■Birushanah

■魔境 -MAKYO-/Birushanah

魔境 -MAKYO-



 大阪のスラッジトリオBirushanahの2015年リリースの最新作であり、前作まで参加していた唯一のオリジナルメンバーであったSOUGYO氏脱退後初の音源。
 バンドの創設者が脱退しベースレスになるというピンチを迎えていたが、それを逆手に取りギター・ボーカル・ドラム・メタルパーカッションによる独自の呪術スラッジをより濃厚にスケールアップした会心の一作となっている。
 BirushanahにとってSOUGYO氏のベースはかなり重要な存在であったし、それが欠けてしまうのはバンドの持つ独自性が崩壊してしまうんじゃないかって勝手に心配していたけど、そんな心配は不要でしか無かった。ベースがいなくなった分、各楽器の持つおぞましさが余計に際立ち、アジアンテイストな密教世界を描く。

 第1曲「薔薇小夜も兔」の冒頭でこそ和太鼓と和笛の音をフューチャリングこそしているけど、残されたメンバー三人の演奏が肝になっており、特にドラムとメタルパーカッションのビートは更に磨きがかかっている。
 ドラムに関してはよりパワフルになり、祭囃子感をこれでもかと押し出しまくり、それに加えてSANO氏のメタルパーカッションの金属の破裂音も無慈悲な不協和音でありながら、その音だけで踊れるダンスミュージックだ。
 唯一のメロディ楽器であるISO氏のギターもスラッジリフがダイナミックに炸裂し、ベースの不在を感じさせない重低音溢れるスラッジリフを奏でているが、そこから感じる和音階のメロディにより、破壊力だけじゃ無く、Birushanahの持つ世界観がより明確に伝わる。

 今作の一番の特徴としては歌物作品となっている事だろう。サウンドこそ呪経的スラッジではあるけど、そこに乗るISO氏の歌はロマンの塊だ。
 歌詞こそ独特の言い回しを駆使してはいるが、変拍子だらけのビートとリフに歌を浸透させる事によって、非常に自然体のサウンドが完成している。
 第3曲「星々の名残」はそのヴォーカルから80年代のポジパンだったり、YBO2的なプログレの空気も感じるし、バンドのアプローチもそういったバンドの文脈に確かに繋がっている。
 削岩機の様なドラムとメタルパーカッションの応酬とギターリフと歌の謎の高揚感から一撃必殺スラッジを繰り出す第4曲「瞼色の旅人」、14分に渡りスラッジプログレなサウンドスケープを展開し、現在のBirushanahのエクストラヴァージンな要素とロックンロールな要素を最後には噴出する最終曲「鏡」は今作でも特に大きな聴き所だろう。

 これまでのディスコグラフィの中でも屈指の整合性とキャッチーさを持つ作品だが、そのキャッチーさが逆にBirushanahの異形さを浮き彫りにし、ベースがいなくなった事によって生まれた引き算の美学を感じる作品だ。
 全5曲50分の魔境への道中はファンタジーでもあり、どこまでもスリリングだ。メンバーチェンジを繰り返しながらも、新たな細胞分裂により生物として更に進化したbirushanahここにあり!!



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■ヒニミシゴロナヤココロノトモシビ/Birushanah


ヒニミシゴロナヤココロノトモシビヒニミシゴロナヤココロノトモシビ
(2013/07/10)
BIRUSHANAH

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 数多くの異形の猛者ばかりが集う大阪が誇るドゥームバンドであるBirushanahの2013年リリースの最新作。今作はオリジナルメンバーでありバンドの創設者であったベースのSougyo氏の脱退前の最後の作品でもある。しかしながら今作でも彼等の密教的ドゥームは健在であり、しかもこれまでよりずっとコンパクトになったからこそ。その音の破壊力がダイレクトに伝わるようにもなったと思う。



 Birushanahといえば、トライヴァルなビートとドゥームと仏教的な世界観と音階を駆使したドゥームサウンドを放出するバンドだが、その持ち味を生かし、更にはメタルパーカッションも取り入れ、これまでよりコンパクトになりつつも、より濃密で危険度が高まったのが今作だ。第1曲「人的欲求-Jintekiyokkyu-」の冒頭のメタルパーカッションの変則的なビートから何やら異様な空気を漂わせ、ドラムとギターとベースが入り込んだ瞬間にもう見事なトライヴァルスラッジ煉獄へ。更には煙たさ全開のギターソロまで繰り出しのっけから危険な香りと空気が鼓膜から五感に広がっていくのを感じる。楽曲の後半は呪詛の様なボーカルも入り、より引き摺るスラッジサイケデリックと変貌し、ツインボーカルで叫ぶ生と死、ダイナミックに叩きつけるドラムとメタルパーカッションが肉体のリミッターを粉砕、のっけからBirushanah節全開なんだけれども、これまで以上にアプローチが明確になっているし、楽曲の尺も比較的短くなっているからこれまで以上に取っ付き易いのに、これまで以上に直接的に危険極まりない音塊をぶつけてくる。
 第2曲「数え唄-Kazoeuta-」はより密教的な音楽性とサイケデリックさを打ち出し、読経的ボーカルと、不穏の音階を鼓膜に焼き付けるベースラインと変則的で不気味すぎるビートとサイケデリック全開なギターフレーズの反復が脳髄を溶かしに溶かしてくる。しかし途中から一気にスラッジ色を全開にして、密教的世界観はそのままによりダイレクトに鬼神の如きビートを繰り出し、非常に破壊的な音をこれでもかと放出しまくる。もう脳汁が止まらなくなるし、終盤はその破壊的サウンドが一気に高まりもうとんでもない事が起きているんじゃないかって気分になってしまう。
 今作は4曲中3曲が比較的コンパクトな尺の楽曲だが第3曲「授戒-Jukai-」はこれまでのBirushanahを髣髴とさせる約17分にも及ぶスラッジドゥーム絵巻。スラッジなパートの破壊力も凄いけど、こちらはより不穏で静謐なパートが多く、だからこそビートとグルーブの凄みが更に伝わり易くなっている。反復するベースラインが描く螺旋と、ドラムとパーカッションの複雑極まりない絡み合いだったりと、持ち前の密教スラッジをサイケデリック極まりないアプローチで繰り出している。不穏な静謐さと暴虐を極めたスラッジサウンドの対比、ツインボーカルが生み出す混沌といったこれまでの持ち味を更に極めてしまった感じがある楽曲だが、中盤のサイケデリック色を打ち出したパートの複雑かつ完璧なアンサンブルの流れから、再びスラッジ要素を出したパートに入った瞬間に、まさかの和笛の導入というもう反則技としか言えないアプローチを繰り出してくる。銅鑼の音と和笛のドローン要素のある音が世界観を更に際立たせ、最後はやはりスラッジ地獄で終わる。これまで以上にプログレッシブでもあり、より精神の深い所まで抉り込んで来ているし、このバンドの凄みが一つの到達点に達した名曲だろう。そして最終曲「小松-Komatsu-」で約3分のスラッジ煉獄で止めという構成。約33分で異質の世界へと旅立たせてくれる。



 Birushanahは現在残ったメンバー3人でライブ活動を続け、現在は新作音源の製作にも入っているという。Sougyo氏の脱退は残念ではあるけれども、これだけの凄まじい作品を作り上げてくれたし、これからのBirushanahへの期待の高まりは不可避である。「赤い闇」でぶっ飛ばされた身であるが、今作は更におぞましく不気味で精神を破壊する様なスラッジドゥームを見せ付けてくれたし、和製ドゥームの危険極まりない存在としてBirushanahは本当に唯一無二なバンドだと僕は思う。本当に違う世界へと脳髄が飛ばされてしまうのは間違いない筈だ。



■赤い闇/Birushanah


Akai YamiAkai Yami
(2008/04/15)
Birushanah

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 大阪のトライヴァルかつサイケデリックなドゥームトリオであるBirushanahの07年発表の作品。3曲40分といった大作であり、時間軸から時空を歪ませる音階とトリップしまくりなサイケデリックさから爆音のヘビィなドゥームというかなり濃厚な作品だ。複雑に絡み合うヘビィな音が一気に世界を歪ませるそんな危険極まりない作品だ。



 Birushanahの特徴としてまず和の音階を多用している事が挙げられる。琴の様なギターの音色の不穏の音階は正にサイケデリックな空気を生み出している。それでいてトライヴァルなビートが音の螺旋を描き、ズブズブと堕ちていくドープさを見せてくれる。その静謐な不穏なラインから、一気に爆音のリフで全てを埋め尽くしていく様は本当に圧巻だ。第2曲「赤い闇」は20分にも及ぶ曲の長さだけで無く、その時間感覚分からなくなってしまいそうな、歪みに満ちている。ベースの音階もヘビィでありかなり強調されているせいか、かなり耳に残ってくるし、そこに煙たいギターリフの音圧が加わり圧巻のサウンドスケープを描き出している。この全身を震撼させるリフとビートを浴びたら失禁確実の危険極まりないサイケデリックドゥームだ!第3曲「界雷」も負けず劣らず極悪なドゥーム絵巻であり、のっけから狂気しか感じない叫びと、緊張感に満ちた三位一体の音の塊が振り注ぐ超重量級の1曲だし、乾ききった音作りがまたその硬質のヘビィネスを生み出しており、脳髄をブン殴られているかの様な感覚すら覚えてしまいそうだ!



 密教の様な世界観を見事に表現しているBirushanahの音は本当に個性的でそれでいて強烈だ。ブッダがガンジャをキメまくった末にギターとドラムとベースを持ったらこんな危険な音になってしまったと言うかの様な麻薬的快楽に満ちている。3ピースでありながら各楽器の存在感と演奏技術も素晴らしいし、本当にヘビィで本当にサイケデリックな世界がここにある。日本人だからこそ鳴らせるトリップ感がそこにはある。



プロフィール

AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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