■weepray
■彼岸花/weepray

2099年に結成された都内で活動する激情系ハードコア4人組weeprayの1stデモ音源。2ndデモ同様にこちらもデモながらしっかりCDとしてプレスされており、7インチが少し小さくなった封筒型のジャケットにCDと歌詞が書かれたポストカードが封入された凝ったデザインになっており、デモ音源ながら美意識と気合が伺える。
今作に収録されているのはタイトルにもなっている「彼岸花」1曲のみだが、約8分にも及ぶ痛みとして激情を鳴らすweeprayのサウンドが見事に展開されている楽曲であり、彼等の名刺代わりの音源としてはかなり強烈なインパクトを与えてくれる物になっている。アンビエントなSEから始まるオープニング、ポエトリーから不穏な空気と痛々しい絶望感が既に充満しており、その空気を破壊する形で、熾烈でヘビィなリフとハイトーンの絶唱が響き渡る瞬間にweeprayのダークかつ美しい激情が咲き乱れる。ソリッドさが際立つアンサンブルのダークな旋律を生かした無慈悲なサウンド、ダウンテンポとハードコアらしい疾走するパートを交互に繰り出し、無慈悲でありながらもその中で楽曲は目まぐるしく展開し、時にスラッジ要素すら飲み込んだパートすら取り入れ、ハイトーンシャウトとポエトリーを交互に繰り出し、より精神を蝕む言葉と悲痛さ。特に後半のポエトリーが何重にも重なりながら、スラッジなビートとリフが降り注ぎ、そこから再びハードコアパートになり、絶望の深淵へと落下していくラストへと雪崩れ込み、悲壮感が美しく咲き乱れる美しさは、堕落と絶望が美しく、甘い蜜だって錯覚すらさせれれてしまう陶酔の世界だ。メタリックなビートとギターリフの感触は本当に冷徹であり、そこにダーク系激情の正統派の流れを受け継ぎながら、痛々しい自傷的な激情系ハードコアをweeprayは展開しており、この「彼岸花」でけで十分過ぎる程に彼等の魅力は伝わる筈だ。
僅か1曲ではあるがweeprayの持つ絶望の悲痛さを体現する激情が見事に咲き乱れており、内面のドロドロとして感情を無慈悲に切れ味鋭いハードコアとして体現している。2ndデモ同様にこちらも是非聴いて欲しい作品だし。ここ最近盛り上がりを見せる国内激情の重要バンドなのは間違いない。
■この手で描く滅びの碧、 その手で綴る終末の詞/weepray

東京の4人組激情系・カオティックハードコアバンドであるweeprayの2012年リリースの2曲入のデモ音源。デモ音源でありながら、しっかりCDプレスされているし、7インチが少し小さくなった位のサイズの封筒ジャケット、ポストカードに歌詞が印刷されてる仕様、アートワーク等、デモ音源でありながらもかなり凝った仕様でリリースされているのはバンド側の美意識による物か。
さて肝心の音の方だが、ここ最近盛り上がりを見せる国内激情らしい暗黒系カオティックサウンドになっており、プログレッシブかつドラマティックな展開を見せつつも、熾烈なダーク系激情のツボをしっかりと押さえた物になっている。ブルータルな要素やスラッジな要素も取り込んでおり、そんな楽曲の中でも暗黒系の美しい旋律を感じさせ、世界観を作り上げている印象。第1曲「この手とその手」はダウンテンポのリフから始まりながら、ブルータルかつカオティックなハードコアへと暴走。カオティックに展開する変拍子の嵐の中でポエトリーをハイトーンの叫びとポエトリーを交互に繰り返すボーカル、高速ビートを繰り出すハードコアパートとダウンテンポの重苦しいパートの使い分け方がかなり上手いし、ドロドロした情念めいた感情を音として表現している。ヘビィでメタリックなリフで容赦無く攻めるギターリフもまた良い。一方で第2曲「滅びの碧 終末の詞」では、ダウンテンポでズルズル這い回る様に展開されるビートとリフがスラッジさを更に加速させ、ハードコアパートでは不穏のアルペジオと共にビートが突っ走り、絶唱を聴かせる。約8分の中で目まぐるしく展開し、ポストブラック辺りの音にも接近している。楽曲の後半では静謐なアルペジオが引率するパートへと変貌し、悲壮感溢れる言葉をポエトリーで吐き出し、終末感と破滅願望の甘美な美しさに聴き手を酔いしれさせる。そして最後は絶望と破滅を掛け算したかの様な終末的ヘビィさで締めくくられる。楽曲構成なんかは練りに練られていると思うし、破壊的サウンドの要素を巧みに使い分けて、絶望とか終末といった世界観をサウンドで見事に体現している。美しさを感じさせながらも、狂気的な感情が全てを塗り潰し、その歌詞も含めてダークサイドの甘美さに酔いしれる事が出来、そのメタリックなギターサウンドと痛々しい絶叫にはナイフで何度も刺されているかの様だ。
国内若手激情・カオティックの中でも特に人間の内面に迫るドロドロとした負の感情を体現する事に優れているバンドだと思うし、言葉と旋律で内側から痛めつけ、メタリックなリフと怒涛のビートで外側から痛めつける、自傷的な激情系ハードコアだ。絶望から救いを感じさせる要素は全く無いし、徹底して重苦しく、痛々しい。こういった音や言葉に酔いしれたい方々には本当に甘美に聴こえるだろうし、kularaとか、ZANN辺りの熾烈で痛々しい激情が好きな方々には是非聴いて欲しいバンドだ。