■Goatsnake
■Ⅰ+Dog Days/Goatsnake
![]() | 1 + Dog Days (2004/09/21) Goatsnake 商品詳細を見る |
The Obsessedのリズム隊だったギィ・ピナズとグレッグ・ロジャースが中心となり結成されSUNN O)))でお馴染みのグレッグ・アンダーソがギターとして参加している伝説的ドゥームバンドであるGoatsnakeの99年発表の1stと00年発表のミニアルバムをコンパイルした編集盤。SUNN O)))のグレッグのがメンバーとして在籍しているから、パワーアンビエントなドゥームを思い浮かべるかもしれないが、それが超絶キャッチーかつヘビィなブギーするドゥームメタルになっているのだ。恐らくSUNN O)))関係のバンドで一番取っ付きやすいと思う。
音楽性はそれこそサバスの流れを継承した正統派なドゥーム・ストーナーであり、非常にロック色の強い作品であるが、そんなキャッチーなロックの取っ付きやすさを持ちながらもサウンドプロダクションは容赦無くヘビィ。とにかく1stである「Ⅰ」の完成度が凄まじいレベルに達しており、耳を劈くスクリームかた始まり、辺りを埋め尽くすドス黒いギターリフでのっけから昇天は必至。ドゥーム特有の這い回るグルーブも最強クラスに達しているし、とにかくドゥームとはなんぞやという事を完全に理解しているからこそ、激重のギターリフ、グルーブ、煙たさ、それにロックの枠でも語れるキャッチーさと歌メロ。余計なギミックは何一つ無いのに、純粋な曲の完成度とアンサンブルを極めただけでここまでの物を作り上げてしまったのだ。第3曲「What Love Remains」は今作の中でも特にヘビィで、グレッグのギターワークが本当に光る。変則的で極端に音数を少なくしたアンサンブルの隙間を埋め尽くすリフのヘビィさとそのシンプルなリフのみで生み出すストーナー・ドゥームのグルーブ、降り注ぐ雷鳴のリフの反復の中毒性は異常に高く、ドゥーム愛好家のゲス共は間違い無く失禁覚悟で触れなければならない名曲になっている。第6曲「Dog Catcher」の読経ボーカルと歪みまくったベースラインのうねりから、脳髄はドゥームの天国とも言うべき音に完全に溶かされるし、スラッジコアな強烈な音圧とノイジーな音色には無条件降伏をするしかない。特に名曲になっているのは第8曲「Trower」。今作で一番の疾走感を持つ楽曲であり、素直にロックとしての格好良さに満ちているが、爆音のリフの音圧はやはり変わらず、爆音でブギーするストーナーサウンドで格の違いを見せ付ける前半から、ストリングスの美しい音色が挿入され、厳かな深遠さを見せる後半の展開は鳥肌物。片や「Dog Days」収録の楽曲も負けずにヘビィなドゥームを展開。「Ⅰ」に比べたらパンチは少し弱いと正直思うけど、その中でも「Raw Curtains」の今にも止まりそうなBPMで繰り出される終わりの無い激ドゥームなリフの反復が生み出すグルーブの危険性とヘビィさはやはり見逃せなかったりする。
SUNN O)))のグレッグが参加しているとは半ば信じられないキャッチーさを持ちながらも、激烈なヘビィさは圧巻の一言になっているし、サバス直系正統派ドゥームでありながら、リフのヘビィさとグルーブを極めた激重ドゥームになっているし、正統派ドゥームの一つの到達点にもなったと言える名盤になっている。今作が持つキャッチーさは一つの罠であり、その取っ付き易さとは裏腹に聴けば聴く程のドゥームの危険性を脳髄で体感し、その激重のサウンドに飲み込まれてしまうだろう。今作を聴けばドゥームとは何かを嫌でも理解出来る筈だ。