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■Change But True/ELMO





現在、単なるサブジャンルにとどまらず、多方面において注目を集めるパワーヴァイオレンスというジャンルだが、都内を中心に活動するELMOは個人的に日本でも屈指の凶悪な音を鳴らすバンドだと感じている。

今作は2013年にリリースされた4曲入りEP作品。ELMOというバンドの異常さのみが詰まっている。



しかし実際にELMOというバンドを語るのはかなり難しい。一言で言うなら似ているバンドが国内外問わず皆無なのだ。
サウンド自体は非常にブルータルなパワーヴァイオレンスであり、A389周辺のバンドやニューヨーク・ハードコアのエッセンスも確かに存在もしている。
しかしパワーヴァイオレンスという枠組みで語るにはELMOはあまりにも異質過ぎる。
スラッジ/ブラッケンド・ハードコア/グラインドコアといった断片的な要素では確かに語れる。しかしELMOの全貌を伝えるにはあまりにも情報不足だ。

個人的にはサウンドスタイルこそ違えど、初めてStruggle For Prideを聴いた時の様な恐怖を覚えた。
シャープに尖りノイズ塗れな砂嵐の様なギターにも、ロウなビートにも、何より甲高く殺意だけをむき出しにするボーカルにも一片の慈悲が存在しない。
その殺意も本能のままの殺意ではなく、まるでマシーンの様な感情を全く感じさせない物だから恐ろしい。

収録曲全曲が容赦なくブルータルさが襲いかかってくる物に仕上がっているが、第3曲『New Age Uprise』は特に血も涙もない。
極限までビートダウンしたスラッジなビートとノイズが終わりなく降り注ぎ、ボーカルは断末魔の様に残響するのみ。
インダストリアルの様な機械的な感触ではなく、生身の人間が生み出す無感情かつ猟奇的な音には絶望すら生ぬるいだろう。



一抹の希望すら粉々に粉砕する音は凶悪とか黒いといった言葉すら陳腐で安くなるほどにELMOは極限を極めている。
あらゆるエクストリームミュージックを喰い殺した末に生まれたパワーヴァイオレンスは速い/遅い/重い/爆音/凶悪といった要素を超えた世紀末だ。
何よりも音の一つ一つが本当に濃い。暴力を何日もかけて煮込んだ末に濃さを極めて固形物化したスープのよう。

悪夢そのものを音として体現しているが、この音はエクストリームハードコアの最先端だろう。
先の先を行きすぎて、未来なく滅んだ世界を見てきてしまった様な背徳感はELMOにしか生み出せない本物のオリジナリティだ。



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■Ry/Ry

Ry
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Ry
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2013年に結成された、ex.hawkcrower、The Rabiesのメンバーが在籍する3ピースポスト・ロックバンドの2015年リリースの4曲入り1st EP。

The Rabiesというデスメタル/ニュースクール・ハードコアのメンバーが在籍するとは思えない、オーガニックでクリーンな音色が清らかに流れる作品となっている。



今作はボーカル入りの楽曲が2曲、インスト曲が2曲という構成になっている。Ryの大きな特徴はアコースティックギターを取り入れたサウンドスタイルだろう。
ポストロックそのものが現在は普遍的なサウンドスタイルとして認知され、もはや本来の意味とは少し違う認識をされてしまっているが、Ryの鳴らすポストロックはカテゴライズされたポストロックでは無く、シンプルな3ピースの編成から最大の音の高揚を生み出す引き算の美学だろう。

第1曲『Flora』から感動的な涙の音楽がスピーカーから流れ出す。
メンバー全員が卓越した演奏技術の持ち主であるが、その技術を表現力へと活かし、優しい音色の中に不思議と漂う緊張感をアンサンブルで表現。
複雑なアンサンブルを展開しているにも関わらず、技術先行型のバンドと一線を画すのは、シンプルな楽曲の完成度と、それを活かすアコースティックギターの力が大きい。
ノスタルジックなメロディと静寂の中から生まれ落ちたやわらかな生命の息吹。派手なディストーションサウンドを排除し、むき出しのままの芯が通った音の強さで勝負している。
多岐に渡るサウンドの影響をじわりと感じさせながら、筋の通った歌ものとして成立させているのはRyのセンスの素晴らしさのあらわれだ。



Ryの奏でる音は正統派であり異端だ。そぎ落としたシャープな音像の中にもバンドとしての筋力の高さが存在しており、決して砕けることのない絶対の強度を誇っている。

スロウテンポのパートではじっくりと歌を聞かせ、複雑なアンサンブルが疾走するパートでは精神の解放へと聴き手を導く。
だからこそRyはポストロック好きはもちろんだが、あえてうるさい音楽が好きな人にも触れて欲しいバンドだ。
Ryの鳴らす音は新たなる生命の呼吸そのもの。キラキラと降り注ぐ日射しのようにRyの音は聴き手の耳から体内へと優しく浸透していく。



■MINORITY PRIDE/PUNHALADA

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愛知を拠点に活動する日本/ブラジルの多国籍メタル・パンクバンドであるPUNHALADAの2017年リリースの2ndフルアルバム。

1stアルバムリリース直後に、ベース・ボーカルだったRAFAELがブラジルに帰国。今作は新ボーカリストに2016年からライブに飛び入りで参加していたGEOVANNYと、新ベーシストにKAKKYを迎えた第二期編成でのアルバムとなっている。



バンドの中心メンバーであったRAFAELが離脱し、ギタリストIWANEを中心とした編成に変わったが、今作はバンドの変化と進化が詰まった充実の作品。
「Minorty Pride!!PUNHALADA!!」と高らかなる宣戦布告から幕を開ける第1曲『Deda But Life』からもバンドの新たなる1ページが刻まれている。

MEGADEATHやCELTIC FROSTといったバンドが持つオールドスクール・スラッシュメタルの要素が今作ではより色濃くなったが、それらのバンドの流れをくみつつ、1stアルバムでも見せてくれた、メタル・クラスト/グラインドコア/ドゥームといった要素をダーティに取り入れたオールドスクール・クロスオーヴァースタイルは健在。

その中でも第4曲『Your Final Place』はよりドゥーム要素を強めた呪詛的なスロンテンポのアンサンブルと、どう猛なスラッシュ/グラインドなサウンドの対比がお見事。バンドの表現力の進化が生み出した新境地だろう。
第5曲『Freedom Of Death』からは本当に瞬く間に駆け巡るアグレッシブなサウンドに自然と拳を突き上げたくなる。

全7曲約20分に詰め込まれた怒りのクロスオーヴァーサウンドに圧倒。
整理整頓という言葉に中指を立てるがごとく、ひたすら汚らしい混沌を打ち鳴らしているが、そんな音の中にもPUNHALADAの美学が存在し、単なるクロスオーヴァーメタルパンクで彼らが終わらない理由は、泥水をすすりながらも、誰にも従わない・指図させない意地が存在しているからだろう。



今作は前作に比べてメタリックな要素が色濃くなったが、新ボーカリストジョバンニの野生の咆哮、各地でライブを重ねた楽器隊の演奏力と表現力の進化、ハードコア・パンクとスラッシュメタルの狭間を堂々と突き刺す音の激烈さに殺される一枚だ。

『Minorty Pride』というアルバム名からもわかるが、人種もルーツも違う四人の男たちが放つのは、マイノリティであり続ける誇りのみ。爆走を続けるメタリックかつパンキッシュな男気に燃えろ!!
バンドは2017年の6月にKAKKYが脱退し、現在は新ベーシストUNOを迎えた第三期編成で精力的に活動中。PUNHALADAの『Minorty Pride』の旅路はまだまだ続く。



■HEART OF EVIL/GUEVNNA

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ex.CoffinsのボーカリストであるRyoを中心に2011年に結成されたアーバン・ストーナー・ロックバンドGUEVNNAの2016年リリースの1stアルバム。
国内外問わずに激情系ハードコア/ネオクラストの音源をリリースする3LAからリリースされた事に驚いた人も多いはず。



当初はスラッジ要素の強い楽曲中心だったが、前作EP『Conspiracies』からその音楽性を大きく変えている。
今作は前作EPにて新たに提示した路線をさらに突き詰め、アーバン・ディスコ・ストーナーを色濃くアピールした快作だ。
ストーナー/スラッジ要素は今作でも確かに残っているが、今作でより際立つのはダンサブルなビート。
BONGZILLAテイストもしっかり感じさせつつ、ツインギターのリフとリードの絡み、土臭さあふれるフレーズなのに不思議とバンドが提示するアーバンな空気を堪能させてくれる。

タイトル曲となっている第3曲『Heart Of Evil』は4つ打ちのビートで踊らせるグルービーさとリフの煙たさが不思議なバランスで共存。アッパーでダイナミックな音に自然と体が動く。
第5曲「Parasitic」に至ってはよりダンサブルな要素を全面に押し出し、サビのボーカルとリフの掛け合いの所に吉幾三風味の合いの手を入れてしまっても違和感のない、日本人好みするダンスビートのディスコチューンだ。

また単にダンサブルな曲で攻めるだけで終わってないのも今作の注目すべき点。第4曲『Last Sleep』はスラッジ色の強いドープな一曲で、聴き手をズブズブと沈めていく。かと言ってエクストリームには絶妙に振り切らないバランスで楽曲が成り立つのは、楽曲そのものの練り込みがなせる技だろう。
ガッツリとストーナーに疾走する第7曲『Daybringer』からブルージーなフレーズの哀愁に酔いしれたと思えば、最後に今作一番のヘヴィなサウンドで爆走するカタルシスで締めくくられる第8曲『Burn』まで聴きどころがたっぷり。


ストーナー/スラッジといったエクストリームミュージックを大胆にアッパーに変貌させながらも、それらの音楽に対する敬意も忘れないバランスで成り立つヘヴィ・ロックはこれまでありそうでなかった物だろう。
また今作には歌詞カードこそ付いてないが、全8曲それぞれの楽曲をイメージしたアーティストANUSTESの手によるアートワークカードが付属しており、音だけでなくヴィジュアル面でも聴き手を楽しませてくれる。
都会の夜の情念と狂騒をストーナー・ロックから表現した大胆でありながらも妖艶でいてポピュラーな一枚だ。



■SUNDAY BLOODY SUNDAY/SUNDAY BLOODY SUNDAY

Sunday Bloody Sunday
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10年以上に渡り活動を続ける埼玉の3ピース・オルタナティブ・ロックバンドSUNDAY BLOODY SUNDAY(以下SBS)の2016年リリースの1stアルバム。
リリースから既に一年近く経過しているが、数多くの人が2016年のベストリリースに挙げる名盤となっており、SBSの名前を一気に世に広めた作品である。



バンド名から僕は真っ先にU2が思い浮かんだが、彼らが鳴らすのは90年代グランジ/エモを軸に、ストーナー・ロックなどのヘヴィ・ロックのテイストを加えた物となっている。
確かにサウンドスタイルとしては00年代以降のテイストは薄く、人によっては懐かしさを感じさせるものではあるが、単なる懐古主義なバンドでSBSは終わらない。

今作を代表するキラーチューンである第2曲『Still Spins』を聴けば、SBSはスタンダードなオルタナティブ・ロックを鳴らしながら、未来へと向けてその音を放つバンドだと分かる。
ヘヴィな煙たさを放つリフ、ミドルテンポで重心が効いたリズム隊のグルーヴ、そこに乗るギター・ボーカル冨永氏の歌は透明で情念あふれる伸びやかな物だ。
リフから想起させられる郷愁のグッドメロディ、歌とギターリフがシンクロし、確かな泣きとして聴き手の感情を揺さぶる。

個人的にNIRVANAやALICE IN CHAINSといったグランジバンドが大好きなので、SBSのサウンドスタイルはドンピシャに刺さるが、それらのバンドが持つ湿り気やダークさだけがSBSの持ち味ではない。
SUNNY DAY REAL ESTATEといったバンドの持つきらめきのエモーション、さらに初期BLACK SABBATH的なヘヴィ・ロックの源流をくみ取り、メインストリームからサブジャンルまで飲み込みながら、ポップネスとエクストリームの隙間を突き刺すSBS節を完成させている。

歌詞こそ全曲英詞であるが、彼らのライヴでサビを一発聴いただけで、観る人をシンガロングさせてしまう様な歌心こそSBSの一番の武器だろう。
第8曲『Don't Know Who I Am』は個人的に今作のベストトラック。流れゆくギターフレーズと歌が心の奥底まで染み渡り、力強く羽ばたく名曲となっている。


ヘヴィネスを保ちながら黒さだけではなく、多彩な色彩を描き歌うSBSは、時流や流行り廃りを越えたスタンダードミュージックである。
マニアックな音楽愛があるからこそ、それらを不変のオルタナティブ・ロックに帰結させたSBSの手腕に軍配だ。

力強いグルーヴとギターリフ、そして泣きのメロディと一発で耳に残る歌。それらのシンプルな要素だけで高らかに青空へと駆け上がる音楽を作り上げている。
今作は現在だけでなく、未来へと語り継がれる一枚となるだろう。3ピースの一つの理想形として、全音楽好きへ突き刺さる名盤だ。



プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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