■Wrong Day To Quit
■Vicissitudes/Wrong Day To Quit
![]() | Vicissitudes (2010/12/07) Wrong Day to Quit 商品詳細を見る |
アメリカはニュージャージ州の激情系ハードコアバンドであるWrong Day To Quitの06年リリースの8曲入り1st音源。The AssistantのメンバーだったLeigh SchlatterとTodd O'Learyを中心に結成され、またYou and Iのメンバーも参加している。女性ボーカリストであるLeigh Schlatterのボーカルが光り、獰猛でカオティックでありながら、エモーショナルな激情が聴ける1枚になっている。
このバンドは獰猛でカオティック系の激情系ハードコアバンドであり、第1曲「The Only War We Own」からLeigh嬢の女性らしかぬドスの効いたスクリームが炸裂しまくる。それでいて女性らしいヒステリックさも持っているからよりインパクトのあるボーカルを聴かせる。楽曲の方も暴走するBPMとカオティックハードコア要素のあるタッピングのフレーズなんかも盛り込み、カオティック系激情のツボというツボをしっかり押さえているから流石だ。しかもLeigh嬢はクリーントーンのボーカルもしっかり使い、パートによって見事にボーカルを使い分ける。カオティックなパートでは熾烈なスクリーム、エモーショナルでメロディアスなパートではクリーントーンのボーカルといった使い方で、目まぐるしく展開する楽曲の中で、見事な対比を生み出している。第2曲「Sprawl」では打って変わって、かなりポストハードコア的なアプローチを見せ、クリーントーンのボーカルを主体にエモーショナルな旋律を生かし、しかし王道のサウンドから絶妙に外した感じが独特の捩れを生み出し、最後の最後はカオティック激情となり、スクリームとヘビィに歪んだリフの応酬によってドラマティックに暴発している。第5曲「The Boss Has Left The Building」では今作でも屈指の破壊力を持ち、スラッジな感覚で叩きつけるリフの重みと凄みが、絶唱と共にドス黒く振り注ぐ。そこに絶妙なカオティックハードコア印のフレーズを盛り込み、ジェットコースターサウンドを生み出す。しかし暴走パートと、美しいクリーンなエモパートを本当に自然に溶け込ませているバンドの力量は流石だし、どの楽曲もコンパクトでありながらも、ストレートに激情を叩きつけつつ、微妙に王道のサウンドをすり抜けていくセンスはお見事。あっという間に駆け巡る少し影のある激情が押し寄せる全8曲は中々のインパクトだし、なによりも熱い!
ニュージャーシーの激情の猛者が集結したバンドなだけあって、その力量は流石の一言に尽きる。女性ボーカルである事をしっかり生かしながらも、ヒステリックで影があってエモーショナルな激情系ハードコアを体現し、絶妙なラインですり抜けながらも、ツボをしっかり押さえてくるセンスは流石。エモーショナル系激情、カオティック系激情、ポストハードコア好きは勿論。スクリーモ系が好きな人にもお勧めな快作。