■UM-アム-

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■東響組曲/UM-アム-

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 男女二人組のオルタナティブ・エレクトロニカ・アバンギャルドの雑多な音楽性をモダンかつポップネスに鳴らすUM-アム-の07年発表の1stアルバム。この作品を発表した当時はアムという名義で活動していた。ライブではサポートを加えてバンド編成で行っているが音源では完全に打ち込み導入のエレクトロニカとオルタナティブを融和させ、それを多方面に渡る要素を盛り込み鳴らしている。今作は東京をテーマにした作品であるが、今作の混沌とした感触は東京という街のそれともしかしたらリンクしているのかもしれない。



 SE的な第1曲「デザイン」からTBSラジオのジングルをサンプリングするというどこまでも人を食った真似をしてるが、第2曲「リダ椅子」でいきなりオリエンタルな空気に変貌し、ボーカルの豪徳寺リカイの伸びやかで艶やかなボーカルが印象の残る。ほぼEmで進行するシンプルなコード進行に反してアレンジは妙に込み入った物になっており、ポップでありながらも妙にザラついた感触を覚える。第3曲「上下対象のニコ」もシンセとグロッケンとシンプルな打ち込みのビートにリカイ嬢のウィスパーボイスが織り成すふわふわした揺らめきのポップネスとリカイ嬢作曲の2曲はアムの持つポップさを伝える名詞代わりの楽曲だが同時に心の奥底に残るざらつきも覚える。そして本領発揮でありハイライトは藤宮氏作曲の第4曲「トモダチバイオリズムⅡ」だ。エレクトロニカ×シューゲイザーの融和な楽曲であるが、不協和音が織り成す冷徹な旋律の切れ味と絶対零度の幻想が生み出す美しくも人間の深層心理を抉り取るへビィネス。リカイ嬢の声はどこまでもウィスパーなのに、楽曲その物の重みがカオティックな方向へと導きながらも同時に癒しの旋律だと勘違いしてしまいそうな感触もある。そこからパラレルワールド的世界が繰り広げられる。第5曲「サクラカーテンランドセル」の四つ打ちとアコギ基調のポップの歌物楽曲でありながら不意に入る転調と変拍子が自らのポップネスを分断し、第6曲「トーキョーソレイユ954」トリップホップとシューゲイザー要素の入り込みそこにリカイ嬢のウィスパーボーカルが妖しさを加速させていく。アムはポップさの中にあるアバンギャルドさとアバンギャルドさの中にあるポップさが魅力であるし、その断層を不明確に時折見せてくる本当に掴めない音を聴かせてくる。それを分断した終盤の2曲は秀逸で、第7曲「キリ」の今作で唯一のバンドサウンドで繰り広げられる正統派ギターポップ的なアプローチとポジパンを彷彿とさせるリカイ嬢のボーカルとそのポップさの中にある歪みを見せつけ、第8曲「新宿アーカイブス」ではインダストリアルなビートを基調に作り出したノイジーなエレクトロニカな音は自らのポップネスを放棄し、聴き手を嘲笑うように終わるのが本当に彼等の輪郭をぼやけさせてしまう。



 モダンかつクラシカルな感触という点ではどの楽曲もある意味統率はされているけど、アプローチは本当にバラバラだし、更にはリカイ嬢のボーカルも楽曲によって全く違う顔を見せる。持ち前のポップネスで輪郭を掴んだと思わせておいて、その奥のアバンギャルドさで煙に巻く。そしてそんな聴き手を嘲笑ってすらいると思うのだ。ポップでありながら見えない深淵の世界を描くアムというバンドは正体不明の柔らかな狂気を見せ付ける、だからこそ入り込んだら抜け出せなくなる。
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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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