■elica
■elica/elica

東京の4人組ポストハードコアバンドであるelicaの2012年リリースの1stフルアルバム。リリースはkillieの吉武氏主宰のoto recordsから!!otoから日本人のバンドがリリースされるのは珍しいし、非常に期待して今作を聴いたが、いやはや期待以上の名盤に仕上がっていた。正統派ポストハードコアを継承するディスコードがドライブするサウンドは焦燥感と緊張感に満ち溢れている。
言うならば本当に正統派のポストハードコアサウンドなのが彼等だが、そのストレートな直系サウンドを継承しながら、自らの音を確立しているという事実はelicaが現代の日本のポストハードコアの中でも郡を抜いた存在である事の証明だと断言している。ディスコード多用変拍子多用。その中でストップ&ゴーかつドライブ感溢れる音、それでいてボーカルが非常に渋い上に謎の貫禄があるのがまた良い。言ってしまえば完全に日本人離れしたセンスを持っているし、USハードコアと何ら遜色の無い音とボーカルなのだ。日本人のポストハードコアのバンドは日本人特有のエモーショナルさを武器にするバンドが多く、勿論それも非常にナイスである事は言うまでも無いとは思うけど、彼等はそのエモーショナルさよりも時代を作り上げた本場USハードコアのバンドが持っている焦燥の感覚と緊張感を完全に理解し尽くして現代の音として何の古臭さも無い、直情的かつ不穏の物として体現しているバンドだと言える。ギターワークのコード進行のセンスも素晴らしいが、ノイジーかつ金属的な音作りはベタな言葉にはなってしまうとは思うけど正に鋭角!非常に尖り尽くしているし、それは性急でありつつも変則的なビートと最高の相性を見せてくれるのである。特に第2曲「letter」は正に必殺の言葉が相応しい名曲で、変則的な楽曲構成にも関わらず勢いは失速する事を知らずに常に突き抜けている。かといって激情に身を任せるのとはまた違う地に足をドッシリ付けていながらも、不穏さを加速させる渋みと格好良さを同居させる荒業が光りまくっている。
日本は本当に数多くの素晴らしいポストハードコアバンドが存在しているがelicaの存在は個人的にかなり格別な物であり、新人離れした貫禄を既に見せてるのは非常に頼もしい。また一つ日本のポストハードコアに新たな期待の星が登場した証明だと思う。最高に格好良い!!