■KYOTY(KEEP YOUR OPINIONS TO YOURSELF)

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■Undiscovered Country Of Old Death And Strange Years In The Frightful Past/KYOTY(KEEP YOUR OPINIONS TO YOURSELF)

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 ポストメタル・ポストロック・激情系ハードコアの素晴らしいバンドの作品をリリースする日本のレーベルTokyo Jupiter、2012年初のリリースとなったのはアメリカはニューハンプシャー州のバンドであるKYOTYだ。今作はそんなKYOTYの1stアルバムであり、2012年のTokyo Jupiterのスタートに相応しい傑作になった。スラッジを基調にしたポストメタル・轟音系ポストロックの強靭さを見せ付けてくれる作品だ。彼等の音はハードコアの力強さとインストゥルメンタルの深遠なドラマティックさ、その両方を持っている。



 彼等の音は本当にハイブリットな物になっており、同じくTokyo Jupiterからリリースされている轟音激情バンドであるTotorRoや、轟音系ポストロック最高峰の This Will Destroy Youや、ポストメタルの代表格であるPelican辺りを愛する人を取り込める力と、それらのバンドに負けない馬力と深みを感じさせてくれる。第1曲「14」からKYOTYの音は炸裂、繊細なギターフレーズが深遠なる物語の幕開けを告げ、強靭なアンサンブルが図太い音を生み出し、スラッジな粗暴さをポストメタルの叡智と融和させる。それでいて激リリカルな旋律で攻めまくる物だから、余計に感情的であるし、破壊力を持ちながらもその旋律とアンサンブルで聴き手を引きずり込む絶対の力を放出している。ポストメタル系のバンドだとハイファイな音作りをするバンドが多かったりするのだけれども、彼等の音は少しローファイだし、その音作りがプリミティブな歪んだ旋律をよりダイナミックに見せるのに一役買っている所も見逃せない。第3曲「08」は轟音系ポストロックの叡智を最大限に生かし、タイトで力強いビートとは裏腹に、繊細な空間形エフェクターを使用したギターフレーズの美しさに酔いしれるし、後半からのリリカルな轟音からスラッジなリフの応酬へと移行する瞬間のカタルシスは相当の物。繊細で静謐なパート→轟音ポストロックなパート→スラッジなパートという構成を持つ楽曲が並び、非常にストレートなアプローチをしていると言えるけれど、その構造は自らのドラマティックさを最大限に引き出しているし、破壊衝動とクリアで美しい旋律が見事に混ざり合った轟音絵巻である第5曲「07」は特にその構成を生かし、惜しみなく激情の音色を吐き出し新たなる創造の情景を描き、暗闇と無常の世界からポジティブな光の輝きを見せ、新たな生命の誕生すら想起してしまう。第7曲「12」では容赦無くスラッジリフを浴びさせ、Russian Circleの様にリリカルな純白をハードコアのスタイルで生み出し、歪みまくった音色と無慈悲な暴虐の衝動を押し出しつつも、その根底にある旋律はやはりメランコリックであるし、トリオ編成のシンプルかつ屈強なアンサンブルでその輝きをより明確にする。そして最終曲である「15」は今作屈指の壮大な名曲。ファズのかかった激歪のベースラインから始まり、ストイックかつタイトに叩きつけるリズム隊のタフネスと同時に、ディレイのかかったクリーンな歪みをもったギターフレーズが徐々にそのエモーショナルさを高め今作屈指のスラッジ・ポストメタルのダイナミズムを展開し、後半ではギターのストロークのみになり、厳かな物語のクライマックスを告げる鐘の音の様なギターから熱量を高めた激重のアンサンブルへと変貌し、リリカルさと肉体的屈強さを最大レベルにまで高めたハードコアの先にある進化の精神を体現する美しくも残酷なエンディングへと雪崩れ込む。最後の最後に最も攻撃性の高い楽曲が待ち構えているが、そこからその奥底の繊細かつ知的な奥行きのあるサウンドプロダクトを展開し、新世界が生まれる瞬間としか言えないビッグバンを巻き起こす。そしてその爆発によって飛び散りまくる破片が見せる輝きこそがKYOTYの持つ感動的な美しさであると思う。



 シンプルなトリオ編成で余計なギミックの無い直球勝負な作品を作り上げたKYOTYだが、リリカルな旋律と、壮大さと深遠さと、スラッジな屈強さを徹底的に鍛え上げた末に生み出された芸術的激情作品だと断言したい。深い奈落の底から全てを焼き尽くす炎を生み出し、その先にある光を今作を聴いてると見えてくるし、マントルの奥底から大地を揺るがし、天では宇宙的スケールの爆発が起き、そして新たな生命の誕生へと繋がる。地球と宇宙の創造の物語を、ポストロック・ポストメタルの叡智を駆使し表現しているのだ。2012年もポストメタルはまだまだ進化出来るという事を証明してくれた傑作なのは間違い無い。1stとは思えないポテンシャルを体験させられたし、KYOTYも新たな物語を宇宙を伝える語り部として名乗りを上げた。今作は下記リンクのTokyo Jupiterのサイトから購入可能となっており、KYOTYは今作で日本への本格進出を果たしている。ポストメタル・ポストロックな新たなる誕生を是非体感して欲しい。



Tokyo Jupiter Records



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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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