■Elevation
■F.A.B.L.E/Elevation
![]() | F.a.B.L.E. (2007/05/29) Elevation 商品詳細を見る |
現在は残念ながら活動を休止してしまっている男女混合4ピースポストパンクバンドであるElevationの07年リリースの4曲入作品。女性ボーカルによるどこかシニカルでアンニュイでありながら妙にパンキッシュなボーカルと共に硬質の鋭角ポストパンクサウンドを鳴らしている。NEW WAVEのサウンドを現代的にアップロードした音は切れ味抜群でありながらも、妙な懐かしさや下世話さもあり、やたら新鮮。
再生した瞬間に切れ味抜群の金属的なギターのカッティングがやたらダンサブルに刻まれ、人力四つ打ちビートと、極太で躍動感に満ちており、美味しいラインを絶妙に入れてくるベースラインがもう正統派NEW WAVE・ポストパンクのそれでしか無い第1曲「B3f Animal Club」がを名刺代わりに繰り出す、ポストパンクのダンサブルな要素をより色濃くし、それでいてキュートさをキャッチーさに変換させるセンスがナイス!踊れるカッティングを見せつけつつも、微かにNEW WAVEの時代のアバンギャルドさを感じさせる辺りはキュートでキャッチーになったThe Pop Groupといった所。一方で第2曲「Gestapo」ではギターがノイジーに暴れ、不協和音を掻き鳴らしながらも、安定感あるダンサブルなビートは相変わらず。ジャンクなサウンドになっており、それにアンニュイなボーカルが乗る事で程よい気だるさの中で踊るサウンドを鳴らしている。とにかく彼等の音は人力のダンスサウンドになっており、NEW WAVEとポストパンクのアバンギャルドさを残しつつも、その中にある「踊れる」という部分に対して非常に従順だと思うし、アバンギャルドとキャッチーという相反する要素をダンサブルという要素で結び付けているからこそ、聴き易いし、踊れるけど、妙なジャンクさと、妙な中毒性を兼ね備えている。第3曲「Wild Dessin」ではより硬質なギターワークが展開され、歪みまくったベースとギターがそれぞれ暴れ狂い、テンション高めでありながらも、そのテンションに同調しながらクールなボーカルはある種王道のオルタナティブさすら感じてしまう。
古き良きNEW WAVE・ポストパンクを継承し、不協和音塗れのジャンクなサウンドをより「踊れる」という方向に特化させて、より間口を広くした全4曲。アバンギャルドさとキャッチーさを絶妙に融和させた音は中毒性に満ちている。