■タグ「スウェーデン」

■Weltschmerz/Totem Skin

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 スウェーデン・ダーラナのダークハードコアバンドTotem Skinの2ndアルバム。1720年から1870年にかけて彼らの出身地ダーラナ地方で隆盛を極めた、スウェーデンの伝統的なシンボルデザイン「カービッツ」を捩り、「Kurbits Crust」と自ら名乗ることもあるとリリース元である俺たちのTokyo Jupiterのインフォにはある。
 そんな彼らの音楽性は正に理想的なダークハードコアであり、2010年代以降のハードコアの流れにありながら、一線を画すパワーとセンスを感じさせるクロスオーバーサウンドだ。
 またアルバムタイトルの「Weltschmerz」は、あるべき理想的な状況と世界の現状とを比較することによって引き起こされる、精神的なうつ病や無関心、または感傷的な悲しみのムード、世界苦を意味するドイツ語らしい。




 今作で初めてTotem Skinに触れたが、日に日にクロスオーバーを繰り返す現行のハードコアの美味しい所を全部かっさらった上でそれらをダークハードコアの一点に帰結させるキメラサウンドを展開。
 音楽性で言うならば激情ハードコア、ブラッケンド、クラスト、スラッジと多岐に渡っているが、それらをとっ散らかしたクロスオーバーにするのでは無く、ダークなメタルクラストを現在進行形のハードコアのエッセンスで消化している。
 音はとにかく黒い!!音自体は汚らしい訳では無く非常に洗練されたサウンドプロダクトになっているが、Dビートで爆走するサウンドを重心に、ツインボーカルで畳み掛け、寒々しいリフからメタルコア的なフレーズやカオティックハードコアな曲展開までを同時に乱射しまくる。更にはネオクラストな泣きのメロディまで飛び出してくるから一体どうなっているんだ!?
 だけど大雑把なサウンドには決してなっていないのが彼らの凄い所。一本筋の通ったズ太い音はハードコアとしての強度やヘビィさに満ち溢れており、今作を再生した瞬間にその音の破壊力に脳味噌がブチ砕けそうになってしまった。
 こうして書くとマッチョイズムに溢れたハードコアを想起させてしまうだろう。勿論それらのタフネスはサウンドから溢れているが、同時にアトモスフェリックな要素も取り入れている事も忘れてはいけない。アートワーク(ちょっとBaronessっぽさを感じたのは僕だけじゃ無い筈)からも感じるだろうけど、彼らの精神性は非常にコンセプチュアルな物でもあり、熾烈なサウンドの随所随所に散りばめられた静謐な引きの瞬間の美しさは北欧ハードコア特有の美意識とメロディセンスに溢れており、そちらもナイス!!
 けれどもアトモスフェリックさをあざとく冗長に展開させるなんて手段を彼らは取らない。それは激と美が複合を繰り返して「強く美しい」サウンドフォルムを手にした第5曲「Pretend」を聴けば明らかだろう。一見ポストメタル要素を全開にしていると思わせておいて、スラッジの煉獄へ、そして最後はノイズに吹き消される第7曲「I De Blindas Rike Är Den Enögde Kung」も屈指の名曲。



 アルバム全編を通して隙無し捨て曲無しとサウンドのクオリティの高さに驚かされる作品であるが、今作の凄まじさは時折静謐なる音をスパイスとしてふりかけつつも常に激昂の音が吹き乱れている事だ。徹底した芸術的センスも素晴らしいが、何よりもハードコアとして単純に強くあり続けている。滅茶苦茶痺れるよ!これ!!



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■Six/Tengil

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 スウェーデン・ボロースの若手激情ハードコアバンドの1stフルアルバム。アルバムタイトル通り全6曲収録の内容となっている。リリースはお馴染みのTokyo Jupiter Recordsからで、こうした海外の才能溢れる若手バンドを発掘しリリースするTJRの行動力と熱意には毎度感服させられるばかりだ。しかしベテラン勢は勿論だけど若手バンドも熱いバンドが多いスウェーデンのバンドというだけあって、このTengilもその期待に応える作品を携えて堂々と1stアルバムをドロップした。マスタリングにMagnus Lindberg (Cult of Luna) を起用している点も注目。



 自らを。「Quasi-symphonic post-hardcore (準交響的ポストハードコア) 」なんて随分と大風呂敷おっ広げた名前で称している彼等だが、今作を聴けばそれは確かな自信から来る物であり、実際にそう形容するしか無いサウンドだって分かるだろう。サウンドスタイルとしては長尺で組曲めいた複雑な楽曲構成を軸にしながらも、スウェーデンハードコアのお家芸であるクサい程の激エピックな美メロを前面に押し出し、更にはシューゲイザー要素も持ち込んだ現在進行形のハードコアスタイルを取り、その中で持ち前の美意識で美と激をこれでもかとクサい位に展開しまくる。こうした現行のハードコアのスタイルだけじゃ無くミュージカルや古典交響曲から大きな影響を受けたサウンドの奥行も存在し、それでいて確かなハードコアのスタイルを貫いているから凄く格好良いじゃないか。
 イントロの第1曲」「Fermeture」の美メロの轟音から既に壮大さを前面に押し出して来やがってと思ったけど、第2曲「A Box」のそのスケールのままに素直なまでに展開されるハードコア組曲が始まった瞬間に一気に血が駆け巡る熱さを感じるだろう。ギターワークは凄く作りこまれているし、これでもかと北欧ハードコアらしいクサい美メロで押しまくる轟音スタイルに痺れる。でも単純にハードコアだけで押すバンドじゃ無いし、シューゲイザー要素も盛り込みまくりながらポストメタル的な構築美で展開される楽曲、合間合間のパートでストリングスの様に使われるギターのサウンド、だけど屈強というよりも、やっぱり音に少しペラさも感じる辺りの北欧ハードコア感がもう愛おしくて堪らない。楽曲の中でも静謐なパートは多目だけど、その代わりに激のパートは堂々と攻めるサウンドでメリハリを付けているし、作品全体で美メロじゃないパートが無いって位美メロ押し。ちょっと恥ずかしくなる曲名である今作のリードトラックである第3曲「My Gift To You」はそんな彼等の代名詞になる名曲だろう。
 それとボーカルの表現力に関してもこのバンドは郡を抜いている。基本的には叫ぶスタイルで全力でナードなボーカルではあるけど、古き良きゴシックメタルバンドのエピック感を感じさせる豊かな表現力もある。第4曲「Praise Be」はハードコアなスタイルの楽曲では無くかなり歌物の曲だし、というかゴシックメタルテイストな曲だけど、そんな曲で魅せるボーカルの豊かな表現力はハードコアの枠組みを超えた普遍性であるし、個人的には今作で一番好きな曲だ。そして終盤の第5曲「Gehenna」でもその流れを受け継いだ天上の叙情詩を描き出し、ゴシック・激情・ポストロック・ポストメタル・シューゲイザーと最早何でもありとばかりに色々詰め込みながらも、クリーントーンの美しさが14分に渡って繰り広げられているし、最終曲「All Paths」はその壮大に広がった宇宙的世界を轟音と共に締めくくるオーケストラ的エンディングだ。



 ベテラン・若手問わずに素晴らしい才能を輩出しているスウェーデンからまた新たに登場した新星であると同時にデビュー作で堂々と存在感と確かなオリジナリティとメロディセンスを感じるバンドだと思うし、この若き才能がこれからどう化けていくかも気になる所ではある。しかし作品全体で感じる激の中から滲み出る美しさと神秘性にはやはり惹かれてしまうし、本当に今後どうなるか楽しみなバンドだ。今作はTokyo Jupiter Recordsにて購入出来るので美メロフリークは是非チェックを。



■Efter, Utan Under/Via Fondo

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 Anemone, Medviliaのメンバーによるスウェーデンの激情系ハードコアの2014年リリースの1stフルアルバム。今作はレコーディングから何から何までセルフプロデュースで制作されたらしく、これまでのEPでも見せていた炸裂する青き激情はより高次元のサウンドとなり、より磨きがかかっているし、屈指の完成度になっている。日本盤リリースは日本から世界中の美しき音をお届けするTokyo Jupiter Recordsから。



 これまでの作品でもそうだったけど、このバンドは屈指のメロディセンスを持ちながら、それを最もダイレクトで混沌とした形で届けてくる。第1曲「Avstängd」からこれ以上無い位にあちら側へ引っ張り込む美アルペジオから始まりながらも、静謐さでは無く、クリアに歪んだサウンドにて生み出す混沌だ。曲自体の構成も凄く練り込まれているにも関わらず、テクニカルな演奏でありながらも一歩間違えれば崩壊してしまいそうな危うさもある。曲展開も非常に多展開だし、カオティックなフレーズから轟音ギターまで瞬く間に飛び出すし、一曲の中で何度も何度も爆発を繰り返すサウンドスタイル。それは蒼き疾走感であるし、バンドのアンサンブルのバネの伸びの凄さは大きな武器だと思う。変則的な楽曲構成でありながらもカオティックでありつつ、常にフルスロットルに駆け抜けるドラムもそうだけど、それはポエトリー等を盛り込みながら全力で叫び散らすボーカルもそうだし、ただ青い美旋律ってだけじゃ無くて、青く更に駆け巡る様なコード進行を強く押し出したギターのセンスが為せる技だろう。女性ボーカルをゲストに迎えた第3曲「Jag Vill Ändå Vakna」何かは叫びと女性ボーカルの悲痛でどこかヒステリックなボーカルが、瞬発力のギアを最初からマックスで走り抜けるバンドサウンドと見事にシンクロして急降下しているし、かといってその初期衝動はそのままにじっくりと聴かせる第4曲「Januari」の完成度の高さも見逃せない。しかし全8曲を通してここまでスピード違反に爆走するサウンドは他に無いだろう。曲も多展開だし、変則的ではあるけど、一本の大きな筋が通っているし、何よりも持ち前のメロディセンスを初期衝動と共に駆け巡る激情として最大限に表現している。ギターワークの緻密で美しいセンスもあるし、アルペジオを多用しまくっていても衰えない体感速度、全8曲が収録時間よりもずっと短く感じるだろうし、特に第7曲「Mörkert」は今のVia Foundの持ち味が全て詰め込まれている名曲だろう。轟音フレーズやポストロッキンなアプローチも盛り込み、バンドとしての武器も以前に比べて格段に増えたと思うけど、それを全て馬鹿正直なまでにハイボルテージなサウンドに詰め込んでしまっているから最高だ。そして最終曲「Strategi」の2分20秒のカタルシスには圧倒されるし、同時にはやり完成度の高い楽曲のクオリティにも驚かされる。



 多展開、爆走感、カオティックさ、美旋律、美轟音、その手のハードコアの持ち味とされているサウンドをこれでもかとばかりに喰らい尽くした末にそれを最もストレートであり、熱き血潮に満ちたハードコアとして完成させてしまっている事に驚きだし、どこまでもエモヴァイオレンスだと思う。しかしながら最終的にはその天才的メロディセンスと初期騒動溢れる音にブチ殺されてしまうだけだし、1stをリリースしたばかりのバンドではあるけど、ここまで混沌としながら美しく作品を生み出した事実に乾杯だ。今作は勿論Tokyo Jupiter Recordsの方で購入出来る。




■Hope Is Misery/Walk Through Fire

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 スウェーデンにとんでもないバンドが存在していた!!今作はスウェーデンのスラッジ・ドゥームのバンドであるWalk Through Fireの2014年リリースの3rdアルバムだが、それがダウンテンポを極めに極めた暗黒スラッジだった。激重・激遅・激暗の全てを兼ね備えた極限過ぎるサウンドは確実に人を選ぶとは思うけど、暗黒の世界観を持ちながら、時にハードコアな要素も感じさせ、スラッジな音の中から悲哀の旋律を確かに感じさせ、ズブズブと奈落の最奥へと引きずり込まれるサウンド。圧倒的な完成度を誇るし、この手の音楽の最高峰とも言える大傑作だ。



 第1曲「Sustained in Grief」から暗黒スラッジのインストで驚かされるだろう。殆ど推進力を失ったベースの重低音の反復が延々と続き、途中から入り込むギターとドラムもフューネラル成分を放出しまくり、ただ終わりなく地獄の暗黒スラッジリフのみが続く。約7分半に渡る地獄からの第2曲「Hope Is Misery」は一転して今作が単なるスラッジ作品じゃ無いことを証明する14分にも及ぶ大作。クリーントーンの暗黒旋律のギターの反復からディストーションが炸裂する瞬間のカタルシスに飲み込まれ、どこかハードコアライクでありながらも、狂気しか無い叫びのボーカルが木霊し、極限までBPMを落としたダウンテンポを極めた音のみが続く。しかしこのバンドの凄い所は極限までスラッジの激遅サウンドを追求するだけで無く、その無慈悲なサウンドの中にも確かな悲哀を感じるメロディがあるという所だと思う。フューネラル成分を感じさせるコード感であったり、クリーンの静謐なパートでのシンプルでありながらも、荒涼としたギターフレーズであったり、ベースの重低音を嫌でも感じるしかない重さであったりとか、そういった部分を見事に配列しているし、暴力性と芸術性のバランスが本当に絶妙なのだ。基本的に速いパートは全く無いんだけど、ここぞというパートでは少しだけBPMを速くして、メロディアスさとポストメタル的緻密さもアプローチして来るのは凄い。しかもスラッジ側からのポストメタルアプローチだから、全体的に音がとにかく重くて硬いから、強靭過ぎる。一瞬延々と展開無く反復するスタイルの音だと思わせておいて、しっかりと楽曲に起承転結が存在しているし、単にスラッジさを追求するのでは無く、スラッジさを極限まで極めた上での、芸術性も極限まで極めているから強い。
 アコースティックなギターとベースの重低音の反復を生かしたドローンな小品である第3曲「Grow Stronger in Isolation」を挟んで、第4曲「Harden in Despair」と第5曲「Waking Horror」ではまた一転。最も狂ってた頃のNeurosisを彷彿とさせるハードコアを感じるスラッジサウンドの連続だ。音の隙間も無くなり、ひたすら激歪の音が織り成す黄泉の情景。常に血反吐を撒き散らす叫びが繰り出され、リフの一つ一つとビートの一つ一つの重苦しさは凄いけど、同時に解放される感覚もあったりするし、一見凄い人を選ぶ音ではありながら、こうした分かりやすいアプローチもしっかりとカマしているし、ボーカルがハードコアライクなのもまた大きいと思う。
アコギのダークフォークインストである第6曲「Next to Nothing」を挟み、20分以上にも及ぶ第7曲「Another Dream Turned Nightmare」は本当に真骨頂。断続的に繰り出すクリーンのギターストロークから始まり、そしてそっからひたすら暴力的なスラッジサウンドと、キチガイとしか言えない叫びが続く。スラッジもドゥームもドローンもアンビエント成分も、なんか色々と飲み込みまくったギターの断罪的リフと極限まで重さしかないビートのみで生み出す、本当に黒さしか無い音の連続。ハウリングの持続音すらとにかく重いし、先ほどの楽曲と一転して、感情が入り込む余地はまるで無いし、人間の感情すら焼き尽くしてしまうかの様なサウンド。それはクリーントーンになっても変わらないし、歪んでいないのに重さしか無いという、言ってしまったら根本的な部分でのメロディがひたすら重いし、不協和音しか繰り出してないのに、微かな美しさを生み出すコード感だったり、アンビエント要素のあるパートで焦らしに焦らしまくってからの後半のスラッジ地獄は、更にタメを利かせたビートを叩き出し、でもドラマティックなご褒美パートなんて無く、終わりなく鉄槌を振り下ろすだけだ。そして最終曲「Laid in Earth」はフューネラルなピアノの調べから始まり、破壊の限りを尽くして焼き尽くした世界への葬送曲でありレクイエムだ。11分にも渡り、ピアノのみで描かれる美しき終末の先にある完全なる死と無の世界は、身震いする美しさであり、このバンドが闇からとんでもない芸術的終末を描いていた事を知る。



 実に80分近くに渡って繰り広げられるスラッジからの総合芸術は確実に体力を削りまくるし、聴手を押し潰しまくってくるけど、この手の拷問スラッジでは間違いなく最高峰に位置するだけの作品であるし、フューネラル成分をぜつみょうに活かし、冥界の音をその手で奏でている。ダウンテンポの美学と暗黒の美学を極端に追求し過ぎてしまったやり過ぎ作品ではあるけど、その重さと美しさの織り成す黄泉の音は確実に心を蝕むであろう。



■Rites of Separation/Agrimonia


Rites of SeparationRites of Separation
(2013/05/02)
Agrimonia

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 MARTYRDOD、BOMBS OF HADES、MIASMAL、AT THE GATES、SKITSYSTEMのメンバーも在籍するスウェーデンのAgrimoniaの3rdアルバム。リリースはSPUTHERN LORDから。元々はネオクラストのバンドであったが、2ndから大きく路線を変え、ポストメタル・ゴシックドゥーム色を強く出してきたが、今作は前作の流れを引き継ぎながらより深化させた物だと言える。買ったのが今年に入ってからなので年間ベストに入ってなかったが、ちゃんと去年買えていたら年間ベストに入れてた傑作だ。



 今作も大作志向の作品で5曲中4曲が10分越えの長尺曲中心の作品だが。それは1stの頃から変わってないし、1stの頃もネオクラストとはいえ大作志向だったし、それを作品を重ねる毎に進化させてきた彼等の真骨頂が今作にはある。単なるゴシックドゥームとは違って、ポストメタル要素は勿論あるし、ネオクラスト派生型バンドだからこそ単なるゴシック志向とは全然違う。確かにメロディは前作以上にメランコリックさが高まっているし、今作はより洗練された完成度を誇るし、長尺ながらもより聴き易くなった印象も大きい。ドラマティックに展開される楽曲のストーリー性だとかもそうだけど、ゴシック系のバンドにあるある種の臭みを絶妙に抑えているからこそ、メランコリックなメロディの良さを押し付けるんじゃなくて、しっかりと聴かせる物になっているし、そういった類の音が苦手な人でも今作は是非とも触れて欲しいと思う。そしてネオクラスト派生型バンドであるからこその、激情系ハードコアのあの展開の仕方を今作でもしっかり取り入れている。彼等はLight BearerやMorneに並んでネオクラスト派生ポストメタルバンドの重要バンドだと僕は思うのだ。
 第1曲「Talion」の冒頭のギターフレーズなんてモロにゴシックメタルなそれなんだけど、でもメロディの塩梅が本当に絶妙で、嫌らしさを感じないし、ハードコアな直情的な激情とゴシックメタルの耽美さが正面衝突する展開はドラマティックでもあるし、単純に格好良い。成分としてはメタルの成分が大きいとは思うけど、それを絶妙に入ったハードコア成分で見事な調和を果たしている。疾走するパートの格好良さも、メタルらしいある種のベタさも、ポストメタル的な構築美も、静謐なパートで胸を掻き毟るメランコリックさも、言ってしまえばまだネオクラストだった1stの頃から確かにあったし、その核は実は変わっていないのかもしれないとも思う。15分にも及ぶ壮大な第2曲「Hunted」はメタリックな熾烈なるリフの応酬からポストメタル感を一気に広げていく壮大極まりないスケールに脱帽するしかないし、特に曲の終盤はその要素がかなり出てくるけど、そこではゴシックな成分が逆に良いエッセンスとして働いてるからズルいとも思ってしまう。そして最後はまたメタリッククラストな獰猛なるサウンドの応酬だから昇天間違いなし。今作で唯一の10分未満の第4曲「The Battle Fought」はいきなりポストブラックな冷え切ったリフの応酬で始まり、1stの頃を思い出させる曲でもあるけど、同時に今作で見せる洗練と言う物をまた感じさせる1曲にもなっている。終始吹き荒れるブリザードな音がまた堪らない!そして再び15分以上の壮大なる最終曲「Awaiting」は今作で最もドラマティックな楽曲であり、美しさもドラマティックさも熾烈さも今作で屈指のレベルを誇っているし、ドラマティックな全5曲のクライマックスを見事に締めくくっている。



 ネオクラストからスウェーデンらしい耽美な美意識を前面に押し出し深化を遂げたAgrimoniaの洗練を見事に感じる作品であるし、1stと2ndとまた違う物をこの3rdでも見せてくれた。一つの形に固執せずにクロスオーバーに自らの音を進化させるAgrimoniaの精神はやっぱりネオクラストバンドの進化の精神のそれであるし、その形式に拘らずに自らを鍛え上げているからこそ生まれた美しく熾烈な物語が今作なんだと思う。



プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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