■タグ「ダブステップ」

■Posthuman/JK Flesh


POSTHUMAN (ポストヒューマン +ボーナス・ディスク)POSTHUMAN (ポストヒューマン +ボーナス・ディスク)
(2012/05/09)
JK FLESH (JK フレッシュ)

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 今年は再結成したGodfleshでの待望の来日というニュースも入り込んでいる我らが孤高の天才ジャスティン先生。Jesuを始めとして本当に数多くのユニットで活動し、その創作意欲には脱帽の一言だが、彼が新たに始めたユニットがこのJK Fleshであり、今作は2012年にリリースされた処女作。Jesuではヘビィでありながらも天へと昇る美しい光の福音を鳴らしているが、今作はGodfleshを彷彿とさせるユニット名通り、インダストリアルへの回帰で終わらないジャスティン先生が描く新たな闇の始まりが録音されている。



 基本的な音楽性は打ち込みによるインダストリアルのビートを基調にした、Godfleshの先の音とでも言えば言いのだろうけど、ジャスティン先生がただ単にインダストリアルに回帰して終わる筈が無く、Blood Of Heroesでの経験を生かした緻密なビートの構成とダブステップ要素を盛り込んだインダストリアルサウンドはGodfleshとは全然違う。第1曲「Knuckledragger」から不穏の空間的コラージュの音色とヘビィなギターが地を這い、血を吐き散らし、無慈悲なリズムマシーンの冷徹なビートと共にジャスティン先生は加工しまくったボーカルでJesuでは全然聴かせなかった暗黒のボーカルを解き放っている。ビートの構築理論なんかはインダストリアルのそれだけど、単純なインダストリアルで終わらないダブステップのドープさを生かしたビートの構築により、ダンスミュージック特有の快楽的要素を切り捨てて、脳髄に染み込む闇が呼応している。第2曲「Idle Hands」ではジャスティン先生のヒステリックな叫びと激重インダストリアルギターと踊れるビートである筈なのに無慈悲に死刑宣告を繰り出すビートが化学反応を起こし、肉体を高揚させつつも、精神面と脳髄をドープなビートの闇に叩き落す暗黒ビート地獄とも言うべきサウンドが展開されており、とにかく熾烈さを極めまくっている。一方で第3曲「Punchdrunk」ではアーロン先生とタッグを組んだユニットであるGreymachineを彷彿とさせる暗黒ノイズが不協和音として吹き荒れる地獄サウンドを展開しているし、第4曲「Devoured」はかなりダブステップに接近した曲、第5曲「Posthuman」ではドラムンベースの要素を取り入れ、今作で最も踊れるビートを展開しながらも不穏のサウンドがただ単に躍らせるだけでなく、脳髄の覚醒を強制的に発生させて冷や汗と血飛沫の中で覚醒したまま踊るといった楽曲に仕上がっている。、暗黒と無慈悲さの規格こそは徹底しているけど、まるでジャスティン先生のこれまでの数多くのユニットでの経験をフルに生かしたサウンドの幅広さや、それを完全にJK Fleshの音としてアップデートした力量、本当に孤高の天才の本気が炸裂しまくっている。後半の楽曲はインダストリアルのビートの重さを分解し再構築した事によってビートの重みを十二分に生かした上で、複雑なビートが細部まで構築され、そして新たな闇を描き出しているといった物になっており、特に最終曲「Walk Away」では現在メインのユニットであるJesuを若干ではあるが感じさせるボーカルを展開し、闇と微かな色彩がビートと共に交錯し、閉塞的な楽曲ばかりが続いた今作の中で最も開放的な展開と音を見せてくれて、その高揚感と共に聴き手は完全なる死を迎えるのである。



 単なるGodfleshへの回帰とは全く違う、Godfleshも含めたジャスティン先生の長きに渡る多数の音楽活動の経験と叡智をフルに生かした完全なる暗黒ジャスティン劇場であり、徹底してドープな漆黒の奈落が広がる1枚となっているし、Jesuでのイメージを完全に破壊しかねない闇の賛美歌集。2012年だからこそ生まれた作品であると思うし、ジャスティンは何一つ歩みを止めないし、あの化け物は常に進化を続けている事を証明した怪作だ。ヘビィさとダークさがビートの轟音として脳を洗浄する渾身の作品。もう何て言うか皆さん死ぬ前に聴いて下さい。



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■James Blake/James Blake


James BlakeJames Blake
(2011/03/22)
James Blake

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 世界各国で多くの賞賛を浴び、この日本でも話題にもなっている新鋭のポストダブステップのアーティストであるJames Blakeの2011年発表の1st。今作で日本でもブレイクを果たしたと言っても過言では無い。James Blakeの音は最小限の音で生み出すビートと旋律の美しい機能美と儚げな歌声が生み出す静謐さの中のどこか耽美な音の奥深さに気が付けば引き込まれてしまっているのだ。



 基本的には王道のダブステップの音の揺らぎを生かしたビートが主軸になっているのは間違い無いのだけれども、最小限まで絞った引き算によるビートと音の構成理論は静けさの中で一個一個の音が確かな存在として鳴らされている。効果的に取り入れられるシンセの旋律の歎美さも美しく、音的にはスカスカではあるけど、その空白も生かすビートの機能美はJames Blakeの手腕が光る。しかしJames Blakeの儚い歌声を生かすという意味でこの楽曲の作り方は本当に大きな意味を持っている。今作は非常に歌物要素の大きい作品であると言えるし、そのサウンドフォルムは歌を最大限に生かすのに大きな効果を持っている。第3曲「I Never Learnt to Share」なんてそんなJames Blakeの歌を堪能できる1曲だ。その中で時折主張を強めるシンセとビートがまた楽曲に良いアクセントを付けているし、その旋律は甘い哀愁にも満ちているからこそダブステップとしての音の機能美と染渡る歌の両方を生かし堪能出来る様にしているのがニクい。哀愁のピアノと揺らぎのビートに乗る歌声が非常にソウルフルな第6曲「Limit to Your Love」の最小限の音と歌で生み出す深遠さにはかなり引き込まれるし、ミニマムなビートの中で幽かな光が差し込む様な第1曲「Unluck」と聴き所も多い。哀愁の歌とビートが生み出す幽玄な音の世界には本当に引き込まれる。



 James Blakeの音は多くは語らないが、その最小限の音の中で微かな感情が確かに根付く感触がある。独創的な音と同時に研ぎ澄まされたビートは聴き手に覚醒感を時に与えてくる。そしてコンパクトな作りの中でどこまでも心にスッと入り込んでくる歌は世界を虜にするのも納得である。新鋭アーティストによる静謐で優しいビートと歌の世界の効力は本当に大きいみたいだ。

■The King Of Limbs/Radiohead


The King of LimbsThe King of Limbs
(2011/04/05)
Radiohead

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 twitterから始まったハチ公騒動にてRadioheadがいかに現在に至るまで多くの人々に大きな影響を与えているかを証明したのは記憶に新しいが、そんなレディへの11年発表の最新作。今作は再び暗黒のブレイクビーツが咲き乱れる作品になっており、ダブステップを取り入れた事によって電子的な無機質な暗黒さを持つレディへが更に進化した作品だと言えるのではないだろうか。細部まで練り込まれている音も印象的だしドロドロとして陰鬱さが今作には満ちている。



 静謐で不穏なピアノの音からじわじわと聴き手を侵食していく第1曲「Bloom」に始まり、ミニマムにループするギターとビートが聴き手の脳髄を犯す第2曲「Morning Mr Magpie」とレディへらしい陰鬱さはしっかりと持ちながらも、より無機質な音が連なった事によって非常に不気味な音になっている。トムの歌声は相変わらずパラノイア全開だし、精神世界を揺さぶりロックを否定したレディへはやはり今作でも健在なのを証明している。
 ダブステップ要素の強い前半から第5曲「Lotus Flower」の漆黒ダンスナンバーで今作は一気に作品の色が変わっていく。無機質さと不穏さを持ちながらも、より精神面に落ちていくような楽曲が並び始めている。「Lotus Flower」は無感情な冷徹さが何故か奇妙な美しさを生み出しているし、第6曲「Codex」の美しさはやはりレディへならではの物だ。不穏の精神世界の旅を終えた先に待つ第8曲「Separator」の深遠な音で今作は終わる。



 今作は不穏でミニマムな作品でありながら、かなりコンパクトな作品であるし聴き易さを持っている。その反面レディへが持っている暗黒の陰鬱が高い濃度で出ているし、陰鬱さを極めるロックを否定するレディへはやはり健在だと再確認させられた。決して派手な作品では無いがレディへの新たな進化を確かに感じる作品であるし、レディへはいつでも自分達を否定し作品を更新していく。ただ核になっている暗黒さと精神世界だけは絶対に揺らぐ事は無いのだ。

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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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