■百蚊

■花園/百蚊


花園花園
(2009/10/01)
百蚊

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 福岡のノーウェイブな新世代の一角を担う男女混合4ピースジャンクバンドである百蚊の09年発表の2ndアルバム。前作では収録されてる楽器が全く違う顔を見せ、不整合な混沌具合を見せていたが、今作では実験的姿勢やジャンクさは残しながらも楽曲の方向性はかなり統率され、バンド自身の表現力と演奏力と殺傷力の向上し、より尖ったノーウェイブさとノイジーさとキャッチーさを見せつけてくれている。



 今作にあるのは性急さと初期衝動の坩堝である。不況和音を鳴らす二本のギターの切れ味と殺傷力は必殺の鋭角サウンドであり、不整合な性急さがよりグチャグチャになった狂気を分かりやすい形で提示している。メロディーは破綻しまくっているのに、どこか土臭い歌謡曲の様な哀愁が絶妙なアクセントとして働いており、それがキャッチーさを作り出し、前作異常の中毒性を生み出しているのだ。梶原がボーカルを取る第1曲「34 DANCE」では空間系エフィクトがかかりまくったジャンクなサウンドを持ちながらも、ダンサブルなビートと満面の笑みを浮かべたまま人を無差別に刺し殺す快楽殺人者の様な狂気が奇跡的なバランスで結び付いており、耳に入ってきたら二度と離れてくれない様な独自のポップさを表現している。第7曲「HANAZONO」や第8曲「ストレス」はダンサブルなビートと性急さがよりダイレクトに表れている楽曲であり、前作で感じさせていた百蚊のダンサブルなポップさを抽出し、それをダイレクトなビートに乗せ軽やかに突き刺してくる。
 百蚊のジャンクロックとしてのダンサブルさを楽曲の重点に置いた事によって聴き手の肉体的快楽にしっかりとバンドの音は結び付いているし、そこにセンチメンタルな乾いた歌と叫びと不況和音が乗る事によって不整合でありながら完成された百蚊のグルーブが体現されているのだ。



 バンドとして確かな軸をしっかり掴んだ事によって、百蚊の持つ殺傷力とポップさが踊れるジャンクロックとして形になった。しかしその実験的精神は何処に向かうかは想像出来ず、百蚊の次の一手は読めないままだ。彼らは薄ら笑いを浮かべながら聴き手を翻弄する。百蚊は一つの形に完成する事は無いだろうが、このジャンクな混沌具合だけは前作から既に完成されていたのは確かだ。
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■刺したい/百蚊


刺したい刺したい
(2007/09/19)
百蚊

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 福岡在住の4ピースポストパンク・ジャンクロックバンド百蚊の1stアルバム。全7曲、それぞれの曲で見せる表情は実にバラバラ。フロントの弦楽器隊3人ともボーカルを取り、計算高さと抑えきれない狂気がギリギリのバランスを保ちながら、いつ何が起こるか分からない展開をしてゆき、聴き手を混乱に導いていく。

 第1曲「エンゼルフィッシュ」はアンビエントな感触を持った不穏の1曲。音数少な目の音で少しずつ展開し、梶原の病んだボーカルが恐怖感を煽る。そして中盤から美しいノイズギターが響き、一気にジャンクロックへと変貌する。そして終盤のノイズギターの応酬!一気に狂気は加速する。と思ったら第2曲「ライオット」はキャッチーかつパンキッシュに変化する。博多仕込みのジャンクさとノーウェイブ感を見事に見せ付けている。
 不穏のベースラインとピアノ、破綻寸前の音から一気に制御不可能なブチ壊れ具合を発揮するパラノイアなナンバーである第3曲「刺したい」は秀逸である。梶原が一気に全てを形振り構わず破壊し尽くしている。「嘘をつけ!!」のシャウトから一気に形が崩壊する楽曲、通りすがった人々を全員刺し殺していくかの如きトチ狂った様は絶句である。
 第4曲「Sick Girl」の奇妙なガレージパンクさ、第5曲「シングルコイル」の日本人らしいセンチメンタルさをフォーキーに表現した楽曲、第6曲「Telephone Number」でのシングルコイルの鋭角ギターと変拍子と掛け合いのボーカルが生み出す奇妙なポップさ、それぞれが人を食ったかの様に変貌していく。まるで聴き手を指差して笑うかの如く。そしてシューゲージングな美しさを持った歌物ナンバーである第7曲「スカイライン」で幕を閉じる。

 荒涼とした世界を気持ち悪く、そして猟奇的に表現しているのは見事だ。しかもそれらは綺麗にまとまっていないからこそ、より鮮明に浮き彫りになっている。普通そうな大人しそうな顔をしてる人間が実は一番狂ってるのかもしれないと思ってしまう。お見事!

追記:梶原さんは無茶苦茶美人で、なおかつ脚が無茶苦茶細いです。メンバー全員ライブでは狂ってますが、一番トチ狂ってるのは梶原さんです。素なのか演じてるか分からないから余計に。

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Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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