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■GRAY WORLD Vol.7(2018年9月15日)@東高円寺二万電圧

約1年振りのREDSHEER企画「GRAY WORLD」はele-phantとKowloon Ghost Syndicateを迎えての異色の3マンライヴ。
毎回エクストリームミュージックの猛者を迎えての企画だが、今回の3マンはそれぞれのサウンドの方向性がバラバラで、どんな化学反応が起きるか非常に楽しみであった。



・ele-phant

トップバッターのele-phantはこの日がラストライヴ。思えばREDSHEERの初ライヴはele-phant企画だったり、REDSHEERのレコ発企画に出演したりと色々とREDSHEERとは縁が深いバンド。そのラストライヴがREDSHEER企画というのは何だか感慨深さもある。
ラストライヴではあったが、感傷的な瞬間は全くなく、ele-phantが提示し続けたギターレスによるドゥーム経過型のロックをこの日も鳴らしていただけだった。
ミドルテンポでタイトかつ爆音のドラム、メロディを奏でながらソリッドな重低音を鳴らすベース、そして艶やかなボーカルの三位一体のグルーヴはele-phantの持ち味であるが、それがより研ぎ澄まされ妖艶なる世界が色濃く目の前に広がって行く。
2人時代の楽曲をプレイした以外はラストライヴらしさは本当に無く、以前より更にサイケデリックに花開くサウンドを体感し、今回のライヴで解散という事実は本当に勿体無いと思ってしまった。
従来のドゥームともサイケデリックとも違う新しいロックをele-phantは確かに描いていた。出来れば早々に解散を撤回して頂き、しれっと活動を再開させてしまえば良いと思う。



・Kowloon Ghost Syndicate

二番手のKowloon Ghost Syndicateも今回のライヴで下手ギターの松田氏のラストライヴ。
ボーカルの笠沼氏が「これからは概念として見守ってくれます。」とMCしたのはフフッとなってしまったが、以前よりも更にストレンジなハードコアを鳴らすバンドへとパワーアップしていた。
終始照明は赤のみで照らし続けていたステージの視覚的な効果もあるのかもしれないが、生々しい血飛沫と肉が裂ける様な破壊的なサウンドに終始圧倒されっぱなしになる。
爆音かつフルバーストで突き抜けるだけで無く、楽曲そのものがよりシャープかつファストになった印象も強い。
この日は30分で16曲プレイしていたが、ライヴがほぼノンストップで繰り広げられるだけでなく、極端なまでに短い楽曲の中でそれぞれの音が喧嘩し、全力で殴りつけてくる。無駄を一切無くした楽曲構成だから余計に終始リミッターの振り切れたテンションが炸裂する。今の東京でこれだけのテンションでライヴ出来るバンドは本当に少ない。
少し観ない間により禍々しいバンドへと進化を遂げていた。この途方もないエネルギーは果たしてどこへ向かうのか。これからも楽しみ。



・REDSHEER

トリは主催のREDSHEER。久々にライヴを観るのもあって、新しいハードコアを未来に向けて放つ3ピースが今回の企画ライヴでどのような進化を遂げているか本当に楽しみだった。
今回のライヴのセットは「IN A COMA」以外の楽曲は全て1stアルバム以降に生み出された楽曲だったが、改めて1st以降の楽曲に肌で触れ、益々カテゴライズや◯◯っぽいといった言葉で説明する事が不可能なバンドになったと思う。
そしてREDSHEERは本当に武器が多いバンドだ。ブラッケンドに接近した地獄の轟音、陰鬱なる感情に訴えるメロディアスさ、刻みつけるリフのフック、感情移入をさせない冷徹なクリーントーン、それらが変拍子とテンポチェンジを繰り返しながらドラマティックに展開される楽曲。実に多彩なアイデアが楽曲の中にこれでもかと詰め込まれてる。
それを愚直なまでに全力で解放するライヴは魂の解放だ。知的に練り込まれた音を構築しながら、それを全力で放出するのがREDSHEERのライヴの大きな魅力だろう。
この日披露された新曲もハナから全力で爆音を叩き付けるより殺気立った楽曲であり、更なる地獄を描く。それぞれの楽曲のベクトルが多彩だからこそ、こうした殺気がより際立ち、容赦なく刺し殺していく。
アンコール含め全7曲、赤黒く渦巻く闇のハードコアは更なる高みへと上り詰めていた。



3マンという事もあって、各バンドを中だるみせずにじっくり堪能。3バンドとも僕が大好きなバンドで非常に自分得な今回のブッキングだったが、それぞれが持つオリジナリティと進化の精神はREDSHEER企画だからこそ堪能出来るものだろう。また次回のREDSHEER企画も楽しみだ。
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■それでも世界が続くなら活動中止ワンマン公演「休戦協定」を目撃して。

今年の頭、それでも世界が続くならという少し変わった屋号を名乗るバンドの活動中止が発表された。
ドラムのクリハラ氏が「燃え尽きた」と言う事で脱退を申し出た事、それを受けての活動中止。解散でも活動休止でもなく活動中止ってのがなんとも彼ららしい。
それから来年の2月11日にバンドがどうなるかの報告の約束がアナウンスされたが、一旦活動中止という事で彼らのホームグラウンドである下北沢QUEにて活動中止ワンマン。チケットが販売された頃はまだまだ寒い季節で、それから季節は巡り9月2日を迎えた。
何処か漠然と活動中止の事実を受け入れつつ、それでも世界が続くならという不器用すぎるバンドと休憩協定を結びに下北沢QUEへと足を運んだ。



実際この文章は活動中止ワンマンから大分日が経ってから綴っているけど、自分の中で色々な感情が何もまとまりきってなんかいない。
僕自身はこのバンドを知って三年程の人間で、決して長くバンドを追えてた人間ではない。
だけど自分なりに可能な限りライヴには足を運び、何度ライヴを体感しても、彼らの鳴らす痛みは理屈を超えた感情にいつも襲われ、バンドと真正面から対峙する闘いだと思い続けていた。
休戦協定なんてタイトルが付けられたライヴであったが、休戦の意味を彼らは本当に分かってるのか疑いたくなってしまう。
これまで何度も目撃したどのライヴよりも、4人はステージの上で全力で闘い、音楽で痛みを鳴らしながら、観る人々をぶん殴る轟音を鳴らしていただけだった。

アンコール含め2時間以上に渡って繰り広げられたライヴは何度も何度も涙が溢れてしまい、正直今でもまともにそれを記録する事が出来る状態じゃない。
MCはほぼ無し、序盤からフルスロットルで襲い来る轟音、メンバー4人が全力で倒れそうになりながらも異様な気迫で繰り広げる演奏。
いつだってこのバンドはボロボロになりながら曲を作り続け、ライヴを続けて来た自他共に認めるライヴバンドでしかない。
器用な演出やステージングも、気の利いたMCも出来やしない不恰好過ぎるバンドだった。
これまで何度も何度も再生し続けた曲達が毎回ハイライトの様に目まぐるしく鼓膜から感情を殴りつけて来る瞬間ばかりで本当にしんどくなって立ってるのも辛くなった瞬間も情けないけどあった。
グルグルと頭の中で色々な過去の記憶がフラッシュバックして、嬉しかったことも忘れてしまいたいことも走馬灯の様に駆け巡りながら、ずっとステージから放たれる轟音に掴まれたまま。

最後の最後に本当に忘れられない瞬間があった。
アンコールの最後にプレイされたのは僕がこのバンドで個人的に一番大好きな「最後の日」だったのだけど、篠塚氏が「アンコールさせねえような演奏しろよ!!」って叫びから曲の頭のリフが弾き倒されたその瞬間、僕の中で張り詰めてた気持ちが一気に解放されていく。
歌詞は殆どアドリブで必死に観る人々にその感情を伝えようと闘う4人の姿は本当に美しくて、立ってるのもやっとでフラフラで無様なのに、その姿に「演奏会」なんか出来やしない本物の「ライブバンド」の姿があった。
最後の言葉は「殺せるもんなら殺してみろ。」やっぱり休戦協定って言葉の意味を間違えてるんじゃないか。



2時間以上に渡るライヴと言う名の闘いは轟音と叫びと共にそれぞれが血を流しながらそれでも生きているという事実を叩きつけるものだった。
ライヴレポなんてとても呼べる文章を今回はいつにも増して書けてない。その瞬間にしがみつくだけで精一杯になってしまった。
でも彼らが鳴らす音楽に確かに心が動く人間でいれて本当に良かった。
カテゴライズされた等身大とか痛みじゃ無い。それぞれが生き続ける上で薄っすらと残してしまった傷跡に直で響き渡る音楽をこのバンドは鳴らし続けていた。
オルタナティブだとかシューゲイザーだとかそんな物じゃなくて、その言葉と音を食らって感じたことが全てな音楽。音楽を聴き始めたばかりの頃の自分はそんな感覚で音楽を聴き続けていたんだなってのをふと思い出した。そしてこの年齢になっても音楽を聴き続けている人間でいれて本当に良かった。



それでも世界が続くならの今後は来年の2月11日まで分からない。それがどんな報告になろうとも、僕は自然とそれを受け入れる事が出来る気がする。
この日のライヴを体感して、このまま休戦するなんて到底思えやしない。例え形は変わってしまったとしても、この4人はまた全力で不器用に血を流しながら音楽を続けてくれるって信じる事が出来る。



この日の休戦協定は死ぬまで忘れる事の出来ない記憶として僕の中に残り続けるだろう。
そんな忘れられない瞬間は音楽を聴き続けて来た僕にとってずっと大切に守り続けていきたいものだ。
そんな瞬間があるなら音楽をこれからも聴く。新しい音楽を探し続ける、自分の痛みと共に生きていく。
そしてそれでも世界が続くならというバンドへの感謝をこのライヴレポ紛いな手紙で記させてもらう。本当にありがとう。
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■螺旋の旋に問う(2018年8月12日)@東高円寺二万電圧

killie、johann、CxPxSのメンバーにより結成され、昨年突如として登場したドゥーム/ストーナーの異色の3ピースこと老人の仕事。
当初は「老人」名義で活動し、昨年末頃に「老人の仕事」へと改名。そしてリリースされた1stアルバムは瞬く間に話題となり、その名前を広めていった。
今回は昨年末にリリースされた1stアルバムのレコ発企画だが、NoLA、SUNDAY BLOODY SUNDAY、BBと世代もサウンドスタイルも超えた事件性の高い4マンライブ。異端のバンドの記念日に相応しいメンツだ。
全4バンドが45分のロングセットによる未曾有の宴の全容をここに記録する。



・NoLA

この日一番若手のNoLA。今年頭に4人編成となり、現編成でのライヴを観るのは初。
ギタリストが一人減るという一見するとマイナスともなる変化を逆手に取り、よりソリッドかつ無駄の無いサウンドスタイルを手にしていた事にまず驚く。
ハードコア/トラッシュメタル/パワーヴァイオレンスなどの要素を盛り込んだ楽曲はより凶暴さを増し、畳み掛けるように繰り出される楽曲に休まる暇など無い。
余分な贅肉を削ぎ落とし減量したボクサーの如く無駄のない美しいフォルムを暴力とも言える音からも感じさせるのは流石だ。
疾風怒涛のハードコアの暴力に圧倒されるばかりのアクトだった。NoLAはまだまだ進化を続けていくだろう。



・SUNDAY BLOODY SUNDAY

TwolowとのスプリットをリリースしたばかりのSBSはより骨太のグルーヴとリフにより強靭なるオルタナティブロックを展開。
これまでの楽曲もアレンジこそは大きな変化を施していないにも関わらず、より硬派かつファッティなサウンドへと進化を遂げていた。
Twolowとのスプリットに収録されている「Control/Regain」や今後リリースされるだろう新曲も披露したが、滾るエモーションだけでなく、ダークネスや混沌といったワードを想起させる新たなる展開を見せながらも、歌とリフとグルーヴに回帰するSBS節に降伏。
よりレンジを広くしながらも、オルタナティブのスタンダードを貫き通してくれた。
SBSの圧巻のオルタナティブはやはりライヴでこそ真価を発揮する。余計なギミック抜きのバンドの底力を感じさせてくれる。



・BB

BBは常に進化を続けるバンドだ。ライヴを観る度に過去を更新し続け、常に今が最高の状態であり続ける理想的なバンドだと思う。
そしてBBのライヴは最早儀式と言ってしまっても良いのかもしれない。頭からケツまでの45分の中で明確な起承転結が存在し、ハードコア/ヘヴィロックの際の際を攻めた末の異様さとオリジナリティをどこまでも厳格に体現し続ける。
ここ最近披露されている新曲群は特にそれが顕著で、よりダイナミックなロックに接近した物から、10分近くに渡る長尺で混沌の先の光を描くような楽曲までより変幻自在に聴き手を圧倒する。
フロントマンRyujiは常にステージから鋭い眼光で観る者を睨みつけ、決して言葉では語らないが、ダイナミックかつ神秘的なバンドサウンドと共に全身全霊で新世界を見据え叫ぶ。
45分があっという間に終わり、言葉にならない感覚に襲われた。BBはハードコア、いやロックの未来を常に射抜き続ける本物だ。



・老人の仕事

トリは本日の主役の老人の仕事。以前観た時はメンバー全員がボロ布を被っている衣装だったが、マイナーチェンジして毛むくじゃらな衣装に。
そして一発目の音が鳴った瞬間に二万電圧を非日常空間へと変貌させた。
老人の仕事の音楽性はSleepに対する日本からのアンサーなんて言われたりもしているが、ドゥーム/ストーナーへの愛をもっと原始的なロックンロールへと進化させた物だと僕は思う。
太鼓の音を聞いたら踊りたくなると言った人間が持つ原始的な本能に訴える。
各楽器のフレーズそのものが非常にシンプルだからこそ、より肉体が本能のままに踊り飛び跳ねたくなる。
原始から宇宙へと飛び立つ非日常体験。観る者を踊らせ滾らせる至高のグルーヴとリフは常人離れした物だった。



シーンにて強烈なるオリジナリティをそれぞれのやり方で体現する4バンドが一堂に会した今回のレコ発はまさに見逃し厳禁の事件だったと思う。
それぞれサウンドスタイルや目指す先こそ違えど、常に新しい音と価値観で観る者に驚きを与えるという点は共通してブレてない。
オルタナティブとはこういうものであると改めて納得させられた各バンドのアクトはそれぞれ僕に新たなる衝撃を与えてくれた。
そして老人の仕事、アルバムリリース本当におめでとうございます。次なる一手も心より楽しみにしてます。
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■SATURDAY NIGHTMARE(2017年10月7日)@国分寺Morgana

この日は西東京の爆音震源地のひとつである国分寺モルガーナのハコ企画に遊びに行った。
3年前に名盤スプリットをリリースしたTRIKORONAとSTUBBORN FATHERという東西の異端のハードコアの大妖怪が二週間前の高崎に続いて西東京でも激突だが、そこに西東京の若手バンドであるslakとumanomeがどう食いついてくるか。
地域・世代・ジャンルを超えた4バンドが生み出すマジックを目撃させてもらった一日だ。



・TRIKORONA

一番手からいきなりTRIKORONAからスタートしたが、この日もTRIKORONAは絶好調。
エモヴァイオレンスの先を行きすぎて、もはや異次元へと到達してしまっているTRIKORONA節はこの日も健在。
ノイズの中から生まれるキャッチーさ、ジャンクロック/パワーヴァイオレンスの流れをくみながらも、それすらも魔改造したケミカルな音像は何度ライブを観ても衝撃の塊だ。
バンドの持ち味をさらにアップデートした新曲含め、まだまだ進化が止まらないTRIKORONAはハードコアの異端児であり、ハナからモルガーナを異空間に変えた。TRIKORONAに似たバンドは本当に存在しない。



・slak

二番手は初見のslak。西東京を中心に活動している若手バンドらしいが。今回slakを知ることが出来たのは大きな収穫となった。
一発目の出音を聴いただけで「これ好きだ!」って感覚に陥らせてくれるバンドはそうそういない。slakはそんなバンドだった。
QUICKSAND辺りのポスト・ハードコアのバンドの流れをくみRIVAL SCHOOLあたりの熱量も感じる、ヒリヒリした緊張感は若手らしかぬ渋さにあふれている。
派手なアプローチこそしていないが、クールネスとエモーションの狭間にある哀愁にみちた硬質のサウンドに一発で惚れた。
まだまだ知名度はないバンドかもしれないけど、今後要注目のバンドだろう。


・umanome

三番手はこちらも初見のumanome。slak同様に西東京を中心に活動する若手バンドらしく、調べたらslakとは何度も対バンしているらしい。
slakとはまた違って直情的な激情ハードコアを展開しているバンドだが、ストレートな激情サウンドの中に独自のメロディセンスを展開している。
slakとまた違ったのは熱情を前面に押し出しながらも、ハードコアの文脈とはまた違う冷気を感じさせるサウンドだろう。
slakとは近日スプリット音源をリリースする事をMCで話しており、こちらも今後の活動に期待大だ。まだ粗さが残るライブではあったが、持ち前のセンスを今後どう昇華するか楽しみである。



・STUBBORN FATHER

トリは大阪から来国したSTUBBORN FATHER。モルガーナとスタボンの相性は最高なのは過去に体感しているが、二週間前の高崎の時以上に研ぎ澄まされた激情を見せてくれた。
ハードコアの文脈で語るには異質すぎる変則的なフレーズとビートの数々をくり出すが、その中にある泥臭いジャパニーズ・ハードコアの血筋こそスタボンの大きな魅力だろう。
セットリストこそ高崎の時の変わらなかったが、限界突破する爆発力と瞬発力というスタボンの魅力が大きく出たアクトだった。フロアもこの日一番の盛り上がりを見せてイベントを締めくくってくれた。ライブは2017年ラストだったらしいが、来年も大阪の異端児はハードコアの次を見せてくれるだろう。



大好きなTRIKORONAとSTUBBORN FATHERだけでなく、slakとumanomeという新たなるホープの存在に触れることができたよき一日であった。
umanomeとslakはまだ活動を開始して日は浅いらしいが、今後要注目の2バンドだ。ポスト・ハードコア/激情ハードコア好きは要チェック。
高崎でixtabとENSAのライブを観た時も思ったけど、若い世代が歴史をこれからもつないでいくのだ。そこにジャンルや活動拠点は全く関係ない。
若きエースがまた新たな歴史を作り出していくだろう。その瞬間を見逃してはいけない。
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■BALLOONS 20th Anniversary & Last Tour(2016年9月4日)@代官山UNIT

 20年に渡りシーンを切り開き、多数のバンドから多大なるリスペクトを集め、「兄貴」として君臨し続けたBALLOONSが活動20周年の節目の2016年その活動を終えた。
 今年に入り最後のツアーを行ってきたが、この日の代官山UNITでBALLOONSはその活動を終えた。最後の最後のライブはheaven in her arms、LITE、MIRROR、killieと共にシーンで切磋琢磨し戦ってきた盟友4バンドを迎えてのライブ。イベントはソールドアウトを記録し、UNITのキャパを明らかに超える人数を動員し、冗談抜きで伝説の夜となった。
 僕自身も早めにUNITに向かったが、代官山には兄貴の最後の勇姿を目に焼き付けるべく集まったフリークスが長蛇の列を作っており、僕もなんとかHIHAが始まるギリギリの所でUNITへの潜入に成功。
 一つの歴史の終わりを迎えたこの日、世界中のエモを全て集めたかの様な瞬間が何度もあった。僕はこの一夜に参加できた事を誇りに思いながら、色々と整理が付いた今こそ2016年9月4日の記憶をここに記す。



・heaven in her arms

 HIHA名物のアンプの山を隠す形でロゴが記された二つの巨大バックドロップが飾られた異様なステージの光景。トップのHIHAからこの日はハイライトを迎えたと言える。
 普段はMCを殆どしないHIHAだが、この日ばかりはkent氏が何度も兄貴へのリスペクトを言葉にし、そして兄貴達からは進化し続ける事を学んだ事、それを体現するライブを行うという旨を口にし、その言葉通り最新のHIHAを見せるライブを展開した。
 もうリリースこそ3年前だが「終焉の眩しさ」からライブは始まり、新曲2曲を含めた最新のHIHAをダイレクトに体現するライブで攻める。バンドの持つ世界観をより色濃く反映させながら、これまで闇といったワードで語られる事の多かったHIHAを更新し、光を感じさせる音像をハードコアだけでなくブラッケンドやメタルを新たな解釈で盛り込んだ新曲はこの日初めて聴く人も多かった筈だが、フロアからはより四次元的なサウンドを展開するまでになったHIHAに酔いしれる人が多かった筈。
 全4曲のセットだったが、ラストはHIHAの看板曲の一つである「赤い夢」で締め括り。かつてはライブのラストにプレイされる事の多かったドラマティックな名曲は兄貴達の最後の一日だからこそより大きな感動と煌きの瞬間をもたらし、頭から涙腺が緩みそうになるエモが炸裂した。
 HIHAは12/23に同じく代官山UNITで自主企画を敢行するという大勝負に出る。BALLOONSの常に挑戦し続けるという意志を受け継いだHIHAはこれからも新たな景色を僕たちに見せてくれるだろう。



・LITE

 二番手のLITEもMCで何度もBALLOONSへのリスペクトを口にし、兄貴達がいてこそ自分たちがある事を口にしていた。
 BALLOONSのインスト曲「9:40pm」をカバーするというサプライズを用意しながらも、ライブ自体はあくまでもいつも通りのLITEで攻める。代表曲「Ef」から始まり、言葉こそ無いが、バチバチと火花を散らすスリリングなインストが迫るライブ。BALLOONSの影響を受けながらも、それを模倣せずに自らのサウンドを確立したLITEもまた兄貴達の挑戦し続ける意志を受け継いだバンドであるのだなって妙に感慨深い気持ちに。
 あくまでもいつも通りのライブではあったが、どこかいつも以上に演奏に熱が篭っている様にも感じ、その一瞬の音のぶつかり合いの瞬間すら彼らは楽しんでいた様にも思えた。
 BALLOONSという国内ポストロックの先駆けが生み出したLITEというバンドも今やシーンを代表するバンドへと進化を遂げた。言葉を用いない彼らの音はより素直なエモを一瞬の音に全力で投じていた。一瞬で駆け巡るライブではあったが、その一瞬が生み出す高揚感と熱さにフロアからは何度も熱い歓声が起こり、みんな全力でLITEの兄貴達へのアンサーを全身で受け止めていたのだ。



・MIRROR

 転換中に物販を見てフロアに戻ったらあまりの人の多さにフロアの大分後ろの方でライブを観る事になったが、MIRRORはLITEとはまた違うエモをMIRRORの流儀のまま描いたライブを展開。
 LITE同様に言葉を用いないインスト音楽であるが、LITEが一瞬のぶつかり合いに命を懸けたライブをしていたのに対し、MIRRORはその音の全てでBALLOONSへのリスペクトを歌い上げる様なライブをしていた。
 元々歌なんか無くても楽器の音全てが歌声を上げるポジティブでハイボルテージなエネルギーを持つライブをするMIRRORだが、この日はそんなMIRRORの持ち味が感情の決壊とも言える情報量で押し寄せる演奏を見せてくれていた。決して常軌を逸した爆発を描くバンドでは無いし、MIRRORの音は日常や人間の平熱といった自然体な熱をそのまま自然体で繰り出し、不思議と観る人を笑顔に変える物であるけど、言葉にならない熱をただ全力で描き出していたMIRRORの正直な音は多くの人の胸を打ち抜く物であったし、この伝説的なライブを前の方で観る事が出来なかったのは今でも大分悔やんでいる。
 まるでBALLOONSという物語に対し花束を添える様な美しく感動的なライブ、MCでの何の飾りっけも無い「ありがとうございました」の言葉。それが全てを語っていた。



・killie

 それぞれのバンドが自らのキャリアの中で最高を記録するであろう神アクトを展開する中、BALLOONSと共に歩んできたkillieも例外無くキャリア屈指のライブを見せてくれた事はこの記憶を記した記事を読んで下さっている皆さんは簡単に想像出来るだろう。
 頭からアンセム「先入観を考える」、そして「キリストは復活する」とこの日のkillieはただでさえライブを事件にしてしまうkillieというバンドの本領だけを発揮した物となった。
 「先入観を考える」が始まった瞬間から異様なテンションでモッシュがそこら中で発生するフロア、バンドのテンションも序盤からギアの限界を超えた物となり、バンドとフロアの熱量の化学反応が常軌を逸した音と共に目まぐるしく展開されていく情景。決して狭くないUNITというハコの中は致死量の熱さで包み込まれ、ボーカルの伊藤氏は最初にMCで「BALLOONSの墓を埋めに来ました。」なんてらしい事を言っていたけど、告別式にしては幾ら何でも盛り上がり過ぎだし、僕自身もモッシュに巻き込まれて揉みくちゃになりながら、言葉にする事の出来ない興奮に襲われていたよ。
 最後は「エコロジーを壊せ!」で幕を閉じたが、曲の途中で伊藤氏が照明の蛍光灯を一つずつ消していき、真っ暗になったステージ、フロアからは異様な緊張感、そして蛍光灯では無くUNITの照明が一気に点火した瞬間にはkillieの楽器隊がBALLOONSと入れ替わっているというサプライズ!!そして伊藤氏と吉武氏のツインピンボーカルで演奏されるクライマックス!!この瞬間は正にロックバンドkillieだからこそ生み出せた物であり、その場にいた人間全員の想いが爆発したからこそ生まれた光景だろう。
 主役のBALLOONS以上にクライマックスで盛大に墓を準備したkillie。常にあらゆる有象無象と闘い続けたバンドが兄貴達に手向けた瞬間のドキュメント。この光景は一生忘れないだろう。



・BALLOONS

 4つのバンドが4つの忘れられないエモを生み出した中、主役のBALLOONSの最後のライブはどんなドラマが生まれるのかと僕は色々と思いを馳せながら考えつつBALLONSの最後の瞬間を待っていたが、結論から言うと安易な感傷なんかに全く浸らせてくれない、BALLOONSはあくまでBALLOONSのまま全てを終えただけに過ぎなかった。
 「Intensity」からライブは始まり、新旧問わず20年の間で生み出された来た名曲達が淡々と出番を終えていく。MCもそれぞれのメンバーがしたりもしていたが、あくまでも感傷では無く、等身大の自分たちのままでその言葉を綴っていたのも印象的であった。
 圧倒的演奏力と全く隙の無い構築美によるBALLOONS節としか言えない数多くの楽曲。その一つ一つは安易にエモい気持ちにはさせてくれず、静かにそれぞれの楽曲と向き合わせるストイック極まりない演奏。BALLOONSは他のどのバンドよりもストイックの自分たちの居場所を作り続けて来た。そんな事がただ表れたライブであり、何処かで孤独を抱えている様な気持ちになってしまった。
 だけどあくまでも孤高の存在であり続けたBALLOONSのラストライブを特別な物へと変えたのは、きっとそれまでに出演した4バンドもそうだし、この日来ていた650人を超える客もそうだし、それぞれの立場や形でBALLOONSというバンドに憧れを抱いてきた人々が生み出す熱量だったのだと今では理解できる。
 完璧主義を最後まで貫き通した一時間以上にも及ぶ熱演、アンコールの時のフロアから配られた風船が数多く掲げられる光景にすら「風紀を乱すな」なんて言えてしまうどこかツンデレめいたスタンスすらBALLOONSなりの愛なのだろう。
 僕自身はBALLOONSというバンドを決して昔から知っていた訳では無いし、バンドのこれまでの歴史なんかは僕よりもずっと記憶している人の方が多いと思う。だけどBALLOONSが作り上げて来た物は音楽だけでなく、一つのリアルなシーンとして確かに受け継がれた来た。それは世代や立場とかを超えて「みんなで作り上げた物」として今でも残り続けている。
 ライブレポ的な部分から大分脱線はしてしまったが、この日のライブはBALLOONSが妥協なき姿勢をブレずに貫いたからこそ生み出せた集大成だったという事だったのだろう。ベタな言葉ではあるが有終の美という言葉が一番相応しいライブとなった。
 最後の最後まで決してデレてくれた訳では無いけど、そのオリジナリティとストイックさをただ淡々と描き続けたラストライブだからこそ、また特別な磁場があの場所にはあった。



 こうしてBALLOONS最後の夜から色々思っていた事を自分なりに整理してやっとこの駄文を記すまでに至れたのだけど、この日は今でも不思議と終わりの日という気持ちにはなっていない。
 それはBALLOONSというバンドは終わってしまっても、兄貴達が残し続けた名曲と行動は今でも僕たちの身近な世界で確かに呼吸を続けているからだろう。
 一つの区切りではあったのかもしれないが、決して終わりの日では無かった。BALLOONSが残した多くの財産はこれからも様々な形で受け継がれて続いていく。その事実だけあればいい。それでいいし、それがいい。



 「BALLOONS、20年間お疲れ様でした。」ただこの一言しか僕が言うことは無い。全てはこれからも続いていくのだから。
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プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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