■Punhalada
■MINORITY PRIDE/PUNHALADA

愛知を拠点に活動する日本/ブラジルの多国籍メタル・パンクバンドであるPUNHALADAの2017年リリースの2ndフルアルバム。
1stアルバムリリース直後に、ベース・ボーカルだったRAFAELがブラジルに帰国。今作は新ボーカリストに2016年からライブに飛び入りで参加していたGEOVANNYと、新ベーシストにKAKKYを迎えた第二期編成でのアルバムとなっている。
バンドの中心メンバーであったRAFAELが離脱し、ギタリストIWANEを中心とした編成に変わったが、今作はバンドの変化と進化が詰まった充実の作品。
「Minorty Pride!!PUNHALADA!!」と高らかなる宣戦布告から幕を開ける第1曲『Deda But Life』からもバンドの新たなる1ページが刻まれている。
MEGADEATHやCELTIC FROSTといったバンドが持つオールドスクール・スラッシュメタルの要素が今作ではより色濃くなったが、それらのバンドの流れをくみつつ、1stアルバムでも見せてくれた、メタル・クラスト/グラインドコア/ドゥームといった要素をダーティに取り入れたオールドスクール・クロスオーヴァースタイルは健在。
その中でも第4曲『Your Final Place』はよりドゥーム要素を強めた呪詛的なスロンテンポのアンサンブルと、どう猛なスラッシュ/グラインドなサウンドの対比がお見事。バンドの表現力の進化が生み出した新境地だろう。
第5曲『Freedom Of Death』からは本当に瞬く間に駆け巡るアグレッシブなサウンドに自然と拳を突き上げたくなる。
全7曲約20分に詰め込まれた怒りのクロスオーヴァーサウンドに圧倒。
整理整頓という言葉に中指を立てるがごとく、ひたすら汚らしい混沌を打ち鳴らしているが、そんな音の中にもPUNHALADAの美学が存在し、単なるクロスオーヴァーメタルパンクで彼らが終わらない理由は、泥水をすすりながらも、誰にも従わない・指図させない意地が存在しているからだろう。
今作は前作に比べてメタリックな要素が色濃くなったが、新ボーカリストジョバンニの野生の咆哮、各地でライブを重ねた楽器隊の演奏力と表現力の進化、ハードコア・パンクとスラッシュメタルの狭間を堂々と突き刺す音の激烈さに殺される一枚だ。
『Minorty Pride』というアルバム名からもわかるが、人種もルーツも違う四人の男たちが放つのは、マイノリティであり続ける誇りのみ。爆走を続けるメタリックかつパンキッシュな男気に燃えろ!!
バンドは2017年の6月にKAKKYが脱退し、現在は新ベーシストUNOを迎えた第三期編成で精力的に活動中。PUNHALADAの『Minorty Pride』の旅路はまだまだ続く。
■Punhalada/Punhalada

2012年に愛知にてN.E.K.のRafael YaekashiとIwaneの二人にドラムのAndoを加え結成されたクロスオーバー系メタルバンドであるPunhaladaの2013年リリースの7曲入り1st。リリースはRafael自身のレーベルであるKARASU KILLERから。まだ結成して間もないバンドながらGRIND BASTARDSに参加し、数多くの猛者と殺り合ったりしているバンドなだけあって、初音源の今作でも十分過ぎる位の熾烈なる音を鳴らしている。
彼等の音はスラッシュメタルを機軸にしながら、ハードコア・グラインドコア・ストーナー・ドゥーム・ブラックメタルと非常に雑多な音を組み合わせたクロスオーバー系の音でありながら、それをしっかり統率し、楽曲のレンジの広さを持ちながらも、破壊的で絶望的な音という部分で確かな統率を感じるし、バンド名通り、背後から刺し殺す極悪さをしっかりとアピールしている。Rafaelのドスの効いた低域ボーカルとハイトーンを組み合わせたボーカルスタイル、Iwane氏のリフでゴリゴリ刺しながら、ソロでは見事な表現力を見せ付ける変幻自在なギター、Ando氏のハードコアパンク感覚の前のめりで突っ走るドラム、単なるクロスオーバー系メタルでは片付けられないと思う。
第1曲「Diversao E Ilusao」からストーナー色も感じさせるソロから始まり、ザクザクに刻むリフと突っ走るビートが地獄の行進をしている。絶妙なIwane氏のコーラスがまた良かったりもするし、ポルトガル語で歌う絶望が熾烈なサウンドとマッチしている。あらゆる要素を飲み込みながらトラッシュしている。第2曲「Anormal」ではハードコア成分を更に高め、高速2ビートと高速ギターリフと高速引き倒しベースが三位一体で暴走しており、グラインド成分も持たせ、アッパーな音を展開。GRIND BASTARDSのコンピに提供した第3曲「Perturbado」はビートダウンパートではドゥーミーな成分も見せつけ、更に雑多になりながらも、持ち前のリフで攻める殺気とビートの破壊力で堂々と突っ走る。重戦車ビートが炸裂し、ドスの効いた低域ボイスとハイトーンのボーカルを巧みに使いこなす暴走グラインドな第4曲「Sombras」と、本当に音のレンジは広いし、あらゆるエクストリームミュージックの美味い汁を吸い尽くした、吸血鬼的なサウンドは負の感情を体現する熾烈さという点でどれも同じベクトルを向いているし、後半の楽曲はドゥーミーさや煙たさを前に出した楽曲が続くけど、それでも変わらない。彼等流のストーナーロックである第6曲「Isolado」から、ミドルテンポのビートからドゥーミーなサイケデリックさが展開される最終曲「Escuridao Eterna」まで、全7曲に渡って繰り広げられる絶望と殺気の殺戮ショウはただ見事だ。
まだ結成間もないバンドでありながら、弦楽器隊の二人はあらゆるバンドで経験値を積んでいる猛者だし、初の単独音源ながらも、確かな猛威と破壊力を十分に見せ付けてくれている。メタラーからハードコア好きまで納得させるだけの力がこのバンドには確かにあると思う。