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■Nubes que anuncian tormenta/Khmer

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 プレス分を完売し多くの人々の賞賛を浴びた3LA第一弾リリースであるAfter ForeverとKhmerのスプリットの衝撃も凄かったが、今回Khmerの単独リリースとなった今作は更に上を行く作品となった。今作は3LA、HALO OF FLIES、TUPATUTUPA、KTC DOMESTIC、NOOIRAX、IN MY HEART EMPIREとの共同リリースの作品であり、A面には新曲5曲、B面には入手困難となっていた2012年のデモ音源5曲を収録。純粋な新作であるけど、過去のデモもコンパイルした半編集盤的内容となっている。レコードの盤はカラーヴァイナルでインサートのアートワークも凝っているし、ダウンロードコード付きと嬉しい内容。



 さてKhmerは昨年全曲収録の編集盤が3LAからリリースされ、多くのリスナーから喜びの声で溢れたスパニッシュネオクラストのレジェンドであるIctusのIvanとEl EgoのMarioを中心にマドリードで結成され、バンドの歴史自体はまだまだ短いけど、スペインのネオクラスト人脈の最重要人物達によって結成されたバンドであり、ネオクラストの流れからブラッケンドハードコアへと到達したバンドである。先ずは新作となるA面だが、第1曲「Pujares Negros」から絶好調。ダークな旋律をアグレッシブに叩きつけるサウンドは今作でも健在。2ビートとブラストを使い分け、常に爆走するビートを土台にし、スパニッシュネオクラストらしい非常にメロいギターフレーズの切れ味とインパクトは抜群。ブラッケンドらしい要素は確かに存在するけど、既存のブラッケンドとは全然違う。ネオクラストから更に進化したからこそのブラッケンドであり、寒々しいリフの洪水もあり、カオティックハードコアなフレーズもあり、目まぐるしい展開の中でダレる事なく渾身のアッパーかったを無数にお見舞いしてくれる。歴戦の猛者だからこその馬力の凄さと、円熟では無く、より攻めの姿勢にバンドが入っているからこそのサウンドに圧倒される。第2曲「Bajo La Cruz」はトレモロリフとブラストビートが攻めてくるよりブラッケンドな楽曲であるけど、バンドの攻撃性と哀愁のダークネスが見事に結びつき、精神を抉る美リフだけじゃなく、そのサッドネスの中から獰猛なる怒りを体現したシリアスな爆走サウンド。Ictusもそうだったけど、バンドの芸術性をアグレッシブ過ぎるサウンドに落とし込む手腕は凄いし、スパニッシュネオクラストの一番濃い部分を見事に曲にしているし、その先を行く為のブラッケンドであるからこそ、他のバンドとは違う。第3曲「Metales Que Guardas」もシンガロングを盛り込み拳を突き上げるしかない熱さに溢れていながら、持ち味となっているメロディセンスとカオティックかつ爆走するサウンドは全然衰えない。第4曲「Si Aun Corre La Sangre」もそんなKhmer節しか無い。A面ラストの「Hagamos El Mal」もバンドの新たな進化を体現した楽曲であり、持ち前のリフの切れ味を絶対零度でお見舞いするサウンドスケープ、爆走サウンド一辺倒じゃ無く、攻撃性と芸術性を見事なバランスで共存させ、ある種のポストブラックメタルらしさを出していたりもしながら、やっぱりサウンドに怯みは無し!!この5曲の新曲はKhmerの更なる進化を体現するだけじゃ無く、スパニッシュネオクラストとブラッケンドハードコアが新たな領域に到達した事の証明でもあるのだ。
 そしてB面は2012年のデモ音源を再録した内容となっており、A面の新曲群に比べたら少し過渡期的な内容ではあるかもしれないし、それはバンドがたった2年でとんでもない進化をしてしまったから仕方ないんだけど、こちらはこちらでまだ荒々しさもありつつ、バンドが新たな領域への航海を始めた最初の1ページでもある。第1曲「Lenguas De Fuego」はまだブラッケンドハードコアらしさがモロな楽曲ではあるけど、この頃からKhmer節は健在。暴走ブラッケンドサウンドの中に確かに現在に繋がるメロディは存在している。ダウンテンポとクリーントーンのダークなイントロからジャッとコースターサウンドとしてドス黒く真っ逆さまな第2曲「Magna Mater」は新作サイドには無いタイプの曲ではあるけど、サウンドの落差という意味では新曲群には無いカタルシスが確かにある。デモの最後を飾る「Mares Vacios」なんかはKhmerの現在のサウンドに一番近いし、リリース当時にこのデモを聴いた訳じゃ無いんだけど、こうして現在の音とデモの音を聴き比べるとバンドの進化具合の凄さに驚くと同時に、バンドのスタイルは一貫していると改めて思った。



 メンバーそれぞれが過去に在籍していたバンド以上に凄まじい情報量と圧巻の破壊力をKhmerは持っているし、そこにそれぞれの持つ美意識が惜しみなく追求された事によって、更なるネクストステージにKhmerは到達してしまっているのだ。冗長さに逃げず、脳筋になるのでも無く、美しく激しく蠢くサウンドは最早室伏兄貴ばりの肉体美であり、そこには美しさしか無い。貪欲に進化を続け、常に新鮮でいて攻撃的なサウンドを繰り出しているからこそとんでもない格好良さだし、そのスタイルはメンバーそれぞれの過去のバンドの頃から一貫している。スパニッシュネオクラストの歴史を背負いながら、それを置き去りにしようと更なる新世界へとKhmerは踏み込んでいる。今作は勿論3LAで購入出来る!!



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■Ceremonia de Atadura de Manos/Tarsius Tarsier

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 3LAのレーベル第6弾リリースはスペインの若手ブラッケンド・ネオクラストであるTarsius Tarsierのデビュー音源。スペインはIctus、Ekkaia、Madame Germen、Okbanといったバンドを過去に輩出しているし、ネオクラストの一つの大きな流れを生み出した国であり、Mario(ex-El Ego)、Ivan(ex-Ictus)によって結成されたKhmerがネオクラストの先の新たな音を生み出している現在、それらの流れを受けて登場した若手であるTarsius Tarsierは2013年結成とキャリア自体は全然短いけど、Ivanの目に止まり、彼の所持するスタジオで本作をレコーディングした。アートワークはMarioの手による物で、こうしたスパニッシュネオクラストの先駆者の熱いサポートもあり、3LAを通じ彼等はこの日本にも上陸した。



 その音楽性は正にスパニッシュサウンドとしか言えない物だろう。ブラッケンドハードコアではあるけど、Khmerがそうである様にあくまでもブラックメタル要素はふりかけ程度で大きな比重は占めていない。その根底にあるのはやはりスパニッシュネオクラストであり、楽曲はどれもメロディアスでメロデス×クラストなスパニッシュネオクラストの伝家の宝刀なサウンドを基軸にしている。でもそれらをなぞるのでは無くて、それを消化した上で現代の音として吐き出しているし、それがカオティックやブラッケンドといった要素にも繋がっているのだろう。
 しかしながら全曲に渡って繰り広げられる疾走感は最高に気持ちが良い。第1曲「El Desprecio」がそうなんだけど、メロディアスなブラックメタル的叙情的フレーズからクラスティな疾走パートまで不純物ゼロで突っ走る感じ。音に荒々しさこそあるけど、随所随所の細かいフレーズは確かに作り込まれているし、第2曲「Garganta y Bengala」は泣きメロを活かしながらも、疾走する哀愁はグッと来る。一方で激烈なリフを痛烈に叩きつける第3曲「Tara」といった曲もあるけど、どの楽曲にも言えるのは一つの要素に傾倒するのでは無くて、それらを活かすアレンジやアイデアがしっかり存在しているという事だ。彼等自身のルーツが非常にクロスオーバーだと思うし、ネオクラスト自体がクロスオーバーした音楽である事を考えればそれは必然的だとも言えるけど、それを一本の大きな筋を通してアウトプットするセンスが見事に光っていると思う。ネオクラスト感全開な今作でも屈指のキラーチューンである第4曲「Ciénaga」とスパニッシュ印な哀愁のメロを獰猛に放つ第5曲「Espuela」の中盤の二曲は今作でも大きな肝になっていると思う。その勢いは最初から最後まで衰えずに全8曲が一瞬で終わってしまうし、本当に聴いていて痛快だ。最終曲「El Ruido de Morir」では後半から一気にビートを落としてのアトモスフェリックなアプローチはバンドのこれからの進化に期待をしたくなる物だし、若き衝動と才能の新たな息吹だ。



 今作は勿論3LAにて購入出来るし、昨年末にリリースしたHexis国内盤に続き、新たなハードコアの才能と可能性を発掘しリリースする3LAらしいリリースとなっただろう。まだまだ音は発展途上ではあるかもしれないけど、荒々しいサウンドの中で輝くメロディセンスとアイデア、若手だからこその新たな可能性をこのバンドから感じるし、スパニッシュネオクラストやブラッケンドハードコア好きには是非チェックして欲しい作品。



■Complete Discography/Ictus

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 俺達の3LAが遂にやってくれた!!3LA第三段リリースはスペインの北西部ガリシア州ルーゴにて結成された伝説的なネオクラストバンドであるIctusだが、その音源は長い間入手困難になっていた。しかし今回3LAによって完全なるディスコグラフィーとしてその全てが甦ったのだ。disc2枚組で1stである「Hambrientos De Un Sol Distinto」、okbanとのスプリットの楽曲、This Thing Called Dyingとのスプリットの楽曲、2ndである「Imprivm」を完全収録し、Ictusが世に送り出した全9曲を完全にコンプリート収録し、更にはスペイン語歌詞、英語対訳、日本語対訳、ライナーノーツも付いた本当の意味でのコンプリートディスコグラフィーだ。その音を完全に網羅しているだけで無く、歌詞の対訳によってIctusの世界観についても深く触れる事が出来るし、3LA水谷氏による渾身のライナーノーツによってバンドの全容についても知る事が出来るし(この水谷氏によるライナーノーツが本当に素晴らしい。バンドの歴史、ネオクラストについて、Ictusのサウンドについて本当に詳しく解説されているし、何よりも水谷氏のバンドへの愛を強く感じさせる最高のライナーだ)、本物の完全編集盤として世に送り出されたのだ。



 バンドの歴史や世界観は今作のライナーや対訳にて触れるのが一番だと思うので、ここでは割愛させて頂き、Ictusのサウンドについて触れていく事にするが、今作はdisc1に1st「Hambrientos De Un Sol Distinto」とスプリットの楽曲が2曲、disc2に2nd「Imprivm」が収録されており、disc1の方はスプリットの楽曲2曲の後に1stの楽曲が収録されてる形になっていて、リリース順に収録されてる訳では無いので、ここではリリース順にその音について触れる。
 まず1stの楽曲についてだが、第3曲~第5曲が一章、第6曲~第8曲が二章と言う二部構成の作品になっており、この頃からIctusの美意識は健在。第3曲「Un Millon De Dedos Aprietan」から血湧き肉踊るクラストサウンドが展開!!決して目新しいサウンドでは無いし、その後のIctusの進化を考えるとまだ発展段階の音ではあるけど、メロディアスでありながらダークに疾走するサウンドの血飛沫が飛び交い、ツインギターで泣きまくりなリフとか堪らなく格好良い!!モロにスパニッシュネオクラスト全開でありながらも、やはりダークかつメロディアスなサウンドは激熱だし、第5曲「Destruyemdo Nuestro Hogar」のシリアスでダークなリフがややダウンテンポ気味のビートと共に熾烈に展開され、そこからブラックメタル的なブラストのアプローチで破滅へと急降下していく展開はとんでもなく格好良い!!
 一章に当たる楽曲はスパニッシュネオクラストらしい音で駆け抜ける様に過ぎ去っていくのだけど、二章に当たる楽曲に入ると一転して、曲の尺も長くなり、バンドの芸術的意識を感じさせ始めるサウンドになる。第6曲「Hambrientos De Un Sol Distinto」でも今後の作品へと繋がる片鱗を見せながらも、泣きに泣きまくったギターリフの応酬とシンガロングパートの激熱サウンドを展開しながらも、楽曲もドラマティックさを感じさせる展開になっており、クリーントーンギターの静謐さも随所にあったり、楽曲の起承転結がかなり明確になっていたりと聴き所は多い。第7曲「La Herida Es El Comienzo」もクリーントーンの不穏のギターから始まり、ダークなリフの応酬へと雪崩れ込むサウンドを見せる。訳10分近くにも及ぶ第8曲「Sueсo Sin Miedo」なんてバンドの持つシリアスな泣きの部分が本当に色濃く出ているし、粗暴さを感じさせるサウンドを維持しながらも、一つの美しさすら感じるメロディセンスも炸裂しているし、最後は静謐なギターのアルペジオと、悲哀たっぷりに鳴らされるスラッジなテイストのギターリフで締めくくられる。1stの楽曲はIctusの持つ理知的な部分もあったりしつつも、まだスパニッシュネオクラスト感が前面に出ているし、この後にリリースされる3曲に比べるとまだ荒削りではあるけど、それでも1stの頃からバンドとしての肉体に訴えるサウンドの説得力は健在だし、随所で見せる美意識は今後の3曲に見事に繋がっている。
 そして第1曲、第2曲のスプリットの楽曲からいよいよIctusが「本物のネオクラスト」としての真髄を発揮する。こちらもスパニッシュネオクラストの最重要バンドの一つであるokbanとのスプリットに提供した楽曲である第1曲「Los Restos De La Esfera」は12分にも及ぶ長尺の楽曲であり、冒頭部分の厳かなギターフレーズからミドルテンポで芸術的に展開される楽曲と泣きのギターが炸裂しまくり、そこから一転してクラストサウンドを展開していく瞬間は鳥肌物。バンドとしての表現力も美意識も格段に向上し、スパニッシュネオクラストの孤高のバンドとしてオリジナリティを確立している。理知的な要素に説得力が加わり、更にバンドとしての肉体的な強さも手にしたIctusは完全に無敵状態であり、しかも長尺であるにも関わらず、聴いてて全く冗長さを感じさせないし、楽曲が常にフルスロットルで展開され、目まぐるしく展開し、しかもどのパートも常に必殺のフレーズが渦巻いているから凄い。ドラマティックでありながら、絶妙な緩急によって、単に壮大な大作志向に走るのではなく、強いバンドアンサンブルと常に直情的なサウンドのカタルシスはもうとんでもないし、沸点なんてとっくにブチ超えてしまっている!!
 更にそれを深化させたのがThis Thing Called Dyingとのスプリットに提供した楽曲である16分半にも及ぶ第2曲「Sed De Venganza」だ。壮絶なる物語の始まりを告げるに相応しい冒頭に異形さからのっけからクライマックスで突っ走る本当にジェットコースターの様なサウンドに失禁!!Ictusの楽曲は常にメロディアスでドラマティックな泣きのフレーズが炸裂しまくり、基本的にネオクラストの疾走するサウンドが展開されているし、常に血管ブチ切れそうなボーカルが炸裂しているし、ボーカルもギターもビートも全てが天井知らずのハイテンション具合と熱さを誇り、長尺でも冗長さを感じさせないのは、引きのパートもしっかり用意しながらも、それを本当に必要最低限の部分でのみ導入し、基本的にはフルスロットルさを全開にしているからだし、ダウンテンポになるパートでも、泣きとブチ切れたテンションに衰えは全く無いからだ。見事なまでの美意識と構成力を持っているし、それがバンドの熾烈過ぎるダークな泣きのクラストサウンドと最高の形で結びついているからこそなのだ。特に終盤のダークさを全開にして煉獄のクラストサウンドが暴走しまくるパートからビートダウンして更なる邪炎を生み出し、そして燃え尽きる様にクライマックスを迎える瞬間は、もう本当に震えるしかない…
 そして決定打はdisc2に収録されている1曲40分近くの最高傑作である2ndアルバム「Imprivm」だ。スプリットの楽曲でもIctusが大作志向になっていたけど、それを更に突き詰めたのが「Imprivm」であり、冒頭から失禁と脱糞必死な激泣き&激ダークネスなサウンドが展開されている、これまでのIctusを受け継ぎながら、完全過ぎる進化を成し遂げたのだ。アメリカという国に対するアンチテーゼを膨大な歌詞に記し、政治的なメッセージを持つ大問題作であるが、その言葉も思想もサウンドも怒りもテンションも本当に桁違い過ぎて震える。当初から存在していたメロデス要素の強かった泣きのギターワークは完全にオリジナリティを確立し、北欧メロデスとダークサイドクラストを完全な形で融合させたツインギターのギターワークは完璧過ぎるし、もう常にキラーリフで攻めに攻めまくる!!更にIctus史上最も複雑な楽曲展開を見せながらも、フックを格段に生かし、最強のリフ、最強のバンドのテンションを生かした転調やキメの数々はもう卑怯過ぎるレベルだ。Ictusが目指したネオクラストの集大成であると同時に、既存のスタイルにも既存の体制にも反抗し続けたバンドだからこそ生み出せたオリジナリティだと思うし、これは「本物のネオクラスト」であると同時に僕は「本物のオルタナティブ」の一つの到達点だとすら思う。特に終盤のポエトリーリーディングからが凄すぎる。壮絶な芸術性を感じるサウンドと共に徐々に怒りを露にしていくポエトリーリーディング、最終的には怒りに満ちた叫びになり、クライマックスを感じさせるメロディが展開され、ハイハットの乱打を皮切りの最強のクライマックスとも言える10分が展開され、暴走するギターリフとピロピロとしたタッピングのフレーズが生み出す混沌の坩堝、最後の最後は美しい余韻を残し、壮絶過ぎる約40分を締めくくる。その瞬間にIctusが唯一無二のバンドである事を俺達はその五感全てで知る事になるのだ。



 本当に長々と御託を並べたけど、Ictusは徹底した理知的な美意識を持ちながら、バンドとして圧倒的な肉体的な強さを持ったバンドであるし、だからこそ長尺の曲が多いにも関わらずずっと聴いてても全然飽きないし、何度聴いてもカタルシスが常に新鮮な状態で訪れる。本当に聴き込めば聴き込む程に新たな発見と感動があるし、ネオクラスト最強バンドの一つとして伝説になったのも納得だ。こんな素晴らしい音がこれまで長い間入手困難だったというどうにかしないといけない状況をどうにかし、こうして完全過ぎる形で世に甦らせた3LAというレーベルの成し遂げた偉業は全世界で賞賛されるべき事であると思うし、こうしてネオクラスト最強バンドの最強の編集盤によってIctusというバンドの熱き血潮に燃やされる人間はこれから全世界で多数生れるだろう。余計な能書きなんかいらねえんだ。この熱すぎる音に身を焼かれながら拳を突き上げるだけで良いのだ。何から何まで最高最強の屈指の編集盤。今作は勿論3LAにて購入する事が出来る。さあ最強のネオクラストサウンドの世界をこの耳で体感せよ!!!!!



■Y sembrarán los campos de odio/Hongo

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 SL'S3、,Madame Germen、Nashgulのメンバーによって結成されたスパニッシュネオクラストの重要バンドのメンバー達によるHongoの2011年リリースの2ndアルバム。1stの方はまだ未聴ではあるけど、今作で聴かせる音は疾走感を完全に捨て去りながらも、それでも痛々しい悲痛さとメロディアスさが充満し、曲も練り込まれていながらも、同時に荒々しく洗練されない格好良さを持つ作品だ。



 今作を聴いて先ず感じたのはそれぞれのメンバーが在籍していたバンドの長所を良い具合にミックスした作品だと言う事。前述した通り、曲はミドルテンポの曲ばかりだし、ハードコアらしい疾走感では無くて、腰をずっしりと落ち着けたビートを機軸にした音だと言える。かと言って決してポストメタル化したバンドだとは言えない。最終曲以外の楽曲は3分台、4分台と結構コンパクトな作りになっている。しかしその音の重厚さや深みはポストメタル的でもあるし、同時にそれでも洗練されない荒さがまたナイスなのだ。
 盤を再生しナレーションのSEが終わった瞬間に入ってくるのは、哀愁のギターフレーズ、のっけから泣きの要素が全開で、同時に低域で痛々しい叫びを聴かせるボーカルがまた悲痛さとシリアスさを加速させている。割とやっている事自体はシンプルだったりする印象もあるけど、しかしながらミドルテンポのグルーブを生かして、重みと深みと痛々しさを強く感じさせるギターフレーズのセンスは本当に素晴らしいし、叙情性を持ちつつ、荒々しい音質ながらも、確かな芸術性と美学を感じさせ、ドラマティックに展開される楽曲は本当に素晴らしい。SL'S3の持つ痛々しくシリアスな激情とMadame Germenのメタリックなメロウさの融合は見事に果たした音は正にスパニッシュネオクラストのそれであるし、しかしその先を行こうとする意思を強く感じるし、より悲痛さを増したシリアスな緊張感は本当に研ぎ済まされている。楽曲自体はアグレッシブに展開する訳じゃないんだけど、それでもここぞという所でトレモロギターの轟音が入り込むニクさだったりもそうだし、メロディで見事にドラマティックさを描いていくのだ。第2曲「máquinas de tortura」は今作の楽曲の中では若干ではあるけど疾走感を感じたりもする楽曲だけど、重みと深淵さはやはり凄いし、今作で唯一少し長めの最終曲「desierto de cenizas」のポストメタル的美学と複雑な構成を持ちつつ、常に泣きのフレーズが登場し、メタリックなギターフレーズがミドルテンポで押し寄せ、そして新たな痛みを生み出していく様は美しくすらある。



 全5曲の中で見せる悲痛さはメンバーがこれまで在籍していたバンドの中でも特に強く、深くゆっくり堕ちていく感覚すら覚えるし、しかしより増幅した泣きのフレーズをミドルテンポで描いていく美しさ、そしてあくまでもロウな音でより精神世界の奈落感を生み出していく方法は、ネオクラストの言葉では片付けられない。他のポストメタル化してバンドもそうだけど、既存の方法論を捨て去り、自らの美学を追及し、しかしその核は絶対にブレてないし、それが最高に格好良いのだ。分かりやすい疾走感は無いし、好みは少し別れる音かもしれないけど、ネオクラストを超えた悲痛なる音は一聴の価値は十分にあるし、この音がこれからどう進化するかも楽しみだ。



■CON LA VENDA HACIA LA PARED/SL'S3

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 昨年にディストロとしてだけではなくてレーベルとしても本格始動した俺達の3LA!!そんな3LAのレーベル第2段となるリリースはスペインのア・コルーニャ出身のネオクラストバンドであるSL'S3の04年リリースの10インチアルバムの再発音源!!Madame GermenとNashgulのメンバーによって結成されたこのバンドは一枚のデモと今作を残して解散してしまい、今作も長らく廃盤になっていたらしいけど、リリースから10年の歳月を経て遂に3LAによって再発!!「新譜のリリースだけにこだわらず廃盤で入手困難となっている過去音源を日本盤で再プレスし、より多くの人に聴いてもらえるようにする」という#LAのレーベルとしての大きな意義を持つリリースでもあるし、今作の再発によってこの日本でもSL'S3は日の目を見る事になるだろう。



 そして肝心の音の方は今作が04年リリースだって事を感じさせない現在でも十分に有効すぎる音なのだ。叙情的なメロディをこれでもかと感じさせる正統派に激情系ハードコアなサウンドが先ず最高に格好良いし、泣き叫ぶ様なボーカルがまたエモティブさを更に増幅させまくっている。音質の方も少々ロウなのがまた良い感じにハードコアな荒々しさを出しているのもナイス。第1曲「Delirio Normal」からそんなサウンドが炸裂しまくっているし、ハードコアな暴走サウンドと叙情性が見事に結びつき、暴走パートだけでは無くて、これでもかとあざといアルペジオのフレーズを入れてきたり、楽曲の展開が短い尺の中でドラマティックに繰り出されるのも素晴らしい。第2曲「Con La Venda Hacia La Pared」もスパニッシュネオクラストらしいメロディアスさとハードコアな疾走感が駆け巡る感じがグッド!第3曲「Vocas Muertas Suministran Tu Alimento」なんてイントロのアルペジオから持っていかれるし、そこから瞬く間にトレモロリフの轟音サウンドが吹き荒れる一つの美しき混沌を見せ付けた後の、Dビートと共に急降下で暴走するサウンド、ハードコアでありながら混沌としており、そしてメロディがとにかく美しいのに荒々しく猛っている。単なるスパニッシュサウンドではなく、それの良さを生かしながら、その先を彼等は目指していたのだろう。随所随所のポストなアプローチだったりとか、クロスオーバーさも感じ取れるし、もっと乱暴に言うと1stの頃のheaven in her armsをもっと荒々しく凶暴にしたみたいな感覚を僕は覚えた。
 前半の楽曲は荒々しく猛り狂う楽曲が並ぶが、第4曲「Policía De Ti Mismo」はその荒々しさの中でもより叙情性を強く感じさせる楽曲であり、目まぐるしく展開していく楽曲、悲壮感とか痛みをその歌詞同様に強く感じるサウンド。サウンド自体はネオクラストのそれなのおに、僕はどこか彼等にポストメタル的な美意識すら感じてしまったし、しかしその整理されてなんかいない混沌とした美意識こそが彼等の目指した「ポスト」なクロスオーバーサウンドの証明であるとも勝手に思ったりもした。第6曲「La Habitacíon De Espejos」はよりポストロック的なアプローチから始まり、それがドラマティックに歪んだサウンドとなり、泣き叫ぶサウンドと共にこれでもかと痛みを放ってくる。この痛々しさも彼等の魅力であるし、その剥き出しの音が酷く美しいのだ。そして終盤の2曲は更にドラマティックなクライマックスへと雪崩れ込む。第7曲「Muros Altos」も序盤は静謐なポストロック的アプローチを見せながらも、勿論冗長にはしないで即爆音のサウンドとなり、そしてDビートと泣きのギターが主演の惨劇と変貌していく。そして今作で最もドラマティックな最終曲「Arrastrando En Sacos Tus Necesidades」にて痛みのハードコアは見事な終末を迎える。どの楽曲も3分未満とコンパクトでありながらも、多くのアイデアが詰め込まれているし、しかもそのどれもが整理なんかされてないし、混沌とした荒々しさがある。だからこそダイレクトに悲壮感が伝わってくるし、熾烈でありながら泣けるハードコアとして今作は非常にドラマティックなのだ。



 スペインのネオクラストは廃盤などによって日の目を見ないまま正当な評価を受けていない作品が多く存在しているらしいし、こうして3LAの手によって一つの名盤が日の目を見たという意味は本当に大きい。しかしながらSL'S3の荒々しく熾烈で泣ける激情は、この手の音が好きな人なら間違いなくストライクど真ん中な音だし、この日本でも今回の再発を機に大きく評価されるだろう。新作のリリースだけではなく、素晴らしい音源の数々をこれから新たに再発していくという3LAの活動方針を僕は全面的に支持したいし、3LAの動きがあったからこそ、僕は今回SL'S3と出会う事が出来たのだ。何よりも何度も言うけど、本当に叙情的で混沌としたその音は多くの激情系・ネオクラストのファンを虜にするだけの物が間違いなくある。今回の再発を機に是非ともチェックして欲しい一枚だ。というかしろ。



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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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