■Mooncake

■Acoustic/Mooncake

Acoustic 1



 ロシアのポストロックバンドであるMooncakeの2012年発表のアコースティック作品。リリースは彼等の作品の再発も行っているFluttery Recordsから。Mooncakeの過去作は未聴だが、今作は素朴なアンプラグド作品であり、削ぎ落とされた音でシンプルに描かれる物語は実に豊かな音色を以って響いてくる。感情豊かで雄弁な音色と旋律が描く柔らかで優しい世界が広がってくる。



 基本的にアコースティックギターとストリングスのみで楽曲は構成され、たまにパーカッションが入るという本当にシンプル極まりない作品である。アコギの素朴なコード進行で描かれる楽曲は極限まで音数を減らした物では無いにしても、何の装飾も無いし、その後ろで鳴るストリングスが楽曲の旋律に静かに深みを与える。方法論としては何のギミックも無い物だけれど、彼等はあくまでも自らの楽曲の旋律のみで勝負している印象を受ける。その旋律も陰湿さは皆無でクリアで陽性の音色が静かに広がっており、清流の様な音色には心がほぐされて柔らかな気持ちになる。だが第3曲「Mandarin」ではそれ以上に深遠さが加速し、静寂の世界に温もりを与え、ドラマティックに展開しながらも、静寂の感傷は決して変わらないし、その中で熱を帯びていく様は心がキュッと締め付けられる。全5曲共に基本的なアプローチは統一されてはいるが、それぞれの楽曲が確かなドラマ性を持っているし、素朴な作品だからこそ、その旋律が描く物語はより明確になっているのだ。そしてその中にある確かな熱量こそがまた聴き手を掴み、柔らかな熱情として胸に入り込んでくる。



 純度の高い清らかさと、その奥にあるドラマ性とエモーショナルさのみで描き出される純白のアコースティックポストロックは決して派手では無いけれども聴き込む程にその世界へと引き込まれて行くし、スッと聴き手の耳に流れる音色の柔らかで美しい旋律には心惹かれる物が確かに存在している。Fluttery Recordsの作品はクリアな音色を奏でるアーティストばかりだが彼等もまた少しずつ上り詰める静寂の情景を高い精度で描くアーティストだと思う。
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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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