2年前の熱過ぎる来日公演が未だに脳裏に焼き付いて離れない、スパニッシュブラッケンドクラストKhmerの再来日というトピックが今回の大きな目玉と言えるでしょう。
今回はボーカルのMario以外はex.Ictusというスペシャルな布陣での来日。既に伝説の予感しかしません。
一方で宇宙ポストメタルを放つRosetta、壮大なるドローンを描くthisquietarmyも再来日。Khmer同様に今回の目玉です。
勿論国内バンドも両日共にバラエティ豊かかつ強烈なバンドばかり。前回もジャンルの壁なんて始めからないとばかりに各方面から強者が集結しましたが、今回も今注目すべきバンドのみ集まりました。
それぞれの点が線となり、それぞれの物語が新たなページを開く二日間。皆さん是非とも見逃し厳禁で!!
前回のTJLA FESTのライブレポ
day1
day2
前回のKhmer来日公演のライブレポ
オフィシャルサイト
2018年9月23日(日曜) DAY1
会場: 新宿Zirco Tokyo
OPEN/開場: 14:30
START/開演: 15:00
Adv. ¥4800 (+1D) / Door ¥5500 (+1D)
出演者: Khmer (Spain) / Rosetta (USA) / thisquietarmy (Canada) / SWARRRM / KUGURIDO / GUEVNNA / OVUM / lang
2018年9月24日(月曜・振休) DAY2
会場: 新宿Zirco Tokyo
OPEN/開場: 14:30
START/開演: 15:00
Adv. ¥4800 (+1D) / Door ¥5500 (+1D)
出演者: Khmer (Spain) / Rosetta (USA) / thisquietarmy (Canada) / Of decay and sublime / sans visage / pale / 老人の仕事 / KLONNS
※各日入場時に別途ドリンクチャージ(600円)がかかりますので予めご了承ください。