■STRUGGLE FOR PRIDE
■YOU BARK WE BITE/STRUGGLE FOR PRIDE
![]() | YOU BARK WE BITE (2006/05/17) STRUGGLE FOR PRIDE、カヒミ・カリィ 他 商品詳細を見る |
ライブハウスだけでなくクラブでもライブ活動し、日本のアンダーグラウンドシーンの中でも屈指のカリスマとして君臨する日本のノイズコアの英雄的存在であるSFPの06年発表の1stアルバム。MerzbauやGuitar Wolfとのスプリットの発表やECDとの関わりなのでハードコアシーンだけでなく多くのシーンに爪痕を残してるだけあって多彩なゲストが参加していたりするのだが、何より今作はまさかのエイベックスからのリリースであるのだ。そしてとんでもないノイズの音圧渦巻く破壊的かつハッピーな粗暴さ渦巻くハードコアがここにある。
そもそも第1曲「REFLECTOR」はカヒミ・カリィのポエトリーリーディングから始まるのだ。カヒミの柔らかな声で紡がれる言葉の数々はとてもじゃ無いけどハードコアのバンドの音源とは思えなかったりするのだが、そのカヒミの声に酔っているリスナーを嘲笑うかの如くフィードインしていくノイズ、そしてカヒミのポエトリーが終わると同時に超強烈なハーシュノイズと極端に小さくした今里の叫びに雪崩れ込むのだから恐ろしい。それに繋がる形で第2曲「BLOCKLPAIN」でMSCの漢と麻暴の粗暴なラップが乗ってしまうのだから驚きだ。SFP自身も正当派のクラスとサウンドを極端にギターの音量を大きくした上でのエクストリームなノイズコアを展開し、その粗暴な音圧は一撃必殺だろう。それに加えて今作での録音もかなりグレイトになっている。デトロイトでマスタリングを行ったらしいのだが、ハーシュノイズの音が本当にクリアなのだ。耳を突き刺すノイズでありながら、細かい粒まで聞き取れるノイズサウンドの突き抜ける様はSFPの粗暴さを見事なまでに体現している。その裏で聞こえるドラムとボーカルもまた妙なカタルシスを生み出しているし、圧倒的ハードコアノイズに気付いたら飲み込まれてしまう。そして第6曲ではジャパニーズクラストの英雄ABRAHAM CROSSのカバーである「FEELING IN SOIL」まで繰り出してくる。アブラハムの最強のクラストサウンドをノイズ塗れにし更にプリミティブにしてしまったカバーにも痺れるしか無いのだけれど、それに続く第7曲「SUMMER NEVER ENDS」にてSFPに暴力性と、その先にある終わらないパーティの狂騒8感に満ちたアンセムは拳を突き上げてモッシュしたくなるの必至の超必殺の1曲だ。第8曲「MOBS」は何故か完全なる無音だし、第9曲「YOU BARK, WE BITE」で電話の声を収録し、それが終わった瞬間に1分間のノイズコア天国にブチ込まれて終わる。徹底して狂騒の中で渦巻くノイズコアのパワーには本当に圧倒されてしまうだけ。
ジャンルを超えたゲストの存在からも分かると思うが、音楽のジャンル等はSFPの前では無意味だし、多くのリスナーと多岐に渡る音楽ジャンルの愛好家を巻き込むだけの音圧とパワーに満ちたハードコアサウンドはライブハウスもクラブに最高にアガれて最高に暴れられるモッシュピットにしてしまうだけのパワーとカリスマ性に満ちている。SFPが何故東京のアングラシーンの英雄として君臨してるかは今作を聴けば分かるが、彼等のライブパフォーマンスは音源を凌駕する圧倒的ノイズと粗暴さで全てを捻じ伏せるだけの物がある。だからこそSFPはカリスマとしてシーンを越えた英雄として存在しているのだ。