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■HEART OF EVIL/GUEVNNA

HEART OF EVIL
HEART OF EVIL
posted with amazlet at 17.10.01
GUEVNNA (ゲヴンナ)
LongLegsLongArms Records (2016-10-21)
売り上げランキング: 300,710




ex.CoffinsのボーカリストであるRyoを中心に2011年に結成されたアーバン・ストーナー・ロックバンドGUEVNNAの2016年リリースの1stアルバム。
国内外問わずに激情系ハードコア/ネオクラストの音源をリリースする3LAからリリースされた事に驚いた人も多いはず。



当初はスラッジ要素の強い楽曲中心だったが、前作EP『Conspiracies』からその音楽性を大きく変えている。
今作は前作EPにて新たに提示した路線をさらに突き詰め、アーバン・ディスコ・ストーナーを色濃くアピールした快作だ。
ストーナー/スラッジ要素は今作でも確かに残っているが、今作でより際立つのはダンサブルなビート。
BONGZILLAテイストもしっかり感じさせつつ、ツインギターのリフとリードの絡み、土臭さあふれるフレーズなのに不思議とバンドが提示するアーバンな空気を堪能させてくれる。

タイトル曲となっている第3曲『Heart Of Evil』は4つ打ちのビートで踊らせるグルービーさとリフの煙たさが不思議なバランスで共存。アッパーでダイナミックな音に自然と体が動く。
第5曲「Parasitic」に至ってはよりダンサブルな要素を全面に押し出し、サビのボーカルとリフの掛け合いの所に吉幾三風味の合いの手を入れてしまっても違和感のない、日本人好みするダンスビートのディスコチューンだ。

また単にダンサブルな曲で攻めるだけで終わってないのも今作の注目すべき点。第4曲『Last Sleep』はスラッジ色の強いドープな一曲で、聴き手をズブズブと沈めていく。かと言ってエクストリームには絶妙に振り切らないバランスで楽曲が成り立つのは、楽曲そのものの練り込みがなせる技だろう。
ガッツリとストーナーに疾走する第7曲『Daybringer』からブルージーなフレーズの哀愁に酔いしれたと思えば、最後に今作一番のヘヴィなサウンドで爆走するカタルシスで締めくくられる第8曲『Burn』まで聴きどころがたっぷり。


ストーナー/スラッジといったエクストリームミュージックを大胆にアッパーに変貌させながらも、それらの音楽に対する敬意も忘れないバランスで成り立つヘヴィ・ロックはこれまでありそうでなかった物だろう。
また今作には歌詞カードこそ付いてないが、全8曲それぞれの楽曲をイメージしたアーティストANUSTESの手によるアートワークカードが付属しており、音だけでなくヴィジュアル面でも聴き手を楽しませてくれる。
都会の夜の情念と狂騒をストーナー・ロックから表現した大胆でありながらも妖艶でいてポピュラーな一枚だ。



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■【金星からマントルまで】ZOTHIQUE、ロングインタビュー

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 ZOTHIQUEは形容不可能な宇宙だと僕は思う。
 ハードコアパンクバンドHoly & Blightから始まり、改名、メンバーチェンジにより現在のZOTHIQUEが完成してから、ZOTHIQUEは常に想像の斜め上の音だけを生み出し続けている。
 毎年コンスタントにアルバムをリリースするハイペースな創作活動、日本全国に留まらず海外での積極的なライブ展開、ZOTHIQUEはこれまで常に止まること無く新たなる音を創造し続けた。
 Shusuke Shimonakaの脳内のコンセプチャアルな世界観を軸にしながらも、メンバー全員がコンポーザーであり、ハードコア・スラッジ・ドゥームに留まらず、アンビエント・サイケデリックを飲み込んで、金星から地底まで自在に行き来する未知の世界は既存の音楽の文脈から外れに外れており、ZOTHIQUEという言葉でしか表せない物になっている。
 今回はそんなZOTHIQUEの全容に迫るため、Shusuke Shimonaka(Vo.Gt)、Jah Excretion(Ba.Drone)、Darklaw(Key.Noise)、Koji Ueno(Dr)のメンバー全員集合インタビューを敢行させて頂いた。
 バンドの生い立ちから、ZOTHIQUEが信じるロックの魔力、そしてこれまでリリースした作品について色々と答えてくれている。



・まずはZOTHIQUEの結成から今に至るまでをお聞きしたいなと。

Shimonaka:元々は2007年か2008年頃にHoly & Blightというハードコアバンドを僕とKojiさんの二人で始めたんですよ。その時はヨナさんという女性ベーシストもいました。
 僕が最初にKojiさんと出会ったのは歌舞伎町のマザーというロックバーで、いつも潰れてる人がいるなって。それで話しかけてみたらハードコアとかが凄く好きでドラムをやっているという事だったので、「バンドやりたいのでやりませんか?」と誘ったんですよ。
 ヨナさんはマザーのバーテンダーで、聞いてみたらベースやっててパンクが好きで昔バンドやってたと言うから、無理矢理引っ張り込んで、最初は3人で幡ヶ谷のスタジオでCrassとかBad Brainsとか7 SecondsとかS.O.Dとかのカバーをやってました。

・その当時は完全にパンクバンドだったんですね。

Shimonaka:そうです。僕が好きなハードコアパンク、Kojiさんが好きなS.O.Dとかをカバーしてって感じでした。

Ueno:僕は元々はスラッシュメタルかな?

Shimonaka:それで毎週スタジオに入ってカバーをやっている内にオリジナルをやろうとなって、Holy & Blightというバンド名にしました。
 Holy & Blightと名付けたのは3人ともゴダイゴが好きだったので、ゴダイゴの曲名を拝借させて頂きました。それでオリジナルを始めました。
 僕は単純にハードコアパンクがやりたかったのですけど、KojiさんはHigh On FireとかSleepとか…

Ueno:その当時はスラッジとかストーナーを一番聴いてましたね。

Shimonaka:それでそういった音楽を教えてくれて、そういった音楽を取り入れようとなり、音源を録ってアースダムとかWALLに出演する様になりました。
 その頃に僕がたまたま高円寺に引っ越したタイミングがあり、高円寺のstudio DOMで「COSMO」というイベントがあったんです。それは色々なジャンルの訳の分からない音楽を一人でやったりバンドでやったりしている人たちばかりが出演して、二日間とか三日間とかひたすら4部屋のスタジオであらゆるアンダーグラウンドのミュージシャンが集まってライブをしまくるというフェスみたいな物でした。
 そこになんとなく自分も関わる様になって、DOMのオーナーさんから「ライブ出てみなよ?」と誘われたんですよ。そのコミュニティ自体には僕たちは全く属していなかったんですけど、そこにも自然と参加する様になって、そこで出会ったのがDarklawさんです。
 Darklawさんはその頃は「珍屋」という高円寺の北中通りのレコード屋のオーナーで、インダストリアルを一人でやっていたんです。それでDOMのオーナーさんが「Darklawというヤバいアーティストがいて、その人も出るからお前らも出ろ。」と言われて、面白そうだと思って「COSMO」に参加した時に何かの切欠で一緒にやろうとなったんです。

Darklaw:誘われただけだよ(笑)

全員:(爆笑)

Shimonaka:Holy & BlightはZOTHIQUEの原型みたいな所はあったんですけど、その当時は僕がサンプラーを使って色々な音をサンプリングした物を鳴らしながらやるってスタイルだったんですよ。
 ある日サンプラーが壊れて、代わりにDarklawさんにやって貰おうと思ったんです。それで「セッションやりましょう!」って誘って「COSMO」で半分セッションって感じでやった時に、何かがしっくり来て…その時にDarklawさんはACE TONEというオルガンを使っていてました。
 それでなし崩しな感じで音源を作ろうとなり、聞いてみたらDarklawさんはエンジニアでもあったという事で、そこも全部お願いして4人で音源を作りました。

・Holy & Blight時代からDarklawさんはメンバーだったと。
 
Shimonaka:でした。

Ueno:他にもジャンベのプレイヤーと一緒にやったりもあって、その当時から周くんはサンプラーに限らず何かを融合していこうというスタイルだったよね?

Shimonaka:そういう気持ちはありましたね。

Ueno:目的では無いにしても、自分のイメージしている感じでは単純に好きな音を加えるって感じだったのかなって。

Shimonaka:単純に自分には出来ない事をやってくれる人と一緒にやりたいってのはありましたね。

・バンド自体はHoly & Blightを母体にZOTHIQUEになった訳ですが、ZOTHIQUEへと変わった切欠は何だったのでしょうか?

Shimonaka:Coffinsの当時のメンバーだったRyoくん(現GUEVNNA)がドラムを叩いていた時期に一緒に対バンさせて頂いたりしていたこともあって、Coffinsが初めてのヨーロッパツアーに行く2011年にローディーとして来てほしいと誘って頂いたんです。丁度サラリーマンを辞めたタイミングだったのもあって二つ返事で同行させて頂く事になりました。
 その時はヨーロッパを2週間くらい回ったんですけど、「Roadburn Festival」というオランダで開催されているドゥームとかストーナーとかスラッジの祭典がありまして、その最終日にCoffinsが参加していたんですけど、そのツアー体験に触発されて、もっとヘビィな物をやってみたいなと思い始めました。
 で、日本に戻ってきた時にもっとヘビィでドゥーミーな音楽をやろうと決意し、バンドのコンセプト等を考え直して、その時に僕が昔から好きだったハワード・フィリップス・ラヴクラフトとかクラーク・アシュトン・スミスとかの自分のルーツになっているコズミックホラーな世界観をもう一回ひっくり返してみようとなり、それでHoly & Blightのメンバーに「バンド名を一回変えて、ヘビィな物をやりませんか?」とメンバーに打診して一度音源を録り直しました。
 その時に録った「The Circular Ruins」という曲をYoutubeにアップしたら、Agoraphobic Nosebleedのジェイ・ランドールがそれを見つけてくれて、「ネットでフリー音源をリリースしてみないか?」というオファーが来て、それでZOTHIQUEでもう一曲作って音源をリリースする事になり、そこからトントン拍子でZOTHIQUEという形が出来ました。
 その頃にヘビィで尚且つ何か気持ち悪く更にハードコアパンクが根っこにある、コンセプトありきの音楽を作っていこうというスタンスが自然と出来上がって、今に至っているという感じです。



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・ZOTHIQUEがこれまでリリースした作品はどれもコンセプチュアルなカラーが強いですよね。でも1stアルバムである「Alkaloid Superstar」はまだハードコア色が色濃い感じでしたね。

Shimonaka:ハードコアはやっぱり根っこにあるので拭い去れないですね。

・2ndアルバム「ZOTHIQUE」から今のZOTHIQUEのサウンドが固まった印象を受けます。

Shimonaka:1st以前のデジタルで音源をリリースした時からコンセプチュアルさはありましたが、そこから1stを制作した時は無理矢理スケジュールを組んで「取り敢えず作品を作りたい!!」って感じで物凄くタイトなスケジュールで録音したんですよね。
 その時はヨナさんも子供が生まれてバンドを離れていて、タケルっていう別のハードコアバンドをやっていたベーシストを引っ張り込んで何とか作った感じです。

・JAHさんの加入は1stリリース直後ですか?

Shimonaka:1stをリリースした直後に僕が単身で中国に半年程滞在しててブランクがありました。
 そこからまたライブをやろうとなった時に色々あってそのサポートベーシストが離れる事になって、でもライブは決まっていたからどうしようって時にJAH君に声をかけたらやってくれるって事になり、一回だけスタジオ入って本番でした(笑)。その時に全く予想してなかった音をJAH君が出してくれたんです。

・JAHさんが加入して方向性が固まったというか、かなりサイケデリックなサウンドになりましたよね。

Shimonaka:明らかにそうなりました。それが結実したのが2ndです。

・Darklawさんは元々インダストリアルの方ですし、JAHさんも元々はアンビエントのアーティストじゃないですか?それが今のZOTHIQUEの全員がコンポーザーってスタイルに繋がったと思います。

Shimonaka:それは狙ってそうなったというより、自然とそうなった感じです。一番最初は僕が全部曲を作ってましたが、1stもDarklawさんが作ったリフから生まれた曲もあります。
 3rdアルバム「Faith, Hope And Charity」のそれぞれが持ってきたアイデアを活かすっていうのは特に自然とそうなった感じです。

・3rdはJAHさんの作曲された「Venus」シリーズの2曲がZOTHIQUEの新たな可能性の生み出す切欠になったと思います。あの2曲はZOTHIQUEの中で何を表現しようと思って作られた感じですか?

JAH:最初に「金星」っていうテーマで曲を作ることになったから、金星の事を考えながら作りました(笑)。金星に行ける曲みたいな感じです(笑)。それとインストっていう指定も周くんからありましたね。

・3rdからインストの曲も取り入れる様になりましたよね。2ndの頃もそんな空気はありましたが。

Shimonaka:それはこういうのもやりたかったんだろうなっていう…自分一人では出来ないけど、自分と全然違うバックグラウンドの人がどう表現するのかっていうのを見てみたかったってのはありますね。
 そこに歌が無きゃいけないっていう縛りは必要ないのかなって。



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・3rdはUenoさんとDarklawさんも曲を作られてますが、個人的に意外だったのはDarklawさんが一番ヘビィで邪悪な曲を持ってきた事です。

Darklaw:それはZOTHIQUEなんで。元々はそうしたバックグラウンドがある上での結果ですよ。
 そもそもDarklaw名義での音楽はインダストリアルとは言ってはいますけど、僕の世代は色々な音楽が混じっている世代だと思うんですよ。だからインダストリアルがMinistryみたいにスラッシュ方向に行ったりとか、ハードコアがインダストリアルやり始めたりとか、それにジャンクロックとか色々あった世代なんで。
 自分が一番やりたい事は別の所でやれているから、逆にZOTHIQUEの中でやりたい事ってのは提示しやすいんですよ。

・だからDarklawさんは器用なアーティストだと思います。ZOTHIQUEというチャンネルもDarklawってチャンネルも存在してて。

Darklaw:まあ4バンドやってるんで。そこはやっぱりちゃんと切り分けないと。

Ueno:それをこなせてる時点で大分器用じゃないかなと。エンジニアもやってますし。

Darklaw:普段の生活が全く器用じゃないという(笑)。

全員:(爆笑)

Darklaw:私生活は全く器用じゃないけど(笑)

Ueno:疎かになっているという(笑)

Darklaw:そこをオチに(笑)

・Uenoさんの方はUenoさんの中のスラッシュが好きだったりみたいなルーツがあるじゃないですか?自分のルーツをどうZOTHIQUEに変換しているかとかありますか?

Ueno:僕の中にZOTHIQUEって概念は全く無くて、アルバムのコンセプトとかは全て周くんありきなんですよ。それに自分が持っている物を合わせて、いかに増幅出来るかってのを…無理矢理言うとそうですね。
 周くんとは音楽の趣味が合うってのもあるけど、ZOTHIQUEの概念は周くんの物ですし、それを僕が理解出来ているかも怪しいけど、そこはよく話しているから感覚的には分かるいう。どうしたら正解かなんて無いから、自分がやりたいことをやるってだけです。

・Shimonakaさんが思い描く世界観に、他のメンバー3人がそれぞれの色を加えて起こる変化についてはどう思いますか?

Shimonaka:それは自分の元々持っていた世界観以上の広がりと言うか、自分が想像もしていなかった世界が生まれるというか、新しい宇宙が生まれるって感覚が凄く面白いなって思います。
 自分だけの宇宙が、ZOTHIQUEの4人でやることで、自分だけじゃない宇宙が生まれるって事が滅茶苦茶面白いです!それはもうバンドマジックなのかもしれません。

・軸はShimonakaさんにありますけど、4人で作り上げた音っていうのが今のZOTHIQUEだと思います。

Shimonaka:今のZOTHIQUEの世界ってのは、自分が思っているZOTHIQUE以上にZOTHIQUEなんじゃないかなって。

・想像を超えた物を提示していると思います。

Shimonaka:もう金星どころか太陽系の外まで行ってしまって、どこまで行くか分からないけど、どこに行ってしまうかっていうのを考えるのが今は楽しいです。

・ある意味SF的な世界を。

Shimonaka:それは元々そうなんですけど、自分の想像の範囲を明らかに超えてしまったので、何だろう…自分が考えていたコンセプトが制御出来ない様な所にぶっ飛んでしまうという感じがあります。この4人で作品を作ったり、ライブをやったりツアーに行ったりしている中で。

・だからこそZOTHIQUEは良い意味でジャンルレスですよね。

Shimonaka:元からこういうジャンルでこうとかってのは考えてないので。

・人によってZOTHIQUEの何がフィットするかってのは全然違うと思います。ハードコアな部分だったり、ドゥーミーな部分だったり、ポストロック・アンビエントな要素かもしれなかったり、本当に人によって受け取り方も求める事も違うと思います。だからZOTHIQUEの音を受け取った人の抱く物はバラバラになると思うんですよ。
 さっきShimonakaさんも何処に行くのか分からないと仰ってましたが、聴き手は尚更良い意味で予想が出来ないと思います。僕はもう次のアルバムがどうなるか予想出来ないので(笑)。


Shimonaka:僕も分からないですね(笑)。

・それこそ純粋なロックの面白さじゃ無いかなと。

Shimonaka:それは本当に思います!ロックの面白さってそこだと思ってて、The DoorsもデビッドボウイもGrateful Deadもやっぱり次に何が出てくるか分からないとかが面白いと思うので。そこを狙うとか以前に面白い事をやりたいなって。

Ueno:ZOTHIQUEは周くんのコンセプトありきではあるけど、それってバンドサウンドでこういう音作りをしろっていう物じゃないじゃん?そこだよね。
 だから周くんがやっている事は、バンドメンバーがいてバンドやっている以上、周くんのコンセプトに合わせる為にコンダクトするというか、周くんはそれが上手いと思う。要はそういう人なり音なりを集めるというか。

Shimonaka:そこはよく分からないです(笑)

・多分Shimonakaさんは基礎的なコンセプト以外は何も狙ってないのかなって。Shimonakaさんのコンセプトってそれこそ精神的な物で、ルーツになっている小説だったりの世界観だと思うので。その精神的な部分を音で表現する時は何も狙ってないというか。

Ueno:そこの部分はバンドメンバーに任せているという。

Shimonaka:僕の中では映画を作っている感覚に近いんですよ。ビジュアルを担当する人がいたりとか、俳優の人がいて、舞台装置を作る人がいて、脚本家がいて、それをどう作品として成り立たせていくかっていう。ZOTHIQUEをやるってのは映画を作る感覚に近いのかなって。

Ueno:だから周くんはディレクトとかコンダクトとかマネージメントが上手いと思う。

Darklaw:周くんは多分そこら辺の実感は無いんじゃない(笑)。









・その映画的な部分が色濃く出たのが先日リリースされた「Limbo」(2015年12月のライブで無料配布、今後商品として流通予定。)だと思います。「Limbo」はどなたが作曲されましたか?

Shimonaka:原型は僕が作りました。

Darklaw:3,4年前に即興で曲を作るってなって、中野で僕と周くんで録音して、そこから何かを作りたいって感じだったかな?前半のアンビエントパートはその時に録音した物だね。

Shimonaka:元々の前半のピアノの音はDarklawさんと2人で録音して作りました。
 実は2ndに収録しようと思ってたんですけど、諸々あって収録出来なくて、当然3rdにも収録出来なくて、ずっと音だけ残ってたんです。
 それで3rdをリリースしてツアーが終わった後に、後半部分を作って一つの楽曲にしようと思い、それでタイトスケジュールの中でみんなでスタジオに入って後半部分を作りました。4年前から温めてた曲です。

・僕は宇宙的な意味でのZOTHIQUEを象徴する曲なのかなって。

Shimonaka:前半部分は4年前に作った物ですけど、後半部分はこの4人でしか出来ない物だと思ってます。4年前に出来た物と3rdを出してからのバンドのアンサンブルが違和感無く繋がったのも面白いなって。
 そもそもDarklawさんがエンジニアで、その技術が無かったら出来なかった物なんです。3rdもレコーディングもミックスもマスタリングもDarklawさんが全部手がけてますし、それも含めて作品だと僕は思ってます。1stも2ndもそうですし。

・レコーディングやパッケージングも含めて作品ですもんね。

Shimonaka:こうやってコンスタントに作品をリリースするってのもDarklawさんがいないと出来ませんし、もし別のエンジニアさんとかに頼んだらこんな感じではいかないなって。

Darklaw:周くんの良い所ってさっきも出たけどコンセプトが凄くしっかりしてるんで、そこに向かうだけで良いんですよ。
 それに加えてZOTHIQUEは凄くノイズ的なバンドなんですよ。最初に何かを作りたいって言って作らないから、結果こうなったらこれで良いじゃないかと。
 その後にライブで同じ曲を演奏するにしても、アレンジがどんどん変わっていくので、やっている事が凄く即興的なんですよ。人生その物も即興的なんですけど(笑)。

全員:(笑)

Darklaw:それに近い物が俺は好きなんですよね。最初から完成度の高い物を作るっていうより、ロックの鋭さってそうした部分も全部出し切る方が格好良いかなって。
 だからDarklawでの音楽もインダストリアルとは言ってますけど、実はロックだと自負してます。インダストリアルとかノイズってそこを一番抽出した部分だと俺は思ってるので。音じゃ無いんです。そういった意味ではZOTHIQUEは凄くノイズバンドだと思います。

・精神的ノイズバンドとして。

Darklaw:即興が利くバンドってそう中々いないじゃないですか?

・だからこそZOTHIQUEを聴いた人の受け取り方が全然違うんだなって。単純に面白いです。

Darklaw:音よりもキャラクター的な部分を見てもらった方が面白いのかもしれません。ロックってそんな物じゃないですか?

・ですね!ZOTHIQUEってロマンなんだなって!Darklawさんの捉え方はノイズとありましたが、僕は単純なロマンだと捉えてます。 そのロマンが何処に行くかが分からないという。それが宇宙かもしれないし、地底かもしれないという。地底もロマンなんですよね。マントルヤバい!!みたいな。

Darklaw:マントルは鉄分が凄いですからね。面白い話があるんですけど、マントルって元々鉄分じゃ無いですか?地底に行くほど鉄分も多いみたいで。宇宙はどこに向かうってなると、こないだどこかの記事にあったんですけど「実は鉄に向かっているんじゃないか?」ってありまして、全部鉄になるってのがあるらしく、あらゆる原子が鉄に戻っていくらしいです。
 だから上見ても下見ても「鉄か!!」ってロマンがあるんです。

Ueno:メタル!!

Darklaw:メタルに回帰だ!

全員:(爆笑)

・それでは最後に今後の事ですが、これまで毎年コンスタントにアルバムをリリースしてましたが、今後もハイペースに創作活動を続ける感じでしょうか?

Shimonaka:いや~今年はまだ分からないですね(笑)。でもアイデアは今この瞬間から生まれているので今年もアルバムを出しますよ!

・でも制限の無いバンドじゃないですか?

Ueno:昨日無かった制限が明日あったりもあるので(笑)。

Shimonaka:気分屋なんで(笑)。

・ライブも積極的ですよね。

Shimonaka:ライブは去年も一杯やりましたし、今年も色々お話を頂いて決まってきてます。何よりも面白い事をやっていきたいので、それだけです。



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【ZOTHIQUEライブ予定】

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2/6 (SAT) 国分寺モルガーナ
With/ BIRUSHANAH (大阪), Airtonic 
Open18:30 Start 19:00  ¥2000+1D




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2/7 (SUN) 東高円寺二万電圧
With/ OOZEPUS, Sithter, Su19b, マグダラ呪念, ダンウィッチの犬
Open.17:00 Start.17:30  Adv.2,000yen Door.2,300yen (+1d 500yen)




2/21 (SUN) 西荻窪FLAT  
With/ Pinplick Punishment




【オフィシャルサイト】http://zothiquejp.blogspot.jp/
【Facebook】https://www.facebook.com/zothiquejp/
【Twitter】https://twitter.com/zothique_doom
【bandcamp】http://zothique.bandcamp.com/music



photographer : 杨有情

■Disrotted / Su19b Split

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 アメリカはシカゴの陰鬱ドゥームバンドDisrottedと日本は神奈川のブラッケンドパワーヴァイオレンスSu19bが遭逢してしまった闇黒スプリットがObliteration Recordsからドロップ。全4曲なのに合計43分にも及ぶ幽々たる作品になってしまっている。しかもDisrottedに至っては29分にも及ぶ超大作1曲のみの提供と来てしまっている。完全に狂っている。



 先攻Disrottedは前述の通り、29分にも及ぶ漆黒ドゥーム「Infernal Despair」の1曲のみの提供。29分というロングセットな楽曲の中で渦巻く重苦しさは常人には耐え難い苦痛なのかもしれない。
 展開も少なくひたすらにリフの反復と地の底から響くようなボーカル、亀よりも遅いんじゃないかって遅さで強烈に押し潰すビート。ドローンやノイズ要素もかなり色濃く、歪みすぎた黒檀のノイズが延々と続く中盤のパートは体感時間の感覚も歪んでしまうこと請け合い。
 終盤になるとノイズもよりハーシュノイズに近いものになり、陰鬱さとか暗黒さというより完全に拷問の領域に達してしまっているし、アウトロのドローンなノイズにやっと一つの美しさを見出せる。
 最早ストイックなんて範疇じゃ無いし、気が触れているとしか思えないけど、29分にも及ぶドゥーム地獄を超えた先の解放感はとんでも無い。同時に神秘的で荘厳な空気も身に纏い、輪郭が全く掴めない音であるからこそ、その窒息感すら快楽になってしまうだろう。超遅重の空気の果てには新しい悟りの世界が待っている。

 後攻のSu19bは3曲を提供。合計13分となっているが、こちらも烏木の音が渦巻く地獄変だ。
 今年リリースされた1stアルバム「World Is Doomed To Violence」にてブラッケンドパワーヴァイオレンスを確立し、激速と激遅の原始的なドス黒さと神秘的世界を見せつけたけど、それがより深く踏み込んだ場所へと到達した。
 7分に及ぶ「The Sun Burns Black」でもよりメロディが喚起される音が増えており、ギターの音自体は相変わらず歪みに歪みまくっているけど、不思議とフューネラルな空気を感じさせ、Disrottedとはまた違う重力を生み出す。しかし唐突に入り込む激速ヴァイオレンスパートから再び激遅無慈悲獄殺パートを経て、最後にまさかのクリーントーンの奈落で締めくくられてしまっている
 無音パートで息を飲ませ、激遅終わるかと思わせて最後の数秒の激速ブラストで終わりという1分弱の理不尽「Shortage of Oxygen」、Su19b節を炸裂させながらより黒く研ぎ上げられた「No One Is Immortal」とバンドの新機軸を見せつつも結局は不条理に不条理を重ねた混沌に行き着く。他のバンドには絶対に無い極致の世界をSu19bは持っているのだ。



 極端であらゆる方量や限界といった要素を無視しまくっている泥梨でインフェルノな漆黒スプリット。終末感とか世界の終わりなんて言葉がチンケに聞こえる位に理不尽に極限だけを叩きつける。
 DisrottedもSu19bも共に他の有象無象を全く寄せ付けない魅力に溢れ、洗練やメジャー感とは無縁のまま深さだけを追い求めている。改めて言うが完全に気が触れているスプリットだ。



■Faith, Hope And Charity/ZOTHIQUE

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 先日、GUEVNNAとフランスのAguirreと共に10日間にも渡るツアーを繰り広げたサイケデリックドゥームバンドZOTHIQUEから早くも3rdアルバムが届いた!
 前作から僅か一年での新作リリースとこのバンドの創作意欲は止まる事を知らないし、2013年から毎年必ずアルバムをリリースし続けるのは並大抵の事じゃ無いだろう。
 そして肝心の内容は、息が詰まりそうな窒息的ドゥームを展開していた2ndと打って変わって、ZOTHIQUEが持つ音楽性の多様さと可能性が全面に出た作品となっている。



 今作ではフロントマンの下中氏がメインコンポーザーを務めていたこれまでの作品と違い、各メンバーがそれぞれ楽曲を制作するというスタイルで作られており、それがバンドの音楽性の多様化に大きく繋がっている。
 先ず驚いたのはソロ活動もしているベースのJah Excretion氏作曲の第1曲「Venus I」である。これまでのZOTHIQUEに無かったアンビエント・アトモスフェリックな空気感の音像が響き、中盤からはまさかの美轟音サウンドだ。
 サイケデリックな空気感も存在するが、これまでのZOTHIQUEのヘビィさとノイズによるグチャグチャなサイケデリックでは無く、美しい調和が徐々に歪む酩酊世界。まさかの一手だ。

 だが下中氏作曲の第2曲「The Tower Of White Moth」では見事なまでにZOTHIQUE節炸裂なスラッジハードコア!!ノイズとキーボードの歪みまくった味付けこそあるけど、クラスティなビートとヘビィなリフで爆走する、スラッジ・ドゥームだけじゃなくハードコアな魅力を全面に押し出して攻める。
 DARKLAW氏作曲の第3曲「Hijra」でまた一転してダウンテンポの極悪な一曲。こちらは重さだけじゃ無く締めつけも加わり、反復リフ圧殺曲だが、リフ以上に爆音のノイズがその輪郭をドロドロに溶かす。
 2ndからのノイジシャンが2名も在籍する編成のZOTHIQUEになってからカオス感が余計にタチが悪くなったと思うし、1stの頃のサイケデリック要素は味付けであくまでヘビィでストレートなハードコアだったZOTHIQUEはもういない。
 かと思えばドラムのKoji氏作曲の第4曲「Faith, Hope And Charity」はZOTHIQUE流サバス系統ドゥームというノイズが暴れながらも正統派を突き進んでいるし前半4曲でもう実態は解明不可能だ。

 第6曲「Amyotrophy」はZOTHIQUE史上最もストレートなハードコアパンクがぶっ飛んでくるし、JAH氏作曲のアンビエントな第7曲「Nomadic」を挟んでの第8曲「Valley Of Tears」で今作でのZOTHIQUEの到達点がやっと見えてくる。
 ストレートなハードコアも治安が悪いスラッジもアンビエントもサイケデリックなノイズも今作には存在しているが、クライマックスは物悲しさ溢れる歌物が来てしまった。
 日本語詞でセンチメンタルな喪失感を歌い上げ、ギターは勿論、ノイズキーボードも声を上げて泣き叫ぶ様なピュアネス。地獄巡りかと思わせて、人間臭さしか無い爆音のバラードだ。
 そして最終曲「Venus II」で全ての音が暴れ狂う涅槃へと堕ちていく…。



 それぞれの楽曲だけをピックアップすると作風も音も混沌を極めている様に見えるけど、アルバムを通して聴くと前作以上にストーリー性や世界観を感じる事が出来るし、ヘビィさや既存のサイケデリックでは無く、ヘビィさを自由に使いこなし、ノイズすら自在に操るドロドロの音。
 1stがハードコア色が強く、2ndはドゥーム色が色濃かったが、その二枚の流れを汲んだこの3rdは純粋なサイケデリックを追求しているのかもしれない。
 どっちにしろZOTHIQUEはまたしても別次元の作品を作り上げてしまったのだ。



■魔境 -MAKYO-/Birushanah

魔境 -MAKYO-



 大阪のスラッジトリオBirushanahの2015年リリースの最新作であり、前作まで参加していた唯一のオリジナルメンバーであったSOUGYO氏脱退後初の音源。
 バンドの創設者が脱退しベースレスになるというピンチを迎えていたが、それを逆手に取りギター・ボーカル・ドラム・メタルパーカッションによる独自の呪術スラッジをより濃厚にスケールアップした会心の一作となっている。
 BirushanahにとってSOUGYO氏のベースはかなり重要な存在であったし、それが欠けてしまうのはバンドの持つ独自性が崩壊してしまうんじゃないかって勝手に心配していたけど、そんな心配は不要でしか無かった。ベースがいなくなった分、各楽器の持つおぞましさが余計に際立ち、アジアンテイストな密教世界を描く。

 第1曲「薔薇小夜も兔」の冒頭でこそ和太鼓と和笛の音をフューチャリングこそしているけど、残されたメンバー三人の演奏が肝になっており、特にドラムとメタルパーカッションのビートは更に磨きがかかっている。
 ドラムに関してはよりパワフルになり、祭囃子感をこれでもかと押し出しまくり、それに加えてSANO氏のメタルパーカッションの金属の破裂音も無慈悲な不協和音でありながら、その音だけで踊れるダンスミュージックだ。
 唯一のメロディ楽器であるISO氏のギターもスラッジリフがダイナミックに炸裂し、ベースの不在を感じさせない重低音溢れるスラッジリフを奏でているが、そこから感じる和音階のメロディにより、破壊力だけじゃ無く、Birushanahの持つ世界観がより明確に伝わる。

 今作の一番の特徴としては歌物作品となっている事だろう。サウンドこそ呪経的スラッジではあるけど、そこに乗るISO氏の歌はロマンの塊だ。
 歌詞こそ独特の言い回しを駆使してはいるが、変拍子だらけのビートとリフに歌を浸透させる事によって、非常に自然体のサウンドが完成している。
 第3曲「星々の名残」はそのヴォーカルから80年代のポジパンだったり、YBO2的なプログレの空気も感じるし、バンドのアプローチもそういったバンドの文脈に確かに繋がっている。
 削岩機の様なドラムとメタルパーカッションの応酬とギターリフと歌の謎の高揚感から一撃必殺スラッジを繰り出す第4曲「瞼色の旅人」、14分に渡りスラッジプログレなサウンドスケープを展開し、現在のBirushanahのエクストラヴァージンな要素とロックンロールな要素を最後には噴出する最終曲「鏡」は今作でも特に大きな聴き所だろう。

 これまでのディスコグラフィの中でも屈指の整合性とキャッチーさを持つ作品だが、そのキャッチーさが逆にBirushanahの異形さを浮き彫りにし、ベースがいなくなった事によって生まれた引き算の美学を感じる作品だ。
 全5曲50分の魔境への道中はファンタジーでもあり、どこまでもスリリングだ。メンバーチェンジを繰り返しながらも、新たな細胞分裂により生物として更に進化したbirushanahここにあり!!



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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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