■noy
■DERIVE/noy
![]() | DERIVE (2013/11/20) noy 商品詳細を見る |
08年結成の初台WALL発のエモーショナルハードコアバンドであるnoy。最近ではONA FESやBIGNOSE FESへの出演もあり、少しずつではあるが、着実に知名度を上げていった彼等が2013年の満を持してリリースした8曲入りの1st音源。リリースは国内外問わずに素晴らしいバンドの音をリリースしているcozmic noteから。エモーショナルハードコアの新たな時代を切り開く、本当に激熱な作品になっている。
noyのサウンドは本当に全くの小細工やギミックは存在していない。今作の楽曲も最長で約3分程だし、とにかく最初から最後までフルスロットルで駆け抜けるハードコアだ。とにかくストレートに己の感情をダイレクトに放つそのサウンドスタイルが最高に格好良い。音楽性は激情系ハードコアの流れもそうだけど、endzweck辺りのメロディアスなニュースクールハードコアの流れを受け継ぐバンドであるし、そのサウンドは本当に性急だし、メロディアス。イントロからの第2曲「反発性推進力」だけで、もう完璧にブチ抜かれてしまうだろう。のっけのトレモロリフがいきなり感情を煽りに煽りまくり、ソリッドに歪むリフとピックスクラッチを合図に暴走するサウンド。怒涛のハードコアのビートと、刻みのリフとメロディアスに泣きまくったギターの洪水、そしてポエトリー調でありつつも、繊細で全身全霊なボーカル、合間合間に入るコーラスの叫びもナイスだし、しっかり盛り上がるパートでここぞとばかりにシンガロングパートを入れてくるし、手法自体は極めてスタンダードでありながらも、僅かな尺の中でドラマティックに展開されるサウンドが堪らないし、まるで曲の全パートがサビみたいになっているし、とにかくハイテンションで突っ走り、シンガロングやコーラスも含めて、とにかく叫びまくり、一方でボーカルは一つの青臭さを感じる性急で歌心溢れる叫びを繰り出しているのだ。メロディも非常に青臭く、ハードコアの肉体性を強く感じるリフが中心でありながらも、メロディありきで生み出されるフレーズの数々がとても印象に残るし、そして確かに存在するのはその瞬間、その瞬間の感情の爆発だ。第6曲「平行線の価値観 現在を再構築」は今作の中でも一番ドラマティックであり、今作では最長の約3分の楽曲であり、そのサウンド自体もやっぱり小細工無しの直球エモーショナルハードコアでありつつ、静謐に聴かせるパートではそのメロディセンスが際立ち、そして終盤で感情のビッグバンだ。たった3分でここまでのスケールとストーリーを見せる力量もそうだし、それでもやっぱり不器用なまでに真直ぐなハードコアなのだ。捲くし立てまくるボーカルと、最初から最後までこれでもかと泣きを前面に押し出した感動的な第7曲「日々の隙間」の終盤のトレモロリフとシンガロングパートなんて本当に何度も拳を突き上げてしまうし、そんな終盤の2曲のドラマティックさから最後の最後の最終曲「この夜に明日を見出す」は限界突破した激情が炸裂し、1分半の間で何度も何度も瞬間のカタルシスが暴発している。全8曲約16分の間に何度も何度もドラマティックな瞬間が生まれる、正に涙のハードコアだろうこれは。
本当に正統派なメロディアスな激情・ニューススクールハードコアだし、サウンド自体は決して目新しさは無いとは思うけど、そんな小細工無しの真剣勝負なハードコアだからこそ凄く心に響くし、ハードコアバンドとしての馬力と、素晴らしいメロディセンスが見事に手を組み、そして熱い魂の叫びが心を動かす確かな一枚になっている。新生代エモーショナルハードコアの青き力に溢れた激情の一枚だ。