■YOB
■the illusion of motion/YOB
![]() | Illusion of Motion (2004/10/19) Yob 商品詳細を見る |
アメリカはオレゴン州のスペーシードゥームトリオであるYOBの04年発表の3rd。4曲で56分しかも26分にも及ぶ超長尺の楽曲もありという壮大なスケールのドゥームを今作で聴かせているが、スペーシーかつストーナーな音の濁流で攻め立てながらも、終わり無く続く漆黒のドゥームサウンドは時にプログレッシブでもあるし、聴き手を全く飽きさせる事無い作品になっているし、その音階とリフが聴き手に危険な快楽を送り続ける脱糞失禁間違い無しの作品になっている。完全にゲス野郎向けだけど、ドゥームを愛するゲスには堪らない作品だ。
YOBのドゥームはサバス直系でありながらも、サバスの持つ音階のへビィさを更にサイケデリックな部分を抽出したかの様な音階が特徴的であり、その音階こそが彼等のドゥームが聴き手をトランスさせる役割を担っている。クリーントーンのギターフレーズで脳髄をシェイクしてからの激重リフの応酬。構成や展開も全く単調じゃ無いし、リフの破壊力を最大限に生かしている。時折ハイトーンの猟奇的なシャウトをブチかましながらもボーカルはEW直系の完全なマリファナボイス。いきなり11分のも及ぶ大作である第1曲「Ball Of Molten Lead」から幕を開けるが組曲の様な構成に単調さは全く無く、一つのストーリー性が楽曲の中に存在している。そしてスペーシーなドゥームであると同時にロックの純粋な格好良さもあるのも特筆すべき点であろう。音は完全にゲス野郎向けの煙たさとへビィさ全開のドゥームなのにドゥームを普段全く聴かない様な人までゲスの仲間入りをさせてしまえる取っ付きやすさもしっかりあるのだ。第3曲「DOOM#2」は今作で唯一10分未満の楽曲なのだがYOBの持つロックバンドとしての格好良さが前面に出ているし、モダンへビィネスに近い感触のリフにやられてしまう。低音グロウルとハイトーンシャウトを巧みに使いこなすボーカルも痺れるし、へビィロックとしての格好良さを持ちながらも、ドゥームバンドらしい煙たさも忘れない辺りは流石だ。後半のドゥーミーなリフの応酬なんてそれだけで飯が何杯も食えるレベルだ。そしてラストの第4曲「The Illusion Of Motion」は完全にサイケデリックなYOBが全開の26分にも及ぶ壮絶なドゥーム絵巻。今にも止まりそうなBPMで楽曲は進行し、リフが描く螺旋の渦によって聴き手はトリップ必至!重圧殺リフの猛威から絶頂の終盤の加速具合とサイケデリックさに脳髄は完全トランス状態の危険極まりない名曲だ!
ドゥームの危険さとロックの格好良さを持ち、それでいてサイケデリックなトリップ具合も見せ付けるYOBはドゥームとしてかなりの水準を持ったバンドであり、ゲス野郎はゲロ吐きながら白目剥くの必至の音を鳴らしている。しかしこいつらの恐ろしい所はプログレッシブかつサイケデリックなゲス向けの音楽の癖にロックバンドとしての原始的な格好良さも持っているからゲスじゃない人もYOBを聴くだけで立派なゲスになってしまうだけの力を持っている所だ。異次元のドゥームに飲み込まれたら二度と戻れないドゥームメタル。本気で規制されてもおかしくないレベルの音をYOBは鳴らしている。