■O.G.D
■Offensive Grind Dude/O.G.D
![]() | Offensive Grind Dudes(オフェンシヴ・グラインド・デューズ) (2014/05/14) ORGASM GRIND DISRUPTION、オルガズム・グラインド・ディスラプション 他 商品詳細を見る |
もう禍々しさしかない作品が生まれた。精力的なライブ活動でその名を広めてきたグラインドコアの求道者であるO.G.Dの2014年リリースの2ndアルバム。リリースはBLOODBATH RECORDSとTILL YOUR DEATH RECORDSの共同リリース。本編であるスタジオ録音が23曲で、ライブテイクが15曲と言う全38曲という収録内容ながら、やっぱり一分未満の曲ばかり並び、グラインドコアとはこうだろ!!と見事に提示している。
基本的路線は前作とは大きく変化はしていない。でもバンドの音自体の破壊力を研ぎ澄ましに研ぎ澄ましているから、インパクトと極悪さは前作の比じゃない。BRUTAL TRUTH等の影響下にありながら、その影響をより自らの物にしたバンドがO.G.Dだと思うし、オールドスクールなグラインドコアスタイルを徹底的に貫き、何よりも余計な物を極端に削ぎ落とし、暴走するブラストビートと邪悪なリフと殺意を撒き散らすボーカル。たったそれしかない。だからO.G.Dは信頼出来るし最高なんだ。清く正しくグラインドコアしながら、単なるお手本グラインドに唾を吐き、より凶悪な音を追求し、ライブを重ねる事によって暴走しまくるサウンドは最高に格好良い。非常にショートカットな曲ばかり並んでいるのに、より音の幅も広がったと個人的には思う。ロウな音質でブルータルに暴走するサウンドで、基本的にはブラストでバーストしまくり、一瞬で殺す音をノンストップで繰り出しまくる、ライブのテンションそのままな作品ではあるのに、時折入る速さではなく、ダークでミドルテンポなパートのメロディやビートダウンやスラッシュメタル直系のソロとかグラインドコアを機軸にしながら随所随所にクロスオーバーした音が入っているのも大きいし、でもそこに振り切らないであくまでもグラインドコアを貫いてるからこその説得力。ショートカットでノンストップな音の洪水に対して一曲一曲語るのもアホらしくなる位に、全23曲の本編は強大な禍々しい邪音しか無いし、その作品全体で一つの作品であり、一つのライブでもある。一瞬たりとも気が休まる瞬間なんて無いし、アプローチの幅を広げても結局は邪音の暴走によるエクストリームグラインドでしか無い。だからこそ最高だ。
そしてライブ音源の方は音質こそ中々に悪いけど、その激音のテンションは本編のスタジオ音源と全く変わらないし、20分にも満たないライブ音源でありながら15曲をノンストップで繰り出し、狂騒のグラインドが渦巻き、悪い音質が逆にO.G.Dの持つブルータルさを増幅させているし、得体の知れなさを余計に強く感じさせてくれる。このライブテイクを聴いて是非ともO.G.Dのライブに行こう!!
非常に堂々とグラインドコアのド真ん中でしかない作品でありながら、極限まで狂気と禍々しさと速さを追求し、何よりも表現力も手にしたO.G.Dはグラインドのバンドとして大きな進化を遂げたし、数多くの修行僧みたいなライブとストイックさを積み重ねた事によって生まれた必然だと思う。禍々しさと速さこそ正義であり、それこそがO.G.Dなんだと僕は思う。地鳴りと咆哮によって世界が血で染まる瞬間がそこにあるのだ。
■Detest/O.G.D

先日のAfter Foreverとの2マンライブでも全44曲50分の圧巻のグラインドコア絵巻を見せてくれた国産グラインドの注目株であるO.G.Dの2011年リリースアルバム。これがもうダーティで極悪なグラインドコアど真ん中な作品で非常にナイスなのだ。アートワークで表現されている劣悪で極悪な地獄を正に音で体現している作品だ。
先ずは何と言っても潔い収録内容だ。彼等のライブは20分もしないでライブは終わるし、MC無しほぼノンストップでショートカットグラインドを吐き出すスタイルなんだけど、それがそのまま収録されていると言って良いだろう。全12曲13分というグラインドコアに余計な物はいらねえとばかりの内容が先ず最高。そして音源でもライブのテンションがそのまま収録されているから最高なんだ。
O.G.Dのグラインドコアはまるでグラインドコアとは何なのかと言う物を追求している様に見える。他のジャンルの音とのクロスオーバーは完全に拒み、ひたすらブラストビートとブルータルで劣悪なギターリフの殺気を追求し、そしてほぼ全ての楽曲が約1分程度と言う内容。時にはダウンテンポなパートもあったりするけど、基本的にはとにかくひたすらにグラインドコア。ブラストビートは止まる事無く暴走し、ギターソロなんていらねえとばかりにお光速のギターリフで更に畳み掛ける。更にはそのギターも高音質なんざ糞喰らえじゃ!!とばかりに歪に歪んだサウンドを機軸に、速さだけで無く、地獄の底の殺気と狂気を体現したみてえなブルータルさ。とにかくゲスさを極めようともしているんじゃねえかって位にダーティ。そしてそのロウで放たれるサウンドはグラインドを追求していながら、個人的にはそのビートやキメの入れ方なんかは凄いクラスト的な物を感じたりもする。
プリミティブな怒りと殺気を止まらない激しさを加速させにさせまくる事によって生まれるO.G.Dのエクストリームなグラインドコアだけど、その根底は凄くハードコアパンクだと僕は勝手に思っているし、それがあるからこそ単純に格好良いし、「Orgasm Grind Disruption」という彼等の正式名称通り、この音には確かなオーガズムがあるし、というか最初から最後までオーガズムしかない。ボーカルのミナガワ氏はライブでのテンションそのままにグロウルとがなり声を使い分けながら、正に吐き捨てる様なボーカルしかしていないし、彼等は地獄の門番の様でもありながら、グラインドコアの求道者であり、グラインドコアに取り憑かれてしまった猛獣なんだと思う。のっけから凄まじい猛威を放ちながらも、作品の終盤はそれが更にとんでもない事になっているし、制御不能の暴力をグラインドコアの快楽として吐き出しているのだ。
過去に何度かライブも拝見させて頂いているけど、そのライブも音源そのままにただひたすらにグラインドコアの殺意を吐き出し暴れ狂うとんでもない物だし、たった20分で全てを出し切る完全燃焼なライブはとんでもなく格好良い。そんな彼等の音がそのまま収録された今作はグラインドコアの極限に迫る危険な作品だ。