■羊数える
■FOUR TRACKS FOR REVENGE/羊数える

02年に結成された実は10年選手だったりする横浜を拠点に活動するポストハードコアバンドである羊数えるの11年リリースの4曲入音源。アートワークの方は非常に手作り感溢れ(写真は羊数えるの公式サイトの物を拝借させて頂きました)、プチプチ梱包にステッカーを貼り、中には歌詞カード兼ポストカードとCDが封入されているという物。また収録されている楽曲の内、第3曲と第4曲は1stアルバム「KokO_Wa_dOko_dA」(こちらはまだ未聴)に収録されている楽曲を現体制で再録音した物となっている。
この音源だが、とにかく音質が荒々しすぎる。MTRで録音された音は、とても2011年の音源とは思えない音質だけど、この少しこもっていてざらついた音は、羊数えるの歪みまくったジャンクでディスコダントなポストハードコアサウンドを見事に生かしている。まるでライブ音源みたいな音質は、彼等の荒々しく暴走していくライブを、そのまま音源にしたかの様だ。更にポストハードコアを基調に、ポストパンクやニューウェイブの要素を盛り込んだギターワークも熱い!第1曲「ユー・アー・ナッシング」は頭の歪みまくったベースのイントロからいきなり何だこれは!?ってなる。更にメロディアスさを完全に放棄した不協和音塗れの音階をドライブし、フレーズを反復させ、ジャンクに繰り出されるギターと、とにかく男らしく弾き倒すベースと、変則的かつ混沌的に暴走していくドラムの三位一体なジャンクかつディスコダントなグルーブは本当にただならぬ物を感じる。第2曲「Flash Out」は若干ノイズ混じりの空白が不気味な静謐なパートから、ノーウェイブ感全開で不穏に展開し、反復するフレーズとキメが絶妙に気持ち良い。
そして再録された楽曲の方だが、第3曲「Faster!!!」は「ファスター!!!」って掛け声から、ドライブするグルーブとフレーズがのっけから暴発。チョーキングを絶妙に織り交ぜて展開するギターワーク。更に絶妙に盛り込んだタッピング。変則的ながら、ガッツリ決めていくキメの数々、絶妙に落としては盛り上げて、カオティックに展開する様は落雷が落ちたみたいな衝撃がある。そして第4曲「週末ゾンビ」は個人的に今作で一番好きな曲で、ノーウェイブ感全開で、ゴリゴリかつバキバキに歪んだベースのストロークの反復と、それに見事にユニゾンするギターが織り成す金属と金属のぶつかり合いとも言えるアンサンブル、更にディストーション全開でノイジーに不協和音で攻める様なんかは、その手の音が好きな人からしたら本当に堪らない筈だ。何よりも全曲に渡ってとんでもないテンションが漲る暴走具合!最高や!!
音源購入以前に羊数えるのライブを拝見させて頂き、その圧倒的テンションでジャンクかつディスコダントに繰り広げられるライブにド肝を抜かれたが、音源の方でもライブのテンションと荒々しさそのままに生身の音のみで勝負する混沌と暴走のポストハードコアがパッケージングされている。可愛らしいゆるふわな感じのバンド名ではあるけど、そんなバンド名とは裏腹に鳴らす音は聴き手を完全に殺しにかかっている。不協和音で繰り出す暴走サウンドは正に凶悪な毒電波だ。