■Runhild Gammelsæter
■Amplicon/Runhild Gammelsæter
![]() | Amplicon (2010/08/31) Runhild Gammelsaeter 商品詳細を見る |
Thorr's HammerのボーカルでありSUNN O)))への参加や、Khlystでその悪魔の歌声と狂気を響かせる悪名高きノルウェー人美女Runhild Gammelsæterの08年発表のソロアルバムであるが、ドローンとかノイズとかエクスペリメンタルだとかそうゆう枠すら超えてしまった狂気よ恐怖の作品だ。Stalagghが音楽性を持ったらこうゆう音になるのかどうかは知らないが、圧殺の恐怖と女性特有の怨念が容赦なく迫ってくる完全に気の違った作品。サウンドミックスはULVERのTore Ylvisakeが担当。
今作ははっきり言ってSUNN O)))すら可愛く思えてしまう作品であり、彼女の参加したKhlystの全てを放棄した悪意すら生温く感じるレベルの物だ。第1曲「Collapse - Lifting Of The Veil」から先ずおかしい。超低域のグロウルからトラッドなフレーズと共にクリーンな美声を聴かせたと思えば束の間。直ぐに重圧殺ドローンへと変貌し、無機質なシンセとディストーションが炸裂。コロコロと美と醜を見せる歌声にも脳髄がおかしくなりそうだし、間善に憎悪のリミッターが外れてしまっている。SUNN O)))は無慈悲に大音量で極悪かつヘビィなドローンを聴かせているけど、SUNN O)))級の音圧を持ちながらも、それに女性特有の情念を最大化してしまったかの様な音になっているのだ。Thorr's Hammer時代に聴かせていた低音グロウルでは無くKhylstの様なヒステリックさで時にグロウル、時に不気味に囁き、時に発狂したシャウトを使い分けているし、構成とかそうゆう概念を放棄し目まぐるしく変化するドローンサウンドとダークアンビエントな不穏さは聴いてて落ち着く暇なんか与えてはくれない。しかもタチが悪いのが時折静謐なアンビエントパートが美しかったり、持ち前の美声を聴かせていたりするのだ。全ての概念を放棄したエクスペリメンタルドローンの中でその美しさは際立つし、その音や声に安堵を覚えた瞬間にドローンな精神的ヘビィネスに移行していたりするから本当にタチが悪い。第9曲「Senescence」に至っては展開を半ば放棄したダークアンビエントなトラックの中で精神病院で叫んでいるかの様な叫びと、悲しみに満ちた美声が響き、次第にその美声も彼岸で怨霊とダンスしているかの様な不気味な声に変貌してしまっている。全11曲に一貫して存在するのはRunhildの狂気のみ。
この世に狂気の沙汰の音楽は存在するが、ここまで怨念と殺意しか存在しない壊れた音楽は中々無いだろう。Khlystの様な全てを放棄した実験音楽でも無いし、大音量で聴けばそれだけ彼女の怨念がダイレクトで伝わってくる。天使と悪魔が殺し合う様な暗黒世界、勇気ある方は触れてみては?