■Primitive Man
■Scorn/Primitive Man
![]() | Scorn (2013/08/16) Primitive Man 商品詳細を見る |
Relapseからとんでもないバンドが登場してしまった。Clinging To The Trees Of A Forest Fire、Reproacher、Death Of Selfのメンバーから成り立つPrimitive Man。今作は2013年リリースの1stであるけど、この日本でも(ごく一部で)人気を集めている事もあり、ミーハーよろしく遅ばれながら今作を購入し聴かせて頂いたが、一言で言うと本当になんじゃこりゃあああああああああああああ!!!!!!!!!だった。冷徹さと破壊のみに特化したスラッジサウンドが渦巻く作品であり、ここまで極端な音も無いだろと言う作品だ。間違いなく2013年の暗黒激重大賞最優秀賞な一枚である。
Primitive Manのメンバーが参加している他のバンドは聴いた事が無かったので、本当に予備知識の無い状態で今作を聴かせて頂いたけど、タイトル曲になっている11分にも及ぶ第1曲「Scorn」で先ず本当に大きな衝撃を受けた。のっけから禍々しいハウリングノイズから始まり、一発目のドラムとリフが響いた瞬間に聴き手は間違いなく粉砕されてしまうだろう。ただ単純に一発一発の音の重みとか破壊力がメーターを振り切っている。バンドの音自体は3ピースだし、割とシンプルな物でもあるとは思うけど、音と音の狭間を埋め尽くすドス黒いハウリング音、引き摺りながら血を吐き散らし、血飛沫と断末魔が木霊する感覚、光の無い密室に監禁されて、目の前で繰り広げられる殺戮ショウを強制的に見せられている、そんな感覚すら今作を聴いていると覚える。また推進力放棄のスラッジサウンド一辺倒で攻めるかと思えばそれは大間違いで、唐突にハードコア色を高めて暴走するパートが入り込んでくるし、悶絶スラッジから、黒煙噴出な暴走パートに変貌する瞬間のカタルシスは相当な物で、ゲス野郎なら絶頂確実だろう。そんなタイトル曲だけでも、今作のおぞましさは十分伝わる。
また破壊力だけで生み出すスラッジかと思えば違うし、絶妙に理知的な要素もあったりする。第2曲「Rags」は尺こそそこそこコンパクトだし、アトモスフェリック成分を取り込んだ事によって、ポストメタル的な音が好きな人にも十分にアピール出来る曲になっている。でもそんな楽曲でもサウンド自体は全く容赦は無いし、作品全体で徹底してドス黒く重い音塊が降り注いでくる。第3曲や第5曲みたいなドローン・アンビエントな小品も良い感じで作品を引き締める効果があるし、作品の空気をまたおぞましくしているのもナイス。また第6曲「Stretched Thin」は重心の強さを見事に生かし暴走パートとダウンテンポのパートの対比を見事に生かしたダーククラストな1曲になっているし、スラッジ要素だけじゃ無くて、ハードコア要素を前面に出しても変わらない熾烈さ悶絶必至の格好良さだ。最終曲「Astral Sleep」も推進力放棄のスラッジから重さの中から絶妙に躍動感を見せ始め、最後は酒池肉林のカーニバル。凄く極端すぎるエクストリームサウンドの中から生み出すストレートで熾烈なパートは本当に脳から出てはしけない汁がドバドバ噴出してしまうだろう。
本当に極限中の極限のスラッジサウンドはとんでもないインパクトを持っているし、破壊のベクトルに徹底して振り切ってる冷酷な悪意が充満した作品だと思う。その中で更に粗暴なハードコア要素を見せたり、時にアトモスフェリックな美意識を感じさせたりもする点もナイスだと思う。血に植えているゲス野郎なら絶頂間違いなしの1枚だし、この位極端に振り切っている位が最高に格好良いって事も証明している1枚。スラッジ好きは勿論だけど、ポストメタルやダークなクラスト好きにも全然薦めたい位だ。