■Optrum
■Recordes/Optrum
![]() | Recorded (2006/06/07) オプトラム 商品詳細を見る |
Optrumは日本が生み出した世界でも屈指のユニークさを誇るノイズユニットだ。蛍光灯を改良した音響装置とドラムの2人組という一見したら訳の分からない編成もそうだけど、蛍光灯に数多くのエフェクターを繋ぎ繰り出されるノイズとドラムのみで生み出されるのはエクストリームなノイズミュージックだ。今作は彼等の06年発表の1stアルバムであり、彼等の代名詞ともなっている蛍光灯とドラムの異質な編成を感じさせないノイズミュージックが録音されている。
そのユニークさが取り立たされる彼等だが音源で聴くとその純粋なノイズミュージックとしての魅力がダイレクトに伝わってくる。幾多のエフェクターを駆使しながら高速回転するディストーションノイズは瞬発力に満ちており、爆音のノイズを無慈悲の放出するというよりは、耳を突き刺し破壊する超高音ノイズが乱打され、落ち着きの無いままに暴れまわる。確かに爆音で無数に繰り出されるノイズは全く耳に優しくなんか無いけれど、決して難解な音にはなっていないし原子的なハードコアなカタルシスに満ちたノイズだと言える。そして注目すべきはドラムだ。卓越した演奏技術を持ち、ハードコアとインプロとドラムンベースを融合させた独自のドラミングは原始的なパワーを持ち、ノイズ以上に高速で乱打されるビートの嵐は肉体的な躍動に満ちているし、非常にダンサブルな物になっている。ノイズとドラムが組み合わさった瞬間にノイズミュージックでありながら、ダンサブルなハードコアでもあり、原始的な肉体の躍動を生み出し、難解さと取っ付き難さを排除したエクストリームミュージックとなるのだ。しかしながらそのユニークな形態と分かりやすいサウンドという間口の広さを持ちながらも音そのもののエグさには全く妥協を感じないし、その間口の広さがあるからこそよりエクストリームな方向へと飛翔するサウンドだとも言える。誤解を恐れずに言えばノイズミュージックに本質的な意味でのトランス要素をブチ込んだ非常に快楽的な毒素に満ちた音楽だと言える。
音源でも十分に彼等の魅力は伝わってくるが、ライブでは更にその魅力がダイレクトに伝わってくる。音源以上の音圧と音量は下手したら耳を破壊されてしまいそうな危険なノイズを繰り出しているし、生で繰り出されるビートの高揚感と、終わり無く点滅を繰り返す蛍光灯の視覚的な破壊力が融合したエクストリームなライブを彼等は見せ付けてくれる。オリジナリティーと攻撃性に満ちたノイズミュージックは機会があれば是非目にして欲しい限りだ。