■NoLA
■DEAD BEAT/NoLA
![]() | DEAD BEAT (2015/01/21) NoLA 商品詳細を見る |
これまで何度もライブを観て来たし、観る度に凄いライブを展開して来たNoLA。2013年末からmakino氏が加入し、ベースレスツインギター編成にもなったが、その新編成も板に付いていよいよリリースされた2ndは現在のNoLAの凶悪なる宴をパッケージした作品になった。1stの頃のNoLAは既にいないし、二年半の歳月を経て進化を続けてきたからこそ生み出せた作品だと思う。激烈なる憎悪をメタルだとかハードコアを衝突させて生まれた集大成だ。
今作は自主レーベルNoLA Recordsを設立してリリースされた訳だけど、自主レーベルリリースという事もあって気合十分だ。自主企画での猛者との共演やオーストラリアでのライブ経験は見事に生かされている。NoLAが選んだ道は洗練でなく、狂気をより増幅させる事だった。変な言い方になるけど、1stよりもある意味では1stらしさもある作品であるし、でも1st以上の作品である。より衝動は暴走し、同時にツインギターになりより凶悪になったサウンドが押し寄せてくる。何よりも1st以上にアプローチが明確になりより暴力的になった。現在のNoLAの強靭過ぎるサウンドはより禍々しくなり、安心する暇なんて与えてくれない、刺し違え上等、通り魔的であり、テロリスト的でもある、狂気以外に形容する言葉が見当たらない、制御不能のエクストリームミュージックだ。
のっけからダウンテンポのブルータル地獄が始まる第1曲「The Dead Beat」から異様だ。Takeruのボーカルはキレまくっているし、Kotarouのドラムは今まで以上に音に重さと説得力が満ちている。ベースレスである事を前以上に感じさせなくなったのはツインギターになった事も大きいだろうけど、それでお上品に纏めるんじゃなくて、Keyakiとmakino氏のギターが共に凶悪なフレーズしか弾いてない事も大きい。突発的にビートを加速させ、引き摺り回しながらブン投げる遠心力溢れるアンサンブルはこれまでのNoLAには無かったし、その流れを引き継ぎ1分弱の激速ヘビィネス煉獄「Pull」へと雪崩込むのは最高に格好良い。リフとリードのダークなフレーズの対比を見事に展開しながら、変則的な曲展開を活かし、着地点が見えないままにカオティックさを爆発させる第3曲「狂宴-kyouen-」もお見事。デスメタルやスラッシュメタルの要素もより濃厚になりながら、突発的にグラインドするビートだったりとか、もっとハードコアパンク的な音の荒々しさは、彼らが影響を受けた国内外の多くのバンドが持っている物だけど、それをごった煮にして、凶暴なビートとリフで全て片付けてしまっている痛快さは本当に気持ちが良い。個人的には第5曲「The Pit」のモロに90年代前半のモダンなヘビィネスサウンドをベタに展開してしまっているのも痛快だったし、ボーナストラックである前作に収録されていた楽曲のリミックスである第6曲「燈 DJ NOdISC Remix」ではNoLAをダークなダンスミュージックへと料理していて、NoLAの別視点の魅力を浮き彫りにしているけど、でもNoLAは元々ダンスミュージックであるのだ。特に今作の楽曲は地獄の閻魔すら巻き込んで血湧き肉躍る狂宴を生み出しているんだから。
凶悪さはそのままにある種の分かりやすさやキャッチーさも今のNoLAは持っているんだと思う。前作にあった長尺のドゥーム曲こそ今作は無いけど、でもより小細工無しにリフ・ビート・叫び、それだけで全てを殺すのは容易いとNoLAは笑っているんだ。全方位に喧嘩みてえな音で喧嘩を売りまくっている痛快さはより進化し、暗黒であり地獄でありながら、もっとヘビィロックの暴力をダイレクトに伝えるだけの力量を確かに手に入れているし、この若武者はまだまだ血に飢えているんだろう。僕はNoLAはメタルでも無く、ハードコアでも無く、ヘビィロックでしか無いと断言したい。余計なカテゴライズは犬にでも食わせておけとばかりにクロスオーバーを繰り返しまくったからこそ今作は生まれた。本当に聴いてて痛快だし、素直に脳天ブチ割ってくれる。だからNoLAは格好良い!!
■Disorderly/NoLA

僅か19歳でここまで凶暴な音を鳴らしている事実。NoLAという新宿アンチノックなどのハコを拠点に活動する若手バンドがいるが、こいつらはメタルとハードコアをクロスオーバーさせより極悪かつブルータルにし、情け容赦無く鉄槌を下すバンドだ。そんな若きホープであるNoLAの2012年リリースのdisk union限定で販売されている7曲入りの処女作が今作である。ブルータルな憎悪に甘えは全く無い。
インタールードであるタイトル曲の静謐さを第2曲「K.G.B」から完全にブチ破る轟音にまずはやられてしまった。ダウンテンポでブルータルかつドゥーム成分を含んだリフが極悪革命軍の行進の様に重々しく進行し、その遅さからスラッシュな高速パートへと移行する瞬間に鳥肌が立つし、スラッシュとグラインドとカオティックとごった煮にしてそれを綺麗に一纏めにせずにそれらの要素の持つ毒素をそのままに放出!遅さと速さという両極端なエクストリーム要素を存分に盛り込み、それらで交互に殴りつける!それだけでNoLAがただならぬバンドである事を既に証明してしまっているのだ!続く第3曲「No Country」では速さに特化したキラーチューンとしての猛威を振るう。極悪なリフとスラッシュとグラインドを交互に叩き出し、随所で盛り込まれるブレイクダウンがその速さと混沌をNより際立たせる構成力。タイトで正確無比でありながらも暴走する部分では完全にリミッターを解除し、脳髄粉砕スラッシュグラインドを見せる。これはもう脅威だ。第4曲「橙」では完全にドゥームの領域に達した音階の静謐さから心臓すら貫くであろう鉄槌リフが降り注ぐ絶望的な音を鳴らすと、そのレンジの広さも目を見張る物があるし、あくまでブルータルかつ甘え無用。そして圧巻なのは第7曲「Mist」だと思う。12分にも及ぶ今作最長の楽曲であり、漆黒のアルペジオが静かに響く始まりから、完全にフューネラルな激情と殺意が入り混じる黒のドゥーム絵巻。音の輪郭すら見えなくなりそうな音質で、メロウさを残しつつもただ冷徹な殺戮マシーンとしてドゥームリフが頭上に降り注ぐ。スラッシュやグラインドといった要素の強い楽曲が収録されていながらも、この楽曲の今にも息の根が止まるであろう激遅ドゥームは彼等の持つ容赦の無いエクストリームさをより極限の形で体現していると思う。
こうゆう言い方はベタでアレかもしれないけど、僅か19歳のバンドがここまで速さも遅さも重さも殺気も自在に操り、本質的な意味でクロスオーバーな音を鳴らしているのがまず驚きだし、一番恐ろしいのは処女作でこのレベルに達してしまっている事だと思う。軟弱な奴等を容赦無くブチ殺し、自らの覇道の第一歩を踏み出した若武者であるNoLA。このバンドのこれからの動きは僕もしっかり追いかけていくつもりだ。また今作はdisk union各店舗、もしくは下記リンクから購入可能となっている。
Disorderly/NoLA購入ページ