■CHAKKAMEN
■キカガクテキシテン/CHAKKAMEN

TialaやDeepslauterの盟友であり、地元葛飾区亀有を拠点に活動するハードコアバンドであるCHAKKAMENの2010年リリースの7曲入自主制作1st音源。実は約10年に渡って活動している地味にベテランバンドだったりするのだが、ファストかつ怒涛の展開を見せるカオティックショートカットハードコアはクライマックスとエクスペリメンタルが同時に押し寄せる。そして捩れまくった激情と本当に一筋縄ではいかない作品だ。
先ず3ピースとは思えない音圧と情報量を誇り、暴発を繰り返す怒涛のテンションで迫り来るカタルシスが彼等の音楽の特徴。そしてほぼ全ての楽曲が1分台2分台というショートカットチューンが並び、僅かな尺の中でプログレッシブな展開を見せ、そのどれもが暴発のカタルシスとカオティックな捩れに満ちている。要所要所でキャッチーさと激情要素を盛り込み、レンジの広さがエクスペリメンタルさを見せつけ、ツインボーカルの絶唱の掛け合いや瞬発力に満ちたパートとダークなハードコアパートの落差もありとほんとうにごった煮になっているサウンドを統率なんかせずに放出している。
第1曲「混ざる→溶ける」では盟友のDeepslauterにも通じるファストかつキャッチーなカオティックコアサウンドと、何処かダークなサウンドを交互に繰り出し、そのだちらも瞬発力と破壊力に満ちているし、1分半で怒涛のカオティックサウンドを見せる。第2曲はオールドスクールなハードコアとダークサイドに振れた激情を交互に繰り出し、序盤のファストさにブチ抜かれたかと思えば、気付いたらダウンテンポ気味なパートになっているし、あらゆる要素を捩れきったまま暴走させている。そんなファスト&カオティックな楽曲が続くと思えば中盤では激情系の方面に振り切った楽曲になっているし、第4曲「そして悲鳴はあなたを裏切る」ではORCHIDにも通じるサウンドを聴かせてくれている。第5曲「フラクタル」は今作で一番メロが立っていると同時に最も邪悪さを感じさせているし、90sエモティブ激情をよりカオティックにしたサウンドが変則的かつエクスペリメンタルさすら感じさせるレベルで突き抜けていく凄まじさ。そして超ファストな暴発チューンである第6曲「破砕」、深みへと堕ちていく今作で最も深淵を見せる最終曲「-」と、全7曲14分の中で圧倒的な情報量を誇り、それを海外バンドには出せない日本人ならではのある種の陰鬱さや雑多さで攻めてくるから凄い。あらゆる要素を飲み込み、独自のハードコアを完成させたバンドだと僕は思う。
地元亀有駅前での野外イベントの主催や、葛飾や小岩での地元に密着したDIYな活動もそうだけど、独自の磁場で活動しているからこそ、他とは違うサウンドを生み出しているし、それをどこまでも遠慮無しに突き抜ける痛快さが今作には存在している。常に全力暴走の激カオティックカタルシスサウンドは正に圧巻の一言。激情好きやカオティック好きはマストな1枚だと思う。