FC2ブログ
■タグ「日本」

■スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

■【残酷なまでに無垢な美しき真夜中の音楽】しののめ、ロングインタビュー

20181224204220aca.jpeg




2018年も終わりに差し掛かり、SNSではフリークス達が今年の年間ベストなんかをツイートしたりしているが、僕個人として2018年の一番のベストリリースはしののめの1stフルアルバム「ロウライト」だった。
シューゲイザー/ギターロック/エモといった括りのサウンドスタイルではあるが、しののめは安易なるカテゴライズを拒むバンドだ。
バンド名を出してしまえば、syrup16g 、きのこ帝国、それでも世界が続くなら、ANCHOR(新潟)、bloodthirsty butchers、Discharming Man、mogwai、Low、U2といったバンドと共振する部分はあるが、バンド名を羅列しただけではしののめの本質には迫れない。
気付けば作為的でSNS映えを狙った表現もどきばかりが増えてしまった病みきった今であるけど、そうした本当の病巣を無垢で無作為な表現で暴く力を持つのがしののめの魅力だと個人的に思う。
深いリヴァーブのかかったボーカルと音像、冬や夜に映える美しいメロディ、果てしなく諦めを言葉にした歌、それらは安易に鬱ロックだとかメンヘラ御用達といった安い評価を蹴散らす力がある。
今回は実に10ヶ月振りのライヴとなったブラックナードフェスでのライヴ後にメンバー3人にインタビューさせて頂いたが、具体的なバンド名やジャンルとしての音楽の話はほぼ皆無だ。
メンバー3人は非常に穏やかな人達だが、決して多くない言葉は3人の確かな反抗声明である。
作為やジャンルやSNS映えといったくだらない物に辟易としている人にこそしののめに触れて欲しい。
こんな時代だからこそ、しののめの持つ暴く表現は聴く人の感受性に響くはずだから。



201812242042460ea.jpeg




・今日は約10ヶ月振りのライヴでしたが、手応えとしてはどうでした?

真下(Dr):前よりみんなの気持ちが揃い始めた感がありますね。
私はしののめに途中から加入しているので、やっとバンドらしくなって来たかな?

眞保(Gt.Vo):みんながバラバラな感じが凄かったので。



・まず今年の2月に1stアルバム「ロウライト」をリリースしてのリアクションなどはどうでしたか?

久間(Ba.Vo):活動してない割には聴いてもらえている感じはします。

眞保:Twitterとかで検索したりすると、気合いの入った感想を書いてくれている方がちょこちょこいたりするので、ハマる人にはハマるバンドなのかな?



・僕はしののめを初めて聴いた時に、不特定多数に向けているのではなくて、そこからはみ出してしまった人達に向けている音楽だと思いました。

眞保:大衆受けが嫌なわけではないのですが、自分は正直に言うと好きなバンドがあまりいなくて、それで自分が好きなバンドを作ろうっていうのがしののめですね。90年代とかだと結構好きなバンドはいるのですが。



・現行の邦楽ロック系のシーンの中ではかなり浮いてるバンドにも見えるのですが、90年代や00年代のシーンで当てはめてみるとすごくしっくりくるバンドでもあると思います。
オルタナティブな感覚が当たり前だった時代とリンクするバンドだなって。

眞保:「ロウライト」はCDとMVでアレンジが違いまして、音源の方は短いんですけど、MVの方では1分半くらいイントロを付け足したらMVを撮影・編集してくれた方に「これ聴かれねえよ。」って言われましたね。



・僕はMVを観てからCDを聴いたので、アレンジが全然違ったのはびっくりしましたが、個人的にはMVの方のアレンジが好きですね。あのイントロは聴く人を引き込むなって。

眞保:MVを観て気に入ってくださった方は「あのイントロが良い。」って言ってくれてますね。
ライヴではMVの方のアレンジで演奏してますが、まずアルバムをレコーディングした時はドラムは真下さんじゃなかったので。MVの方のアレンジでは真下さんが叩いてるのでそっちのアレンジでやっています。







・「呼吸」もCDとMVでアレンジ変わってますね。

眞保:CDの方は僕一人でのアレンジでしたが、そっちはバンドアレンジでやってみたらどうかなと思ってアレンジを変えましたね。



・今日初めてライヴを観て、やっぱり音源よりもバンド感が出ていると思いました。
ある種の生々しさや無作為さを強く感じましたね。

眞保:我々は器用なタイプではないので。



・僕がそもそもジャンルって括りが好きな人間では無いのですが、しののめはシューゲイザーやギターロックって括りで語られたりもすると思うんですよ。
でもそれは触りでしかなくて、寧ろしののめの音楽は一つのスタンダードですらあると思ってます。純粋に良いメロディと良い歌と刺さる言葉で成立してる音楽だなって。それと同時に本質的な意味でオルタナティブであると感じます。
鬱ロックだとかいうくだらないカテゴライズだったりとか、わかりやすいセンセーショナルな言葉だったりとか、そうした作為的なSNS映え狙いみたいな打算がしののめには無いのが本当に好きなんですよね。

眞保:そうした計算はないですね。少しはなきゃ
駄目じゃないかって話はしたりしますが。結局そんな計算は必要ないからやらないだけですね。



・僕はそうした打算で作られた音楽が溢れている現代に対して、しののめは「本当はそうじゃないだろ!」って暴いてる気もします。

眞保:音楽って本来は芸術的なものだと思ってるんですが、そうした芸術的な音楽が相当減っているように感じてます。



・音楽って芸術の中でも一番人に伝わりやすいものでもあると思うんですよね。
感情や思想を音と言葉でダイナミックに表現出来るのが僕の中の音楽なので。

眞保:表現の手段として音楽をやっているだけなので、必要のないものは削ぎ落とされているのかなって。



・しののめは核がしっかり見えるからこそ、響く人には本当に響く音楽をやっていると思います。

眞保:そうであり続けたいですね。



・久間さんはしののめのオリジナルメンバーですが、久間さんから見たしののめってどういうバンドなのでしょうか?

久間:「みんなおいでよー!」って感じではないけど、「ロウライト」に関しては辛い気持ちの夜とかに優しくはないけど朝まで付き合ってくれるアルバムみたいな感じなので、バンドも基本的にそんな感じですね。優しくはしないけど突き放しもしないみたいな。



・駆け込み寺みたいな。

久間:「大丈夫だよ!元気出してよ!」みたいな感じじゃないけど、朝まで一緒にいてくれるみたいな感じはしてます。



・真夜中に聴くと本当に映えるバンドですよね。

久間:そんなバンドだと思っています。別に昼間っぽいバンドではないので。陽が出てない時に聴くバンドって感じはあります。



・「しののめ」ってバンド名もそれを表してますよね。

久間:最初に曲を作った時から夜っぽい曲が多かったので。

眞保:夜っぽいバンド名にしたいなって感じで決まったよね。

久間:それで大体バンド名は略されるから四文字くらいでって感じでバンド名は決まりました。

眞保:エゴサが異常に難しいバンド名。



・真下さんの加入はアルバムレコーディング後ですよね。

久間:一年がかりでアルバムどうにか完成させたんですけど、アルバム用のアートワークの写真の撮影でまた時間がかかって、そんな時に加入しました。

眞保:色々ギリギリになってしまったんで大変でしたね。真下さんから見るしののめはどんなバンドですか?

真下:良いなって思うところは想像の余地があるところですね。
歌詞とかはちゃんと具体的な言葉で書かれてはいるんですけど、曲からイメージが浮かぶ様な曲が多くて。
元々、私と久間ちゃんが美大の先輩後輩の関係なんですけど、私は絵を描くのが好きなんですが、音楽以上のものをくれると言うか、インスピレーションが膨らんで良いなって。二人の歌声も大好きだし。
私はこういう暗いバンドをやるって思ってなかったんですけど、今はやるって決めて良かったですね。

眞保:真下さんが加入して最初のスタジオは衝撃だったらしいです。

真下:最初に眞保君に呼ばれてスタジオに行ったんですけど、何曲か曲をコピーして合わせるってなって、その時は久間ちゃんは体調が悪くてあんまり歌えなくて、眞保君はギター弾いて歌い始めるけど全然やる気がないんですよ。
そんな雰囲気だったので「この異様な雰囲気はなんだろう?」ってなって、眞保君に聞いたら「あんまりカバーやる気でないんですよね…」って。そして凄く辛い空気が流れてましたね。
私は高校生の時からドラムをやってるんですけど、バンドってもっと楽しいものだって感覚だったんですよね。だから「バンドって楽しい…よね?」ってのを投げ掛けるところから始まった感じです。そしたら二人は「楽しいって何だっけ?」みたいになって。

眞保:真下さんが加入する前はピリピリしてたので。

久間:当時はお腹が痛くなって携帯見たら眞保君から連絡が来てるとかあって、それを予知してお腹が痛くなる感じでした。

眞保:スタジオの時、全く私語無かったよね。

久間:みんな下を向いてお酒を飲むだけみたいな。それで曲合わせてピリピリした空気が流れてまたお酒に逃げるみたいな。
そんなのを数年やっていたので、真下さんに問いかけられた時に楽しいの概念の振り返りから始まりました。でも今は楽しいですね。

眞保:最近はスタジオでの私語が多すぎるかなって。でも最近は明るい…のかな?







・そもそもしののめの音楽に楽しい要素が全くないので。しののめはやはり真夜中の真っ暗な部屋の片隅で体育座りで聴くのが礼儀だと思ったりします。

久間:ロウライトが完成した当時は宇都宮に住んでて、丁度寒くなり始めた頃だったので、取り敢えず窓開けて正座して聴きましたね。そして「これだ!」ってなりました。



・しののめの持つ暗さって日常生活や人生の中で失ってしまった物に対する後悔というか…どうしても拭いきれない物悲しさや喪失感を歌ってるバンドだと思います。
しののめって僕の中で感情なり景色なり時間なりを想起させる音ってのがありまして、だからこそしののめをジャンルで括りたくないですね。

眞保:ジャンルなんて手段でしかないですから。シューゲイザーっぽい音作りとかは多いですが、それはあくまで曲の表現方法として使ってるだけで、僕はたまたまギターが弾けるからギターを弾いてるだけですし、たまたま僕の表現方法が音楽だっただけです。
パンクバンドだから奇抜な格好をして過激なことを言うってのは僕にとっては手段であって目的ではないですね。



・パンクバンドだからって全ての曲でポリティカルなメッセージを放たないとダメとかってルールは僕もないと思います。

眞保:音楽はあくまで表現の手段と考えてるので、そこが他のバンドとのノリの違いかなって思います。



・眞保さんが具体的に表現したいものとは何でしょうか?

眞保:色味だったりとか、冬の寒さだったりとか、内向的なところだと自分が思ってる事とか、そうしたものをどうやって音楽に昇華してこうかってところを考えてやってますかね。



・「楽園」という曲の歌詞に「生きる事は素晴らしくない」ってあるじゃないですか?あの曲を初めて聴いた時に「本当はそんな風に思いたくない!」って足掻いてるように思いました。

眞保:本当はかなり期待してるのかもしれないですね。人生そのものが絶望的だと感じてるので「救いはないものか?」という気持ちはすごくありますね。
何の考えもなく肯定されてるのに違和感を覚えたりとかあって、「自殺ダメゼッタイ!」とか「生きていれば良いことあるから生きましょう。」とか何の根拠もなく言ってる事が、みんなそれを何の疑いもなく受け入れてるのが本当に怖くて、だから触れちゃいけない部分を暴くというか…そういうノリはあるかもしれません。
音楽というかロックというかそうしたものがポップスとなんら変わらなくなっちゃったって感じもありますね。



・それこそ作為的なものが増えてしまったのかなって。

眞保:大量に売らないと回らなくなったんでしょうね。だからわかりやすくて作為的で消費されるものが増えてる傾向があると思います。







・ここまで眞保さんの考えを話してもらいましたが、眞保さんがしののめの中心人物じゃないですか?その眞保さんの表現に対して久間さんと真下さんはどうリンクさせてる感じでしょうか?

真下:私はイメージの拡張器でありたいなと思っていて、眞保君が曲に込めてる思想とかに触れて、そこで感じた情景とかを音に出して、眞保君が3考えてるなら6にして返したいなって。それがバンドでやってる意味だと思います。
私は空想とか妄想が好きなので、そういう情景だ!ってなったら私の中ではそういう世界になってるんですよね。それを眞保君に伝えると最初はレスポンスが良くなかったりするんですけど、合わせてるうちに気付いてくれてる事もあって、それが他人が介在する意味だと思います。



・眞保さんが描いた色をブーストさせるのが真下さんなら、そこにまた違う色を加えるのが久間
さんだと個人的に思います。一つのテーマやコンセプトに対して近いけど違う色を付け足してるというか。

久間:基本的に暗いので、根っこが暗いというか。一番暗いかも。
眞保君がデモを持ってきた時に普通にリスナー目線で聴くんですよ。それを聞いてブーストみたいにはならないんですけど…何だろうな?

真下:私はこういう意味が分かってない人がいるのも重要だと思うんですよ。自分なんでいるのかな?みたいな。そういう感覚の人も重要だなって。
私みたいにしっかりと思考を持ち過ぎてるとまたそれはそれでバンドの雰囲気とかバランスが変わりますし、ウジウジと「何で!?」って感じで久間ちゃんにはいて欲しいなって思います。無理しないで「何で私が歌っているんだろう?」みたいな人も重要ですね。

久間:分からぬままで、ずっとファンみたいな感じで所属してて、デモ聴いて「これめっちゃいいじゃないですか!!え?これ私歌うんですか?」って感じなんで。



・ますます一筋縄ではいかないバンドですよね。しののめって。こうして話していると皆さん穏やかな方ですが、根はダークサイドだなって。

久間:もしかしたら眞保君が根っこは一番明るいかも。



・次の展開は決まってますか?

眞保:アルバム出してから今日までゆっくりし過ぎたので、少し飛ばして行こうかなって。何なら今月とか来月とかには色々動こうかなって感じですね。

久間:寒い間に何かします。

眞保:冬の間だけ頑張ります。



・逆冬眠ですか(笑)。

真下:夏は夏眠します。冬は頑張るので夏の間はWANIMAみたいな明るいバンドに頑張ってもらう感じで。冬は私たちしののめが頑張ります。



・改めて夜や冬が似合うバンドですよね。次のアルバムやライヴも楽しみです。

眞保:アルバムは出しますけど、ライヴはどうしようかって感じですね。

真下:基本的に作るのが好きな人たちが集まっちゃってるんで。



・100s結成前の中村一義みたいな。

久間:レコーディングしたりとかMV撮ったりしてる方が楽しいです。

真下:でも今日のライヴで観ている人たちの顔が見れたのは本当に幸せでしたね。

久間:観てくれてる人がいるって状況が半年以上なかったので…



・しののめの音楽は今の時代だからこそ広まる筈なので、マイペースながらも頑張って作り続けて欲しいです。20年とか30年とか続けて欲しいなと。

真下:今日、割礼さんのライヴを観て、自分があの位の年齢になった時にどんな音を出してるんだろうって興味が出ましたね。

眞保:割礼すごく格好良かったな。

真下:目指せストーンズで!転がる石になります。

久間:割礼さんがMCで「公民館で練習したりもする。」と言ってたので、私たちも次のライヴはまた公民館かな?

眞保:個人的に蒲田温泉でライヴしてみたいですね。



・次のライヴはまた公民館で!ライヴハウスでライヴしないバンドって感じで。真冬の水上公園とかも良いですね!水元公園とか。

久間:寒さに震えてもらいながら。

真下:でも冬のフェスとかやりたいよね。

久間:「ロウライト」の長くなったイントロの部分を私たちは「レイキャヴィークの部分」と呼んでまして。

眞保:当時シガーロスにハマってて、アイスランド行きてえ!って思いながらフレーズ作りましたね。



・アイスランドでもライヴして欲しいですね。

眞保:シガーロスと対バンしたいと思いながら、それを目標に末長く続けていけたらなと。



オフィシャルサイト:https//:www.shinonomenome.com
Twitter:https://twitter.com/ShinonomeBand
Instagram:https://www.Instagram.com/shinonomeband
スポンサーサイト

■老人の仕事/老人の仕事





現在各所で大きな話題を呼んでいるドゥーム/ストーナートリオこと老人の仕事の自主制作にてリリースされた1stアルバム。
全3曲ながら収録時間は30分弱と濃密なドゥーム絵巻に仕上がっている。

killie、johann、CxPxSのメンバーにより結成され、当初は「老人」名義で活動し、2017年末に「老人の仕事」へとバンド名を変え、今作をリリース。
メンバー全員ライヴでは毛むくじゃらな布で全身を覆う衣装とバンド名のみならずヴィジュアル面でもインパクトのあるバンドだが、その音楽性はSleepへの日本からのアンサーと呼ぶべきヘヴィロックだ。



メンバーの儀式めいた呻き声ボーカルなんかも入っているが基本はインスト。時にはフルートの音も入れていたりするのだが、3ピースのシンプルなバンドアンサンブルの強靭さにまず驚く。
和音階を取り入れたりしつつも、それぞれの楽器隊のフレーズそのものは実にシンプルで、ギミックは何一つない。しかし音の一発一発が異様にヘヴィで強烈。
リフとグルーヴのみで聴き手の原始の本能を呼び起こし、脳味噌をトランス状態へと導く。
ヘヴィでスロウなサウンドのみならず、ダイナミックなロックンロールすら感じさせ、ドゥーム/ストーナーの領域だけで語れない不思議なサウンドを放つ。

特に素晴らしいのは第3曲「翔んでみせろ」。人間は太鼓の音を聴いたら踊りたくなるといったレベルまで肉体的本能に訴えるグルーヴ、繰り返されるリフが宇宙を手に入れろと言わんばかりに飛翔し、異次元体験の世界へと誘う。
余計な理屈抜きに、その音だけで聴き手をロックしダンスさせる。「ロックなんてそれで良いんだよ!!」と言わんばかりに、曲名通り翔んでみせている。



そのバンド名やヴィジュアルのインパクトも凄いが、老人の仕事はSleepへの愛を愚直なまでにロックンロールにしたバンドだ。
楽曲の中にメッセージや言葉は存在しないが、音楽が持つ原始的な可能性を提示し、狂騒へと導く。

ヤバくてぶっ飛んだ音楽の前ではアルコールもドラッグも必要ない。その音に身を委ねて翔んでみせたら良いだけなのだ。
ヒリヒリした緊張感の中で冷や汗を流し、早くなる心臓の鼓動と共に踊り狂いたくなる。危険極まりない音楽がそこにある。



■henceforth/Spike Shoes

henceforth
henceforth
posted with amazlet at 18.08.16
spike shoes
Tiny Axe (2018-08-08)
売り上げランキング: 4,286




長年にわたり宮城県仙台を拠点に活動を続け、仙台のローカルヒーローの枠に収まらない活動で多方面から常に注目を集めるSpike Shoes。

結成25年の大ベテランバンドが2018年にリリースした6thアルバムは、大ベテランの聖域に胡座をかくことなく、常に進化を自らに課すSpike Shoesらしい未来を射抜く快作となった。



Spike Shoesのサウンドスタイルは形骸化したハードコアパンクとは一線を画す。
第1曲「serac」から壮大なる物語の幕開けにふさわしいポストメタル方面のアプローチを展開し、中盤ではSpike Shoes印のダヴサウンドも展開される。
一方で第2曲「crossbreed」ではレイジングなハードコアで1分弱を瞬く間に駆け抜け、静と激をドラマティックに展開する第3曲「砂の城」、悠々としたレゲエからレイジングに変貌する第4曲「dry fang」、強靭なバネを活かした瞬発力から宇宙へと飛び立つ第5曲「落日」、そして完全にレゲエに振り切った第6曲「耳鳴りの丘」まで。全6曲27分の中で見せる表情は多彩を極める。
サウンドスタイルは多彩を極め、それこそボーカルはエモーショナルな叫びから超音波ハイトーン、果てはファンク的なクリーントーンボーカルまで変幻自在。

何物にも縛られない自由なサウンドでありながら、アルバムを通して聴くとSpike Shoesが目指すハードコアパンクが一本の線で繋がるのは大ベテランの気迫がなせる業だろう。
レイジングなサウンドから宇宙へとぶっ飛ばされる様な跳躍力へ、レゲエ/ファンク方面のアプローチは信念と言う名のソウルからハードコアへ、そして漆黒の夜を切り裂き朝日を眺める様な情景すら浮かぶ。



シリアスでありながらもポジティブなエネルギーに満ち溢れ、25年に渡りバンドを継続させてきたからこその実力に裏付けされた強靭なサウンド。そしてより自由に羽ばたく信念は確かに未来へと繋がっている。

異種交配を重ねながら、歩みを決して止めない仙台のローカルヒーローの言い訳無用の信念のドキュメント。
ハードコアパンク=進化と信念であることを証明し続けるSpike Shoesが多くのフリークスから熱い支持を集めているのは当然の結果でしかない。

自らを信じ、キレ進んでいるバンドにしか出せない説得力がそこにはある。
Spike Shoesのハードコアパンクはまだまだ止まることがなさそうだ。



■Mensch, achte den Menschen/死んだ方がまし

Mensch, achte den Menschen
Mensch, achte den Menschen
posted with amazlet at 18.02.22
死んだ方がまし
死んだ方がまし (2017-04-08)
売り上げランキング: 393,186




死んだ方がまし。本当にとんでもないバンド名だ。
人間なら誰しもが死んだ方がましって感情を抱いたことは一回どころか何回もあるだろうが、それをバンド名として冠している時点でこのバンドはただならぬバンドである。
2012年に結成されたTokyo Blue Days Punkこと死んだ方がましの2017年リリースの待望の1stアルバムである今作は怖いくらいにロックの本質だけを掴んでしまった大名盤だ。



正統派ニューウェイブ/ポジパンサウンドを基軸に、時にはみんなが大好きな往年のV系やSSE周辺のバンドのテイストも感じさせるサウンドはロックとしては勿論、パンクとしても何一つ現在の主流になっているものとは全く別の位置にあり、下手したら逆行的でもある。80年代に名を馳せたアンダーグラウンドのパンクバンドの全てを凝縮したかのような音だけを鳴らしている。

そしてハイトーンで文学的に吐き捨てられる言葉の数々は何一つ救いなんかありはしない。絶望や虚無といった感情を余計な装飾抜きに並び立てられている。
それが妙に耳に残るメロと痙攣しながらループするギターフレーズと変則的なビート、躁鬱を終わりなく繰り返すような音と共にズタボロに聴き手を切り刻んでいく。

そもそもロックは勿論、音楽は誰も救わないし、世界を変える事なんてまず不可能だ。
だからこそ世界が空虚になればなるほどにロックの意味が問われる筈だ。
今作はどうせ世界も滅ばねえし、誰も殺すことも出来ないんだから、このまま一人孤独に死んでしまってやるというロックの一番危険な感情をパッケージしている。
だからこそ一時的な物だとしても、そうした感情を抱えている人には何処かで届くのかもしれない。



ディストピア完成間近を迎えている現代の日本。頭を空っぽするを通り越して白痴にすら陥ったポジティブの押し売り、「僕は病んでる君の事を理解しているよ」と嘯き続ける安い絶望のチラ裏、Twitter映えばかり狙ってRT数が稼ぎたいだけの表現もどき、それら全部このバンドに焼き払われてしまえとすら僕は思った。
共感だとか共有だとか上っ面の理解者ごっこなんて糞食らえとばかりに自爆テロだけを死んだほうがましは続けている。これでもかとばかりに大半の奴らが見て見ぬフリを続けている病巣を暴き続ける。

「狂ってるのは俺じゃなくてお前らだ。」とばかりに発狂した感情と音を投げつけてくるが、実は誰よりも正常な感受性を通過した上で鳴らされているからこその表現なのかもしれない。
そして誰にも寄り添いもしない。腐りきった世界だけを暴く。

日に日に空虚化していく現代社会に痛烈なカウンターを食らわせる今作は、外側も内側も焼き払って自爆する様なカタルシスすらある。
だからこそ僕は何度も今作をリピートしてしまうのかもしれない。



■消える世界と十日間/それでも世界が続くなら

消える世界と十日間
消える世界と十日間
posted with amazlet at 18.02.20
それでも世界が続くなら
ベルウッドレコード (2017-07-26)
売り上げランキング: 7,467




それでも世界が続くならというバンドほど不器用なまでに普通なら見たくない事を暴こうとするバンドはいないと思う。

結成から現在に至るまで人の痛みとリアルを愚直なまでに歌い続けて来たそれせかの2017年にリリースされた7thアルバムは「一人の人間の人生を、よりリアルに音楽に閉じ込める」ことをコンセプトに、篠塚が約十日間に渡り楽曲を作り上げたドキュメント作品となっている。



これまでの作品同様にほぼ一発撮りでライヴでの空気感をそのまま音源にした様なサウンドプロダクトに仕上がっているが、今作ではそれがより作品のコンセプトにリアリティを与えている。
並べられた楽曲こそ様々な表情を見せるが、どの楽曲もこれまで以上に「暴く」という事により大きな比重が置かれている。

楽曲そのものはポップであり、歌物としてのクオリティが凄まじく高いにも関わらず、それをズタズタに切り裂くノイズギターとざらついた音と言葉の数々。作品が進んでいく程により突きつけられる感覚に襲われる。
鋭角なノイジーさがバーストする新たなキラーチューンである第1曲「人間の屑」、繊細なアンサンブルの静けさからドラマティックに轟音がバーストする第7曲「消える世界のイヴ」の二曲からは特に痛みを乗り越えた先を生きることを新たなる犯行声明として歌う楽曲も魅力的だが、僕個人は第4曲「正常」と第9曲「水の泡」の2曲が特に今作の核となる楽曲だと思う。



風俗嬢も 警察も 詐欺師も 先生も
言いたい事は同じ 金を稼げ

正常/それでも世界が続くなら




残酷なまでに綺麗事抜きの真実を死刑宣告の様に歌う「正常」はそれせかの持つバンドとしての本質が特に表れた楽曲だろう。

「水の泡」も同様だが、当たり前に横たわる見たくもない聞きたくもない真実を突きつけ暴くのがロックである事からそれせかは逃げていない。
耳触りの良い言葉を選ぶのなんて本当に簡単で、世の中なんて綺麗な言葉だけを欲しがる人間ばかりだ。そんな人間相手に教祖様になればもっと売れるし、もっと金も稼げる。
じゃあそれせかは何故それをしないのか。まだ正常でありたいからこそ、狂った事が当たり前になってる事を暴き続けるしかないのだ。




今作も楽曲の完成度自体とんでもなく高く、純粋にギターロック/オルタナティブロックとしてのメロディセンスの凄まじさもそうだが、そんな楽曲に乗る言葉は普通なら選ばれない言葉ばかり。だから暗くて重く、聴き手を本当に選ぶ。

だからこそ聴き終えた後に聴き手の心に確かな楔を打つ。だからそれせかはロックの本質だけを常に掴み続けるのだ。



プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

タグ別記事表示

日本 ライブレポ 激情系ハードコア アメリカ スラッジ ポストメタル ポストロック ポストハードコア カオティックハードコア ドゥーム エモ イギリス サイケ オルタナティブロック フランス アンビエント ストーナー ネオクラスト ドローン ドイツ ギターロック シューゲイザー ハードコア グラインドコア ロック プログレ マスロック ポストパンク インタビュー ポストブラックメタル デスメタル スウェーデン カナダ モダンへビィネス ブラックメタル スラッシュメタル ギターポップ エクスペリメンタル エレクトロニカ ジャンクロック インダストリアル イタリア ベルギー フューネラルドゥーム グランジ スペイン ノルウェー オーストラリア 年間BEST パワーヴァイオレンス ジェント アコースティック ポップス モダンヘビィネス ニューウェイブ フォーク ミニマル ラーメン ブラッケンドハードコア プログレッシブメタル ファストコア ゴシックメタル ロシア メタルコア ハードロック ノイズ ニュースクールハードコア フィンランド トリップホップ アブストラクト オランダ 自殺系ブラックメタル 駄盤珍盤紹介 ヒップホップ ゴシックドゥーム ミクスチャー ポジパン ダブ ノーウェイブ クラウトロック ゴシック ノイズコア ダブステップ シンガポール ラトビア パンク ヘビィネス インディーロック テクノ チェコ メロディックパンク メタル ポーランド デンマーク メキシコ ドラムンベース オルタナティブ スイス アシッドフォーク ジャズ ブルデス ヴィジュアル系 アイルランド ウィッチハウス ドリームポップ 年間ベスト ニューウェイヴ 韓国 カントリー プリミティブブラック トラッドフォーク スクリーモ ヘビィロック フリージャズ クラストコア ファンク トルコ ギリシャ 台湾 スコットランド USハードコア ガレージ シンフォニックブラック イラン ハンガリー ボイスCD 声優 ポルトガル ソフトロック モダンクラシカル レゲエ アイスランド 

カテゴリー

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

カウンター

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。