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■【残酷なまでに無垢な美しき真夜中の音楽】しののめ、ロングインタビュー

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2018年も終わりに差し掛かり、SNSではフリークス達が今年の年間ベストなんかをツイートしたりしているが、僕個人として2018年の一番のベストリリースはしののめの1stフルアルバム「ロウライト」だった。
シューゲイザー/ギターロック/エモといった括りのサウンドスタイルではあるが、しののめは安易なるカテゴライズを拒むバンドだ。
バンド名を出してしまえば、syrup16g 、きのこ帝国、それでも世界が続くなら、ANCHOR(新潟)、bloodthirsty butchers、Discharming Man、mogwai、Low、U2といったバンドと共振する部分はあるが、バンド名を羅列しただけではしののめの本質には迫れない。
気付けば作為的でSNS映えを狙った表現もどきばかりが増えてしまった病みきった今であるけど、そうした本当の病巣を無垢で無作為な表現で暴く力を持つのがしののめの魅力だと個人的に思う。
深いリヴァーブのかかったボーカルと音像、冬や夜に映える美しいメロディ、果てしなく諦めを言葉にした歌、それらは安易に鬱ロックだとかメンヘラ御用達といった安い評価を蹴散らす力がある。
今回は実に10ヶ月振りのライヴとなったブラックナードフェスでのライヴ後にメンバー3人にインタビューさせて頂いたが、具体的なバンド名やジャンルとしての音楽の話はほぼ皆無だ。
メンバー3人は非常に穏やかな人達だが、決して多くない言葉は3人の確かな反抗声明である。
作為やジャンルやSNS映えといったくだらない物に辟易としている人にこそしののめに触れて欲しい。
こんな時代だからこそ、しののめの持つ暴く表現は聴く人の感受性に響くはずだから。



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・今日は約10ヶ月振りのライヴでしたが、手応えとしてはどうでした?

真下(Dr):前よりみんなの気持ちが揃い始めた感がありますね。
私はしののめに途中から加入しているので、やっとバンドらしくなって来たかな?

眞保(Gt.Vo):みんながバラバラな感じが凄かったので。



・まず今年の2月に1stアルバム「ロウライト」をリリースしてのリアクションなどはどうでしたか?

久間(Ba.Vo):活動してない割には聴いてもらえている感じはします。

眞保:Twitterとかで検索したりすると、気合いの入った感想を書いてくれている方がちょこちょこいたりするので、ハマる人にはハマるバンドなのかな?



・僕はしののめを初めて聴いた時に、不特定多数に向けているのではなくて、そこからはみ出してしまった人達に向けている音楽だと思いました。

眞保:大衆受けが嫌なわけではないのですが、自分は正直に言うと好きなバンドがあまりいなくて、それで自分が好きなバンドを作ろうっていうのがしののめですね。90年代とかだと結構好きなバンドはいるのですが。



・現行の邦楽ロック系のシーンの中ではかなり浮いてるバンドにも見えるのですが、90年代や00年代のシーンで当てはめてみるとすごくしっくりくるバンドでもあると思います。
オルタナティブな感覚が当たり前だった時代とリンクするバンドだなって。

眞保:「ロウライト」はCDとMVでアレンジが違いまして、音源の方は短いんですけど、MVの方では1分半くらいイントロを付け足したらMVを撮影・編集してくれた方に「これ聴かれねえよ。」って言われましたね。



・僕はMVを観てからCDを聴いたので、アレンジが全然違ったのはびっくりしましたが、個人的にはMVの方のアレンジが好きですね。あのイントロは聴く人を引き込むなって。

眞保:MVを観て気に入ってくださった方は「あのイントロが良い。」って言ってくれてますね。
ライヴではMVの方のアレンジで演奏してますが、まずアルバムをレコーディングした時はドラムは真下さんじゃなかったので。MVの方のアレンジでは真下さんが叩いてるのでそっちのアレンジでやっています。







・「呼吸」もCDとMVでアレンジ変わってますね。

眞保:CDの方は僕一人でのアレンジでしたが、そっちはバンドアレンジでやってみたらどうかなと思ってアレンジを変えましたね。



・今日初めてライヴを観て、やっぱり音源よりもバンド感が出ていると思いました。
ある種の生々しさや無作為さを強く感じましたね。

眞保:我々は器用なタイプではないので。



・僕がそもそもジャンルって括りが好きな人間では無いのですが、しののめはシューゲイザーやギターロックって括りで語られたりもすると思うんですよ。
でもそれは触りでしかなくて、寧ろしののめの音楽は一つのスタンダードですらあると思ってます。純粋に良いメロディと良い歌と刺さる言葉で成立してる音楽だなって。それと同時に本質的な意味でオルタナティブであると感じます。
鬱ロックだとかいうくだらないカテゴライズだったりとか、わかりやすいセンセーショナルな言葉だったりとか、そうした作為的なSNS映え狙いみたいな打算がしののめには無いのが本当に好きなんですよね。

眞保:そうした計算はないですね。少しはなきゃ
駄目じゃないかって話はしたりしますが。結局そんな計算は必要ないからやらないだけですね。



・僕はそうした打算で作られた音楽が溢れている現代に対して、しののめは「本当はそうじゃないだろ!」って暴いてる気もします。

眞保:音楽って本来は芸術的なものだと思ってるんですが、そうした芸術的な音楽が相当減っているように感じてます。



・音楽って芸術の中でも一番人に伝わりやすいものでもあると思うんですよね。
感情や思想を音と言葉でダイナミックに表現出来るのが僕の中の音楽なので。

眞保:表現の手段として音楽をやっているだけなので、必要のないものは削ぎ落とされているのかなって。



・しののめは核がしっかり見えるからこそ、響く人には本当に響く音楽をやっていると思います。

眞保:そうであり続けたいですね。



・久間さんはしののめのオリジナルメンバーですが、久間さんから見たしののめってどういうバンドなのでしょうか?

久間:「みんなおいでよー!」って感じではないけど、「ロウライト」に関しては辛い気持ちの夜とかに優しくはないけど朝まで付き合ってくれるアルバムみたいな感じなので、バンドも基本的にそんな感じですね。優しくはしないけど突き放しもしないみたいな。



・駆け込み寺みたいな。

久間:「大丈夫だよ!元気出してよ!」みたいな感じじゃないけど、朝まで一緒にいてくれるみたいな感じはしてます。



・真夜中に聴くと本当に映えるバンドですよね。

久間:そんなバンドだと思っています。別に昼間っぽいバンドではないので。陽が出てない時に聴くバンドって感じはあります。



・「しののめ」ってバンド名もそれを表してますよね。

久間:最初に曲を作った時から夜っぽい曲が多かったので。

眞保:夜っぽいバンド名にしたいなって感じで決まったよね。

久間:それで大体バンド名は略されるから四文字くらいでって感じでバンド名は決まりました。

眞保:エゴサが異常に難しいバンド名。



・真下さんの加入はアルバムレコーディング後ですよね。

久間:一年がかりでアルバムどうにか完成させたんですけど、アルバム用のアートワークの写真の撮影でまた時間がかかって、そんな時に加入しました。

眞保:色々ギリギリになってしまったんで大変でしたね。真下さんから見るしののめはどんなバンドですか?

真下:良いなって思うところは想像の余地があるところですね。
歌詞とかはちゃんと具体的な言葉で書かれてはいるんですけど、曲からイメージが浮かぶ様な曲が多くて。
元々、私と久間ちゃんが美大の先輩後輩の関係なんですけど、私は絵を描くのが好きなんですが、音楽以上のものをくれると言うか、インスピレーションが膨らんで良いなって。二人の歌声も大好きだし。
私はこういう暗いバンドをやるって思ってなかったんですけど、今はやるって決めて良かったですね。

眞保:真下さんが加入して最初のスタジオは衝撃だったらしいです。

真下:最初に眞保君に呼ばれてスタジオに行ったんですけど、何曲か曲をコピーして合わせるってなって、その時は久間ちゃんは体調が悪くてあんまり歌えなくて、眞保君はギター弾いて歌い始めるけど全然やる気がないんですよ。
そんな雰囲気だったので「この異様な雰囲気はなんだろう?」ってなって、眞保君に聞いたら「あんまりカバーやる気でないんですよね…」って。そして凄く辛い空気が流れてましたね。
私は高校生の時からドラムをやってるんですけど、バンドってもっと楽しいものだって感覚だったんですよね。だから「バンドって楽しい…よね?」ってのを投げ掛けるところから始まった感じです。そしたら二人は「楽しいって何だっけ?」みたいになって。

眞保:真下さんが加入する前はピリピリしてたので。

久間:当時はお腹が痛くなって携帯見たら眞保君から連絡が来てるとかあって、それを予知してお腹が痛くなる感じでした。

眞保:スタジオの時、全く私語無かったよね。

久間:みんな下を向いてお酒を飲むだけみたいな。それで曲合わせてピリピリした空気が流れてまたお酒に逃げるみたいな。
そんなのを数年やっていたので、真下さんに問いかけられた時に楽しいの概念の振り返りから始まりました。でも今は楽しいですね。

眞保:最近はスタジオでの私語が多すぎるかなって。でも最近は明るい…のかな?







・そもそもしののめの音楽に楽しい要素が全くないので。しののめはやはり真夜中の真っ暗な部屋の片隅で体育座りで聴くのが礼儀だと思ったりします。

久間:ロウライトが完成した当時は宇都宮に住んでて、丁度寒くなり始めた頃だったので、取り敢えず窓開けて正座して聴きましたね。そして「これだ!」ってなりました。



・しののめの持つ暗さって日常生活や人生の中で失ってしまった物に対する後悔というか…どうしても拭いきれない物悲しさや喪失感を歌ってるバンドだと思います。
しののめって僕の中で感情なり景色なり時間なりを想起させる音ってのがありまして、だからこそしののめをジャンルで括りたくないですね。

眞保:ジャンルなんて手段でしかないですから。シューゲイザーっぽい音作りとかは多いですが、それはあくまで曲の表現方法として使ってるだけで、僕はたまたまギターが弾けるからギターを弾いてるだけですし、たまたま僕の表現方法が音楽だっただけです。
パンクバンドだから奇抜な格好をして過激なことを言うってのは僕にとっては手段であって目的ではないですね。



・パンクバンドだからって全ての曲でポリティカルなメッセージを放たないとダメとかってルールは僕もないと思います。

眞保:音楽はあくまで表現の手段と考えてるので、そこが他のバンドとのノリの違いかなって思います。



・眞保さんが具体的に表現したいものとは何でしょうか?

眞保:色味だったりとか、冬の寒さだったりとか、内向的なところだと自分が思ってる事とか、そうしたものをどうやって音楽に昇華してこうかってところを考えてやってますかね。



・「楽園」という曲の歌詞に「生きる事は素晴らしくない」ってあるじゃないですか?あの曲を初めて聴いた時に「本当はそんな風に思いたくない!」って足掻いてるように思いました。

眞保:本当はかなり期待してるのかもしれないですね。人生そのものが絶望的だと感じてるので「救いはないものか?」という気持ちはすごくありますね。
何の考えもなく肯定されてるのに違和感を覚えたりとかあって、「自殺ダメゼッタイ!」とか「生きていれば良いことあるから生きましょう。」とか何の根拠もなく言ってる事が、みんなそれを何の疑いもなく受け入れてるのが本当に怖くて、だから触れちゃいけない部分を暴くというか…そういうノリはあるかもしれません。
音楽というかロックというかそうしたものがポップスとなんら変わらなくなっちゃったって感じもありますね。



・それこそ作為的なものが増えてしまったのかなって。

眞保:大量に売らないと回らなくなったんでしょうね。だからわかりやすくて作為的で消費されるものが増えてる傾向があると思います。







・ここまで眞保さんの考えを話してもらいましたが、眞保さんがしののめの中心人物じゃないですか?その眞保さんの表現に対して久間さんと真下さんはどうリンクさせてる感じでしょうか?

真下:私はイメージの拡張器でありたいなと思っていて、眞保君が曲に込めてる思想とかに触れて、そこで感じた情景とかを音に出して、眞保君が3考えてるなら6にして返したいなって。それがバンドでやってる意味だと思います。
私は空想とか妄想が好きなので、そういう情景だ!ってなったら私の中ではそういう世界になってるんですよね。それを眞保君に伝えると最初はレスポンスが良くなかったりするんですけど、合わせてるうちに気付いてくれてる事もあって、それが他人が介在する意味だと思います。



・眞保さんが描いた色をブーストさせるのが真下さんなら、そこにまた違う色を加えるのが久間
さんだと個人的に思います。一つのテーマやコンセプトに対して近いけど違う色を付け足してるというか。

久間:基本的に暗いので、根っこが暗いというか。一番暗いかも。
眞保君がデモを持ってきた時に普通にリスナー目線で聴くんですよ。それを聞いてブーストみたいにはならないんですけど…何だろうな?

真下:私はこういう意味が分かってない人がいるのも重要だと思うんですよ。自分なんでいるのかな?みたいな。そういう感覚の人も重要だなって。
私みたいにしっかりと思考を持ち過ぎてるとまたそれはそれでバンドの雰囲気とかバランスが変わりますし、ウジウジと「何で!?」って感じで久間ちゃんにはいて欲しいなって思います。無理しないで「何で私が歌っているんだろう?」みたいな人も重要ですね。

久間:分からぬままで、ずっとファンみたいな感じで所属してて、デモ聴いて「これめっちゃいいじゃないですか!!え?これ私歌うんですか?」って感じなんで。



・ますます一筋縄ではいかないバンドですよね。しののめって。こうして話していると皆さん穏やかな方ですが、根はダークサイドだなって。

久間:もしかしたら眞保君が根っこは一番明るいかも。



・次の展開は決まってますか?

眞保:アルバム出してから今日までゆっくりし過ぎたので、少し飛ばして行こうかなって。何なら今月とか来月とかには色々動こうかなって感じですね。

久間:寒い間に何かします。

眞保:冬の間だけ頑張ります。



・逆冬眠ですか(笑)。

真下:夏は夏眠します。冬は頑張るので夏の間はWANIMAみたいな明るいバンドに頑張ってもらう感じで。冬は私たちしののめが頑張ります。



・改めて夜や冬が似合うバンドですよね。次のアルバムやライヴも楽しみです。

眞保:アルバムは出しますけど、ライヴはどうしようかって感じですね。

真下:基本的に作るのが好きな人たちが集まっちゃってるんで。



・100s結成前の中村一義みたいな。

久間:レコーディングしたりとかMV撮ったりしてる方が楽しいです。

真下:でも今日のライヴで観ている人たちの顔が見れたのは本当に幸せでしたね。

久間:観てくれてる人がいるって状況が半年以上なかったので…



・しののめの音楽は今の時代だからこそ広まる筈なので、マイペースながらも頑張って作り続けて欲しいです。20年とか30年とか続けて欲しいなと。

真下:今日、割礼さんのライヴを観て、自分があの位の年齢になった時にどんな音を出してるんだろうって興味が出ましたね。

眞保:割礼すごく格好良かったな。

真下:目指せストーンズで!転がる石になります。

久間:割礼さんがMCで「公民館で練習したりもする。」と言ってたので、私たちも次のライヴはまた公民館かな?

眞保:個人的に蒲田温泉でライヴしてみたいですね。



・次のライヴはまた公民館で!ライヴハウスでライヴしないバンドって感じで。真冬の水上公園とかも良いですね!水元公園とか。

久間:寒さに震えてもらいながら。

真下:でも冬のフェスとかやりたいよね。

久間:「ロウライト」の長くなったイントロの部分を私たちは「レイキャヴィークの部分」と呼んでまして。

眞保:当時シガーロスにハマってて、アイスランド行きてえ!って思いながらフレーズ作りましたね。



・アイスランドでもライヴして欲しいですね。

眞保:シガーロスと対バンしたいと思いながら、それを目標に末長く続けていけたらなと。



オフィシャルサイト:https//:www.shinonomenome.com
Twitter:https://twitter.com/ShinonomeBand
Instagram:https://www.Instagram.com/shinonomeband
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■All Creation Mourns/Presence of Soul

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 Yuki嬢とyoshi氏はかつて東京酒吐座に参加していたり、ベースの中山氏はワゴムにも参加していたりとメンバーが多岐に渡って活動しているPoSの実に7年振りとなる待望の3rdアルバム。ミックス・エンジニアは前作に続き中村宗一郎氏。
 フランスのLes Tenebres Recordsからリリースされており、bandcampでのデジタル販売と物販とオフィシャルサイトでの通販の方でのアナログ盤の販売という形式で入手可能となっている。またデジタルとアナログ盤の方では収録曲に若干違いがあるが、僕はアナログの方で購入したのでそちらで紹介の方は書かせて頂きます。



 前作「Blinds」からバンドの編成自体も大きく変わっており、それを機にシューゲイザー×ポストロックな音をよりヘビィにさせてポストメタル化を果たしている。前作の儚いシューゲイザーサウンドを受け継ぎながらも、スラッジ要素も加え美の旋律とドス黒い轟音とヘビィネスが渦巻く様は日本のYear Of No Lightとも呼ぶべき音だ。そこに儚げなYuki嬢のボーカルが乗るという幻想の音。
 第2曲「The man who leads the mad horse」から明らかにメロディにゴシックな耽美さとダークさが存在しており、消え入りそうな美しさが奏でられていると思ったら、終盤では刻み付けるリフの一転攻勢からの凍てつく波動の様な破格のスケールのブリザードノイズへ!!
 wombscapeのボーカリストであるRyo氏がゲストボーカルを務める第3曲「Genom」は更にスラッジ色を強め、リフと轟音が渦巻く中で聴かせるRyo氏のボーカルはヒステリックで痛々しく、より曲の持つ絶望感を加速させる。
 宗教的な空気感を感じる旋律が歪みを想起させ、重力に押し潰されそうなスラッジリフによる悪夢である第4曲「Teaching of necessary evil」は現在のPoSを象徴する楽曲になっている。この曲をライブで初めて聴いた時に僕は「PoSは日本のYear Of No Lightや!!」なんて興奮したんだったな。
 だけどダークネスと暗黒スラッジだけで終わらないのがPoSだ。前半の楽曲も複雑に絡むギターと構成美を生み出すリズム隊の骨組みがアーティスティックな空気を確かに生み出し、ヘビィさの中でメロディやストーリーを聴き手に想起させる事に成功している。
 終盤は一転して黒を乗り越えた先の救いの白を描く楽曲。ピアノの音色とストリングスとシューゲイジングギターとYuki嬢の歌声のあまりの美しさに言葉を忘れそうになる第5曲「You'll come to the apocalypse at last」はMONOにも負けないであろうレベルの壮大なスケールとクラシカルさ。終盤のパートはGY!BE辺りにも通じるクライマックスであり素晴らしい!!
 そしてよりオーケストラ的な音色が増幅した最終曲「circulation」の清流の音から天へと導かれる高揚感と疾走感のラストは「今日を精一杯駆け抜ける君に鼓動を刻む明日は来る」って気持ちになってしまう事間違いなし。



 7年振りの3rdという事もあって前作から音楽性も大きく変化しているが、PoSの描く美しさをより際立たせる為のポストメタル化は必然であったと思う。日本でここまでのクオリティのポストメタルな音を聴かせるのはPoS以外だと現在のTHE CREATOR OFややWonderLandや現在のOVUM位しかいないんじゃないだろうか?
 ドス黒い轟音とヘビィネスの凄まじさから、その先にある美しい原風景の様な救いの音色には心が洗われる事間違いなし。国産ポストロックの新たなる進化を刻み付ける名盤となった。



■Altar of Complaints / SeeK / Stubborn Father / Thetan 4way split 12inch

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 日本・大阪とアメリカ・テネシー州ナッシュビルの日米バトルロイヤル4wayスプリット!!大阪のSeekとSTUBBORN FATHER、テネシーのAltar of ComplaintsとThetanが正面衝突する激音スプリットがMeatcube、Kakusan Records、3LAからの3レーベル合同リリース。
 このスプリットはテネシーと大阪という国境を超えたスプリットであり、4バンドの音楽性は一見するとバラバラではあるが、ローカルから新たなる激情・カオティックを鳴らす孤高のバンドが集結した実に大きな意味を持つスプリットだ。日本国内でのリリースは勿論俺たちの3LAから。アリチェン感のあるジャケットもナイス。



 Altar of ComplaintsはCease Upon The Capitol,、Dolcim,、Dawn、 Karoshiといったテネシーを代表するバンドのメンバーが現在進行形で動かしているバンドであり、今作では3曲提供。
 激情系ハードコアmeetsシューゲイザーな音楽性はCease Upon The Capitolから変わらないし、今作に収録されている楽曲もナード感全開な繊細な美メロが響き渡っているが、それらの音楽性の融合にオリジナリティを求めるのでは無く、その先にある純粋な衝動を追求している。
 特に「Tuffcoupleoctopus」はシューゲイズ要素を削ぎ落とした楽曲だからこそのアグレッシブなフレーズが交錯する名曲となっており、かつてのUS激情の空気感を漂わせつつも、懐古主義で終わらないフロンティア精神に溢れている。

 SeeKは「革命と緩和」の1曲のみの収録であり、今作では唯一の長尺曲。
 一昨年リリースしたEP「崇高な手」にてツインベースによる激重低音と怒号が渦巻くアングリーでありながら美しくもある孤高の世界を描いていたが、「革命と緩和」はその方向性をより突き詰めている。
 「朽ちていく中で」ではポストメタルな音楽性を披露していたが、その要素を現在のSeeKの強靭なサウンドに持ち込んでいるからこその美重音が炸裂。
 楽曲が進んでいくにつれて奈落感が増し、激昂する音と叫びが悲痛に訴えてくるSeeKの真骨頂がそこにある。

 STUBBORN FATHERはMeatcubeからリリースされたディスコグラフィーに収録されなかった「未定」と「創造の山」の2曲を現編成で再レコーディングし提供。
 Trikoronaとのスプリットでは行き先不明な衝動がアグレッシブかつ予測不能に乱打されるエモヴァイオレンスサウンドを展開し、時流に流されないブレない精神を見せつけていたが、過去の楽曲でもその不屈の精神は健在。
 初期衝動の一番純粋な部分だけを形を変えて繰り出す「未定」もそうだけど、エモヴァイオレンスよりもストレートなハードコアサウンドが爆発する「創造の山」は未だにSTUBBORNのアンセムであるし、ザクザクと刻まれるギターリフやパンキッシュなビートの馬力と共に創造を解放する高揚と慟哭!!この得体の知れないマグマの様なドロドロとした熱さこそSTUBBORNの魅力だ。

 メロディッククラストSanctionsのメンバーによって結成されたThetanはショートカットな全6曲を提供。今作の中ではかなり異質な存在感を放つ。
 音楽性はクラストやグラインドといった要素がかなり色濃く、ノイジーな音を初期衝動オンリーで突き抜けさせるスタイル。メロディアスさよりも音のパワーに全力を尽くした脳筋スタイルでありながらも、Trikoronaなんかにも通じる不条理なパワーヴァイオレンス感もあり、ハウリング音が渦巻く中で、巨根なビートでガンガン突きまくる男臭さが堪らない!!



 4バンドのベクトルはそれぞれ違うけど、ローカルに根付き、より深く潜っていく様な音をそれぞれ提供している。
 それぞれのバンドが激音で共鳴し、流行りに流されないブレの無さを持つ。その精神こそが本当のハードコアパンクであると僕は勝手に思っている。
 今作は3LAにて購入可能。日本での流通枚数はあまり多くないらしいのでお求めはお早めに!!



■Guilty of Everything/Nothing


Guilty of EverythingGuilty of Everything
(2014/03/03)
Nothing

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 本当に美しい…そう溜息が出てしまう作品だと思う。ex.Deafheavenであり、WhirrのメンバーでもあるNick Bassettの参加する新バンドであるNothingの2014年リリースの1stアルバム。リリースはまさかまさかのRelapseである。あの激重レーベルから今作がリリースされた事は謎だが、しかし今作の素晴らしさを前にしたらそんな事はどうでもいい。Deafheavenという今をときめくバンドの元メンバーの参加バンドと言う事もあるし、今作に対する注目度は日本でも高いとは思うけど、その期待を裏切らない素晴らしい作品だ。またPitchforkのレビューに対してメンバーがファックを突きつけていたのも記憶に新しい。



 さてDeafheavenの作品とは対称的にPitchforkではそこまで評価されなかった今作だけど、何を言おうと本当に素晴らしいシューゲイザーである。Deafheavenの様にブラックメタル要素は無く、完全にシューゲイザーに振り切った作品であるが、今作の素晴らしい点は兎に角轟音が荒れ狂いまくりながらも、郷愁の美しいメロディが吹き荒れるサウンドだと思う。甘く切ないメロディと美しくもヘビィで猛る轟音と言う組み合わせは言うまでも無いけど最高だし、そもそも楽曲の完成度はどれもとんでもなく高い。第1曲「Hymn to the Pillory」の郷愁のコードストロークと甘い歌声と裏で鳴るトレモロギターだけで、今作の世界に引き込まれるし、ハウリングギターからJesuを髣髴とさせるヘビィな轟音とシンセの音色が入った瞬間には完全に持っていかれる。バンドのサウンドは非常にタイトで力強さを感じたりもするのは、このバンドのリズム隊による物がかなり大きいと思う。一つ一つの音をドッシリと聴かせ、確かな重みをビートで体現する。それが幽玄のサウンドとメロディと融和を果たす。サウンドプロダクトやアプローチは完全にシューゲイザーのそれなのに、何とも言えない心地の良い重みを彼等から感じるのは、生々しいサウンドプロダクトによる物が大きいと思う。それでいてオルタナティブロックの流れも感じたりするからまた良い。第2曲「Dig」は今作を象徴する名曲だし、甘美に浮遊するサウンドを聴かせて夢見心地になっていたと思ったら、楽曲のキメの部分ではヘビィなギターリフも顔を覗かせたりするし、そのバランス感覚もお見事。何よりも曲が本当に単純に良い。モロにシューゲではあるけど、生々しいサウンドは楽曲の根本的な良さを生かすには十分過ぎるし、甘さと重さのクロスオーバーを普遍的なロックサウンドとしているから凄い。青き疾走がオーバードライブする第3曲「Bent Nail」でのアプローチは単なるシューゲイザーに収まらないパンキッシュな衝動を感じたりもするし、幽玄のアンビエントサウンドの美しさに酔いしれぬ序盤からスロウテンポで甘美さが花開き、ラストはあざとい轟音のシャワーで昇天な第5曲「Somersault」、インディーロックな第6曲「Get Well」と楽曲のレンジの広さもこのバンドの魅力であるし、終盤の第8曲「B&E」の壮絶なる轟音の世界から、美しく儚い世界を描くクライマックスに相応しい最終曲「Guilty of Everything」の流れは本当に眉唾物だ。



 ここまで書いたけど、今作の一番の魅力はそのメロディであるし、それは儚く美しくありながらも、どこか懐かしくて胸を締め付けるし、それがまた独特の湿り気やダークさを感じる点だと思う。かといってダークさに振り切ったサウンドではなく、その絶妙な陰鬱さを美しい轟音の洪水に昇華している点は本当に素晴らしい。シューゲイザー好きやJesu辺りの音が好きな人やDeafheavenが好きな人は勿論だけど、本当に多くの人に受け入れられるであろう傑作。



■Rebirths/thisquietarmy

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 2014年のTokyo Jupiterのリリース第2段はカナダはモントリオールのギタリストEric QuachによるソロプロジェクトであるthisquietarmyのコレクションCD。thisquietarmyは活動を開始してから精力的なライブ活動と、数多くの音源のリリースを行って来たが、今作はこれまで世に送り出した楽曲の中から厳選した4曲を再レコーディングして収録した作品であり、それだけじゃなく今作にのみ収録された未発表曲をボーナストラックに加えた全5曲。



 僕自身は今作で初めてthisquietarmyの音に触れたのだけど、これは見事に美轟音レーベルであるTokyo Jupiterらしいアーティストだと思う。音自体数多くのエフェクターを使用したギターと電子音によって構築され、時にリズムマシーンの音も入るという物であり、全曲が長尺の楽曲になっている。こういった類のアンビエント系の音は物によっては非常に退屈だったりもするんだけど、この人の音は大きく展開する訳でも無いし、基本的には音の反復と持続音で構成されているのにそれが無い。第1曲「Aphorismes MMXIV」が本当にそうなんだけど、持続する電子音が妙な心地よさを生み出しつつ、リズムマシーンの音が入るとじわじわと轟音成分が見え始め、そしてギターの轟音がシューゲイジングを加速させ、徐々に熱を帯びながら美轟音の洪水へと変貌していく。良い意味でのあざとさを感じさせながらも、静謐さからドラマティックな轟音のストーリーへと展開するサウンドは、この手の音が好きな人ならドンピシャだし、アンビエント・ドローンを退屈な物にするのでは無くて、美しくドラマティックな物にしているのがこの人の凄い所だと思う。
 第2曲「The Pacific Theater MMXIV」は一転してのっけから重苦しく歪んだギターのサウンドから始まり、荘厳であり重みのあるサウンドスケープを体現、Year Of No Lightとスプリットをリリースしたのも納得だし、ここ最近のYear Of No LightやMONO辺りと共振する轟音のストーリーは非常に重厚であり、ドラマティックなのだ。個人的には第3曲「Revival MMXIV」が特に気に入っており、今作で最もサウンドの荒々しさを感じるだけじゃなくて、リズムマシーンのリズムの作り方や轟音と共に鳴るギターのアルペジオのフレーズなんか非常にポストメタル的である。燃え上がりそうで燃え上がらずに焦らしに焦らす曲展開なんかも好きだ。第4曲「The Black Sea MMXIV」は完全一転して幽玄なアンビエントのアプローチをしているけど中盤から入る重みのあるギターの轟音がシリアスな緊張感を増幅させ、一つの悲哀の物語を13分に渡って繰り広げる名曲。そして未発表曲である第5曲「Stealth Drone」は完全にドローンな1曲で、不気味に蠢く持続音の霧の中で今作を締めくくる。



 芸術性や世界観やストーリー性の構築美を感じさせるサウンドスケープとギターの轟音の幽玄さによるサウンドは、単なる自己満足なアンビエントとは違って、しっかり聴き手を意識して作られていると勝手に思っていたりするし、そういった類の音が苦手な人でも敷居が低く楽しめるし、勿論アンビエント好きや轟音フリークスや、ここ最近のYear of No Light好きやポストメタル・ポストロック好きにも幅広く勧めたい作品である。寝転がって何も考えず、その音に身を委ねると幻惑の世界に飲み込まれる作品。勿論今作はTokyo Jupiter recordsにて購入可能だ。



プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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