■PASTAFASTA
■PASTAFASTA/PASTAFASTA
![]() | PASTAFASTA (2009/05/20) PASTAFASTA 商品詳細を見る |
吉祥寺を拠点に全国に悪意をばら撒く音速のファストコアを鳴らす3ピースPASTAFASTAの09年発表の1stアルバム。ジャケットはデラシネがデザインしている。3ピースでハイパーテクニカルなファストコアを鳴らす彼等の音はショートカットチューンの応酬であり、一撃必殺のリフと怒涛のビートが渦巻く物、それでいてキャッチーさも感じさせるのだから本当にタチの悪い物だ。瞬殺の9曲16分の爆撃がここにある。
彼等の音楽にはリフの殺傷力が大きな要素を占めている、硬質さとジャンクさを感じさせながらも高速回転するリフが渦巻き、あっという間に次の展開へとワープしていく楽曲構成も手伝い、短い尺の中で目まぐるしく楽曲は展開し、とんでもない情報量を持っている。それに加えて怒涛のビートが押し寄せ、回避不能の混沌へと飲み込まれていく。第1曲「Peace Game」から瞬殺のリフにやられるし、ツインボーカルの性急さと殺気立ったシャウトがそれにまた拍車を掛ける。僅か2分の中でコロコロ変わっていく展開もそうだけど、ブレイクやキメを巧みに入れながらもその暴走っぷりは止まらない上に、一聴しただけで耳に残るリフのキャッチーさもあるから本当にタチの悪さを感じる。第2曲「Super Boredom」なんて初期The Dillinger Escape Planを彷彿とさせるカオティックハードコアっぷりを展開しているし、何よりも第5曲「Comic Short Hair」の超陽性のリフで攻めまくり爆走する30秒間からの第6曲「Satanic」の1分間にとんでもない情報量を持ち、10曲位濃縮してしまったかの様な感覚へと雪崩れ込む様は今作でも屈指のカタルシスを持っている。第8曲「Listening 26」はLARGE400のカバーであり、打って変わってポストロックとファストコアを融合させた楽曲をプレイしているのもニクいし、その余韻を完全に破壊する世紀末っぷりを発揮する第9曲「Possessed To After School」へと繋がる辺りは本当に彼等らしいと思う。静謐さも見せつけながらも最終的には混沌へと帰結するこの楽曲はどこか感動的ですらあるから本当に訳が分からなくなってしまう。
超絶テクニックで3ピースながらも高速回転しながら重量級の音圧を見せ付ける彼等は本当に悪意のハードコアと言っても良いだろう。若手バンドの中でも屈指の悶絶大量殺戮サウンドには多くの人が虜になる事間違い無しだ。THE LOCUSTの様なファストコア好きや初期The Dillinger Escape Planの様なカオティックハードコア好きは勿論、日本国内ならMELT BANANAやNICE VIEW辺りが好きな人にも猛烈に推奨したい1枚だ。この悪意はどこまでも高い中毒性を持っている。