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■幻とのつきあい方/坂本慎太郎


幻とのつきあい方幻とのつきあい方
(2011/11/18)
坂本慎太郎

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 多くのファンを獲得しカリスマ的サイケデリックロックバンドであったゆらゆら帝国、2010年に惜しまれつつも解散してしまったが、そのゆら帝のフロントマンである坂本慎太郎のゆら帝解散後初の作品であり2011年発表のソロデビュー作。末期のゆら帝はガレージサイケから脱却し歌と揺らぎを追い求めた作品を作り出していたが、その延長線にある作品であり歌と静かな揺らぎに満ちた作品になたっと言える。



 まずバンドサウンドから脱却しており、かなりアコースティックなテイストのする作品だと思う。坂本氏の歌を基調にギロ、マラカス、コンガ等の多くの楽器を取り入れ、ギターやドラムといった楽器は前に出ずにあくまでも坂本の歌を前面に出した印象だ。そこにソウルやファンクといった要素も取り入れルーツミュージックを現代の音にしているのも特徴だ。そして坂本氏はゆら帝の持っていたしびれやめまいといった要素と決別している。艶やかなボーカルや旋律が主体になっているし、幾多の楽器を取り入れながらも全体的にあっさりとした質感なのだ。その中での静かな揺らぎと微かな霧に包まれる様な感覚だ。優しく耳から脳に入り込み、聴き手の深層心理を少しだけ刺激する。そしてサウンドに優しい温もりが確かに存在するのだ。爆音の中の狂騒でも、非現実の幻想でもなく、日常生活と静かにリンクし、その中の微かな揺らぎと不可思議な感覚、それこそが今作の核になっていると思う。第1曲「幽霊の気分で」から女性コーラスをフューチャーし、パーカッションと機軸にしたリズムと最小限しか存在しない音で淡々とした日常の中で見える非日常を歌い、ふわりとした揺らぎを聴かせてくれる。第5曲「ずぼんとぼう」は特に象徴的な1曲で、淡々としたリズムと後ろで鳴るミニマルな持続音のみが存在し、楽曲のウエイトは坂本氏と女性コーラスがかなりの比重を占めている。多くの楽器を効果的に取り入れながらも装飾を殆ど施してない楽曲が並ぶ今作であるが、この曲は特に剥き出しの曲であるし、でもプリミティブさとはまた違う、微かなゆらぎを徹底的に追求し、そのミクロの揺らぎを見せてくれる。そしてどこまでも洗礼され完成されているから驚きだ。他の楽曲もファンクやソウルの要素を取り入れてもそれでは留まらず、あくまでもミクロの世界の音として静かに緩やかに音が存在している。そしてタイトル曲である第9曲「幻とのつきあい方」も白昼夢の様な歌とアコースティック主体のサウンドが淡々と流れているし、アコースティックバンドである「さかな」の様な音楽性に坂本氏の持つ揺らぎと空気の流れの感覚を高純度で詰め込でいる。



 ゆら帝解散後の坂本氏の音楽活動に関しては本当に多くの人が注目していたと思うが、彼が作り出したのは日常的感覚とミクロの世界を突き詰めた緩やかで優しい歌だった。爆音でも無いしサイケデリックでは無いのかもしれないけれど、その静かな呼吸と日常の空気の中には確かに小さな幻が存在する。多くのフォロワーを現在も生み出しまくってる坂本氏だが、彼はやはり別次元の人だし、そんな妖怪が生み出した日常の作品はゆら帝を解散させたからこそ生まれたのだと思う。



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■The Broken Man/Matt Elliott


The Broken ManThe Broken Man
(2012/01/17)
Matt Elliot

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 The Third Eye Faundationを復活させた事を去年の来日も記憶に新しいMatt Elliott先生の2012年発表のソロ名義での作品。Matt Elliott名義ではTTEFと違いトラッドな暗黒フォークを奏でているのだが、その絶望と暗黒具合は変わらず、より繊細な歌の世界を展開している。今にも壊れそうな心を表現した彼の歌の力を否応無しに感じる筈だ。ミックスはフランスのミュージシャンであるYann Tiersenの手によって行われている。



 Matt Elliottはトラッドフォークを基調にしたサウンドが核になっているのだが、それに絶望的な感傷の感情をブチ込み、儚く今にも壊れそうな世界を描いた楽曲ばかりが並ぶ。第1曲「Oh How We Fell」からいきなり12分にも及ぶ一大絶望フォークを展開。アコースティックギターと歌のみで構成され、たったそれだけの要素で深淵の世界を描いてしまっているのに先ず驚く。自らの心にある感傷と向き合わせ、逃げる事を許さない絶望が静かに押し寄せる。第2曲「Please Please Please」や第4曲「How To Kill A Rose」といったボーカルレスの短尺の小品的作品でもアコースティックギターにリバーブ等の効果を加え、時折恐怖感を煽る音響的コラージュを加え、歌に頼らずとも自らの世界観を徹底して貫き、作品の中で安易な安らぎは全く与えずにいる。第3曲「Dust Flesh And Bones」でもアコースティックギターを少しずつディレイで重ね自らのサウンドに奥行きを深みを与えながらも、やはり核になっているのはMatt Elliottの今にも消え入りそうな歌と楽曲の持つ陰鬱さを極めた旋律。何ら装飾の無い裸のままのアレンジがよりその世界観を明確にし、後ろで鳴るストリングスの静かな調べが更に感傷を加速させる効果を持ち、中盤で音響的コラージュを膨らませ、奈落の底へと飲み込む大きな空洞へと堕落していく情景は圧巻であるし、ハウリングするコラージュと声と共に壊れきった精神世界へと導かれる。個人的に特に素晴らしいと思ったのは第5曲「If Anyone Ever Tells Me~」であり、Katia Labèqueのピアノとコラボした楽曲であるが、ストリングスとピアノが織り成す13分半にも及ぶ大作は至ってシンプルな楽曲であるのだけれども、今作で最も壊れ物の世界を表現した楽曲であるし、Matt Elliottという男の絶望と悲しみが押し寄せる名曲だ。



 TTEFと違い豊富なアイデアで攻める構成では全く無いのだけれども、この剥き出しになった暗黒フォークの世界でもMatt Elliottの世界は何も変わらないし、何ら装飾が無いからこそ旋律と歌のみで静かに絶望を歌う今作は聴き手の心に静かに入り込んでくるのだ。徹底的に自らの内省と向き合わされる作品だし、僕はこのMatt Elliottの歌の世界と時間をかけてゆっくりと向き合いたいと思う。それだけの価値が今作にはある。



■Acoustic/Mooncake

Acoustic 1



 ロシアのポストロックバンドであるMooncakeの2012年発表のアコースティック作品。リリースは彼等の作品の再発も行っているFluttery Recordsから。Mooncakeの過去作は未聴だが、今作は素朴なアンプラグド作品であり、削ぎ落とされた音でシンプルに描かれる物語は実に豊かな音色を以って響いてくる。感情豊かで雄弁な音色と旋律が描く柔らかで優しい世界が広がってくる。



 基本的にアコースティックギターとストリングスのみで楽曲は構成され、たまにパーカッションが入るという本当にシンプル極まりない作品である。アコギの素朴なコード進行で描かれる楽曲は極限まで音数を減らした物では無いにしても、何の装飾も無いし、その後ろで鳴るストリングスが楽曲の旋律に静かに深みを与える。方法論としては何のギミックも無い物だけれど、彼等はあくまでも自らの楽曲の旋律のみで勝負している印象を受ける。その旋律も陰湿さは皆無でクリアで陽性の音色が静かに広がっており、清流の様な音色には心がほぐされて柔らかな気持ちになる。だが第3曲「Mandarin」ではそれ以上に深遠さが加速し、静寂の世界に温もりを与え、ドラマティックに展開しながらも、静寂の感傷は決して変わらないし、その中で熱を帯びていく様は心がキュッと締め付けられる。全5曲共に基本的なアプローチは統一されてはいるが、それぞれの楽曲が確かなドラマ性を持っているし、素朴な作品だからこそ、その旋律が描く物語はより明確になっているのだ。そしてその中にある確かな熱量こそがまた聴き手を掴み、柔らかな熱情として胸に入り込んでくる。



 純度の高い清らかさと、その奥にあるドラマ性とエモーショナルさのみで描き出される純白のアコースティックポストロックは決して派手では無いけれども聴き込む程にその世界へと引き込まれて行くし、スッと聴き手の耳に流れる音色の柔らかで美しい旋律には心惹かれる物が確かに存在している。Fluttery Recordsの作品はクリアな音色を奏でるアーティストばかりだが彼等もまた少しずつ上り詰める静寂の情景を高い精度で描くアーティストだと思う。

■水/さかな


水
(2009/01/05)
SAKANA

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 アコースティックな音楽性で80年代から現在も活動しているさかなの90年発表の3rd。2ndである「マッチを擦る」の続編となる作品でありエンジニアにJAGATARAのエマーソン北村を迎えている。殆どの曲が3分未満の小品的な楽曲が並び、必要最小限のアコースティックサウンドに空間的なサウンドコラージュが施されており、緩やかなポコペンのボーカルが詩的な言葉を紡ぎ、その歌世界は非常に幻惑的である。



 今作はアコースティックギターとパーカッションと音のコラージュとポコペンの歌という本当に最小限のアコースティックな形式の作品であり、音という音を徹底的に削ぎ落としている。今にも止まりそうな緩やかなスピードで楽曲は奏でられ、シンプルでありながらも夢遊病の様な幻想的な歌の世界へと聴き手を導く。第1曲「コカ」の歌と音の湿度が印象的であるし、第2曲「ピアニア」では少し不規則なシンバルの反復とミニマムなギターフレーズが織り成す不穏さと、さかなの水のベールで包み込む様な感覚の音が時に聴き手に一抹の恐怖感も与えてくる。第3曲「あの人」のポコペンの平熱の中での悲壮感の歌唱を前面に押し出し、ポコペンのボーカリストとしてのポテンシャルを感じる。彼女の歌は決して派手な感情を表に出さないボーカリストであるが、その平熱の悟りと諦念の入り乱れる淡々とした歌はさかなの音により明確な世界を与えてくる。その浮遊感は癒しとかそう言った類の物では無く静かな狂気と瘴気がもたらす微かな毒素だ。その中でも第6曲はテンポも速めのパーカッションが今作の中でも異質であるが、それでも反復する音と細切れの歌が性急さに反し気だるさを残す。代表曲である第7曲「レインコート」が今作で最もオーソドックスな構成の楽曲だが、ギターの音色と歌の隙間すら聴かせる楽曲の引力に感服する。基本的にスタイルはオーソドックスなアコースティックである筈なのにどの密度を空白ばかりにし、スタンダードな形の楽曲を少しだけ分解し再構築したかの様な感覚をどうしても覚えてしまう。それこそが今作の幻惑と浮遊感の核になっているのかもしれない。第10曲「目」の拍の概念を放棄したスカスカの混沌から第11曲「ぬれた床」のワンコードの反復と無機質なボーカルのみが消え入る様に終わり。完全に取り残されたまま正体不明の幻惑の歌世界の旅路は終わる。



 今作は音自体は本当にシンプルなアコースティック作品なのに正体不明の靄に頭が包まれたまま作品は独自のタイム感で進行する。サウンドコラージュも非常に効果的な役割を果たしているが、ポコペンの無気力かつ悟りきった歌と鳴らすコード自体はスタンダードでありながら、そのフレーズが分断されたアコギの音のみでここまで摩訶不思議な世界を描いている。催眠術にかかったかの様な感覚を今作を聴くと味わう事になるだろう。透明な純度を持った甘い麻薬の様な作品、引き擦り込まれたらもう抜け出せなくなる。

■Forever The Moon/Heirlooms Of August


Forever the MoonForever the Moon
(2011/06/21)
Heirlooms of August

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 日本のくるりも大きな影響を受けたと言われているRED HOUSE PAINTERSというバンドのメンバーであったJERRY VESSELという男のソロ作品にして1stアルバム。2011年発表。RED HOUSE PAINTERSでの郷愁のサウンドを受け継ぎ、今作はその殆どの音をアコースティックギターを中心に鳴らされている非常にフォーキーな作品だ。郷愁のアメリカーナな音を情感豊かに歌った歌物の名作である。



 基本は前述の様にアコースティックギターの音が比重を占めているが、ストリングスの音も取り入れ、その郷愁の音をより明確にしている。アシッドフォークな旋律でじっくりと丁寧に紡がれる音は、どこかカントリーのエッセンスも取り入れたアメリカーナな感触も持っており、ゆったりとした時間軸の中で優しく包み込んでくれる様な歌が耳に入ってくる。JERRY VESSELの丁寧で優しい歌がどこかセンチメンタルな雰囲気を作り出し、殆どの楽曲で参加している女性コーラスもまたJERRY VESSELの歌を支えているのも大きい。空間的な録音が施され、儚さと夢想的な空気の第3曲「Forever The Moon」なんかシンプルなコード進行な曲でありながらも、深みのある楽曲になっており、所々に入るカントリー色のあるギターフレーズなんかも緩やかな田園風景の中にいる様な空気を作り出しているのも見逃せない。個人的にはここ最近のEarthの楽曲をもっとシンプルにしたかの様な感触も感じるし、基本はアコースティックでありながらも、ストリングスの豊かな旋律がその郷愁の空気をより加速させている。シンプルで繊細な音が生み出す静かな感情の音をストリングスの音で支え、それでも最終的にはJERRY VESSELの歌が今作の核になっている。



 僕は今作で始めてJERRY VESSELの音楽にしっかりと触れた人間であるが、シンプルなフォーキーさとアメリカーナな匂いを感じる豊かなカントリーなテイストとアシッドフォークの湿りけを融合させた今作の音と歌には別の世界へと連れていかれるかの様な感覚を強く感じた。ストリングスの豊かさもまたJERRY VESSELの音楽を深遠にしているし、シンプルでありながらも広大さと豊かさを感じる素晴らしい歌物フォーク、決して派手では無いけれど、聴けば聴く程に、その音と歌に引き込まれてしまう。

プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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