■Z

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■絶塔/Z


絶塔(ゼットウ)絶塔(ゼットウ)
(2012/08/15)
Z(ゼット)

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 国内激情系ハードコアの最果ての最果てはこの音だった。There Is A Light Never Goes Outで国内激情の礎を作り上げ、Zになってからは形に全く囚われない異質のハードコアを鳴らし続けて来た猛者、解散宣言によって最終作となった2012年リリースの今作は正に根本潤と魚頭圭が作り出した最後の音でありながら、極限という極限に至った作品であると言える、ドラムが根本歩からskillkills、cryptcityの弘中聡になり、LOSTAGEの五味拓人、cryptcityのセブ・ロバーツ、ex.灰汁のセノオGEEがゲストとして参加し、鬼才と猛者が全てを出し切った作品になった。



 まずドラムが変わった事によってビートが本当に強靭になった。歩氏はパーカシッブなドラムでフリーキーさを放出していたが、弘中氏のドラムはタイトかつ重い、そして魚頭氏のギターはリズム面を変わらず引率しながらも、練り込まれた音作りの深みと、切れ味を極限まで高め、ソリッドで重いフレーズを繰り出している。そして潤氏のサックスはZ史上最も解き放たれ、フリーキーに予測不能の不協和音を奏で、ボーカルもこれまでに無い位に狂気が高まっている。第1曲「ベロ」はそんなZの変貌が本当に色濃く出ている。ざらつきヘビィなギターリフが安定感と同時に斬る感触と叩き付ける感触を同時に発揮し、弘中氏のドラムと絶妙にシンクロし、複雑なビートを、よりダイナミックに拡散している。1stのドープさとも、2ndの音楽的レンジの広さとも違う、ダイナミックなハードコアの暴力を、誰も体現しなかった形で生み出し、Zの持っていた難解さの中の自由度の高さが分かり易い形で表に出ているし、カオティックハードコアの理論を無視した、独自のカオティックハードコアを展開し、極端に変わる展開や、幾重に重ねられ研ぎ澄まされた音が迫ってくる。潤氏のボーカルがとにかくキレまくっており、終盤では言語化不可能な叫びがカオティックな展開と共に雪崩れ込み、行き先不明の狂気が耳を貫き、脳髄の奥の奥まで覚醒させていく。第2曲「ほっくメキ」は1stの様なフリージャズ要素の強い楽曲になっているが、完全にグルーブ面の進化が目に見えるし、ドープさを出しつつも、ダイレクトなビートの暴力を感じるし、反復する魚頭氏のカオティックなギターフレーズと、怒涛のドラムを叩く弘中氏の共存具合もそうだし、終盤でガラリとテンションを変え、ポリリズムを更に分解したギターフレーズが狂気乱舞しているではないか!第3曲「NEWわけを煮る」は長尺の楽曲が多いZではかなり異質な3分未満の楽曲であり、ポストパンクの独自解釈と反復と分解と構築を繰り返す様はまるでBossston Cruizing Maniaの様でもあるが、それに加えて、その反復すらブッた切るし、その濃密さは何も変わらない。第4曲「DONUTSの罠」はソリッドなギターリフが狂騒の行進をストイックに繰り出し、ゲストとして参加している五味拓人氏のギターが、魚頭氏のギターのソリッドさを生かしながらも、難解なZの楽曲にダイレクトなポストハードコアを感じさせるフレーズをブチ込んでいる。今作で最も分かり易く、かつタイトさを攻撃性として発揮している。第5曲「全員OUT」ではcryptcityのセブ・ロバーツがゲストで参加しているが、セブと魚頭氏の2本のギターがアンビエント色の強いフレーズを調和させ、不穏であり、沈み行く感覚を生み出し、そこに潤氏のサックスが入り、ドープな紫色の世界を展開、その音を広げ膨張させ、混沌をエネルギーにした殺意と憎悪渦巻く暗黒の精神世界へ道連れになり、最後に潤氏が「全員OUT」と無慈悲な死刑宣告をする。第6曲「霊吹」はなんと2分13秒のZ史上最短であり、潤氏のサックスがメインの1曲、フリーキーなプレイを見せ、反復するサックスの音がただ無造作に響くという根本潤流の阿部薫的な1曲。第7曲「まぁなんて新しい 今があったはずなのに 怠惰な日々」は完全にZの新境地だ、セノオGEEのラップを前面的にフューチャーし、人力でドープなトラックを作り出し、THA BLUE HARBを愛聴している魚頭氏がここまでヒップホップに接近しているのも驚きだが、リズムとビートに対してどこまでもストイックである魚頭氏ならではの物だし、今作で一番ビートの強靭さが出ている。そして不意に入ってくる潤氏のサックスと共にセノオGEEのラップはテンションを上げ、中盤になると完全にヒップホップになり、ブレイクで叩き付ける魚頭氏のギターが大胆に人体を真っ二つにし、終盤になると潤氏のボーカルも入り込み混沌としたツインボーカルを見せ、それまでタイトだった魚頭氏のギターと弘中氏のドラムは、それをズタズタに切り刻みながらも冷徹なギロチンとして既に細切れ所じゃない聴き手をこれでもかと切り刻み、粒にしてしまう。そんな混沌と狂騒が終わり無く続いた果てにある最終曲「蛇鉄」は2ndにも収録されている1曲であるが、ポリリズムの反復を極めたこの楽曲を再録した意味は大きい。ビートに対してストイックさを極める魚頭氏が弘中氏と新たにこの曲をプレイした事によって、Z史上最も強靭かつ複雑なビートを残酷に鳴らす。極限状態を極め、そしてZの最終作は幕を閉じる。



 よりダイナミックに、よりフリーキーに、よりドープに、より強靭に、Zの持っているありとあらゆる武器を最強クラスにまで鍛え上げたからこそ生まれた最後の塔が今作であり、スカイツリーなんかよりも圧倒的な存在感を放つ終末と極限の世界の象徴として聳え立つ悪夢の塔を彼等を長い時間をかけて築いたのだ。長年に渡る根本潤と魚頭圭のどこにも属さない孤高の激情系ハードコアは、こうして最終進化系を形にした。だからこそZは完全なる終わりを迎えるのだろう。SWIPEというバンドから始まった一つのハードコアはThere Is A Light That Never Goes Outで伝説を作り、そしてZで前人未到の世界へと足を踏み入れ、そしてその最果てに立ち尽くし君臨したのだ。ここまでの作品が生まれた事も驚きだが、今作は間違い無く国内ハードコア史のに名を残すべき異形の果てを見てしまった男たちが作り出した激情の一つの到達点だ。是非聴いて欲しい、そして活動を完全に終了するその前にZのライブに足を運んで欲しい。2012年に生まれるべくして生まれた超絶名盤だZ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



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■御壁/Z


御壁御壁
(2006/09/17)
Z

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 元There Is A Light That Never Goes Outのメンバー達によって結成されたポストコアバンドであるZの1stアルバム。未整合の発狂した混沌が作品を支配し、ヘビィかつインプロ的アプローチのギターだったり、フリーキーに鳴らされるサックスだったりと、ミドルテンポのポリリズムの海をフリージャズ・ハードコア・インプロと幅広く自由に行き来するサウンドが生み出す唯一無二の煙たいサウンドが実に印象的だ。



 作品全体に漂うのはカオティックな禍々しい音塊だ。第1曲「500万円」からドープで煙たいドラッグ的音塊が鳴り響いている。魚頭氏のギターは明確なリフをしっかりと弾きながらも、徹底的に拘った空間的な音の鳴りは不穏の空気を作り上げているし、それと根本潤のサックスの音が混沌とした空間を生み出している。
 第3曲「図式マン」の様なハードコアの分かりやすい即効性を持った楽曲に於いてもその異様さは健在だ。終わりなく繰り返すギターリフとドラムのビートは螺旋階段の様な不気味な渦を作り上げ、そこに自由なサックスと根本潤の純度200%のパラノイアな言葉が乗り、仄暗い濃霧の様な不気味なサウンドが完成しているのだ。
 作品全体を通して言えるのは自由なサックスの音色が歌い叫ぶ様になり響いている事だ、即興性の強いインプロ的楽曲は分かりやすさなど皆無で、聴けば聴く程に掴めないまま取り込まれていくカタルシスが今作を象徴している。



 ゼアイズという激情系ハードコアを経て、より危険でより自由な音を目指す様になったのがZというバンドだ。今作はハードコアを経過した音でありながら分かりやすいアプローチや即効性のある音の快楽は少ない。だがフリージャズとインプロ的アプローチが成す型に捕らわれ無い音のカタルシスは中毒性が抜群に高く、難解でありながらもその音を理解しようとすればする程に、不穏の煙たい音塊に取り憑かれるのは間違い無いであろう。
 音楽に対する純度の高さをより自由な方向へ向いた故の、カテゴライズ不能のカタルシスの世界。間違い無くZは辺境地へと旅立っている。

■新今日/Z


新今日新今日
(2009/09/30)
Z

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 元There Is A Light That Never Goes Outのメンバーによって結成された異形のポストコア集団であるZの2009年発表の2ndアルバム。何処にも属さない異質のポストコアを鳴らしているバンドであるが、前作「御壁」以上に分かりやすく、そして幅広くカオティックになった作品。多重に録音された重厚な楽器の音、John Zornに通じるフリーキーさを感じさせながらも、ハードコアを経過した即効性と、サックスの音による陶酔感とトリップ感、そこらのドラッグなんかよりも飛べる音楽だ。



 第1曲「新今日」からフリージャズのフリーキーさを全面的に打ち出しながらも、どこかストーナーな煙たい音塊、そして前作以上にヘビィな攻撃力をもったギターフレーズが混ざり合い混沌に向かう。前作以上にパラノっている根本潤の歌声はそれらに乗っかった時に、終わらない悪夢を告げる声でありながらも、ごく個人的な心境を歌う言葉。展開はかなりプログレッシブに炎上していき、終盤で一気に悪魔の業火の音になっていく。夢も現実の境界線すら分からなくなってしまいそうだ!
 第2曲「以上でも以下でも」は螺旋状にグルグルする様なパーカッシブなドラムが印象的だ。頭を揺らすギターフレーズが一気にヘビィでありながらもインプロ的なカオティックなフレーズに移行し、それをなぞるかの様になるサックス、そして中盤からはThere Is~時代の音にも通じているポストハードコアに移行し、そしてボサノバ風のアコギから、一気にフリージャズになり、ラストはトリップ感とヘビィさを兼ね揃えた必殺のリフの音でブチ殺されそうになる、ストーナーであり、プログレッシブなドラッキーな音の坩堝といった仕上がりになっている。
 第3曲「うくす」のズブズブと沈んでいくドープさ、第4曲「USO村」のスラッシュメタルミーツインプロ的な攻撃力とトリッキーさを持った楽曲、第5曲「蛇鉄」のToolのプログレッシブさとポリリズムを自分勝手に解釈したかの様な曲と、1曲1曲にとんでもないアイデアと情報量がこれでもかと詰み込まれている。魚頭氏のギターはフレーズも音作りもテクニックもかなりキレまくっていて、サックスの音はより自由になった。淡々と独自の温度でポリリズムを乗りこなしていくドラム、といった聴き所は多い。
 そして第6曲「今宵練るTonight」のキャッチーさとパラノってしまいながらも、とんでもなく前向きなエネルギーとカオスを一気に噴出されていく様が本当に素晴らしい。合間合間の転調にビクッとなりながらも哀愁のメロディが輝く一曲でアルバムは終わる。



 長々と書き綴ってしまったが、前作以上の分かりやすさとキャッチーさを手に入れた反面、より浮き彫りになったのはZの異質さだ。シンプルなメロディラインを基礎にしながらも、前作以上に分かりやすい形でフリーキーな要素とソリッドな要素を見事に同居させて、よりスリリングな緊張感がダイレクトに伝わる作品になった。
 現在の日本に於いて、ここまで様々な音楽を飲み込みながらも唯一無二の音を鳴らすバンドは中々いないであろう。何処までも純度100%なピュアなパラノイアと混沌がこの作品にある。

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AKSK

Author:AKSK
メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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