■タグ「ギターポップ」

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■Funny!!!/sports


Funny!!!Funny!!!
(2004/10/06)
sports

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 一夜限りの再結成ライブもいよいよ間近に迫ったsportsの04年リリースの1stアルバム。07年に活動休止をしてしまったsportsだが、このバンドがギターロックバンドが多く登場し混迷としていた00年代前半に登場し、それらのバンドの中でも屈指の完成度とポップネスを放ち、独自の道を切り開いていたのだ。今作はそんな混迷とした当時のシーンに必然として生れ落ちた名盤であり、決して時系列の彼方に葬ってはいけない作品だ。



 伊藤寛之、永井紀子、大石貴義。この三人によるsportsはバンドとして本当に完全であった。そもそもシーンの中でsportsというバンドは屈指の演奏技術を持つバンドだったし、伊藤君の空間系エフェクターを変幻自在に使いこなすセンスは郡を抜いていたし、元ハートバザールである紀子嬢の動くまくり、メロディを司りながらグルーブを支配するベースの凄み、大石君のダイナミックさをバンドに与え続けるドラム。このトライアングルが生み出すギターロックはバンドとして完全だったし、それでいて極上のポップネスを放っていた。
 一部でイントロのコード進行がモロにCOALTAR OF THE DEEPERSの「C/O/T/D」なのも話題になっていた第1曲「Super Sonic」から先ずとんでもない名曲だ。確かにイントロのコード進行はモロCOTDだけど、COTDに負けず劣らず轟音のポップネスが咲き乱れるこの曲をアルバムの頭に持っていったのは大正解過ぎるし、クリーントーンの爽やかなギターとソリッドさと轟音が渦巻く伊藤君ならではの独自の歪みの方法論、常に高揚感しか無くて、目前を疾風の様に駆け巡るギターサウンドは正に必殺であるし、同時に紀子嬢のあざとい位にメロディラインを引き倒し、独自の熱量をグルーブに託し、sportsというバンドのもう一つのメロディとして、更に絶対のグルーブを司る女神としての存在感。そんなイケメンと美少女の弦楽器隊に対して、男前ドラマー大石君は二人のバックを確かに支えるタイトなドラミング。しかしタイトでありながら大胆な熱情を同時に持っているし、駆け巡るギターとベースの音の粒子を統率するビートの守護神としてのドラム。この3人がsportsをやっている事だと思わせるアンサンブルの全てが「Super Sonic」には存在しているし、エモーショナルな初期衝動を爽やかなメロディで奏でながらも、どこか陰鬱な湿り気もあり、ギターロックバンドとして必要な物をこのバンドは全て持っていたのだ。
 ギターロックバンドに必要な物を全て持っていると書いたけど、それは他の楽曲を聴けばより一層痛感するだろう。第2曲「Heart Beat」や第3曲「Sports Wear」の歌物であり、バンドが持っている叙情的部分と繊細さを前面に押し出したこの2曲は静と激の対比も見事だし、楽曲としては徹底的に一つの憂いを持ち、これは80年代のバンドが持っていたそれだけど、しかし楽器隊の各フレーズはそんな楽曲の中でも攻撃的に攻めるし、浮遊感を持ちながらも、バンドとしての核は絶対的だし、一つの泣きを轟音のギターに全て託しているからこそ最高に格好良い。一方で伊藤君のピアノの弾き語りから始まる第4曲「鉄の街」の剥き出しになった哀愁も心が打たれるし、流麗のピアノに、バンドサウンドが入り、激情のサウンドを展開し、伊藤君のたおやかな歌から悲痛なシャウトを皮切りに轟音の激情へとドラマティックに展開していく楽曲構成も素晴らしい。
 またsportsはバンドとして非常に音楽的多様性を持つバンドでもあった。レゲエライクなカッティングとグルーブ理論をギターロックに持ち込んだ第5曲「D.Johnston」のメロディアスでありながらも、不穏さが木霊する感覚のダークネス、一転してsonic Youthばりのノイジーなギターワークが炸裂し、疾走感と共にギターポップにオルタナティブを持ち込み、怒濤のサウンドが全てを貫く第6曲「Ivy」という全く真逆な2曲がアルバムの中で同時に存在し、しかも統率されたアレンジで違和感を全く感じさせないのは、もう完全に伊藤君の天才的な職人肌のポップネスが成せる技なのだろう(それは現在の作曲家・アレンジャーとしての活動にも生かされている)。またどの楽曲も揺らぎと言う部分を非常に強く感じるし、それが前面に出たアンプラグド的なアレンジを施した「メロトロン」に表れており、伊藤君の中性的な歌声と見事に嵌る。
 そんなどの楽曲も屈指の完成度とポップネスを誇るアルバムだけど、その中でも屈指の名曲となっている第8曲「Pumping On The Radio」はsportsの中でも一番の王道ギターロックとしてのアプローチをしている楽曲でありながら、同時にやっぱり一筋縄じゃいかなさもあるし、美麗の旋律が楽曲を引率しながら、宇宙的浮遊感と高揚感が浮世を否定していく。そしてその先の世界を描く様な宇宙の果てを孤独に彷徨い、やがて考えるのを止めてしまいそうになる第9曲「Rhythm Drowner」の無慈悲さと、揺らぎの果ての世界もギターロックの残酷過ぎる魔法だ。



 sportsというバンドは間違いなくポップネスとギターロックの魔法を放つ言ってしまれば「選ばれた」バンドだったのだ。しかし05年の紀子嬢が体調不良で脱退し、サポートベースを迎えて活動を続けるも、07年に大石君が地元浜松に帰る事になりバンドは活動休止を余儀なくされ、2枚のアルバムと何枚かのミニアルバムとシングルを残し、混迷とした当時の時代と共にsportsは消え去ってしまった。しかしこのバンドは決してロッキン○オンがプッシュしなかったにしても(メンバー全員ルックスも良いし、正統派過ぎる位にギターロックバンドとして優れていて更にポップな要素もかなりあったのに何でプッシュされなかったか僕には理解に苦しむけど)、僕を始めとした多くの人にとってかけがえの無い魔法をかけたバンドだったし、僕はこのバンドの存在と彼等の最高傑作である今作の存在は絶対に当時の混迷の中で埋もれてはいけない作品だと思っている。国産ギターロックの金字塔だと断言する。




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■THE NEW BP./BP.


THE NEW BP.THE NEW BP.
(2013/01/30)
BP.

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 COALTAR OF THE DEEPERSの元メンバーでもあるイチマキ嬢がかつて中心になって活動していたギターポップバンドであるBP.。たった4年で活動を休止してしまったバンドであるが、イチマキ嬢の産休終了宣言と共に2011年から活動を再開。今作は2013年リリースのBP.活動再開後の新作であり、長い沈黙を破り実に15年振り以上の最新作になっている。全5曲で、プロデュースとエンジニアリングはNATSUMENのAxSxE氏。



 音楽的な方向性は90年代の頃のBP.と大きくは変化していない。ギターポップの浮遊感も、少し前のめりでつんのめった感じのバンドのアンサンブルも、イチマキ嬢のウィスパーボイスも、絶妙なハードコアのテイストもかつてのBP.と何も変わってはいない。シューゲイザー的な要素も相変わらず健在だし、より明確に研ぎ澄まされたギターポップとしてBP.が前線に帰って来たのだ。第1曲「Goodbye,Love」からその自らの音をより洗練させ研ぎ澄ましたBP.が存在している。ギターポップと微かなシューゲイザー成分が少し危うげに漂う感覚だったり、よりエモのカラーが出ているギターワークだったりはBP.の一つの新機軸だ。そんな楽曲の中にも絶妙にハードコアを感じさせるブレイクやキメのパートがあったりするのもBP.だし、何も変わらないけど、確かな変化もある。第2曲「Tomato Bazooka」はハジメガネ氏のシャウトがサビで入り、ハードコアテイストとギターポップの見事な対比というBP.節が炸裂。浮遊するイチマキ嬢の声と、ハジメガネ氏のシャウトの掛け合いなんかは、ポップでありながらも、どこかハードなテイストを見せるBP.の独自の音楽性が見事に表れていると言えるし、それはどこまでも青臭く前のめりな焦燥のサウンドとして甘く胸を締め付けてくる。
 よりシューゲイザー色の強く出た第3曲「Puddle」はそんな青い衝動が更に加速しているし、絶妙な轟音サウンドとギターワークが冴え渡り、静謐なアルペジオから重厚な轟音のリフへと変貌する落差、そして一気に青臭さが高まり一つの純粋無垢なシューゲイザーサウンドへと変貌する瞬間、そして後半ではハードコアテイスト溢れるリフの応酬もありと、ある種のごった煮感さえあるサウンドの全てが甘い陶酔へと繋がっていく。ハジメガネ氏がとにかく叫びに叫びまくっているのに、サウンドはどこまでも甘く透き通る一つの矛盾が郷愁と焦燥へと繋がる第4曲「Loop」、より重厚なシューゲイザーサウンドがタイトに突っ走り、その重みから軽やかに開放されるサウンドの煌きが素晴らしい第5曲「Praying Mantis」。どこまでもBP.節が炸裂し、それは更に研ぎ澄まされクリアになっているのだ。



 活動再開は本当に心から嬉しかったし、活動再開後、見る事の出来なかったBP.のライブも二度も見る事が出来た。しかしこうして改めて最新の音源でBP.を聴くと、90年代の活動当時から何もブレていないし、更に研ぎ澄ましたサウンドはどこまでも青く甘く胸を締め付けてくる。BP.という存在はどこまでも普遍的で不変であり、そして唯一無二だ。

■crystallize/東京酒吐座


crystallizecrystallize
(2011/11/23)
東京酒吐座

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 元PlasticTreeのササブチヒロシの誕生日イベントで殻とacid androidの渡辺清美、Presence of soulのYukiとYoshi、101Aのthe Kにより一夜限りで結成され、その後も活動を継続し現在に至る東京酒吐座(トーキョーシューゲイザー)の2011年発表の1st。そのバンド名通りシューゲーザーのバンドであり、ジャケットの猫を囲む大量のエフェクターが象徴する様に3本のギターの轟音が圧倒的音圧で迫ってくる快作だ。



 そのサウンドはどこをどう切ってもシューゲイザーであり、甘い旋律と幻想的な揺らめきと轟音のフィードバックという本当に王道のシューゲイザーのスタイルを取っている。今作ではアナログレコーディングで録音されており、それもまた自らのサウンドのスケールを加速させる結果になっている。シューゲイザーは勿論、ギターポップやオルタナティブのカラーも内包した第1曲「299 Addiction」の3本のギターが織り成す轟音がオーバードライブする青い疾走感はいきなり強烈なパンチだったが、続く第2曲「Just Alright」は男女ツインボーカルの揺らめきのギターポップシューゲイザー、Ride辺りのサウンドを上手い具合に消化し、純度の高いポップネスを展開しているのも見逃せない。古き良きシューゲイザーサウンドを現代に蘇らせて、それにギターポップの甘さを加え、甘い轟音で脳髄をとろけさせるサウンドスケープの非現実的な揺らめきの世界が今作にある。アナログレコーディングを最大限に生かし、高揚感とメランコリーが交錯する幻惑の世界を壮大なスケールで描く第3曲「Bright」は心に轟音で潤いを与える名曲だ。ポストロックの手法を取り入れた第5曲「Waltz Matilda」は王道でありながらも轟音系ポストロックとして確かな効能を持った楽曲であるし、彼等の核であるシューゲイザーを様々な形で生かしつつ、最終的には再びシューゲイザーに帰結している、決して懐古的にシューゲイザーをやってるのでは無く、シューゲイザーを2010年代の音にスケールアップした上でのシューゲイザーなのだ。それらを集結させ、静謐さから壮大なドラマを優しく描き、ラストは壮絶な轟音が渦巻く第7曲「Back To My Place」と聴き所は本当に多いが、肉感的でもあり幻想的でもあるサウンドスケープをスケール感だけでなく、甘く優しい旋律で鳴らし、その夢世界に入り込める作品だ。



 現在は轟音系ポストロックやエレクトロニカ要素が強いシューゲイザー等を鳴らすバンドが多いが現代にここまで原始的なシューゲイザーを蘇らせ、それを2010年代の現在進行形の音で描く彼等が多くの人々の間で話題(何故か僕の友人達の間で発売当初凄い話題になっていた)になり、高い評価を受ける事実には納得だし、有無言わさぬトリプルギターの甘い轟音の世界には確かな夢とロマンが宿っている。



■Fragile、minameeeロングインタビュー

Fragileアー写



 奈良と大阪を拠点に活動するツインフロントダブルジャズマスターのオルタナティブロックバンドであるFragileが晴れて2012年1月初頭に1stミニアルバムである「Clappedout air」をリリースした(当ブログのレビューはこちらから)。男女のツインボーカルでポストハードコア・USエモ・ギターポップを食らい、それを消化した上でのFragileのサウンドを味わえる快作に仕上がったのだが、この奈良という一地方から登場したFragileという若きオルタナティブバンドを多くの人に知ってもらいたい想いから、今回Vo&GtでありFragileの首謀者であるminameeeことミナミ(実は僕と同年代だったりする)にインタビューした。Fragileの結成の経緯と今回リリースした「Clappedout air」について色々と聞いてみた。まだまだ決して知名度があるバンドでは無いのかもしれないし1stミニアルバムをリリースしたばかりの若手バンドではあるが、LOSTAGEという日本のオルタナティブロックシーンの英雄を生み出した奈良という地でこのようなバンドが登場した事はシーンにとって大きな意味があるのではないかと個人的に思ったりもするのだ。Fragileは間違いなく大きな進化と飛躍を見せてくれるバンドだと個人的に思っているし、だからこそもっと多くの音楽好きに知って欲しいバンドでもあるのだ。だからこそ今回のインタビューで多くの人にFragileを知ってもらって、多くの人がFragileの音に触れる事を心から祈っている。





■先ずはベタな質問だけど、Fragileの結成の経緯なんか教えて欲しいな。Fragileを知らない人も多いと思うし。

ミナミ:Fragileの結成の経緯はこんぼいさん(Ba)が前のバンドを解散したあとに僕にバンドしないかと誘ってきた。その時、僕はバンドメンバーを探していて1年くらい経っていて、よくある住んでいる場所が遠い事や音楽性の違いやなんか理由にバンドは上手くいっていなかった。そこで同じ大学の音楽サークル(サークルは別)のこんぼいさんが新入生歓迎LIVEやってた僕を観てくれていてバンドに誘ってくれた。

■ますいさん(Dr)も確か同じ大学だったよね。

ミナミ:うん。ますいさんも同じ大学でますいさんとこんぼいさんは同じサークルでした。ますいさんも同じ時期にバンドを解散してバンドをしたかったみたい。それからこんぼいさんとスタジオに入ったりしたけれど、半年はバンドをするのを断ってたんだよ。昔はVELTPUNCHみたいなバンドをやりたくて、1年半位女性ベーシストを探していたんだけれど見付からなかったんだ。でも1年半探しても見付からなくて、もう自分にはバンドは出来ないんじゃないかなとか考えたけれど、結局バンドが出来なかったのは全部自分が原因でさっき言った音楽性の違いがどうやらとか、住んでる場所が遠いなんてゆう事を言い訳にしてたと思う。どんなメンバーになっても自分さえしっかりすればきっと上手くいくって思ったんだ。 その時にに出来た曲が「Rooser」という曲。それでやっと胸を張って曲が出来たので、こんぼいさんに連絡した。

■そこでFragileが本格的に形になり始めた訳だね。

ミナミ:うん。そしてこんぼいさんがますいさんを誘ってスタジオでテープ録音した荒い音質のRooserが出来た。そして女性ベーシストが見付からなかったんだから入れるなら女性ギタリストってなった。当時Number girlに激ハマりしていたのもあるし、ジャズマスターを買ったのも田渕さん(Number Girlのギタリスト)の影響だよ。ただメンバー募集に「~好きです。~したいです。連絡ください」じゃなくてこういった音楽をしたいですってマイスペ作ってテープで録音した音源のURLを張って宣伝した。その方が言葉以上に伝わると思ったから。今となっては自分のしたかったことがまとまってなかったし、それを説明する文章力がなかっただけだと思うけど。そこで当時流行っていたmixiのメンバー募集の宣伝に絵美ちゃん(Gt&Vo)がメッセージをくれて、「奈良ファミリー」っていう奈良の大型ショッピングモールで会ってみて、スタジオで録った音源を聴いてもらって、リスペクトしてるバンドはこれですって絵美ちゃんに聴いてもらったのがSPIRAL CHORD。絵美ちゃんはLOSTAGEが好きだとかそんな感じの会話をしたよ。LOSTAGEは一回ライブを見た事があったし格好良いのも知っていたけど、当時は大学のサークル内でLOSTAGEが流行ってて、流行ってるからあまり聴かなくて、ぶっちゃけあまり知らなかった。

■でもLOSTAGEって奈良が誇るオルタナティブバンドでもあるし、やっぱり奈良の音楽好きな奴等の間での影響力みたいのもあったと思うんだ。それにミナミの好きなUSオルタナや北海道のポストハードコアともリンクしている部分はあるし、絵美ちゃんがFragileに加入するのは結構必然だったと思うよ。

ミナミ:うんうん。そして後になってちゃんと音源をちゃんと聴いて「MIND JIVE」って曲が凄い格好良いってなった。USオルタナはその頃から聴いていたんだけどポストハードコアに関しては今より聴いてなかったと思う。そのころ外国のバンドは圧倒的にSmashing pumpkinsやSonic youth、Dainasor.Jrあたりを聴いてた。初めてLOSTAGEの「MIND JIVE」を聴いたときは100%(Sonic YouthのDirtyの一曲目)に似てる!!ていうかSonic Youthみたいなバンドだ!!!!!みたいな感じだったよ。

■そこで色々リンクしたと思うし、Fragileが本格的にベクトルが定まる切欠にもなったと思うよ。

ミナミ:うんうん。それでも僕自身がLOSTAGEを聴いたのは本当に遅くて、もうバンドは始まっていて、SPIRAL CHORDが「サ・ヨ・ナ・ラ・セ・カ・イ」を出した時。その頃にスタジオで「RED」(LOSTAGEの代表曲)が流れていて、「distance to substance」(SPIRAL CHORDの名曲)が流れてる!!と思ったらLOSTAGEだった。勿論、格好良すぎて衝撃を受けた。

■だからとミナミと絵美ちゃんの感性はリンクしてるし、それがFragileのツインフロント・ダブルジャズマスターってスタイルに絶対に繋がってると思う。逆にこんぼいさんやますいさんはそのフロントの二人の感性とどんな感じにリンクしたかは気になる所でもあるけどね。ライブ見て思ったけど、こんぼいさんもFragileの参謀的な存在にも見えるし。何というかミナミのワンマンバンドでは無くて、個性の強い4人がぶつかりあって出来たバンドに見える。

ミナミ:そうだね。今のFragileはそう思うというかそうなったんだけれど、最初の頃は殆どが僕が中心になって曲を作っていたし。といっても僕の作り方はなるべく個性を殺したくないのというか正直イメージ通りになっても面白く無いみたいな物も当時はあってね。こんぼいさんはバンドを誘ってきた当初はやたらとポストロック、ポストロックが口癖のように言ってた。downyが好きと言ってたことを覚えてる。ますいさんに関してはGRAPEVINEなんかで話が合った気がする。この人はなんでも聴いてくれるだけど、逆に堅い芯みたいな物が無いかもしれない。でもドラムが好き!って言うのがますいさんの芯なのかもしれない。そんなメンバーが聴いてる音楽も生かしたいっていうのもある。全員聴いてる物が一緒だったらただのコピーになりそうだし、似てる事が悪いことじゃなくて、個性が出る事で、その場その場のスタジオの中の新しい感覚が楽しかった。話を戻すと、絵美ちゃんに音源を聴いてもらってやってみたいです!って話になって一度スタジオに入ることになった。ただその時は絵美ちゃんが言ってたLOSTAGEは詳しく知らなかったんだけど、LOSTAGEがSPIRAL CHORDとツアーに出てる事は知っていたので多分音楽性は絵美ちゃんと合うんじゃないかなって。

■それで晴れて絵美ちゃんが加入して現在の体制になってFragileは本格的に活動を始めた訳だね。

ミナミ:うん。ただ一つ条件があって、絵美ちゃんにはジャズマスターかジャガーを買って貰うっていうのがあった。絵美ちゃんはそのころテレキャスに興味があったんだけど、何とか考えて貰って、二人で詩奏しに行ってジャズマスターを選んだんだ。

■それが今のFragileの枕詞になってるダブルジャズマスターの由来だった訳か。でも男女ツインボーカルのフロントでどっちもジャズマスってのは見る側からしたらやっぱインパクトは少なからずあると思うよ。

ミナミ:うん。僕もそう思うし、そんなバンド観てみたい。完全にあの時はbloodthirsty butchersの影響だったけどね。本当に不思議だった。田渕さんにあこがれて買ったジャズマスターが、好きなアーティストが増えるたびにジャズマスター弾いてる人ばかりだったからさ。

■その辺りの先輩達の影響ってやっぱあるだろうし、Fragileはそれを正当な形で継承してると思う。それでライブ活動を重ねて、晴れて処女作である「Clappedout air」のリリースになった訳だけど、今までのdemo音源に入ってる曲はやっぱりミナミのカラーが強かった気もするんだ。今回のミニアルバムには入ってないけど「魔人間」(demo音源に収録、下記のYoutube動画とMySpaceにて視聴可能)なんてそんな曲だし。でもこうして一つの形になった訳だけど、ミナミのバンドっていうよりもさっき言ったみたいに4人の個性が結びついてFragileが本格的にスタートラインに立った様に見えるんだ。

ミナミ:うんうん。今までどうしても僕一人で作ってきた所があったけど、バンドとしてそれが変わってきてこういった形でそれを証明することができたと思う。みんなで意見出し合ったり、こんぼいさんがコード進行考えてくれたり。今回のミニアルバムの最後の曲である「fade out」に至っては絵美ちゃんの弾き語りをバンドサウンドした所もあったし。1曲目の「マリオネット」なんかもう作って一年以上経つと思うんだけど、star marketの影響が出すぎてた部分が絵美ちゃんに歌って貰う事で雰囲気ががらーって変わったし。

■そうそう。「マリオネット」は絵美ちゃんの持ってるポップな感覚とFragileの持ってるキャッチーな側面が綺麗に結びついてる。それでいて風通しの良いエモーショナルさもあるしね。

ミナミ:僕に出せないポップな部分を絵美ちゃんが凄く持っていてそれは自分達のカラーを作り上げるひとつだと思う。

■ミナミと絵美ちゃんて共通する部分も多いけど、やっぱ男と女という違う性別の生き物だし、感性も違う。二人ともポップな部分も尖った部分も持ってるけど、やっぱ違うベクトルを向いてるし、それをツインフロントとして生かせるのは大きいよ。

ミナミ:うんうん。絵美ちゃんがメンバー加入した当初はギターを始めて1年経って無い位で、その絵美ちゃんに僕が使うコードを教えて、僕がスタジオでの曲作りの仕方も彼女は見てきたせいか、たまに似てるな。と思う所があるけれど、絵美ちゃんと僕は共通する部分もあるけれど、やっぱり全然違うと思う。時間が経って彼女が我を出せば出すほどそれが分かった。お互いのポップな部分と尖った部分はあるけれど、全く違うベクトルを向いていると思う。これをしろ、言ってないから、私はこれがしたい!僕はこれがしたい!ってぶつかり合うし、だからこそめちゃくちゃに見えるかもしれないけれど、成り立った時のツインフロントは武器だと思う。

■逆の2曲目の「Bazzet」はミナミのパラノった部分というか狂気的な部分が出てる曲だし、「マリオネット」とは対極にあるポストハードコアサウンドだけど、絵美ちゃんの存在がそこに大きなアクセントを加えている様にも見えるしね。

ミナミ:あの曲はもろにPitchforkの影響が出てしまったんだけれど、バンドで合わせてみると不思議と変わっていって、絵美ちゃん独特のコーラスの上に、あんなポップな歌を歌う彼女があんなギターのフレーズを考えてきて面白く仕上がったよ。

■だからFragileの持つハードコア・オルタナの狂気と浮遊感に満ちたポップさが上手に結びついた作品になったと思うよ。BP.やmoonwalkに近い物を感じるけど、それの真似事じゃなくてFragileとしての色が確かに出た作品だし、多くの人にアプローチ出来る筈だよ。

ミナミ:最初の頃は絵美ちゃんにmoonwalkのバンドウさんやBP.のイチマキさんみたいになって欲しかったんだ。でもそうじゃなくて彼女には彼女の音楽があってそれを出したらそうなった。最初は僕が引っ張ったけれど、今はみんなに意志が凄いあって、メンバーの「~がしたい!!」ていう意見を取り入れてるからこそ今みたいな形になったのかもしれないね。結果的に雑で我の強い色んな曲が出来てしまって、聴いてる人からしたら方向性が分からんなんて言われても仕方ないと思うよ。

■でも僕は大分方向性が明確になったと思うよ。雑多な部分を上手く昇華出来たと思うし、処女作として堂々と世に出して良いと思う。

ミナミ:ありがとう。自分達のやりたい事が伝わるにはまだ時間が必要だけれど、今の自分達の名刺になる作品に出来たと思う。

■3曲目の「みずたまり」もそうだけど、絵美ちゃんの覚醒は間違いなく今後さらに大きな物になる予感がするし、フロントの2人だけじゃなくてそれを支えてるリズム隊の2人がどのような進化をするかも今後に大きく結びつくと思う。

ミナミ:今までレコーディングをした曲が僕の曲ばかりのせいだと思うんだけれど、2011年のFragileは絵美ちゃんの覚醒に間違いないと思う。その次にこんぼいさんかな、曲作りに凄く積極的になってるし。ますいさんと僕ももう少し成長出来る様に頑張るよ。

■一つのスタートラインに立ったFragileだけど、最後にミナミ自身の今後のFragileの展望みたいのがあれば教えて欲しいな。

ミナミ:今回の音源を出した事によってを凄い実感した。音源の重要性、バンドのイメージだったり、まだ半分ぐらいしか初めて観る人には伝わらないんじゃないかな。ただ男が歌っているのはマイナーで激しくて、女が歌っているのはポップな歌物、じゃなくて。その逆も出来て、今以上にそれが表現できた時に初めて僕が思ってるFragileになると思う。音楽だけじゃない部分でもね。お誘いがあれば場所や共演者なんかは選ばずスケジュールさえ合えばLIVEをしたい!っていうスタンスは変わらず活動の仕方として伝わると思うけれど、音楽の方向性に関してはまだ伝わりきれてないから。まだスタートラインに立ったばかりだから今は兎に角、今まで以上にFragileを知らない人に知ってもらえると嬉しいです。AKSK君ありがとう。





2012年1月7日には地元奈良でレコ発ライブも開催される。Fragileのライブは音源とはまた違った超爆音で繰り出されるサウンドも魅力的だ。東西問わずかなり豪華な面子にもなっているのでお近くの方は是非とも足を運んで欲しい!

20120107.jpg


2012年1月7日(土)『Virgin vol.2』
奈良NEVER LAND
open/start 17:30/18:00 ticket adv2,000/door2,500(別途1D)
PG発売日2011/10/28(金) ローソンチケット/Lコード「L58460」、イープラス eplus.jp

・Fragile
・BP.
・winda
・imamon
・CARD

↓ライブ動画







Fragileオフィシャルサイト:http://49.xmbs.jp/fragile/
Fragile My Space:http://www.myspace.com/fragile20
購入(disk union):http://diskunion.net/portal/ct/detail/IND8763

■Clappedout air/Fragile

Clappedout air



 奈良と大阪を拠点に活動する男女ツインボーカルツインジャズマスターな4ピースであるFragileの2012年リリースの1stミニアルバム。満を持しての処女作でありFragileというバンドの魅力がパッケージングされた作品だ。demo音源ではDrive Like Jehu直系のポストハードコアサウンドを展開していたけれど、今作ではUSエモ・ギターポップのエッセンスも強くなり、尖ったオルタナティブさと浮遊するポップ感をFragileというフィルターを通し、自らの音に昇華した作品に仕上がっている。



 demo音源では男Gt&Voであるminameeeのセンスが前面に出ていた印象だけれども、今作では女Gt&Voの大塚絵美のカラーも本当に色濃く出ている。第1曲「マリオネット」は風通しの良いエモーショナルなコード進行と轟音サウンドが浮遊するポップさが前面に出ている1曲だけれど、絵美嬢のウィスパーボイスとフィードバックするギターの調和が見事だし、胸を締め付ける郷愁の音色と疾走感がドライブする鋭利さもある。フロントの2人を支えるリズム隊のコシの強さがバンドのグルーブに確かな芯を持たせている。ポップな風通しの良さと同時にオルタナティブロックの強度も確かに存在している。対する第2曲「Bazzet」はサンディエゴのポストハードコアサウンドが炸裂し鋭角リフの応酬が体の体温を一気に上昇させるminameeeがボーカルを取るFragileの鋭利さが前面に出た1曲だ。振り落とされる硬質なサウンドで聴き手を確実に突き刺していく。そこでもリズム隊の強度も大塚絵美のキャラクターも楽曲のカラーを更に変化させているし、単純な正統派ポストハードコアサウンドってだけでは無く、それを消化した上でのFragileだからこそ出来るポストハードコアになっているし、そのサウンドに頼もしさを感じる。終盤からのフィードバックギターのノイズとminameeeの血管ブチ切れボーカル、それに反する微熱の絵美嬢のコーラスが楽曲のカラーを巧みに変化させるセンスは確かな物だ。第3曲「みずたまり」はFragileの哀愁の要素を前面に出し、緩やかなテンポで淡々とセンチメンタルさを増幅させる歌物な1曲。この前半の3曲がそれぞれ全く違うアプローチの楽曲になっているし、Fragileの多方面に渡るベクトルの魅力を統率し、雑多にするのでは無く、どの表情を見せてもFragileとして堂々とした音になっている。オルタナティブとポップネスが正面衝突した第4曲「Alter」も、絵美嬢の弾き語りから発展した歌物ナンバーである第5曲「fade out」でもそのツインフロントの二人のカラーとそれを支えるリズム隊の屈強さが織り成す雑多ではあるが、統率された衝動とポップネスには確かなFragile印が刻印されている。



 奈良という地から登場したFragileは同郷のLOSTAGEとも北海道のハードコアともUSエモやサンディエゴのポストハードコアとリンクしながらも、それらの雑多な音を喰らいまくった末にツインフロントのそれぞれの個性がポップさもオルタナティブさも交錯しまくるサウンドはBP.やmoonwalkとサウンドこそ違いはあるがそれらのバンドに連なる物をFragileは持っている筈だ。Fragileの魅力が十分に伝わる処女作となったが彼等はまだまだこんな物じゃないと思っているし、これからの進化に心から期待したいバンドだ。
 今作はFragileのライブ会場と下記リンクのdisk unionのページで購入可能になっている。また取り扱い店舗も随時増えると思うが、先ずは下記リンクのdisk unionのページで視聴可能になっているのでチェックして欲しい。



disk union 視聴&購入ページ



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AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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