■Weakling
■Dead As Dreams/Weakling

ASUNDER, THE GAULTのギタリストJohn Gossardを中心に結成されたアメリカはカルフォルニアの3ピースブラックメタルバンドの00年に発表されたデモ作品を除くと唯一のアルバム。カルフォルニアのブラックと言えば日本でも人気の高い独りカルトブラックメタルであるXASTHURが思い浮かぶ人が多いと思うが、こちらも陰鬱さを極め、壮大な悪夢の様なブラックメタルとなっている。
全5曲で76分、全曲10分超えという長尺の楽曲ばかりが並ぶ今作であるが、全編通してシンプルでありながらもドラマティック、リフを機軸にして進行する楽曲ばかりだが、こいつらの魅力は言ってしまえば少し単調な構成と展開でありながらも、それを退屈だと思わせないメロディセンスとドラマティックさである。随所に入れ込まれるアクセント的なブレイクやギターフレーズもシンプルな構成をドラマティックかつプログレッシブな味付けにするのに一役買っているのも見逃せない。極端に長尺の楽曲ばかりだし、その涙の旋律は人の陰鬱な感情を刺激しまくるので精神的にヘビィな作品になってはいるのだけれども、その類まれなるメロディセンスが取っ付き難さを薄くしている。メンバーは元々はブラックメタルのバンドをやっていた訳では無いらしく、John GossardがWeakling凍結後に参加したASUNDERもフューネラルドゥームのバンドという事もあるのか、ブラックメタル要素を感じるけど、もっとゴシックであったりフューネラルな要素を感じる。第2曲「Dead As Dreams」なんか20分超えの超大作だったりするのだけれど、旋律の変化と進行と純粋なセンスのみでどこまでもドラマティックな世界を生み出し、感情を刺激するブラックとなっている。音質も決して悪くないし輪郭のはっきりしたリフの魅力とギターと後ろでなっているシンセが生み出す旋律は泣きの感情を見事に加速させる。その楽曲自体の旋律の魅力は音楽性こそ違うがブラックメタル界でも有数のバンドであるDeathspell OmegaやSilencerにも匹敵すると言っても過言では無いし、黒い音楽を好む方々が納得する完成度であると同時にフューネラル系やゴシック系の音楽を愛好する人にも受け入れられるだけの魅力をWeaklingは持っている。
非ブラックメタルの連中によってWeaklingは結成されたが、このたった一枚だけ残した唯一の作品は持ち前のメロディセンスを存分に発揮し、ブラックメタルの重要作品になったと僕は思う。ブラックメタルの世界でも屈指の高水準の旋律を味わえる76分にも及ぶフューネラルなブラックメタルに僕の心は震える。