■Hessian
■Manegarmr/Hessian
![]() | Manegarmr (2013/05/02) Hessian 商品詳細を見る |
AmenraとThe Black Heart Rebellion、昨年素晴らしすぎる新作をリリースしたベルギーが誇る怪物バンドのメンバーがそれぞれ在籍しているHessianの2013年リリースの1stアルバム。リリースはSOUTHERN LORDから。改めてベルギーのハードコアのレベルの高さを思い知らされる作品。
Amenraは激重の漆黒のスラッジさから奈落を生み出し、TBHRは最新作で民族音楽を大胆に取り入れて、激情の枠組みを越えたエクスペリメンタルさを見せ付けてくれたが、このHessianはダークサイドネオクラストなサウンドを見せており、AlpinistやEnablerやHis Hero Is GoneやConvergeの要に暴走する憎悪を熾烈さを極め突撃するサウンドとして繰り出している。とにかくダークでラウドで歪みまくったリフの応酬と、全てを押し潰す重量を誇りながらも、とんでもない推進力を見せるビートが一寸の隙も無く攻めに攻めるサウンドは非常に直情的でもあり、破壊的。更に喉を擦り切らしそうな位の野獣の咆哮とも言えるボーカル。巧みなビートの転調をキメ細かく取り入れる事で更にカオティックさを見せる芸を持ちつつも、基本的には暴力的サウンドで攻める。暴走カオティックパートと、ダウンテンポになるパートにの対比も流石で正統派ダークサイドクラストサウンドでありつつも、センスと破壊力が特化しているし、前述したバンド郡に肩を並べるだけの物は十分にある。基本的に楽曲もそこまでは路線は大きく変わらなかったりもするけど、第6曲「Vãmãcãra」は不穏で神秘的なアンビエントだし、そういった小品を盛り込んで飽きさせない作品構成にしているのもまたポイントが高い。しかしながら第1曲「Ascension」ののっけから轟音クラストリフが限界まで鼓膜を破壊し尽くす残忍なギターリフとビートと咆哮の正面衝突具合だったり、第5曲「Father of Greed」で見せるダウンテンポのスラッジ色の強いサウンドの応酬から、ハウリングするギターの残響音の余韻までの肉体的サウンドを繰り出しながらも深遠さを見せ付ける様とか、聴き所は多いし、最終曲「Mother of Light」で全てを捻り潰す今作屈指のダウンテンポのリフの応酬から、漆黒の濁流が奈落の底から人々を引き摺り込む様な深遠なる悪夢を見せ付け、全ての音が強大なる黒へと変貌していく様は圧巻だし、AmenraとTTBHRのメンバーがやっているバンドらしく、暴力性だけでなく深遠さも見事に発揮している。
AmenraとTBHRのメンバーのサイドプロジェクトでは片付けられない熾烈で残忍なダーククラストサウンドが展開されているし、そこら辺のバンドが好きな人には間違いなくマストな1枚だろう。そして改めてベルギーのハードコアの凄みとおぞましさをこのバンドで嫌でも体感させられる事は間違いなし。ドス黒い憎悪としてのハードコアの凄まじさを感じさせる作品。