■Anathema

■Weather Systems/Anathema


Weather SystemsWeather Systems
(2012/05/07)
Anathema

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 降り注ぐのは正に眩いばかりの光の至福の福音。ゴシックメタルの世界では最早大御所の位置にいると言えるベテランバンドであるAnathemaの2012年リリースの9枚目のアルバム。前作「We're Here Because We're Here」にて彼等の天上の音色に心を奪われてしまったが、今作は路線こそは変わってはいないけれども、より洗練され、更にストリングスの重厚さも加わりより神秘的な世界へと導く至高の1枚になっている。



 Anathemaに関してはここ最近の音しか知らないからアレなのだが、前作から彼等を知り、メタルの概念を捨て去り、ボーダーレスかつ徹底した美意識によって作られた清らかで美しい旋律を神秘的に鳴らし、無数の光の雨を描き出す彼等の音には本当に心を鷲掴みにされてしまっていたが、今作では大胆にストリングスを導入し更なるスケールにて神秘の世界を描いているし、より清らかかつ多くの人の胸に届く美旋律が咲き乱れる世界が広がっているのだ。第1曲「Untouchable, Part 1」のアコギの旋律から一発持っていかれるし、そこから広がるスケールと歌に脱帽だし、そこから純度を高めて高揚感溢れる純白の世界へと広がる。精神の純粋な開放と共に多幸感に満ち溢れて心が豊かになる。第2曲「Untouchable, Part 2」では少しダークな深遠さを感じさせるピアノの旋律が印象的であり、女性ボーカルも途中で入り込み、そのダークさを塗り替えるストリングスの豊かな音色の豊潤な味わいの深みと共に昇天。分かり易い轟音パートとかは前作同様に無いにしてもリズムの微かな強度の変化や旋律のテンションを徐々に上げる事による音の広がりの表現力が実に見事だし、それを豊かで重厚な音でありながらも耳に優しく入り込む優しさと、その奥底にある確かな強さを実感するしかないし、それでいてより深みと重みを以って入り込む頭のこの2曲だけで今作の凄みを嫌でも味わう事になるだろう。第4曲「Lightning Song」は今作でも個人的にかなり気に入ってる1曲で、アコギとストリングスの旋律が生み出すハーモニーから女性ボーカルが入り、静謐さの中で広がっていく幻想世界、そしてクライマックスではギターとストリングスが一気に天をも貫く音を鳴らし、力強いビートと共に新たな世界の誕生を祝福する至高の1曲であり、何度聴いても涙が流れそうになって明日が見えなくなりそうな事は間違いない。第6曲「The Storm Before the Calm」では打ち込みの導入という新たな試みを見せている、そこからアンビエントやドローンの要素を随所に交えたパートを盛り込みつつ、最後にはストリングスが大爆発して壮絶なクライマックスを見せるこの大曲もまた今作の肝になっている。特にラストのギターソロはストリングスとシンクロし、泣きに泣きまくっているじゃないか!!第7曲「The Beginning and the End」ではゴシックメタルバンドらしい泣きのギターが更に炸裂し、哀愁に満ちたボーカルと共に物語を一気に絶頂へと運んでいるし、前作でもそうだったけど何よりも1曲1曲の完成度の高さが素晴らしい。そして最終曲「Internal Landscapes」にて今作屈指の高揚感と共に幕を閉じる。



 路線自体は前作とあまり変わらないけど、大胆な打ち込みとストリングスの導入とより洗練された楽曲の完成度が絶唱レベルにまで極まっており、2012年の絶対に外せない1枚と言って間違いないだろう。メタル要素こそ皆無ではあるが、涙腺と心の琴線を刺激しまくる至福の音。心が天へ導かれる感覚を今作を聴いてると味わえるし、どこまでも底知らずの幽玄かつ美しい音が重厚かつ深く感動的に響き渡っている。正に涙無しでは聴けない1枚だ。



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■We're Here Because We're Here/Anathema


We're Here Because We're HereWe're Here Because We're Here
(2011/06/07)
Anathema

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 My Dying Bride、Paradise Lostと並びゴシックメタル御三家として名高いAnathemaの2010年発表の8枚目の作品。しかし今作ではメタル要素はあまり無く、ゴシックらしい耽美さこそあれど、天へと登り詰めるかの如き、気高く優しい音が入ってくる、その旋律の美しさだけで無く、眩いばかりの光を感じさせてくれる神々しさを放つ光の音楽を気高く美しく鳴らした傑作だ。



 その音はゴシック上がりの美意識は勿論であるが、ネオ・プログレを独自に消化し、ポストロック的な静謐な美しさを配合させながらも、楽曲のコード進行や展開は非常にドラマティック。バンドとしての音だけで無く、ピアノ・ストリングスも取り入れ、轟音とはまた違う厳かな音が幾重にも重なり合った壮大さと音の厚みを強く感じる。優しい旋律とソフトなボーカルは取っ付き易さもあるが、その音は緻密であり厳か、どこまでも登り詰めていく神々しさと耽美な破滅的感傷が交じり合いながらも最終的には眩い光へと突き進む様な感覚に陥る。第1曲「Thin Air」の柔らかな旋律から徐々に熱量を高めて行き、終盤でその音圧を高め登り詰めていく感情的な音と眩いばかりのドラマティックさ、第2曲「Summer Night Horizon」でのゴシック要素の強いピアノの旋律から始まる、シリアスでスリリングなダークさから少しずつ光が差し込むかの様な展開、冒頭の2曲はそのカラーこそ違うが、今作での音は見事に体現した楽曲であるし、それぞれが行き着く先は涙が溢れそうになる位の美しさと、包み込む様な旋律からのドラマティックさと、その先にある光だ。女性ボーカルのコーラスもまた今作の音の魅力を大きく引き出している。第4曲「Everything」なんて冒頭のピアノのフレーズから感情を刺激し、乾いた心に優しく水を与える様な、または温かい毛布の様な温もりと安らぎを施される様なそんな気分にすらなってしまう。繊細でありながらも、バンドとしての確固たる強さを感じさせてもくれるし、安らぎの音でありながらも、そのボーカルも音も美しいラインを描く様は本当に感動的。しかしながら光差し込む美しさだけで無く、第7曲「A Simple Mistake」の様なゴシックな耽美さ、悲しみに満ちた儚さを物語の様に紡いでいく長尺の楽曲も見事。中盤ではゴシックメタルなリフも登場し、ドラマティックで美しい破滅へと向かう様なんか本当に堪らないのだ。ストリングスの音がまた感傷的でもあり、終末へと加速する破滅の美学そのものを体現したかの出来であるのも注目すべき点だ。しかしながら1曲1曲の完成度が本当に高いし、一貫して儚くも芯の強い旋律が途切れる事無く鳴り響き、それをより浮き彫りにするストリングスやピアノの音であったり、細かい部分にまで拘った徹底した美意識に基づくアレンジであったりと本当に完成度の高い光と涙の美しさに満ちた作品だ。



 僕は今作で初めてAnathemaの音に触れたが、その神経や細胞レベルまで拘ったアレンジや美意識はそうだが、全ての音が確かな強度を持ちながらも、聴き手の体と心に優しく入り込んで行く様な温もりに満ちているし、ジャケット同様に眩い光を感じさせてくれる純潔の美意識と美しさに満ちた作品だ。そして決して長尺の楽曲は多くないのだけれども、その壮大なスケールは本当に一つの神話の様であり、そのドラマティックさにも魅了される。本当に多くの音楽ファンに受け入れられる作品だと思うし、今作の音の有効範囲は半端じゃ無く広いと思う。紛れも無い大傑作。



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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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