■Humanfly

■Ⅱ/Humanfly


IIII
(2008/04/08)
Humanfly

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 イギリスのポストメタルバンドであるHumanflyの08年発表の作品。その音は正に稲妻の様な音であり、静かに降り注ぐ雨模様の風景を描く様なパートから音の暴風雨ともいえるヘビィな音の嵐を巻き起こす神秘性が前面に出た作品だ。その狂気的な旋律から激情の轟音へと雪崩れ込むそれは本当にドラマティックだ。全6曲60分という徹底した大作志向な作品であるが、そこにはなんら退屈な冗長さなんて存在しない。全編に渡って繰り広げられる音の粒子の洪水と、胸を抉る旋律の嵐は漆黒の空に降り注ぐ雷鳴そのものだ。



 その音楽性は初期Pelicanを彷彿とさせる物であり、ただでさえブ厚い重厚轟音リフが重なり合い、天変地異のリフとビートが世界を揺るがす。楽曲の構成は複雑極まりなく、非常にドラマティックでありながらプログレッシブそのものと言って良いだろう。一つの楽曲の中でそれぞれのドラマ性を孕んだパートが存在し、それらが組み合わさってより壮大な物語を紡いでいくかの様な感覚を僕は覚えた。第1曲「heme Park Of Death」からいきなり組曲形式の大作であるし、それは反復するアルペジオからその緊張感を高めて行き、幾重に重なる音が仄暗い風景を想起させるかの様な音を描き、そこからスラッジリフの押収がやってくるという物。その歌声も非常にエモーショナルな叫びそのものであるし、抗う事の出来ない世界と音に押し潰されそうになる。第2曲「Shot Into Space」も宇宙的なアンビエントな音の不穏さから始まり、そのサイケデリックさが高まったきた所からの爆音の臨界点へと突き抜けていく様は宇宙すらブチ抜く勢いだ、。緻密に作りこまれた音でありながらも、轟音重圧リフが雪崩れ込んだ瞬間に本能が理性を食い殺してしまうかの様な暴発具合のカタルシスは圧倒的。荒々しく刻まれるリフの粗暴さに飲み込まれてしまいそうになりながらも、その芸術的な音に神秘性を感じるし、そのバランスがまた絶妙なのだ。そしてそれすら超えた瞬間の音は脳髄に雪崩れ込み、全てを焼き尽くす音へと変貌を遂げるのだ。
 全編常にクライマックスへと向かい暴走する作品であるが、最終曲「An Intimate Battering」はそれが絶頂へと導かれる楽曲。個人的にポストメタル史の中でも屈指の名曲の一つだと思っており、幾重にも音が重なり合い、空間を捻じ曲げる響きとヘビィさで空間を捻り潰すリフが共存し、前半の時点で既に全ての音が隕石レベルの破壊力で降り注ぐ。空間系エフェクターを使いこなしインプロ的なフレーズと歪みながらも美しい旋律を鳴らすアルペジオが重なり、宇宙を成す術も無く彷徨っているかの様な音が続く中盤で再び壮大なドラマが描かれ、そして終盤の終わり無き叫びと黒い音塊が遅く重く叩き落される様は、太陽を掴み、その業火で焼き尽くされてしまった人間の断末魔とすら思えてしまう。そして跡形も無く肉体が焼き尽くされた先の輪廻の様なスペーシーな音で今作は終わる。



 これでもかと重なり合う音の洪水から、地上に吹き荒れる暴風と雷鳴の音からスペーシーなサイケデリックさも加わり最後は宇宙すら掴み果てていくかの様なこの時空と次元の破滅と創造を描いたかの様な超芸術的ポストメタルと言っても過言ではない今作。こいつらはNEUROSIS、ISIS、The Ocean級の美意識とスケールでその音を鳴らし、その美意識すら超えた先の本能的な音が生み出すカタルシスに僕は完全に殺されてしまった。ポストメタル屈指の傑作。この音は宇宙だ。
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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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