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■【金星からマントルまで】ZOTHIQUE、ロングインタビュー

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 ZOTHIQUEは形容不可能な宇宙だと僕は思う。
 ハードコアパンクバンドHoly & Blightから始まり、改名、メンバーチェンジにより現在のZOTHIQUEが完成してから、ZOTHIQUEは常に想像の斜め上の音だけを生み出し続けている。
 毎年コンスタントにアルバムをリリースするハイペースな創作活動、日本全国に留まらず海外での積極的なライブ展開、ZOTHIQUEはこれまで常に止まること無く新たなる音を創造し続けた。
 Shusuke Shimonakaの脳内のコンセプチャアルな世界観を軸にしながらも、メンバー全員がコンポーザーであり、ハードコア・スラッジ・ドゥームに留まらず、アンビエント・サイケデリックを飲み込んで、金星から地底まで自在に行き来する未知の世界は既存の音楽の文脈から外れに外れており、ZOTHIQUEという言葉でしか表せない物になっている。
 今回はそんなZOTHIQUEの全容に迫るため、Shusuke Shimonaka(Vo.Gt)、Jah Excretion(Ba.Drone)、Darklaw(Key.Noise)、Koji Ueno(Dr)のメンバー全員集合インタビューを敢行させて頂いた。
 バンドの生い立ちから、ZOTHIQUEが信じるロックの魔力、そしてこれまでリリースした作品について色々と答えてくれている。



・まずはZOTHIQUEの結成から今に至るまでをお聞きしたいなと。

Shimonaka:元々は2007年か2008年頃にHoly & Blightというハードコアバンドを僕とKojiさんの二人で始めたんですよ。その時はヨナさんという女性ベーシストもいました。
 僕が最初にKojiさんと出会ったのは歌舞伎町のマザーというロックバーで、いつも潰れてる人がいるなって。それで話しかけてみたらハードコアとかが凄く好きでドラムをやっているという事だったので、「バンドやりたいのでやりませんか?」と誘ったんですよ。
 ヨナさんはマザーのバーテンダーで、聞いてみたらベースやっててパンクが好きで昔バンドやってたと言うから、無理矢理引っ張り込んで、最初は3人で幡ヶ谷のスタジオでCrassとかBad Brainsとか7 SecondsとかS.O.Dとかのカバーをやってました。

・その当時は完全にパンクバンドだったんですね。

Shimonaka:そうです。僕が好きなハードコアパンク、Kojiさんが好きなS.O.Dとかをカバーしてって感じでした。

Ueno:僕は元々はスラッシュメタルかな?

Shimonaka:それで毎週スタジオに入ってカバーをやっている内にオリジナルをやろうとなって、Holy & Blightというバンド名にしました。
 Holy & Blightと名付けたのは3人ともゴダイゴが好きだったので、ゴダイゴの曲名を拝借させて頂きました。それでオリジナルを始めました。
 僕は単純にハードコアパンクがやりたかったのですけど、KojiさんはHigh On FireとかSleepとか…

Ueno:その当時はスラッジとかストーナーを一番聴いてましたね。

Shimonaka:それでそういった音楽を教えてくれて、そういった音楽を取り入れようとなり、音源を録ってアースダムとかWALLに出演する様になりました。
 その頃に僕がたまたま高円寺に引っ越したタイミングがあり、高円寺のstudio DOMで「COSMO」というイベントがあったんです。それは色々なジャンルの訳の分からない音楽を一人でやったりバンドでやったりしている人たちばかりが出演して、二日間とか三日間とかひたすら4部屋のスタジオであらゆるアンダーグラウンドのミュージシャンが集まってライブをしまくるというフェスみたいな物でした。
 そこになんとなく自分も関わる様になって、DOMのオーナーさんから「ライブ出てみなよ?」と誘われたんですよ。そのコミュニティ自体には僕たちは全く属していなかったんですけど、そこにも自然と参加する様になって、そこで出会ったのがDarklawさんです。
 Darklawさんはその頃は「珍屋」という高円寺の北中通りのレコード屋のオーナーで、インダストリアルを一人でやっていたんです。それでDOMのオーナーさんが「Darklawというヤバいアーティストがいて、その人も出るからお前らも出ろ。」と言われて、面白そうだと思って「COSMO」に参加した時に何かの切欠で一緒にやろうとなったんです。

Darklaw:誘われただけだよ(笑)

全員:(爆笑)

Shimonaka:Holy & BlightはZOTHIQUEの原型みたいな所はあったんですけど、その当時は僕がサンプラーを使って色々な音をサンプリングした物を鳴らしながらやるってスタイルだったんですよ。
 ある日サンプラーが壊れて、代わりにDarklawさんにやって貰おうと思ったんです。それで「セッションやりましょう!」って誘って「COSMO」で半分セッションって感じでやった時に、何かがしっくり来て…その時にDarklawさんはACE TONEというオルガンを使っていてました。
 それでなし崩しな感じで音源を作ろうとなり、聞いてみたらDarklawさんはエンジニアでもあったという事で、そこも全部お願いして4人で音源を作りました。

・Holy & Blight時代からDarklawさんはメンバーだったと。
 
Shimonaka:でした。

Ueno:他にもジャンベのプレイヤーと一緒にやったりもあって、その当時から周くんはサンプラーに限らず何かを融合していこうというスタイルだったよね?

Shimonaka:そういう気持ちはありましたね。

Ueno:目的では無いにしても、自分のイメージしている感じでは単純に好きな音を加えるって感じだったのかなって。

Shimonaka:単純に自分には出来ない事をやってくれる人と一緒にやりたいってのはありましたね。

・バンド自体はHoly & Blightを母体にZOTHIQUEになった訳ですが、ZOTHIQUEへと変わった切欠は何だったのでしょうか?

Shimonaka:Coffinsの当時のメンバーだったRyoくん(現GUEVNNA)がドラムを叩いていた時期に一緒に対バンさせて頂いたりしていたこともあって、Coffinsが初めてのヨーロッパツアーに行く2011年にローディーとして来てほしいと誘って頂いたんです。丁度サラリーマンを辞めたタイミングだったのもあって二つ返事で同行させて頂く事になりました。
 その時はヨーロッパを2週間くらい回ったんですけど、「Roadburn Festival」というオランダで開催されているドゥームとかストーナーとかスラッジの祭典がありまして、その最終日にCoffinsが参加していたんですけど、そのツアー体験に触発されて、もっとヘビィな物をやってみたいなと思い始めました。
 で、日本に戻ってきた時にもっとヘビィでドゥーミーな音楽をやろうと決意し、バンドのコンセプト等を考え直して、その時に僕が昔から好きだったハワード・フィリップス・ラヴクラフトとかクラーク・アシュトン・スミスとかの自分のルーツになっているコズミックホラーな世界観をもう一回ひっくり返してみようとなり、それでHoly & Blightのメンバーに「バンド名を一回変えて、ヘビィな物をやりませんか?」とメンバーに打診して一度音源を録り直しました。
 その時に録った「The Circular Ruins」という曲をYoutubeにアップしたら、Agoraphobic Nosebleedのジェイ・ランドールがそれを見つけてくれて、「ネットでフリー音源をリリースしてみないか?」というオファーが来て、それでZOTHIQUEでもう一曲作って音源をリリースする事になり、そこからトントン拍子でZOTHIQUEという形が出来ました。
 その頃にヘビィで尚且つ何か気持ち悪く更にハードコアパンクが根っこにある、コンセプトありきの音楽を作っていこうというスタンスが自然と出来上がって、今に至っているという感じです。



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・ZOTHIQUEがこれまでリリースした作品はどれもコンセプチュアルなカラーが強いですよね。でも1stアルバムである「Alkaloid Superstar」はまだハードコア色が色濃い感じでしたね。

Shimonaka:ハードコアはやっぱり根っこにあるので拭い去れないですね。

・2ndアルバム「ZOTHIQUE」から今のZOTHIQUEのサウンドが固まった印象を受けます。

Shimonaka:1st以前のデジタルで音源をリリースした時からコンセプチュアルさはありましたが、そこから1stを制作した時は無理矢理スケジュールを組んで「取り敢えず作品を作りたい!!」って感じで物凄くタイトなスケジュールで録音したんですよね。
 その時はヨナさんも子供が生まれてバンドを離れていて、タケルっていう別のハードコアバンドをやっていたベーシストを引っ張り込んで何とか作った感じです。

・JAHさんの加入は1stリリース直後ですか?

Shimonaka:1stをリリースした直後に僕が単身で中国に半年程滞在しててブランクがありました。
 そこからまたライブをやろうとなった時に色々あってそのサポートベーシストが離れる事になって、でもライブは決まっていたからどうしようって時にJAH君に声をかけたらやってくれるって事になり、一回だけスタジオ入って本番でした(笑)。その時に全く予想してなかった音をJAH君が出してくれたんです。

・JAHさんが加入して方向性が固まったというか、かなりサイケデリックなサウンドになりましたよね。

Shimonaka:明らかにそうなりました。それが結実したのが2ndです。

・Darklawさんは元々インダストリアルの方ですし、JAHさんも元々はアンビエントのアーティストじゃないですか?それが今のZOTHIQUEの全員がコンポーザーってスタイルに繋がったと思います。

Shimonaka:それは狙ってそうなったというより、自然とそうなった感じです。一番最初は僕が全部曲を作ってましたが、1stもDarklawさんが作ったリフから生まれた曲もあります。
 3rdアルバム「Faith, Hope And Charity」のそれぞれが持ってきたアイデアを活かすっていうのは特に自然とそうなった感じです。

・3rdはJAHさんの作曲された「Venus」シリーズの2曲がZOTHIQUEの新たな可能性の生み出す切欠になったと思います。あの2曲はZOTHIQUEの中で何を表現しようと思って作られた感じですか?

JAH:最初に「金星」っていうテーマで曲を作ることになったから、金星の事を考えながら作りました(笑)。金星に行ける曲みたいな感じです(笑)。それとインストっていう指定も周くんからありましたね。

・3rdからインストの曲も取り入れる様になりましたよね。2ndの頃もそんな空気はありましたが。

Shimonaka:それはこういうのもやりたかったんだろうなっていう…自分一人では出来ないけど、自分と全然違うバックグラウンドの人がどう表現するのかっていうのを見てみたかったってのはありますね。
 そこに歌が無きゃいけないっていう縛りは必要ないのかなって。



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・3rdはUenoさんとDarklawさんも曲を作られてますが、個人的に意外だったのはDarklawさんが一番ヘビィで邪悪な曲を持ってきた事です。

Darklaw:それはZOTHIQUEなんで。元々はそうしたバックグラウンドがある上での結果ですよ。
 そもそもDarklaw名義での音楽はインダストリアルとは言ってはいますけど、僕の世代は色々な音楽が混じっている世代だと思うんですよ。だからインダストリアルがMinistryみたいにスラッシュ方向に行ったりとか、ハードコアがインダストリアルやり始めたりとか、それにジャンクロックとか色々あった世代なんで。
 自分が一番やりたい事は別の所でやれているから、逆にZOTHIQUEの中でやりたい事ってのは提示しやすいんですよ。

・だからDarklawさんは器用なアーティストだと思います。ZOTHIQUEというチャンネルもDarklawってチャンネルも存在してて。

Darklaw:まあ4バンドやってるんで。そこはやっぱりちゃんと切り分けないと。

Ueno:それをこなせてる時点で大分器用じゃないかなと。エンジニアもやってますし。

Darklaw:普段の生活が全く器用じゃないという(笑)。

全員:(爆笑)

Darklaw:私生活は全く器用じゃないけど(笑)

Ueno:疎かになっているという(笑)

Darklaw:そこをオチに(笑)

・Uenoさんの方はUenoさんの中のスラッシュが好きだったりみたいなルーツがあるじゃないですか?自分のルーツをどうZOTHIQUEに変換しているかとかありますか?

Ueno:僕の中にZOTHIQUEって概念は全く無くて、アルバムのコンセプトとかは全て周くんありきなんですよ。それに自分が持っている物を合わせて、いかに増幅出来るかってのを…無理矢理言うとそうですね。
 周くんとは音楽の趣味が合うってのもあるけど、ZOTHIQUEの概念は周くんの物ですし、それを僕が理解出来ているかも怪しいけど、そこはよく話しているから感覚的には分かるいう。どうしたら正解かなんて無いから、自分がやりたいことをやるってだけです。

・Shimonakaさんが思い描く世界観に、他のメンバー3人がそれぞれの色を加えて起こる変化についてはどう思いますか?

Shimonaka:それは自分の元々持っていた世界観以上の広がりと言うか、自分が想像もしていなかった世界が生まれるというか、新しい宇宙が生まれるって感覚が凄く面白いなって思います。
 自分だけの宇宙が、ZOTHIQUEの4人でやることで、自分だけじゃない宇宙が生まれるって事が滅茶苦茶面白いです!それはもうバンドマジックなのかもしれません。

・軸はShimonakaさんにありますけど、4人で作り上げた音っていうのが今のZOTHIQUEだと思います。

Shimonaka:今のZOTHIQUEの世界ってのは、自分が思っているZOTHIQUE以上にZOTHIQUEなんじゃないかなって。

・想像を超えた物を提示していると思います。

Shimonaka:もう金星どころか太陽系の外まで行ってしまって、どこまで行くか分からないけど、どこに行ってしまうかっていうのを考えるのが今は楽しいです。

・ある意味SF的な世界を。

Shimonaka:それは元々そうなんですけど、自分の想像の範囲を明らかに超えてしまったので、何だろう…自分が考えていたコンセプトが制御出来ない様な所にぶっ飛んでしまうという感じがあります。この4人で作品を作ったり、ライブをやったりツアーに行ったりしている中で。

・だからこそZOTHIQUEは良い意味でジャンルレスですよね。

Shimonaka:元からこういうジャンルでこうとかってのは考えてないので。

・人によってZOTHIQUEの何がフィットするかってのは全然違うと思います。ハードコアな部分だったり、ドゥーミーな部分だったり、ポストロック・アンビエントな要素かもしれなかったり、本当に人によって受け取り方も求める事も違うと思います。だからZOTHIQUEの音を受け取った人の抱く物はバラバラになると思うんですよ。
 さっきShimonakaさんも何処に行くのか分からないと仰ってましたが、聴き手は尚更良い意味で予想が出来ないと思います。僕はもう次のアルバムがどうなるか予想出来ないので(笑)。


Shimonaka:僕も分からないですね(笑)。

・それこそ純粋なロックの面白さじゃ無いかなと。

Shimonaka:それは本当に思います!ロックの面白さってそこだと思ってて、The DoorsもデビッドボウイもGrateful Deadもやっぱり次に何が出てくるか分からないとかが面白いと思うので。そこを狙うとか以前に面白い事をやりたいなって。

Ueno:ZOTHIQUEは周くんのコンセプトありきではあるけど、それってバンドサウンドでこういう音作りをしろっていう物じゃないじゃん?そこだよね。
 だから周くんがやっている事は、バンドメンバーがいてバンドやっている以上、周くんのコンセプトに合わせる為にコンダクトするというか、周くんはそれが上手いと思う。要はそういう人なり音なりを集めるというか。

Shimonaka:そこはよく分からないです(笑)

・多分Shimonakaさんは基礎的なコンセプト以外は何も狙ってないのかなって。Shimonakaさんのコンセプトってそれこそ精神的な物で、ルーツになっている小説だったりの世界観だと思うので。その精神的な部分を音で表現する時は何も狙ってないというか。

Ueno:そこの部分はバンドメンバーに任せているという。

Shimonaka:僕の中では映画を作っている感覚に近いんですよ。ビジュアルを担当する人がいたりとか、俳優の人がいて、舞台装置を作る人がいて、脚本家がいて、それをどう作品として成り立たせていくかっていう。ZOTHIQUEをやるってのは映画を作る感覚に近いのかなって。

Ueno:だから周くんはディレクトとかコンダクトとかマネージメントが上手いと思う。

Darklaw:周くんは多分そこら辺の実感は無いんじゃない(笑)。









・その映画的な部分が色濃く出たのが先日リリースされた「Limbo」(2015年12月のライブで無料配布、今後商品として流通予定。)だと思います。「Limbo」はどなたが作曲されましたか?

Shimonaka:原型は僕が作りました。

Darklaw:3,4年前に即興で曲を作るってなって、中野で僕と周くんで録音して、そこから何かを作りたいって感じだったかな?前半のアンビエントパートはその時に録音した物だね。

Shimonaka:元々の前半のピアノの音はDarklawさんと2人で録音して作りました。
 実は2ndに収録しようと思ってたんですけど、諸々あって収録出来なくて、当然3rdにも収録出来なくて、ずっと音だけ残ってたんです。
 それで3rdをリリースしてツアーが終わった後に、後半部分を作って一つの楽曲にしようと思い、それでタイトスケジュールの中でみんなでスタジオに入って後半部分を作りました。4年前から温めてた曲です。

・僕は宇宙的な意味でのZOTHIQUEを象徴する曲なのかなって。

Shimonaka:前半部分は4年前に作った物ですけど、後半部分はこの4人でしか出来ない物だと思ってます。4年前に出来た物と3rdを出してからのバンドのアンサンブルが違和感無く繋がったのも面白いなって。
 そもそもDarklawさんがエンジニアで、その技術が無かったら出来なかった物なんです。3rdもレコーディングもミックスもマスタリングもDarklawさんが全部手がけてますし、それも含めて作品だと僕は思ってます。1stも2ndもそうですし。

・レコーディングやパッケージングも含めて作品ですもんね。

Shimonaka:こうやってコンスタントに作品をリリースするってのもDarklawさんがいないと出来ませんし、もし別のエンジニアさんとかに頼んだらこんな感じではいかないなって。

Darklaw:周くんの良い所ってさっきも出たけどコンセプトが凄くしっかりしてるんで、そこに向かうだけで良いんですよ。
 それに加えてZOTHIQUEは凄くノイズ的なバンドなんですよ。最初に何かを作りたいって言って作らないから、結果こうなったらこれで良いじゃないかと。
 その後にライブで同じ曲を演奏するにしても、アレンジがどんどん変わっていくので、やっている事が凄く即興的なんですよ。人生その物も即興的なんですけど(笑)。

全員:(笑)

Darklaw:それに近い物が俺は好きなんですよね。最初から完成度の高い物を作るっていうより、ロックの鋭さってそうした部分も全部出し切る方が格好良いかなって。
 だからDarklawでの音楽もインダストリアルとは言ってますけど、実はロックだと自負してます。インダストリアルとかノイズってそこを一番抽出した部分だと俺は思ってるので。音じゃ無いんです。そういった意味ではZOTHIQUEは凄くノイズバンドだと思います。

・精神的ノイズバンドとして。

Darklaw:即興が利くバンドってそう中々いないじゃないですか?

・だからこそZOTHIQUEを聴いた人の受け取り方が全然違うんだなって。単純に面白いです。

Darklaw:音よりもキャラクター的な部分を見てもらった方が面白いのかもしれません。ロックってそんな物じゃないですか?

・ですね!ZOTHIQUEってロマンなんだなって!Darklawさんの捉え方はノイズとありましたが、僕は単純なロマンだと捉えてます。 そのロマンが何処に行くかが分からないという。それが宇宙かもしれないし、地底かもしれないという。地底もロマンなんですよね。マントルヤバい!!みたいな。

Darklaw:マントルは鉄分が凄いですからね。面白い話があるんですけど、マントルって元々鉄分じゃ無いですか?地底に行くほど鉄分も多いみたいで。宇宙はどこに向かうってなると、こないだどこかの記事にあったんですけど「実は鉄に向かっているんじゃないか?」ってありまして、全部鉄になるってのがあるらしく、あらゆる原子が鉄に戻っていくらしいです。
 だから上見ても下見ても「鉄か!!」ってロマンがあるんです。

Ueno:メタル!!

Darklaw:メタルに回帰だ!

全員:(爆笑)

・それでは最後に今後の事ですが、これまで毎年コンスタントにアルバムをリリースしてましたが、今後もハイペースに創作活動を続ける感じでしょうか?

Shimonaka:いや~今年はまだ分からないですね(笑)。でもアイデアは今この瞬間から生まれているので今年もアルバムを出しますよ!

・でも制限の無いバンドじゃないですか?

Ueno:昨日無かった制限が明日あったりもあるので(笑)。

Shimonaka:気分屋なんで(笑)。

・ライブも積極的ですよね。

Shimonaka:ライブは去年も一杯やりましたし、今年も色々お話を頂いて決まってきてます。何よりも面白い事をやっていきたいので、それだけです。



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【ZOTHIQUEライブ予定】

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2/6 (SAT) 国分寺モルガーナ
With/ BIRUSHANAH (大阪), Airtonic 
Open18:30 Start 19:00  ¥2000+1D




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2/7 (SUN) 東高円寺二万電圧
With/ OOZEPUS, Sithter, Su19b, マグダラ呪念, ダンウィッチの犬
Open.17:00 Start.17:30  Adv.2,000yen Door.2,300yen (+1d 500yen)




2/21 (SUN) 西荻窪FLAT  
With/ Pinplick Punishment




【オフィシャルサイト】http://zothiquejp.blogspot.jp/
【Facebook】https://www.facebook.com/zothiquejp/
【Twitter】https://twitter.com/zothique_doom
【bandcamp】http://zothique.bandcamp.com/music



photographer : 杨有情
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■Limbo/ZOTHIQUE

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 地底から金星までを行き来する這い寄りながらも彼方へと飛び立つ東京のサイケデリックドゥームカルテットZOTHIQUEの最新音源は1曲20分のバンド史上最大の超大作となった。
 今作は年明けの2016年から商品として流通する物だが、2015年12月初頭の東名阪ツアー限定で無料配布され、僕はアースダム公演の方で今作を入手させて頂いたので一足先に紹介の方を書かせて頂きます。



 ZOTHIQUEは2013年の1stリリースから毎年アルバムのリリースを重ね、異常な創作意欲を感じさせるバンドだ。2015年にリリースされた3rdアルバムである「Faith, Hope And Charity」で既存のドゥームを逸脱してしまった。
 そしてそれから半年弱というスパンで届けられた今作は「「Faith, Hope And Charity」」のJAH氏作曲の「Venus」二部作の流れをより突き詰めたインスト曲。最早ドゥーム要素は消え去ってしまっている。
 20分に及ぶ大作ながら前半10分はアンビエントパートという構成。フロントマンの下中氏はそこでピアノもプレイしている。
 延々と持続音のくぐもったノイズとピアノのみで10分近くに渡って繰り広げられるアンビエントさはこれまでのZOTHIQUEのアプローチには無かった物だと言える。
 そんな前半とは対照的にバンドサウンドになってからの後半は「Faith, Hope And Charity」で金星まで到達したZOTHIQUEがその先へと飛び立って行く瞬間を音にしている。ドゥーム要素は正直に言うとほぼ皆無だと言えるが、煌くキーボードの音に導かれながら、力強くビートがエンジンを鳴らし、ギターが美しく光り輝くメロディを奏でる。そこにはダークさといった要素は全く無く、ポジティブな前進の瞬間を見た。しかしキーボードとギターの音色が溶け合って輪郭を無くし、最後の最後でブラックホールでも飲み込めない新たなるコスモとなり新たなる秩序を生み出す。



 たった1曲ではあるが、これまで以上にコンセプチュアルアートな1曲となっている。Limboとは「カトリック教会において「原罪のうちに(すなわち洗礼の恵みを受けないまま)死んだが、永遠の地獄に定められてはいない人間が、死後に行き着く」と伝統的に考えられてきた場所」との意味であり、地獄でも天国でも無い場所の事を指すみたいなのだが、その分かりやすい天でも地底でも無い場所を今作では言葉を借りずに音のみで描いているのだろう。しかしそんな辺境地が実在の宇宙よりも宇宙的であり、地獄よりも深く、天国よりも上にある場所だと思わされてしまう辺り、流石はZOTHIQUEだ。

■Tangled/Nadja

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 関連音源とかコラボ音源まで含めるともうどれだけリリースしているかちゃんと把握している人はいるのか疑わしくなってしまうレベルで膨大な作品を世に送り出しているカナダのエクスペリメンタル夫婦ことnadja。そのNadjaがTokyo Jupiter Recordsから日本盤リリースのニュースを聞いて驚いた人は多かったんじゃないだろうか。今作はNadjaが2014年に7インチでリリースしたEPの日本盤としてTJRからCDのフォーマットでリリースされた作品であり、同時にNadja史上最もキャッチーかもしれない一枚だ。



 Nadjaと言えば他の追随を許さない真の唯一無二の轟音を奏でるユニットであると同時に、その楽曲は殆どが長尺曲ばかりであるし、聴いていると脳が溶ける感覚すら覚える至高のエクスペリメンタルサウンドを鳴らしていた。しかし今作は「Grindgaze=グラインドゲイズ」と称され、Nadjaのサウンドの視点からインダストリアル・グラインドコア・ブラックメタルを解釈した作品になっている。Nadjaとしては驚きのボーナストラック以外の楽曲がどれも2分前後という驚きの短さの曲ばかり並ぶ。それが結果としてNadjaの轟音サウンドの最も分かりやすくてキャッチーで気持ち良い部分を抽出したみたいな音になっている。
 勿論Nadjaの解釈によるグラインド・インダストリアル・ブラックメタルと聞いて既存の解釈をするなんて誰も思わないだろう。ビートこそ機械的なインダストリアルのビートだけど、サウンドに分かりやすいブラック要素もグラインド要素も全く無い。無機質でノイジーなギターの轟音が容赦無く降り注ぎ、これまでのNadjaの様な天へと上る轟音とは違って、奈落へと沈み込むかの様なサウンド。しかも音の輪郭もかなり歪んでいるし、これまでよりも異常なまでにショートな楽曲であるからこそ、余計に際立つドス黒さを感じるディストーションサウンド。しかしそれすら奈落の暗黒サウンドと感じさせないのがNadjaの凄い所だと思う。不気味な轟音はあくまでもこれまでのNadjaをフィルターとして通過させた物だし、今作を例えるなら全6曲13分弱の混沌と言うべきだろうか。光と闇が衝突する瞬間だけを切り取ったサウンドは無機質で残酷であるのに、やはり神々しさを感じてしまう物になっているし、約13分の本編が終わった瞬間に何故今作がGrindgazeと称されたか理解するだろう。
 そしてTJR盤では最終曲「The Smell Of Bastards」に続く形で2007年にリリースしたアルバム「Radiance of Shadows」に収録されている「I Have Tasted the Fire Inside Your Mouth」のデモVerが収録。デモとは全然思えない完成度は流石はNadjaとも言うべきだけど、今作の本編とは全然違う、25分以上にも及ぶ神々しくも激重のドローンサウンドの地獄から美しき天国へと導くNadjaの世界を十分に堪能出来る物になっている。



 Nadjaに関して言えば余りにもリリースが膨大過ぎて正直追いきれてないのだけど、今作で久々にNadjaに触れたらこれまでと全然違う芸風に驚いたし、同時にユニットとしての実験作が結果として凄くキャッチーで分かりやすい作品になったのも何だかNdjaらしくて面白い。勿論既存の音のトレースなんて今作ではやってないし、終わりなき実験精神と轟音の追求の一つの成果として提示された今作はやはりNadjaにしか生み出せない音だ。勿論今作はTokyo Jupiter Recordsnにて購入可能だ。



■NOISE/BORIS


NOISE (ALBUM+SINGLE)NOISE (ALBUM+SINGLE)
(2014/06/18)
BORIS

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 遂に出た。「NOISE」である。ヘビィロックを基点に全ての音を縦断する変幻自在であり孤高であり最果てのバンドであるBorisの2014年リリースの最新作。ヘビィロックサイドの大文字名義では実に6年振りのリリースである。昨年は小文字名義のborisでのリリースや昨年から今年頭にかけての精力的な日本でのライブ、勿論世界レベルで評価されるバンドとしてのワールドワイドな活動と本当に止らないバンドだけど、遂に決定打と言える作品をリリースしてしまった。リリースは国内盤CDはエイベックス、アナログ盤はDaymareからで、エイベックス盤にはボーナスディスク付。



 Borisはこれまでの多数の作品をリリースし、その形骸を嘲笑う自由過ぎる変化と進化の軌跡を進んできたけど、今作NOISEはBORIS名義の作品でありながら、ヘビィロックサイドに留まらずboris名義での要素を持つ楽曲も普通に存在するどころか、これまでのBorisを総括する作品であり、しかしただ総括するんじゃなくて、散らばりまくった点を一つにせずにそのまま「NOISE」という箱にブチ撒け、そしてそれを最新の形で進化させたのだ。2011年にリリースされた3枚のアルバムは本当に大きな驚きに満ちていたし、特にJ-POPからエクストリームミュージックを奏でた「New Album」のインパクトは相当だったけど、「New Album」同様に成田忍氏がプロデュースした今作は「New Album」が一つの実験であるなら、今作はこれまでリリースした膨大なる作品が持つそれぞれの実験の結果の再検証であり、同時に発表であり、実験を踏まえた上での実践であり、そしてそれらを散らばったままヘビィロックとして鳴らし、結果として非常にBorisらしい総決算的な作品に仕上げたと思う。本当にこのバンドの触れ幅の大きさやアイデアの多彩さは驚くしかない。
 今作はこれまでのBorisをほぼ網羅した作品であり、収録されている8曲が見せる音は完全にバラバラだ。しかしどこを切っても存在するのはBorisにしか生み出せなかった音だし、それぞれの楽曲がこれまでの作品の焼き直しや再利用では無く、これまでの作品を完全に通過させる事によって全く別の次元へと到達させた作品だ。言ってしまえば「flood」も「PINK」も「New Album」も「feedbacker」も「Heavy Rocks」も今作にはあるし、同時にその過去の作品は存在すらしていないのかもしれない。全曲が必然的にそれらの作品の新たなる息吹であり、長い実験とリリースとライブを重ねて生み出した終着点であり、そして次の出発点なのだから。そう考えると今作は「NOISE」というタイトル以外を受け付けない作品だと思うし、あらゆる音の混迷と、ヘビィロックが放つ幾多の音の色が混ざり合った得体の知れない「何か」。そうかそれがBorisが生み出すノイズなのか。
 先ずそのタイトルに驚かされる第1曲「黒猫メロディ」は「New Album」で見せたポップネスが生み出すエクストリームミュージックの最果てであり、冒頭のV系ライクなギターフレーズなんかモロ過ぎて最高だけど、「New Album」と明らかに違うのは、サウンドプロダクトを小奇麗に纏めていない事だ。「New Album」に収録されているポップネスの極限を生み出した「フレア」と違うのは、曲自体は「フレア」同様にBoris流のポップスやらギターロックへの回答であるのだけど、音質はハイファイな音じゃなくて、確かな歪みを感じさせるし、ヘビィなリフが音の粒子を拡大させ、轟音として轟いているし、中盤のギターソロは最高にストーナーでサイケデリックだ。ポップさとヘビィさとサイケデリックの融合であると同時に、それらの音楽が持つ高揚感の極限のみを追求した音は最高に気持ち良いんだけど、歪んだサウンドが聴き手の耳に残り続け、中毒成分として残り続ける。一方で第2曲「Vanilla」は02年にリリースされた方の「Heavy Rocks」に収録されている楽曲を彷彿とさせるギターリフから始まりながらも、ポップで煌きに満ちた音像であるし、曲自体はこれまでのストーナー色の強く爆音でブギーするBORISとしてのヘビィロックの王道の楽曲であるけど、同時にこれまでに無くポップな高揚感がサイケデリックで宇宙的なサウンドで鳴らされているから、全然印象が違う。ポップネスからヘビィロックへ、ヘビィロックからポップネスへ。冒頭の2曲は起点が全然違うけど、その起点同士はすんなりと線として繋がるし、もっと言ってしまえば凄くシンプルに最高に格好良いヘビィロックでしか無いのだ。
 ヘビィロックサイドの音から一転して第3曲「あの人たち」はアンビエントとサイケデリックな音像による揺らぎの音像。くぐもった音像でありながら、一つ一つの音の音圧は最初から凄まじく、これまでにリリースした「flood」や「feedbacker」の系譜の楽曲だけど、冗長さを完全に削ぎ落とし、同時にアンビエントな轟音でありながら、非常に歌物な曲に仕上がっていて、ここ最近の作品でもあったborisとBORISの融合と言える楽曲でありながら、ドゥーミーな轟音とアンビエントの融合であると同時に、それを普遍的な歌物の感触すら感じさせるのはBorisの大きな成果だと思う。wataがメインボーカルの第4曲「雨」は更に極端に音数を減らしながらも、更に揺らぎ歪んだ轟音の壁すら目に浮かび、それをあくまでも6分と言う枠組の中で、アンビエント方向に振り切らずに、焦らし無しの轟音と歌が生み出す、美しいメロディが飛び交うパワーアンビエントの一つの到達系だと思う。第5曲「太陽のバカ」はまた一転してロッキングオンライクなポップな曲だけど、ギターの音作りがもっとヘビィだったり、もっと奥行きのある感触がやたら耳に残る。SUPERCAR辺りがやっててもおかしく無い位に普遍性に満ちた曲なのに、それすらもborisというフィルターを通過させると独自の捻れが生れるのは本当に面白い。
 そして決定打とも言えるのはこれまでライブでも演奏していた第6曲「Angel」だろう。20分近くにも及ぶこの曲は、ここ最近のBoris名義での大作志向の壮大な音像が生み出すサイケデリアの究極系であり、同時に痛々しく胸を抉る最強のエレジーだ。物悲しく、荒涼としていて、痛々しいwataのアルペジオの反復が終わり無く続き、ビートも極端に音数を減らし、本当に隙間だらけの音な筈なのに、その隙間を感じさせない。そこに歪みまくったギターが薄っすら入り、そこから轟音のヘビィアンビエントになり、青紫の轟音の中で、ただ哀しみを歌うTakeshiのボーカルが本当に胸を打つ。ストーナーやドゥームといった要素を強く感じる音作りなのに、深淵の深遠へと聴き手を導く、内側にも外側にも放射される悲しきヘビィネス。特に曲の後半は本当に神々しくて泣けてしまうよ。
 そんな空気をまたしてもブチ壊すのが第7曲の「Quicksilver」で、これは完全にBorisの最強のアンセムであり、同時に「Pink」に収録されている「俺を捨てたところ」の更に先を行く最強の進化系だ。ドラムのカウントから、せわしなく刻まれるギターリフと性急なDビート、本当に久々にシャウトをガンガン使いながらも、ここ最近のアニソン・V系ライクなBorisを感じさせるメロディ、Borisがずっと持っていたヘビィロックとアニソン的メロディセンスの融合という点を、再構築して生れたのがこの「Quicksilver」だし、彼等がここまでストレートにアンセムを作り上げた意味は本当に大きい。「Quicksilver」は間違いなくここ5年程のBorisを最高の形で総括した名曲だ。とおもったらラスト数分は極悪すぎるドゥームリフによる暗黒ドローンをアウトロにしているし、その落差が自然になってしまうのもBorisなんだと改めて実感した。最終曲「シエスタ」の約3分のアンビエントの静謐な美しさで終わるのも、やっぱりBorisらいいと思う。
 そしてエイベックス盤のボーナスディスクは、今回「NOISE」という枠組みから外されてはいるけど、また別の視点のBorisを味わえる内容で、Borisが提供したタイアップ曲中心に収録されている。Borisらしいパワーアンビエントさと、繊細で静謐な美しさが光り、地獄の様な歪んだ音像と対比を織り成すインスト曲「Bit」、「New Album」の「フレア」の路線を更にポップに突き詰めて、完全にBoris流のヘビィロックJ-POPと化した青き疾走「君の行方」、ストーナーロックと90年代V系が衝突してしまっているのに、そこをポップさで落としつけた、こちらもポップなBorisの進化系「有視界Revue」、昨年リリースされた「目をそらした瞬間」の再発CD-BOXの新録音源として収録されていた「ディスチャージ」の新verと、この4曲もそれぞれの楽曲が「NOISE」という作品を補足しつつも、強烈なインパクトを持つキラーチューンばかりだ。



 これまでその全貌を決して明確にはしないで、常に聴き手を嘲笑ってばかりいたBorisがここまで素直にこれまでの自らを見直す作品を作るとは思っていなかったし、これまでの膨大な作品を完全に一枚のアルバムに落とし込んだ。でもそれによってBorisの姿がやっと掴めるかと言ったら、それは完全に大間違いで、今作の音は進化系でありながら、脱ぎ捨てた蛹な気もするし、常に人を置き去りにしかしないBorisならではの置き土産なのかもしれない。今後、このバンドがどうなるかは結局想像なんて出来ないし、そんなの本人達ももしかしたら知らない事かもしれないけど、総括する、一つの点にするのではなく、散らばらせたまま、それをそのまま新たな枠に取り込み、それぞれの楽曲が反発しながら新たな調和を生み出す。その不自然さと自然さこそがもしかしたらBorisが提唱した「NOISE」なのかもしれないし、そんな歪みすら超えて、ただ単純に最高のヘビィロックアルバムだと思う。俺はこれを待っていたんだ!!



■Rebirths/thisquietarmy

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 2014年のTokyo Jupiterのリリース第2段はカナダはモントリオールのギタリストEric QuachによるソロプロジェクトであるthisquietarmyのコレクションCD。thisquietarmyは活動を開始してから精力的なライブ活動と、数多くの音源のリリースを行って来たが、今作はこれまで世に送り出した楽曲の中から厳選した4曲を再レコーディングして収録した作品であり、それだけじゃなく今作にのみ収録された未発表曲をボーナストラックに加えた全5曲。



 僕自身は今作で初めてthisquietarmyの音に触れたのだけど、これは見事に美轟音レーベルであるTokyo Jupiterらしいアーティストだと思う。音自体数多くのエフェクターを使用したギターと電子音によって構築され、時にリズムマシーンの音も入るという物であり、全曲が長尺の楽曲になっている。こういった類のアンビエント系の音は物によっては非常に退屈だったりもするんだけど、この人の音は大きく展開する訳でも無いし、基本的には音の反復と持続音で構成されているのにそれが無い。第1曲「Aphorismes MMXIV」が本当にそうなんだけど、持続する電子音が妙な心地よさを生み出しつつ、リズムマシーンの音が入るとじわじわと轟音成分が見え始め、そしてギターの轟音がシューゲイジングを加速させ、徐々に熱を帯びながら美轟音の洪水へと変貌していく。良い意味でのあざとさを感じさせながらも、静謐さからドラマティックな轟音のストーリーへと展開するサウンドは、この手の音が好きな人ならドンピシャだし、アンビエント・ドローンを退屈な物にするのでは無くて、美しくドラマティックな物にしているのがこの人の凄い所だと思う。
 第2曲「The Pacific Theater MMXIV」は一転してのっけから重苦しく歪んだギターのサウンドから始まり、荘厳であり重みのあるサウンドスケープを体現、Year Of No Lightとスプリットをリリースしたのも納得だし、ここ最近のYear Of No LightやMONO辺りと共振する轟音のストーリーは非常に重厚であり、ドラマティックなのだ。個人的には第3曲「Revival MMXIV」が特に気に入っており、今作で最もサウンドの荒々しさを感じるだけじゃなくて、リズムマシーンのリズムの作り方や轟音と共に鳴るギターのアルペジオのフレーズなんか非常にポストメタル的である。燃え上がりそうで燃え上がらずに焦らしに焦らす曲展開なんかも好きだ。第4曲「The Black Sea MMXIV」は完全一転して幽玄なアンビエントのアプローチをしているけど中盤から入る重みのあるギターの轟音がシリアスな緊張感を増幅させ、一つの悲哀の物語を13分に渡って繰り広げる名曲。そして未発表曲である第5曲「Stealth Drone」は完全にドローンな1曲で、不気味に蠢く持続音の霧の中で今作を締めくくる。



 芸術性や世界観やストーリー性の構築美を感じさせるサウンドスケープとギターの轟音の幽玄さによるサウンドは、単なる自己満足なアンビエントとは違って、しっかり聴き手を意識して作られていると勝手に思っていたりするし、そういった類の音が苦手な人でも敷居が低く楽しめるし、勿論アンビエント好きや轟音フリークスや、ここ最近のYear of No Light好きやポストメタル・ポストロック好きにも幅広く勧めたい作品である。寝転がって何も考えず、その音に身を委ねると幻惑の世界に飲み込まれる作品。勿論今作はTokyo Jupiter recordsにて購入可能だ。



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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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