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■Owsla/Fall Of Efrafa

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 最早言うまでも無くネオクラスト最重要バンドの一つであり、ポストメタル化したネオクラストの代表格であるFall Of Efrafaの06年リリースの1stアルバム。リチャード・アダムスの小説である「WATERSHIP DOWN」を独自解釈した三部作の第一作目であり、第二作「Elil」、第三作「Inle」を遺しバンドは活動を終了している。またボーカルのAlex君は現在はLight Bearerを結成し、ネオクラスト派生型ポストメタルバンドとして本当に多くの賛辞を集めている事は多くの人がご存知だと思う。



 さて肝心の作品の方だけど、一気に大作志向になりポストメタルに急接近した第二作「Elil」とは違い、今作ではHis Hero Is GoneやTragedyの影響を大きく感じさせるネオクラストサウンドを展開している。しかしそれでもAlex君の美意識はこの頃から既に存在しており、多くのネオクラストバンドとは既に一線を画しているとも言えるだろう。ストリングスの調べとナレーションの第1曲の1分程のイントロから幕を開け、第2曲「Pity The Weak」へと繋がるが、冒頭から美麗のアルペジオとストリングスから始まり、既に芸術的美意識を感じさせてくるが、それを切り裂くかの様に破壊的ビートで暴走するネオクラストサウンドが展開!!Alex君のボーカルも獰猛に吼えまくっていて格好良いし、Tragedy直系でありながらも、その馬力には悶絶するしかない。しかし後半は一転してダウンテンポのパートが入り込み、そこら芸術的な悲哀や痛々しさを高次元で表現してくるし、そこら辺なんかはEnvyやNeurosis辺りのバンドの流れがある様にも見えるし、1stである今作から既にその先の壮絶なる世界へと繋がっている事を実感。第3曲「A Soul To Bare」は濁流のリフと泣きに泣きまくったリードギターの対比がお見事だし、ビートを落としたパートのスラッジな破壊力も見事だし、後半になるとあくまでもネオクラストなサウンドでありながら、その奥底にある美旋律も姿を見せ始め、エモーショナルな展開を見せるし、その叙情性と破壊的な音の対比が見事なのである。
 しかし本番はインタールードな小品である第4曲「Lament」を挟んでからの後半の2曲だ。第5曲「Last But Not Least」は一転して10分にも及ぶ長尺曲で、一転して不穏なアルペジオの反復から始まり、大胆にストリングスも取り入れ、完全にスラッジメタルと化したサウンドの濁流が押し寄せる。不穏で静謐な美麗のパートと、おぞましく膨張するスラッジパートの対比はその先の作品にも間違いなく繋がっているし、それらの作品の楽曲に比べると荒々しさこそ目立つが、それが逆に覚醒前夜を彷彿とさせるし、猛り狂う濁流の激重サウンドから確かな芸術性は感じるし、そのストーリー性は今作の頃から既に完成していたのかもしれない。そしてハイライトはバンド名を冠した15分にも及ぶ最終曲「The Fall Of Efrafa」だろう。美麗の旋律とストリングスの調べが美しい調和と秩序を生み出し、ダウンテンポのビートと共に上昇し、そしてその壮大さを引き継ぎながらドラマティックなネオクラストパートへ!!あくまでもHHIGやTragedyの流れを受け継いだネオクラストサウンドなのに、既に他のそれらのバンドのフォロワーとは別の次元にいるし、楽曲も中盤になると、ストリングスとまた美しく絡み、あくまでもクラストなサウンドの余韻を残したまま、それを別次元のサウンドへと変貌させた熾烈なるネオクラスト×ポストメタルの正面衝突へ!!最後にはけたたましい轟音と共に今作を総括し、そして第二作「Elil」へと繋がっていく。



 まだ覚醒前のサウンドだったのかもしれないけど、その後のFall Of Efrafaの作品や、それこそ現在のLight Bearerとも間違いなく繋がっている作品だし、まだストレートなネオクラストサウンドを展開していた今作の時点でFall Of Efrafaというバンドが選ばれたバンドであるという事は納得するしか無いだろう。ストリングスも既に導入し、熱くドラマティックに展開される熾烈なるネオクラストは既に別次元にあったし、Fall Of Efrafa~Light Bearerへと連なる壮大なるネオクラストの先を行く音像の始まりであり、そしてその始まりから既にクライマックスへと突入していたのである。ネオクラスト云々を超えて、その世界観を徹底的に描くその音は多くの人々の支持を集めるのも必然であるのだ。



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■Silver Tongue/Light Bearer


Silver TongueSilver Tongue
(2013/06/29)
Light Bearer

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 元Fall Of EfrafaのAlex率いる芸術的ポストメタル集団であるLight Bearer。その脅威の1stアルバムの衝撃から2年の歳月を経て届けられた2013年リリースの2ndアルバム。その1stアルバムにてISIS以降のポストメタルを担う屈指の大傑作を生み出し、昨年リリースされたNorthlessとのスプリットでもその圧巻のスケールで描く世界で聴き手を圧倒したが、今作は更に神々しさを増した作品であり、勿論前作に匹敵する傑作だ。またゲストボーカルでイタリアのポストブラックバンドであるGottesmorderのMicheleが参加している。



 今作も前作に引き続いて堕天使ルシファーの物語らしいのだけど、その物語の壮大さを物語るように今作はインタールード的な1曲を除き、全曲10分越えで、作品の収録時間は80分近くと、前作以上のスケールだと言える。そして前作ではNeurosisからの流れを感じさせる音に、より神々しいスケールを加え、ヘビィネスと幽玄なる音色が織り成す神々の世界を描く作品であったが、今作では前作に比べるとスラッジな熾烈さという部分は少し弱まっているが、それでもスラッジな重心のあるアンサンブルは健在だし、より芸術的美意識の方にベクトルが向いたからこそ、重苦しさの先から光を描き、また前作から確かな線で繋がるストーリーを生み出したのだ。
 実に5分にも及ぶストリングスとホーンの調べが壮大なる物語のオープニングアクトを務め、バンドサウンドが入った瞬間にLight Bearerの芸術的ポストメタルが咲き誇る第1曲「Beautiful Is This Burden」。スラッジなリフで攻めながらも、そのリフからは確かに美しさを感じるし、複雑に展開する楽曲の中でストリングスやホーンがバンドサウンドに新たな色彩を加え、バンドサウンドもミドルテンポの重いビートで進行しながらも、スラッジなリフと見事に対比を描くアルペジオやトレモロのフレーズは極限まで研ぎ澄ました美しさの結晶であるし、ポストメタルをオーケストラの領域まで持って行きながら、その繊細で壮大なアンサンブルの核になっているのは少しずつ昇っていく神々しさと、本当に屈強で力強いアンサンブル、そんな音に乗せられるAlexの力強い叫び、もうこの1曲だけで今作が前作同様に全てを圧倒する芸術性と美意識によって生み出された傑作だと確信できるし、終盤の轟音とスラッジさがぶつかり合うサウンドスケープとか1曲目からもうクライマックス過ぎる。
 続く第2曲「Amalgam」ではスラッジな熾烈さが際立つ1曲になっているけど、ダークなリフとサウンドが無慈悲な更新を繰り出しながらも、それでもブレない気高さが凄いし、先程の第1曲と見事な対比を作品の中で描く、ツインギターの刻みのリフの応酬の奥底にあるストリングスの仕事っぷりも見逃せないし、天から突き落とされる様を描いてる様だと僕は感じた。その奈落へ突き落とされた先に待ち構える第3曲「Matriarch」では荒涼とした情景から始まり、ダウナーなサウンドから徐々にストリングスの光が微かに差し込み、荒涼とした世界に差し込むノスタルジックな感覚、その痛みを壮大なるドラマに変えて、ストリングスと共に高まる熱量と差し込む光、ダークなビートが気づいたら力強いマーチへと変わり、闇からの確かな救いを描く。本当に作品の中で明確なストーリーが存在しているけど、本当に闇から光への情景を見事の高次元で生み出し、熾烈さを光を掴む力強い手として表現しているのだ。
 後半の2曲も屈指の出来でアンビエントな音と読経的ボーカルによる小品である第4曲「Clarus」を挟み、繰り出される第5曲「Aggressor & Usurper」なんてのっけから咆哮とスラッジリフで始まっているにも関わらず、そのヘビィネスからは確かなポジティブさすら見えてくるし、合間合間の静謐なパートと対比を描きながらも、力強さから生まれる美しさと粗暴さの対比が本当に凄いし、その熾烈さからも感じさせる美意識が圧倒的。そして約20分近くにも及ぶ最終曲「Silver Tongue」では先程の熾烈なスラッジ煉獄からの救いの様なポップさすら感じさせるのノスタルジックで優しいフレーズが柔らかく聴き手を包むオープニング、それがその温もりをそのままに重厚なリフとアンサンブルの応酬となり、20分近くにも及ぶ重厚なアンサンブルと静謐な情景とサウンドが展開され、そして全ての意識を天へと運ばれるエンディングを迎えるのだ。また最後の最後の悪魔の断末魔を彷彿とさせるストリングスとボーカルが30秒程入り、四部作となるLight Bearerによる堕天使ルシファーの物語である第三部を予告している様でもある。



 今作は前作に比べたら確かに熾烈さという点では少し劣るかもしれないけど、それでも芸術性と壮大さとスケールは前作以上に仕上がっているし、80分近くにも及ぶ壮大な物語は正座して向き合うと確かに体力は使うけど、その音に向き合った後には確かに意識がネクストレベルへと到達しているし、その音によって描かれる物語はアートであり、神話であり、壮絶なる世界だ。前作同様に屈指の傑作だし、Light Bearerというバンドは本当にとんでもない領域に存在している。



■Everyday I Get Closer To The Light From Which I Came/Jesu


EVERYDAY I GET CLOSER TO THE LIGHT FROM WHICH I CAME (エヴリディ・アイ・ゲット・クローサー・トゥ・ザ・ライト・フロム・ホウィッチ・アイ・ケイム: +bonus disc)EVERYDAY I GET CLOSER TO THE LIGHT FROM WHICH I CAME (エヴリディ・アイ・ゲット・クローサー・トゥ・ザ・ライト・フロム・ホウィッチ・アイ・ケイム: +bonus disc)
(2013/09/25)
JESU (イェスー)

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 昨年はGodfleshにて来日を果たし、もう本当に多岐に渡りすぎる位に数多くのユニットで作品をリリースし続ける鬼才ジャスティンのメインプロジェクトであるJesuの約2年振りの新作であるが、もう安定のJesu印のサウンドが展開されているし、それだけじゃ無く、Jesu史上最も優しく体温を感じさせる音の数々、本当に至福の瞬間に溢れた作品であり、ヘビィネスとシューゲイズするサウンドの融合だとか云々を超えた、至福で至高の傑作だ。



 今作はJesuの中では実験的要素はかなり薄く、惜しみなくJesu印のヘビィさも轟音も越えた、優しく甘い旋律が全てを包み込む幽玄なる世界が展開された作品であり、第1曲「Homesick」のヘビィネスから緩やかに広がる白銀のリフと、オーガニックなフレーズが確かな化学反応を起こした瞬間に、全身を包み込む優しい郷愁の音、もうこれ以上に無い位にJesuでありながら、これまで以上に楽曲の完成度も高くなったと個人的には思う。数多くの多岐に渡る音を生み出し、このJesuでも多くの実験作を生み出したりもしていたけど、ここに来て本当に正統派に甘くノスタルジックな天へと昇る作品を作り上げた喜びを本当に感じる。第2曲「Comforter」もノスタルジーを感じさせる音色でオーガニックなフレーズを反復させ、厚みを持ちながらも、白銀のホワイトサウンドとして視界を包み込むリフ、時にヘビィなリフの応酬のパートがありながらも、そんなパートでも感じさせるのは熾烈さではなく神々しさだし、その音は変わらずに美しい。
 第3曲「Everyday I Get Closer To The Light From Which I Came」はもう安定と信頼のJesuが更に際立っている。メランコリックさが輝くフレーズと、ジャスティンの相変わらずヘタウマな魅力を持つクリーントーンのボーカル、静謐かつ厳かなサウンドプロダクト、確かな余韻を感じさせるアウトロと本当にジャスティンの美意識と、柔らかな熱量を感じさせてくれる。そして17分にも及ぶ第4曲「The Great Leveller」はもうジャスティンの美意識が最高レベルに炸裂した今作のハイライトだ。ストリングスとピアノが織り成すハーモニーの美しさ、徐々に熱量を高める楽園の音色、それを打ち破る様に繰り出されるスラッジなギターリフの応酬に驚くけど、雷鳴と嵐のサウンドの先に広がるのは更なる楽園であり、今作で唯一熾烈さも感じさせながら、その先にある楽園へと導き、ドラマティックに創生の物語を描くスケール感は圧倒的だ。そして最終曲「Grey Is The Colour」にて煌きのサウンドが揺らぎと安らぎと神々しさを聴き手に感じさせて幕を閉じる。



 これまで以上に真っ当なまでにJesu印のサウンドを展開している作品だから実験性とかそうゆう目新しさはあまりないけど、揺らぎと安らぎと至福さに満ちたサウンドスケープは過去最高の水準に達していると思う。重厚なヘビィネスから生み出される神々しい白銀の世界はもう全くブレてないし、それに加えて、よりノスタルジックな感覚と優しい温もりを音で本当に高水準で生み出した作品だ。堂々とjesuしている作品であり、これまでの作品の中でも屈指の傑作の一つに入るだろう完成度を持っている。この至福の音色はJesuにしか生み出せない唯一無二の物だと思う。



■M B V/My Bloody Valentine


MBVMBV
(2013/03/04)
My Bloody Valentine

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 先日の来日公演も記憶に新しい(チケットは秒速で完売で僕は行けなかった…)、最早伝説になっているシューゲイザーの代表格であるマイブラの実に22年振りとなる2013年リリースの新作。まさかの再結成に奇跡の来日と、ファンを色々と振り回していた彼等だが、突然の新作リリースは本当に寝耳に水で、出るとは思ってなかったファンも多かったと思うし、驚きと共に、大きな喜びを感じている人も多いだろう。



 肝心の内容の方だが、全編に渡ってアナログレコーディングが施されており、作品全体にざらつきを感じさせる。そして何よりも彼等の代表作であり、伝説的名盤である「Loveless」と何ら大きな変化は無い、ある意味では安心と信頼のマイブラ節が全開で、本当にどこを切ってもマイブラらしい作品だと言える。だからこそ「Lovelless」を初めて聴いた時の様な大きな衝撃みたいな物は今作には無かったりする。でもマイブラが新たな作品を出してくれて、それが安心のマイブラの音であった。それだけでも今作は大きな意味を持ってしまう位にマイブラの新作としては十分過ぎるし、「Loveless」の様な破壊力こそは無くても、美しいホワイトノイズは全然健在なのだ。
 それでも変化はあると思ったりもする。作風こそは変わっていなくても、今作の音は個人的に凄く優しさを感じる。耳を貫く鋭い轟音では無く、柔らかに耳に入り込み、脳を甘く溶かす轟音であり、轟音と言っても、破壊的な音では無いし、本当に空気の様に当たり前に存在する平熱の優しさを今作の音から感じる。
 第1曲「She Found Now」から全くリズム楽器を使用しないで、ギターのフィードバックノイズの音と、おぼろげなボーカルのみで構成された楽曲であり、しかし柔らかに包み込む甘い旋律を基軸にしたフィードバックサウンドが緩やかなリズムを作り出し、まるで呼吸をするかの様な自然な速度と温度を体現しているし、この楽曲だけでマイブラが本当に唯一無二な存在だってのを再確認出来る。第2曲「Only Tomorrow」なんて完全にマイブラらしいギターポップ機軸であり、シューゲイザーを確立した彼等の王道な楽曲。ざらついたギターの感触の荒さがまた良いし、歪みと甘さのバランスが本当に黄金律を生み出し、ほとんど大きな展開こそ無いけど、淡々と刻まれるリズムと共に、緩やかに舞い上がる感覚と、ある種の重みや淀みをスパイスにして、ただ甘いだけのギターポップにしないで、絶妙な揺らぎを生み出している。第3曲「Who Sees You」に至っては、ホワイトノイズの破壊力は上がっているけど、それ以上に「Loveless」と何も変わらない感が本当に強くて、心から安心する。
 だけど決して変わらないと言っても、「Loveless」とはまた絶妙に違う。第4曲「Is This And Yes」はシンセの音の反復によって作られたマイブラ流アンビエントになっているし、第6曲「New You」はシンセベースの音がやたら印象的であるし、轟音サウンドを封印しつつも、マイブラの裸になったギターポップ・ドリームポップ的な陶酔感はかなり強いし、聴けば聴く程にじわじわと嵌っていく。今作の音は、アナログレコーディングの作品であるし、2013年の作品にしては音圧は決して強くないのかもしれない。しかし僕はマイブラはそれで良いとすら思う。きっと現代的なマスタリング・レコーディングで作られたら、マイブラのマイブラ感は無くなってしまうのかもしれないし、ケヴィンが自ら拘る音で作り上げた作品だからこそ意味がある。だから全然派手じゃないけど、それが近作にも存在する甘い陶酔の揺らぎへと繋がっているのだから。
 アルバム終盤の3曲は打ち込みを機軸にした楽曲であるが、それでも結局はやってる事は何も変わらない第7曲「In Another Way」。ドラムン調のビートと、フィードバックノイズのコラージュのみで作られた躍動感あるダンスチューンな第8曲「Nothing Is」。ここはマイブラのある種の変化でもあるけど、それでも核はやっぱり不変。そして最終曲「Wonder 2」で今作屈指の混沌へと雪崩れ込む、徐々に上がっていく音圧。ドラムンなビートが後ろでなり、加工に加工を重ねた音が徐々に輪郭を無くし、最後は爆音になり霧となり、そして消えていく。その瞬間こそ今作屈指のハイライトだし、この楽曲を聴き終えた瞬間に、マイブラの新作なんだこれって改めて実感した。



 新たな試みはあったりもするけど、それでも「Loveless」と基本的には変わっていないし、そうゆう意味では新たな衝撃は無い。でも楽曲の完成度の高さはやっぱり凄いし、派手では無くても、聴き込む程に楽曲に脳が溶かされてしまう作品であり、本当に末永く付き合ってこそ意味のある作品だと思う。何よりも22年の歳月を経て、マイブラが新たな作品を世に送り出してくれた事が何よりも嬉しいし、それがどこまでも僕たちが愛しているマイブラの音なのが僕は心から嬉しい。



■Sonic Mass/Amebix


Sonic MassSonic Mass
(2011/09/23)
Amebix

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 80年代ハードコアに於いて最重要バンドの一つと言われる伝説的バンドであるAmebix。2008年に再結成したが、今作は2011年にリリースされた再結成後初のアルバムであり、実に25年振りのオリジナルアルバム。しかし80年代はメタルクラストバンドであった彼等だが、その面影は全く無く、一言で言うなら全てを超えた先にあるドラマティックな物語があった。枠組みを破壊し、本当に素晴らしい作品であるその一言に尽きる。



 本当に野暮になってしまうけど、今作はメタル・ハードコアだけでなく、プログレッシブロック。ゴシックとかそういった要素も入り込んだ作品になっており、ジャンルで形容するのは最早意味が無いし、本当に一言で素晴らし過ぎるハードコアとしか言えない。そして作品の楽曲が全て繋がった組曲形式の作品になっており、楽曲の合間合間にはSEが入っていたりもするし、本当に壮大な物語としてのハードコアだ。全楽曲にてシンセが本当に重要な役割を果たしており、そのシンセがゴシックな感覚を生み出し、また組曲形式になっている楽曲が本質的な意味でのプログレッシブさを生み出している。また楽曲の傾向も本当に幅広く、メタリックなハードコアからゴシックメタルまで本当に幅広い、しかし全ての楽曲が一つの太い線で間違いなく繋がっているし、楽曲の尺も4分台5分台で占められており、長尺な楽曲は無い。しかも決して難解では無いし、ハードコア・メタルの要素を思いっきり感じさせる音にもなっている。それでも今作は全てが一線を画している。もうそれはあらゆる要素の音を極限まで極めたからこそ生まれた物だと思うし、楽曲の完成度の高さと作品としての気高さを極めたからこその凄みであり、分かり易いアプローチをしても芸術性をとことん追求し鍛え極めたらとんでもない化け物になる事を今作は証明してしまった。
 うねるベースに引っ張られシンセのフレーズと独特な爬虫類ボーカルが耳に残る第1曲「Days」から「Sonic Mass」という壮絶な物語は幕を開け、楽曲の終盤ではゴシックかつクラシカルな世界が広がり、その壮大な超大作映画の様な世界に圧倒される。メタリックな第2曲「Shield Wall」でも単なるヘビィロックでは終わらず、プログレッシブなビートと細部まで作り込まれたシンセとSEの音が壮大さを与え、読経ボーカルから始まり正にプログレッシブメタルとしか言えない、トライヴァルさとゴシックさとプログレッシブさを極限までダイレクトに伝える第3曲「The Messenger」で今作の物語は一気に絶頂。第4曲「God Of The Grain」の様なシンプルなパンキッシュさを出してる楽曲こそあるけど、それでも常に入り込むシンセが聞き流すのを許さないし、肉体的なアンサンブルの強度とは裏腹に本当に細かい所まで洗練されたアレンジの緻密さも光る。Amebix流ゴシックメタルな第5曲「Visitation」、オリエンタルな旋律が印象的なアコースティックナンバーである第6曲「Sonic Mass Part 1」、その空気を切り裂き今作屈指の高速ヘビィネスメタルサウンドを展開する第7曲「Sonic Mass Part 2」、アッパーでエモーショナルなロックナンバーである第8曲「Here Come The Wolf」、ソリッドさからスケールを加速させる第9曲「Here Come The Wolf」と本当に捨て曲が全く無いどころか、全曲が本当に名曲で目まぐるしく変わるサウンド、そして決して変わらないバンドとしての屈強なアンサンブルと芸術性、それらを高めた先に待ち構える最終曲「Knights Of The Black Sun」は間違いなく今作のハイライトであり、「Sonic Mass」という闇と光が交錯する天変地異の物語から新たな誕生を想起させる本当に生命としての原始的かつポジティブなエネルギーを感じさせ、そしてその先にある新たな光と物語の幕開けを告げるクラシカルな音像が力強く響き渡る。もうこれは本当に終わりの無い生命の輪廻の様でもあり、今作に満ち溢れている生命エネルギーがビッグバンを起こしている!!!!!



 何度も言うけど、今作には枠組みなんて本当に不要だし、あらゆる要素を飲み込みそれらを極めた先にある壮大な世界、正に進化の精神がネクストレベルに突入している事から今作は最高に素晴らしいハードコアであり、そして最高のロックアルバムであるのだ。今作では全ての音が一つの円を作り出し循環をしている、そして第1曲と最終曲が一つの繋がりを持ち、まるで円環その物であるし、そして生命が還る場所であり、新たに旅立つ場所でもある。それがこの「Sonic Mass」で描かれる物語だ。もう自分でも何を言っているか分からないけど、一言で言えばメタルとかハードコアとか抜きにあらゆる音楽好きを屈服させるだけの壮絶な1枚になっているのだ。歴史的名盤!!!!!



プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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