■Republic of Dreams
■Republic of Dreams/Republic of Dreams

ドイツとポーランドと国境を跨ぐ3ピース激情カオティックハードコアバンドであるRepublic of Dreamsの編集盤。Louise Cyphre、Resurrectionistsのメンバーも参加しており、メンバーはそれぞれ数多くのバンドに参加していたりもする。収録内容はCloud Ratとのスプリットの楽曲とBeau Navireとのスプリットの楽曲の全10曲。
さて肝心の内容の方は、一言で言うと正しくカオスが凝縮された音だと思う。Louise Cyphreの流れは間違いなく受け継いでいる音だとは思うけど、本当に混沌だ。全10曲で合計14分という収録内容からも伺えるけど、ほぼ全曲が2分未満で、しかも楽曲の展開は本当に目まぐるしい。上手く形容するならThe Third Memoryの美しくも暴走する疾走をより混沌とさせた印象だ。少し強引だけど、日本のバンドだとkillieに近い物は少なからず感じる。クリーントーンと歪みの狭間にあるクリアに突き抜けている筈なのに、歪みまくったギターの音色もそうだけど、そんな中で楽曲自体は本当に怒涛。ギターもベースもドラムも常にとんでもない熱量で暴れまわっている。変則的なキメをこれでもかこれでもかと乱発させていながらも、ショートカットかつファストに音は暴走している。短い楽曲の中で目まぐるしく展開していくサウンドはLouise Cyphreでもあったけど、それがより凝縮されているとも思うし、Resurrectionistsの流れにあるヴァイオレンスさもあるし、両バンドの良さと言う良さをこれ以上に無い形で継承して放っているのだ。そんなエモヴァイオレンスでカオティックな音が好きな人には間違いなく大ヒットな音だと思うし、カオティックに暴走する熾烈さは本当に凄まじいとは思うけど、個人的にはそんなヴァイオレンスな熾烈さの中にある一つの美しさにとても心が惹かれてしまう。変則的で暴走しまくっている音なのに、そのメロディは本当に美しく、それに熱き激情が見事に結びついているからこその物だと僕は思う。ブラストと転調を繰り出しまくる音は本当にジェットコースターだし、ギターも必殺のフレーズとキメを繰り出しまくりだけど、その瞬間に全てを焼き尽くしてしまいそうな激情に美しさを見出すのは僕だけでは無いと思う。
瞬く間に駆け抜ける全10曲14分は本当にカタルシスに続くカタルシスだし、ジャーマン激情の凄みを見せつけながらも、その熾烈さの先の芸術的美意識も見逃してはいけない。本当に一蹴で全てを焼き尽くす混沌と激情が心も肉体も焼却する熱きカオティックでファストでショートカットでヴァイオレンスな美しき音の乱打には震えてしまう。