■Children Of Fall
■Ignition For Poor Hearts/Children Of Fall

元SERENEのメンバーによって結成されたポリティカル激情系ハードコアバンドであるChildren Of Fallの2ndアルバム。Nikadとのスプリットに収録された音源も追加され全14曲入りでリリースされている。激情系ハードコアとニュースクールハードコアが組み合わさったヘビィネスと疾走とメロディアスさが見事に組み合わさった激情が胸を熱くしてくれる一枚だ。
ニュースクールらしいゴリゴリの刻みのリフをメインに楽曲は構成されつつも、ヘビィさに音を寄らせたりはしないで、ギターの旋律が非常に明確になっていたりするので、ニュースクールをあまり聴かない人でも聴き易さを感じさせてくれるのがまず大きい。アルペジオ・盛り上がるパートでの轟音の嵐、攻め立てるリフとビートの疾走感と王道の激情系の要素を何も恐れずに盛り込み、重厚なリフをここぞのキメで畳み掛けてくる辺りは流石の一言に尽きる。それでいて疾走パートで楽曲の旋律を生かすギターの爆風や、静謐からのバーストする瞬間とか本当に王道極まりない手法だけど、それでも激情フリークスからしたら堪らない物はあるだろう。楽曲そのものはメロディアス系激情のそれであるが、それにニュースクールの色を加えタフネスにし、パワフルなサウンドも魅せてくれる所なんか本当に頼もしい。王道の手法や展開を見せつつも、それを過剰にはしないでハードコア魂もブチ込み、男臭さの中で輝く繊細なフレーズがより胸を締め付ける。そして怒涛のビートの乱打からシリアスさを高めるボーカルと美しい旋律が織り成す悲壮感はポリティカルハードコアである彼等ならではの物。メタリックなリフを機軸に楽曲が構成されているからこそのタイトさ、メロウさを盛り込みドラマティックな構成で楽曲を盛り上げ、最後はやはりメタリックリフと破壊的サウンドで怒りを放出する。否応無しに心の熱量が高まっていくのは間違いない筈だ。
ニュースクールと激情を絶妙に融和させた結果、非常に間口が広い音に仕上がりつつも、その中でドスの効いた音が殴りにかかってくる様なヴァイオレンスさと繊細な旋律の対比で魅せる激情の音は確かに聴き手に伝わってくる筈だ。日本盤の方には歌詞の対訳も付いており、ポリティカルハードコアである彼等の魅力が更に伝わってくるだろうし、怒りと悲しみに満ちたハードコアをより理解出来る筈だ。シリアスで破壊力があって美しいハードコアという美味しい所取りな彼等の音には確かに胸を打つメッセージとそれを必然にする音がある。