■Cult Of Luna

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■Vertikal/Cult Of Luna


VertikalVertikal
(2013/01/29)
Cult of Luna

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 スウェーデンの大所帯ポストメタル集団Cult Of Lunaの実に5年振りとなる2013年リリースの6thアルバム。今作ではこれまでメインボーカルだったKlas Rydbergがバンドを離れた事により、バンドのメインコンポーザーでありギタリストでこれまでもサブボーカルを務めていたJohannes Perssonがボーカルを務めている。しかしそんなバンドのピンチから生まれたとは思えないレベルでとんでもない傑作が生まれてしまった。伊達に5年間も沈黙していただけの事はあるのか、今作は間違いなく2013年のポストメタルの重要作品の一つだ。



 これまでのCOLはスウェーデンらしい耽美な旋律と大所帯の凄まじいアンサンブルと、強靭なスラッジさをダイナミックかつ緻密に放つサウンドが魅力的だったのだけれども、COLが素晴らしいバンドであると同時に、僕は彼等が良い意味でも悪い意味でもISIS系統のポストメタルの優等生バンドって立ち位置に落ち着いてしまっていたとも思うのだが、今作ではそのポジションを完全に脱却。自らの音を新たに作り出したのだ。今作はドイツのSF映画「メトロポリス」を題材にしたコンセプトアルバムになっており、ボーナストラック含めて10曲で約80分近くという圧倒的ボリュームの作品でもあるのだが、本当に宇宙ポストメタルとも言うべき新たな次元をこじ開ける作品なのだ。短いSE的な小品3曲を除くとどれも壮大なポストメタルの宇宙を体現しており、一つのコンセプトが彼等に新たな扉を開かせてしまったのかもしれない。
 ダークアンビエント調でエレクトロニカな導入である第1曲から、揺らぎの感覚が充満し、意識を彼方へと持っていかれる。そして第2曲「I: The Weapon」から一気に暴発!!これまでのCOLの流れを感じさせるISIS系ポストメタルな楽曲だが、末期ISISの叡智を手にしながらも、それをよりスケールアップし、幾重に重なる楽器の音と強靭なビートの屈強さというこれまでの武器を鍛え上げただけでは終わらずに、よりスペーシーさを感じさせる音の作り方やギターのエフェクターの使用の方法論。スラッジなリフとビートが楽曲の骨組みを支えながらも、作り込まれた音が浮遊し揺らぎ、そして降り注ぎ、ドラマティックな旋律と共に展開していく名曲になっている。これまでの作品よりもスラッジ成分は少し薄くはなっているが、それでもスケールは格段に向上しているし、キーボードの入れ方やベースの揺らぐラインだったりとか、スラッジさから美しく耽美な旋律が咲き乱れるラストまでの流れが既に圧巻。この楽曲だけどもバンドの進化と変化を嫌でも痛感させられてしまった。
 しかし更なる新機軸と進化を見せるのは約19分にも及ぶ第3曲「Vicarious Redemption」だ。前振りの長めな宇宙的アンビエント・ドローンな前振りで焦らしに焦らし、そこから幾重に重なるギターの美しい旋律が高揚感を徐々に生み出し始め、そこからスラッジサウンドへと移行していく展開はこれまでのCOLの流れかをより貫禄と深みを持たせた物であるけど、驚くべきは後半で全てを塗りつぶす漆黒の音塊から、エフェクトをかけまくったベースラインとドラムとボーカルがダブステップ調の展開を見せて、それが一気に神々しい光すら感じさせるポストメタルパートへと雪崩れ込むのだ。そしてプログレッシブな感覚で闇と光が交錯する一大スペクタルへと向かい、壮絶なクライマックスを迎える。もう第2曲と第3曲だけでも今作の凄みという凄みが嫌でも味わえるし、本当に彼方から宇宙を生み出すバンドへとCOLは生まれ変わったのを実感した。
 勿論、他の楽曲の完成度も高い。合間に入るスペーシーなSEが作品の空気をより明確にしているのも大きいし、第5曲「Synchronicity」では今作屈指のスラッジ成分を感じさせながらもドラムとパーカッションの金属的なぶつかり合いが堪能できるし、無慈悲に放つスラッジ成分の強いリフの刻みと、スペーシーなサンプリングとキーボードがまた破壊と創造の調和を生み出す。より壮大なスケールで放たれる第6曲「Disharmonia」も新たな誕生を想起させるポストメタルの王道から新たな道をこじ開ける楽曲になっている。終盤の第8曲「In Awe Of」ではこれまでのCOLのサウンドを彷彿とさせるし、第9曲「Passing Through」は終わりなきギターの不穏で美しいアルペジオの反復と、アンビエントなサウンドと、Fredrik Kihlbergのアシッドな歌声が生み出すダークサイドの旅だ。



 これまでのCOLの流れを組み込み、それを更にスケールアップさせ進化させるだけでなく、新たな試みを取り入れ、それが完全にバンドをネクストレベルまで進化させた作品であり。正に宇宙ポストメタル以外の何者でもない、新次元の作品をCult Of Lunaは生み出したのだ。メインボーカルの脱退と言うピンチを乗り越え、更なる高みへと登り詰めた金字塔だ。これまでの作品に比べたらスラッジや激重といった要素は少し薄くはなってしまったのだけれども、それでもより緻密なサウンドプロダクトと決して揺るがない屈強なアンサンブルが織り成す一大宇宙交響曲としてポストメタルの新たな道を切り開いた作品だと言える。
 ISISの解散以降、Amenra、Light Bearer、Milanku、Grown Below、Morneといった猛者が、ISIS以降というポストメタルの先を作り出す傑作をリリースしたが、COLもその次元に到達する作品をついに作り上げた。2013年もポストメタルはまだまだ新たな進化を続けていく。



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