■PALM
■My darkest friends/PALM

大阪のAtomic WarHead HardcoreバンドであるPALMの2012年リリースの2ndアルバム。アートワークはあのConvergeのJacobの手による物。その事もあって2012年の国内ハードコアの話題作にもなっていたが、そういった予備情報以上に、今作はハードコアを極限まで極めた激ヴァイオレンス&激カオティックな1枚になっており、2012年の国内ハードコアの重要作品になった。
今作はヴァイオレンスなカオティックさで暴走するハードコア作品であり、自らの音をストイックに鍛え上げたからこそ生まれる瞬発力とパワーで全てを薙ぎ払う作品だが、同時にあらゆるエクストリームミュージックの要素を飲み込み、熾烈さも極限まで高めている。徹底して暴走ハードコアであり続けながらも、曲は一辺倒には決してなってないし、本質的な意味でカオティックでありハードコアからエクストリームミュージックを生み出しているのだ。導入の第1曲「明暗」はアコギで和製ドゥームな音階を奏で、読経めいたボーカルが不穏さを見せる曲、仏教的なアコギとボーカルのみの音像にいきなりハッ!?とさせられてしまうが、第2曲「Fighting The Darkness」から本番開始!!メタリックなリフご高速で侵略開始!!がなり立てるシャウトと共に、暴走するビートとリフが織り成すヴァイオレンスさを極めたハードコア阿鼻叫喚サウンドには一気に魂を熱くさせられてしまう。曲の終盤ではボーカルもグロウルになりスラッジ成分を高めたBPMとリフが高速のサウンドから推進力を落とした重戦車の音になり、両極端のエクストリーム要素の落差で粉砕される。しかし続く第3曲「The Neighbor」ではまた高速ハードコアとなり、リフとビートの破壊力に身を任せて叩きつける極悪さを展開。しかし、そういったエクストリームなサウンドの中でもシンガロング出来るコーラスを盛り込んだり、とにかくロックなギターソロを披露したりと、ヴァイオレンスさの中でキャッチーさも見せる事も出来るのがPALMの凄さだろう。第5曲「Rebel Without a Cause」なんてストーナーロックとハードコアの融和とも言うべき1曲で破滅的な音圧で攻めながらも非常にロック色の強い1曲でキャッチーな格好良さが充満しており、正に必殺。そんな楽曲に続く第6曲「Stray Dog」では完全にドゥームに振り切れており、極端なまでの落差を感じる。作品の中で落差を見せながらも、基本は暴走ヴァイオレンスハードコアになっているし、その暴走サウンドを生かす為に他のエクストリーム要素も盛り込み、結果として更に極悪でメタリックかつカオティックなハードコアにしているのだ。また単なるヴァイオレンス一辺倒じゃなくて、楽曲の中でしっかり変化を見せる展開があるし、それがまた絶妙にドラマティックになっているのだ。そして今作を総括する8分以上に及ぶ最終曲「My Battle Could Be Yours, Your Battle Could Be Mine」にて、今作に存在するあらゆる要素を1曲にブチ込み、暴走ハードコアから始まり、最後は美しく重苦しい終焉を迎える。
Converge好きは勿論だけど、ハードコア好き、エクストリームミュージック愛好者を唸らせるだけの手腕は間違い無くあるし、極限まで音を鍛え上げたら最高に強くて格好良いハードコアになったという最も良い例の一つだし、そこに落差やドラマティックさや美しさを盛り込みながらも、最終的にはヴァイオレンスなハードコアにしっかり着地してるし、もう馬鹿みたいに単純に格好良すぎるハードコアだと思う。ライブでもそのパワーとヴァイオレンスさは更に加速しているし、本当に凄いバンドだ。