■toddle
■The Shimmer/toddle
![]() | the shimmer (2011/05/11) toddle 商品詳細を見る |
元NUMBER GIRL、現bloodthirsty butchersの田淵ひさ子率いるtoddleの実に4年振りの2011年発表の3rdアルバム。プロデューサーはブッチャーズの吉村氏を迎えている。音楽性は1stの頃から比べても一貫しており、オルタナティブな轟音とメロウな旋律と浮遊感のある音色をコシの強いリズム隊が支えるといった物である。しかし今作はよりその音を洗練させてきた印象を強く感じる。そのオルタナティブな感触はそのままにギターポップとしての透明感と歌物ロックとしての強度を高めた作品に仕上がった。
今作は前作以上に歌と言う部分に重きを置いた印象を受ける。toddleは浮遊感の漂う轟音が大きな魅力であるが、今作では必要以上の轟音サウンドは存在していない。歌とギターの音色が絶妙なバランスで配分された事によってオルタナティブな浮遊感を残しながらも、楽曲自体の基軸になっている旋律であったりひさ子の歌であったりと言った部分を聞かせる音に仕上がっているのが大きな特徴だ。また楽曲自体の完成度も非常に高くなった印象を受ける。純粋に耳に入り込んでくる旋律の素朴な優しさ、ひさ子の浮遊感のある声はそれと見事にマッチして気持ちの良いサウンドになっている。更にはどこか落ち着いた印象を受ける平熱の温度で鳴らされている音にはバンドとしての成熟を伺う事が出来る。しかしバンドとしては成熟してもtoddleが1stの頃からずっと鳴らしている郷愁のノスタルジーは決して薄れてはいない。第6曲「Barley-Break」なんてその郷愁がとんでもないセンチメンタリズムとなっているし、本当に甘酸っぱくて胸が締め付けられてしまいそうになるのだ。また今作かたmooolsの内野氏が新メンバーとして加入しているが、前任の安岡氏に負けず劣らずロックバンドのドラマーとして確かな屋台骨としてtoddleの音を支えている。江崎氏と内野氏のリズム隊の強度の強さが更に楽曲そのものの強さを確かな物にし、フロントのひさ子と愛のコンビを支えるというより理想的なバンドとしてのグルーブも確かな物として耳に入り込んでくるのだ。
4年の歳月を経ただけあって今作は純粋に自らの音を更に確固たる物に仕上た作品になったと言える。楽曲の完成度もバンドとしてのグルーブもより確固な物にし、その甘い浮遊感と郷愁の音を何のギミック無しに真っ直ぐな歌としてここまで堂々と歌い上げるバンドに成長した事を感じさせてくれた。僕個人は第10曲「Eraser」の青臭い瑞々しさと郷愁が一気に押し寄せてくるのに、そこに真っ直ぐとその先を見据える力を感じさせてくれるそれに本当にtoddleの成長と進化を感じた。この歌は何のブレも無く、ただ真っ直ぐな歌だ。だからこそダイレクトにその歌と轟音は胸に突き刺さってくるのだ。