■Cease Upon The Capitol
■Cease Upon The Capitol/Cease Upon The Capitol


04年から07年というたった三年間の活動期間ながら多くの作品を世に送り出したテネシーの激情系ハードコアバンドであるCease Upon The Capitolの07年リリースの2ndアルバム。楽曲タイトルは06年リリースの1stである「Untitled」同様に全て「Untitled」となっている。またCDとLPでジャケットが全然違うので(上のジャケ画像は左がCD盤で右がLP盤。僕はCD盤の方で購入しました)購入の際は注意。
さてその音はというと既存のUS激情とは完全に違う流れにある物で、ベタば形容になってしまうけど美轟音が渦巻く哀愁のサウンドが今作の大きな魅力だと思う。しかし安易にクリアなエモ方面やポストロック的アプローチに走ったりはしていなくて、非常にアグレッシブかつアングリーだ。どの楽曲も大体2分台と非常にコンパクトだし、アルバム全体でも20分弱という構成も非常に大きい。一つ一つの楽曲が繋がっている感覚を作品を聴いてると強く感じるし、常に美麗の轟音が渦巻いていながらも、瞬発力やフックの強さを感じさせるサウンドは実は結構独自の物な感じがするし、シーンの流れとはまた別の場所にいたバンドだったとも思う。この音は現在の方が更に説得力があるし、有効なんじゃねえかって気もする。清らかさを感じさせる静謐さを感じさせたりもしてるけど、基本的には肉体的な躍動感を重視したアンサンブルで攻めているし、ハイテンションでカオティックにバーストする美轟音サウンドってありそうで無かったとも思うのだ。こういったアングリーさは共にスプリットをリリースした事もあるフレンチ激情のThe Third Memoryにも通じたりしているけど、そこからまた独自のサウンドを追求したから生まれたのだ。本当に一瞬で過ぎ去っていく暴風雨の様なサウンドは曲間すら感じさせずノンストップだし、それこそがこのバンドが生み出している瞬間のカタルシスなんだと思う。勿論、楽曲自体の完成度の高さや、メロディセンスや、美意識といった点も見逃せないし、メンバーのライアンは日本の激情系ハードコアの精通しているっていう部分もかなり生かされている。
何はともあれこうした能書きなんか必要としない青き美しさが爆発を繰り返すサウンドは説得力しか無いし、轟音が混沌として渦巻くビッグバンは独自のサウンドを完成させた彼等ならではだし、それはバンド解散後にほぼCease Upon The Capitolのメンバーで結成されたDolcimにも引き継がれている。美轟音と混沌が渦巻くカタルシスしか存在しないドラマティックさ。感動的でありながら拳を突き上げたくなる熱さに溢れていて最高だ!!