■Hellchild
■bareskin/Hellchild
![]() | BARESKIN (1999/06/05) HELLCHILD 商品詳細を見る |
90年代から00年代にかけて活動し、海外での精力的なライブ活動などを行い日本のアンダーグラウンドシーンの英雄的存在として名高いHellchildの99年発表の3rdアルバム。ボーカルのツカサ氏はFrom Hellや現在在籍するSwarrrmでの活動も名高いがHellchildの方でもその狂気に満ちたボーカルを披露しており、何より今作はHellchildがデスメタルもハードコアも越えた孤高のバンドであった事を証明している傑作になっている。
先ず彼等のサウンドはデスメタルの枠ではとてもじゃないけど語る事の出来ない物になっている。デスの要素を感じさせながらもそこにハードコアをブチ込み、デスとハードコアそれぞれの粗暴さを最大限に活かした物になっている。2バスなんかを盛り込みながらも今作の楽曲はミドルテンポのBPMの楽曲ばかりであるし、ギターリフはメタルとスラッジコアがクロスオーバーした激烈かつヘビィな物になっている。叩き付けるビートとリフの重みは痛烈だが、決してヘビィなだけでは無いし、ある種のシンプルさを感じさせる粗暴さを剥き出しにしたヘビィネスは取っつきやすくもあり、だからこそ獣が獲物の首を噛み千切る暴力的なサウンドになっている。単なるメタルとハードコアのクロスオーバーではなく、それを自然に融和させた結果生まれたのがHellchild節としか言えない独自のヘビィロックサウンドなのだ。徹底して暴力的であり、生々しい緊張感と共に悲壮感と殺気が際立ち、殺伐とした荒涼さは作品の中で統率され徹頭徹尾存在する。そのバンドサウンドの破壊力もかなり魅力的であるが、何よりもツカサ氏のボーカルが魅せる狂気がそのバンドサウンドと最高の相性を誇り、低域のガテラルを繰り出し、時折ポエトリーさを感じさせるボーカルも盛り込みそのパラノった殺意と悲しみをひたすら放出、それでいて何処か歌心も感じられるし、それが余計に哀愁と悲壮感をブーストさせているのだ。今作は楽曲毎に大きな変化や違いこそは少ないけれど、それでも悲壮感と狂気が際立つスラッジかつメタリックなハードコアサウンドの殺傷力に叩き潰されるし、粗暴でありながらも美しくあり、しかも聴いてて涙腺を刺激されまくりな哀愁まであるから本当に負の感情が暴発するヘビィロックとして高純度の物だ。因みに今作の初回版は2枚組になっており、disc2はカバー集になっている。個人的に本家以上の破壊力なG.I.S.M.のカバーや本家の楽曲の魅力はそのままにSlayerやMetallicaをカバーしているスラッシュメタルメドレーや、意外過ぎるU2のカバーとこちらも本編に負けじと聴き所満載なグレイトな内容となっている。
デスメタルすら越えスラッジを飲み込み、圧巻の音圧でヘビィさを極めたサウンドを鳴らすHellchildは日本が生み出した孤高の存在であり替えの効かないヘビィロックを鳴らしている。狂気とに満ちたヴァイオレンスな音塊は全てを叩き潰すハードコアとデスメタルの正面衝突だ。発売から10年以上が過ぎた現在でもその猛威は不変である。
ライブ動画