■AMPERE
■Like Shadows/AMPERE

ORCHIDのメンバーによって結成されたAMPEREはUS激情の中でも最強といっても過言ではない圧縮された狂気と混沌を生み出す超破滅的激情ハードコアバンドである。2011年発表の今作であるが、その狂気はリミッターすら破壊し、徹頭徹尾ファストで破壊的なショートカットチューンで攻め立てる音だ。15曲13分という本当にショートでファストな作品でありながら常にテンションと狂気はマックスであるし、常にクライマックスと破滅に向かって燃え尽きて行く様な感覚すら覚えるのだ。
今作は常に爆音の洪水で満ちた音が終わり無く降り注ぐ作品だ。殆どの楽曲がクライマックスだけを抽出したかの様な旋律とテンションが徹底して鳴らされているし、破壊的な音のカオティックハードコアを圧縮し、その僅かな尺の中でただ狂気を垂れ流すのではなく、クライマックスの中ですら起承転結のドラマ性を持たせている事によってその激情はより鮮明な音として存在している。それでいて徹底してるのはその暗黒具合!黒を更にこれでもかと黒で塗りつぶしていくかの様な漆黒を極めた邪悪な炎が常に暴発し続けるそれはハードコアとしての肉体的強度を持ちながらも、それ以上にドス黒い音塊で殺しにかかってきている音としか言えない。ミサイルの嵐の様なドラムと爆風と邪炎のギターの轟音のカタルシスは常に絶頂を極め、更に血管なんてとっくの昔に全てブチ切れてしまったかの様なテンションと怒りと殺気のスクリームを叩き付けてくるボーカル。それをたった13分に全て詰め込み一点集中の音に圧縮したからこその破滅具合は正にハードコアの狂気そのもの。本当に禍々しい音が吹き荒れているのだ。
激情系ハードコアのバイオレンスさをリミッター破壊のテンションと轟音で鳴らしたからこそのそれは、怒りと狂気の音楽として非常に危険な物となった。激情と悲壮を最もバイオレンスな形で表現したからこそのカタルシスしか今作には存在していない。ノイジーなドス黒い音の炎に焼き尽くされる事は必至!ハードコアのバイオレンスさと激情を極めた名盤!そしてその音は破滅的だからこそ最高に快楽的でもあるのだ。