■タグ「ポストメタル」

■All Creation Mourns/Presence of Soul

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 Yuki嬢とyoshi氏はかつて東京酒吐座に参加していたり、ベースの中山氏はワゴムにも参加していたりとメンバーが多岐に渡って活動しているPoSの実に7年振りとなる待望の3rdアルバム。ミックス・エンジニアは前作に続き中村宗一郎氏。
 フランスのLes Tenebres Recordsからリリースされており、bandcampでのデジタル販売と物販とオフィシャルサイトでの通販の方でのアナログ盤の販売という形式で入手可能となっている。またデジタルとアナログ盤の方では収録曲に若干違いがあるが、僕はアナログの方で購入したのでそちらで紹介の方は書かせて頂きます。



 前作「Blinds」からバンドの編成自体も大きく変わっており、それを機にシューゲイザー×ポストロックな音をよりヘビィにさせてポストメタル化を果たしている。前作の儚いシューゲイザーサウンドを受け継ぎながらも、スラッジ要素も加え美の旋律とドス黒い轟音とヘビィネスが渦巻く様は日本のYear Of No Lightとも呼ぶべき音だ。そこに儚げなYuki嬢のボーカルが乗るという幻想の音。
 第2曲「The man who leads the mad horse」から明らかにメロディにゴシックな耽美さとダークさが存在しており、消え入りそうな美しさが奏でられていると思ったら、終盤では刻み付けるリフの一転攻勢からの凍てつく波動の様な破格のスケールのブリザードノイズへ!!
 wombscapeのボーカリストであるRyo氏がゲストボーカルを務める第3曲「Genom」は更にスラッジ色を強め、リフと轟音が渦巻く中で聴かせるRyo氏のボーカルはヒステリックで痛々しく、より曲の持つ絶望感を加速させる。
 宗教的な空気感を感じる旋律が歪みを想起させ、重力に押し潰されそうなスラッジリフによる悪夢である第4曲「Teaching of necessary evil」は現在のPoSを象徴する楽曲になっている。この曲をライブで初めて聴いた時に僕は「PoSは日本のYear Of No Lightや!!」なんて興奮したんだったな。
 だけどダークネスと暗黒スラッジだけで終わらないのがPoSだ。前半の楽曲も複雑に絡むギターと構成美を生み出すリズム隊の骨組みがアーティスティックな空気を確かに生み出し、ヘビィさの中でメロディやストーリーを聴き手に想起させる事に成功している。
 終盤は一転して黒を乗り越えた先の救いの白を描く楽曲。ピアノの音色とストリングスとシューゲイジングギターとYuki嬢の歌声のあまりの美しさに言葉を忘れそうになる第5曲「You'll come to the apocalypse at last」はMONOにも負けないであろうレベルの壮大なスケールとクラシカルさ。終盤のパートはGY!BE辺りにも通じるクライマックスであり素晴らしい!!
 そしてよりオーケストラ的な音色が増幅した最終曲「circulation」の清流の音から天へと導かれる高揚感と疾走感のラストは「今日を精一杯駆け抜ける君に鼓動を刻む明日は来る」って気持ちになってしまう事間違いなし。



 7年振りの3rdという事もあって前作から音楽性も大きく変化しているが、PoSの描く美しさをより際立たせる為のポストメタル化は必然であったと思う。日本でここまでのクオリティのポストメタルな音を聴かせるのはPoS以外だと現在のTHE CREATOR OFややWonderLandや現在のOVUM位しかいないんじゃないだろうか?
 ドス黒い轟音とヘビィネスの凄まじさから、その先にある美しい原風景の様な救いの音色には心が洗われる事間違いなし。国産ポストロックの新たなる進化を刻み付ける名盤となった。



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■Aeon Unveils the Thrones of Decay/Downfall of Gaia





 いよいよ来日が迫ったジャーマンブラッケンドクラスト最高峰であるDoGの2014年リリースの3rdアルバム。前作の2ndアルバムから大手レーベルMetal Bladeと契約。音楽性もネオクラストに留まらずポストメタル化し、世界で名前を上げていった。
 そして今作ではそこにブラッケンドの要素も持ち込み、更なるクロスオーヴァーを果たしている。曲も殆どが10分近くと大作志向もより強くなった印象だ。



 前述通り長尺で複雑な楽曲構成の曲が殆どとなっており、それは前作でも存在した要素ではあるけど今作ではかなり色濃くなっている。
 ブラッケンドにも接近した音になっており、トレモロリフがダークなメロディを奏でるパートも多数存在するけど、ブラックメタルに接近したというよりはポストブラックに近い印象で、それらのバンドが持つアート性がDoGの目指す音と合致した結果のクロスオーヴァーといった感じだ。
  波瀾のトレモロとブラストの大津波にいきなり飲み込まれそうになる第1曲「Darkness Inflames These Sapphire Eyes」から破壊力は抜群。時折盛り込む引きのパートやポストメタル要素でコンセプチュアルアートな世界観を表現するが、それを塗り潰す音の洪水は美しくありながらも恐ろしい物。
  ダウンテンポから獅子奮迅の音へと雪崩込む第2曲「Carved into Shadows」も変わらず破滅的であり、彼らはポストメタル化したとかブラッケンドに接近したという以上に根底にあるハードコアの怒りのエナジーを凄く大切にしているとも思う。だからここまで大作志向でアーティスティックな作風になっても、激動の音は日和ったりせずに寧ろパワーアップしているのだろう。
 中盤もトレモロとポストメタル的ダウンテンポとブラストが交互に攻める黒斑の音ばかりが続き病み捲りそうになるけど、12分近くにも及ぶ第6曲「Whispers of Aeon」ではアンビエントやインプロといった要素も盛り込み、不規則で不安な配列の音が混沌の前準備をしてからラスト1分半をブラストとトレモロで駆け抜ける展開は痺れる格好良さだ!!そして最終曲「Excavated」で今作一番の悲哀のメロディを美しく奏でる。



 殆どの曲が10分近くにも及び、、前作や前々作以上に音の濃度も高くなっていて軽々しく聴ける感じの作品では無いと思う。実際にアルバムを通して聴くと何とも心地よい疲労感があったり。
 けれどもどんなに音をクロスオーヴァーさせて大作志向になろうともDoGのネオクラストから生み出した美しく燃えるメロディセンスは今作でも健在である。クラストだとかメタルなんて関係なしにより邪悪にDoGはパワーアップしたのだ。
 DoGは2015年11/13日の大阪火影、11/14・11/15の新大久保アースダムでのTJLA、11/16の新松戸FIREBIRDと四日に渡り日本でショウを繰り広げる。さあ漆黒が燃える瞬間はもうすぐだ。




■De Fragments/Milanku

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 2013年秋の魂を震わせまくった来日公演から2年、今年で結成10年を迎えるMilankuの3rdアルバムが遂に届いた。リリースは勿論Tokyo Jupiter Recordsから。来日公演後にオリジナルメンバーのギタリストの脱退があり、後任にはDark CirclesのFrancoisが就任。Francoisは今作のアートワークも手がけている。マスタリングはHarris Newman (Godspeed You! Black Emperor, Eluvium, Baton Rouge)が担当。



 メンバーチェンジこそあったけど、今作でも基本的な路線は何も変わっていない。轟音系ポストロックとポストメタルを基軸に、真正面からドラマティックな轟音をぶつけてくる。正統派ではあるが、メロディセンスは更に磨かれている。
 静謐さから激へと展開していく定番な手法は今作でも健在だし、常にメランコリックが泣き叫ぶギターとダイナミックなビートと男臭さ全開の魂の咆哮。シンプルな手法を用いているからこそ不純物ゼロのクリアな激情はどうしても胸に込み上げる物しかない。
 大きく変化した点があるとしたら長尺曲が大分減り、4分台とかのコンパクトな楽曲が主体になり、楽曲展開にもサウンドにもハードコアな直情的なアプローチが増えた事だろうか。マーチングの様なドラムの応酬から前作以上に切れ味鋭く切り込む轟音フレーズが印象深い第1曲「Fuir Les Jours」からもバンドの進化は伺える。
 前作でもこれでもかと展開されていた白銀の轟音は幻想的なメロディはそのままに、肉感的な感触も増えていると思う。第3曲「On S'épuise」はこれまでのMilankuには無かったアプローチが見え隠れし、第4曲「La Dernière Porte」の疾走感もこれまでには無かった音だ。
 そんな中でもMilanku節とも言える轟音系ポストロックと激情とポストメタルのハイブリットさ、繊細さとダイナミックさが生み出す揺さぶりの激情の集合体な第5曲「L'ineptie De Nos Soucis」は今作のハイライトとも言える名曲であり、今後のMilankuの代表曲となるだろう。
 第6曲「Dans Les Absences」ではインスト的なアプローチを繰り出しながらも終盤ではnone but air (at the vanishing point) のnisika氏のゲストボーカルが生々しい血の叫びを披露。そしてラストはMilanku史上最もポストメタルでヘビィな「Ce Fut Quand Même Notre Histoire」で寒々しい世界観を生み出しつつも、それを吹き飛ばす熱情で締めくくられる。



 地道にだけど着実に歩みを進めてきたMilanku。国内外問わずに短命で終わってしまうバンドも多い中、10年に渡って活動を続けこうして3rdアルバムをリリースしたのは何とも感慨深さがある。
 多少の変化こそはあるが、それは進化という言葉の方が正しいし、1stの頃からMilankuは優しい至福の轟音と激情をブレずに描き続けている。それが僕は本当に嬉しい。今作も前作同様に至高の一枚。購入は勿論Tokyo Jupiter Recordsのストアの方で可能だ。



■Altar of Complaints / SeeK / Stubborn Father / Thetan 4way split 12inch

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 日本・大阪とアメリカ・テネシー州ナッシュビルの日米バトルロイヤル4wayスプリット!!大阪のSeekとSTUBBORN FATHER、テネシーのAltar of ComplaintsとThetanが正面衝突する激音スプリットがMeatcube、Kakusan Records、3LAからの3レーベル合同リリース。
 このスプリットはテネシーと大阪という国境を超えたスプリットであり、4バンドの音楽性は一見するとバラバラではあるが、ローカルから新たなる激情・カオティックを鳴らす孤高のバンドが集結した実に大きな意味を持つスプリットだ。日本国内でのリリースは勿論俺たちの3LAから。アリチェン感のあるジャケットもナイス。



 Altar of ComplaintsはCease Upon The Capitol,、Dolcim,、Dawn、 Karoshiといったテネシーを代表するバンドのメンバーが現在進行形で動かしているバンドであり、今作では3曲提供。
 激情系ハードコアmeetsシューゲイザーな音楽性はCease Upon The Capitolから変わらないし、今作に収録されている楽曲もナード感全開な繊細な美メロが響き渡っているが、それらの音楽性の融合にオリジナリティを求めるのでは無く、その先にある純粋な衝動を追求している。
 特に「Tuffcoupleoctopus」はシューゲイズ要素を削ぎ落とした楽曲だからこそのアグレッシブなフレーズが交錯する名曲となっており、かつてのUS激情の空気感を漂わせつつも、懐古主義で終わらないフロンティア精神に溢れている。

 SeeKは「革命と緩和」の1曲のみの収録であり、今作では唯一の長尺曲。
 一昨年リリースしたEP「崇高な手」にてツインベースによる激重低音と怒号が渦巻くアングリーでありながら美しくもある孤高の世界を描いていたが、「革命と緩和」はその方向性をより突き詰めている。
 「朽ちていく中で」ではポストメタルな音楽性を披露していたが、その要素を現在のSeeKの強靭なサウンドに持ち込んでいるからこその美重音が炸裂。
 楽曲が進んでいくにつれて奈落感が増し、激昂する音と叫びが悲痛に訴えてくるSeeKの真骨頂がそこにある。

 STUBBORN FATHERはMeatcubeからリリースされたディスコグラフィーに収録されなかった「未定」と「創造の山」の2曲を現編成で再レコーディングし提供。
 Trikoronaとのスプリットでは行き先不明な衝動がアグレッシブかつ予測不能に乱打されるエモヴァイオレンスサウンドを展開し、時流に流されないブレない精神を見せつけていたが、過去の楽曲でもその不屈の精神は健在。
 初期衝動の一番純粋な部分だけを形を変えて繰り出す「未定」もそうだけど、エモヴァイオレンスよりもストレートなハードコアサウンドが爆発する「創造の山」は未だにSTUBBORNのアンセムであるし、ザクザクと刻まれるギターリフやパンキッシュなビートの馬力と共に創造を解放する高揚と慟哭!!この得体の知れないマグマの様なドロドロとした熱さこそSTUBBORNの魅力だ。

 メロディッククラストSanctionsのメンバーによって結成されたThetanはショートカットな全6曲を提供。今作の中ではかなり異質な存在感を放つ。
 音楽性はクラストやグラインドといった要素がかなり色濃く、ノイジーな音を初期衝動オンリーで突き抜けさせるスタイル。メロディアスさよりも音のパワーに全力を尽くした脳筋スタイルでありながらも、Trikoronaなんかにも通じる不条理なパワーヴァイオレンス感もあり、ハウリング音が渦巻く中で、巨根なビートでガンガン突きまくる男臭さが堪らない!!



 4バンドのベクトルはそれぞれ違うけど、ローカルに根付き、より深く潜っていく様な音をそれぞれ提供している。
 それぞれのバンドが激音で共鳴し、流行りに流されないブレの無さを持つ。その精神こそが本当のハードコアパンクであると僕は勝手に思っている。
 今作は3LAにて購入可能。日本での流通枚数はあまり多くないらしいのでお求めはお早めに!!



■Qual der Einsamkeit/Sequoian Aequison

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 ロシア・サンクトペテルブルクのインストゥルメンタル/ポストロックバンドSequoian Aequisonの1st EP。日本盤はTokyo Jupiter Recordsから100枚限定でのリリースとなっている。2014年に1stアルバム「Onomatopoeia」をロシアのレーベルSlow Burn Recordsからもリリースしており、それに続く作品となる。フューネラル・ドゥームバンドInter Arboresの元メンバーが在籍していたり、ポストブラックメタルのTrnaやポストメタルバンドYpresのメンバーも在籍していたりとロシアのアンダーグラウンド人脈が集まって結成されたバンドだ。



 しかしこのバンドの音は本当に重い。1stアルバムと基本的な路線は変わっていないけど余計暗く寒々しい音になったのではないか。ポエトリーリーディングのサンプリングだけを使用し、後はバンドサウンドがのっそりのっそりと曲を進行させていくスタイルだ。先ず特筆すべきはクリーントーンでの寒々しいメロディの美しさだろう。既存のポストメタルとはまた一味違ったアプローチをしているバンドだし、バンドのサウンドの中には勿論ヘビィな轟音パートも存在しているけど、曲の基軸になっているのはアンビエントな空間系の音を使いつつも葬式めいた暗さのメロディだろう。推進力を放棄し、情景を静かに変化させていくだけのビートも効果的に曲のメロディを活かし、それが徐々に重みを帯びていくとより音の純度も高まっていくし、それが直情的なポストメタル的アレンジでは無く、サウンドの基軸はそのままに音を歪ませて破壊していくサウンドなのだから暗く深く重い。そんな第1曲「Der Sklave Des Nichts」から11分にも及ぶくすんだモノクロの風景だけが淡々と映し出されていくし、かなり聴き手を選んでしまうサウンドではあるかもしれない。
 フランツ・カフカの15篇の詩をコンセプトにしたコンピレーションアルバムにも収録されているらしい第2曲「Abendwasser」はより深みに入っていく楽曲だし、のっけからドローンな音と美麗のアルペジオが美しい流線型を描きながら、同時に不安感をdこまでも煽っていく。サウンド自体はダイナミックさを感じさせるのに、即興的なドラムのビートが唐突に入り込んで来たり、ギターの音色も明確な輪郭を持たないアンビエントな物だけになったりして不安をより加速させる、そこから電子音が飛び交いながらも白と黒が混ざるような轟音パートになった瞬間には安堵すら覚えたし、やっとご褒美を貰えた気分になった。TJR盤に収録されているボーナストラックである第3曲「Irretrievable (Live At Mars)」は1stアルバム「Onomatopoeia」のライブ音源。こちらは生々しく重いポストメタルサウンドを堪能出来る逸曲になっている。



 バンドの音自体はインストであるからこそ情景を想像しやすい物になっているし、決して分かり難いサウンドでは無いけど、バンドが持つ純粋なダークネスと寒々しさと深みが輪郭を掴ませてくれないし、時にアンビエントや即興音楽の要素や電子音の不気味さや、バンドのアンサンブルが持つ内側へと引きずり込む空気も含めてかなり人を選ぶサウンドではあるとは思うけど、この深みは一回ハマると抜け出すのは不可能だろう。
 また今作はTokyo Jupiter Recordsの方でも購入可能だが、TJRのストアの方では1stアルバム「Onomatopoeia」もセットになってかなりお買得な価格で売られているので、好きな人は是非とも1stとセットで今作入手をお勧めする。



プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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