■Ictus

■Complete Discography/Ictus

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 俺達の3LAが遂にやってくれた!!3LA第三段リリースはスペインの北西部ガリシア州ルーゴにて結成された伝説的なネオクラストバンドであるIctusだが、その音源は長い間入手困難になっていた。しかし今回3LAによって完全なるディスコグラフィーとしてその全てが甦ったのだ。disc2枚組で1stである「Hambrientos De Un Sol Distinto」、okbanとのスプリットの楽曲、This Thing Called Dyingとのスプリットの楽曲、2ndである「Imprivm」を完全収録し、Ictusが世に送り出した全9曲を完全にコンプリート収録し、更にはスペイン語歌詞、英語対訳、日本語対訳、ライナーノーツも付いた本当の意味でのコンプリートディスコグラフィーだ。その音を完全に網羅しているだけで無く、歌詞の対訳によってIctusの世界観についても深く触れる事が出来るし、3LA水谷氏による渾身のライナーノーツによってバンドの全容についても知る事が出来るし(この水谷氏によるライナーノーツが本当に素晴らしい。バンドの歴史、ネオクラストについて、Ictusのサウンドについて本当に詳しく解説されているし、何よりも水谷氏のバンドへの愛を強く感じさせる最高のライナーだ)、本物の完全編集盤として世に送り出されたのだ。



 バンドの歴史や世界観は今作のライナーや対訳にて触れるのが一番だと思うので、ここでは割愛させて頂き、Ictusのサウンドについて触れていく事にするが、今作はdisc1に1st「Hambrientos De Un Sol Distinto」とスプリットの楽曲が2曲、disc2に2nd「Imprivm」が収録されており、disc1の方はスプリットの楽曲2曲の後に1stの楽曲が収録されてる形になっていて、リリース順に収録されてる訳では無いので、ここではリリース順にその音について触れる。
 まず1stの楽曲についてだが、第3曲~第5曲が一章、第6曲~第8曲が二章と言う二部構成の作品になっており、この頃からIctusの美意識は健在。第3曲「Un Millon De Dedos Aprietan」から血湧き肉踊るクラストサウンドが展開!!決して目新しいサウンドでは無いし、その後のIctusの進化を考えるとまだ発展段階の音ではあるけど、メロディアスでありながらダークに疾走するサウンドの血飛沫が飛び交い、ツインギターで泣きまくりなリフとか堪らなく格好良い!!モロにスパニッシュネオクラスト全開でありながらも、やはりダークかつメロディアスなサウンドは激熱だし、第5曲「Destruyemdo Nuestro Hogar」のシリアスでダークなリフがややダウンテンポ気味のビートと共に熾烈に展開され、そこからブラックメタル的なブラストのアプローチで破滅へと急降下していく展開はとんでもなく格好良い!!
 一章に当たる楽曲はスパニッシュネオクラストらしい音で駆け抜ける様に過ぎ去っていくのだけど、二章に当たる楽曲に入ると一転して、曲の尺も長くなり、バンドの芸術的意識を感じさせ始めるサウンドになる。第6曲「Hambrientos De Un Sol Distinto」でも今後の作品へと繋がる片鱗を見せながらも、泣きに泣きまくったギターリフの応酬とシンガロングパートの激熱サウンドを展開しながらも、楽曲もドラマティックさを感じさせる展開になっており、クリーントーンギターの静謐さも随所にあったり、楽曲の起承転結がかなり明確になっていたりと聴き所は多い。第7曲「La Herida Es El Comienzo」もクリーントーンの不穏のギターから始まり、ダークなリフの応酬へと雪崩れ込むサウンドを見せる。訳10分近くにも及ぶ第8曲「Sueсo Sin Miedo」なんてバンドの持つシリアスな泣きの部分が本当に色濃く出ているし、粗暴さを感じさせるサウンドを維持しながらも、一つの美しさすら感じるメロディセンスも炸裂しているし、最後は静謐なギターのアルペジオと、悲哀たっぷりに鳴らされるスラッジなテイストのギターリフで締めくくられる。1stの楽曲はIctusの持つ理知的な部分もあったりしつつも、まだスパニッシュネオクラスト感が前面に出ているし、この後にリリースされる3曲に比べるとまだ荒削りではあるけど、それでも1stの頃からバンドとしての肉体に訴えるサウンドの説得力は健在だし、随所で見せる美意識は今後の3曲に見事に繋がっている。
 そして第1曲、第2曲のスプリットの楽曲からいよいよIctusが「本物のネオクラスト」としての真髄を発揮する。こちらもスパニッシュネオクラストの最重要バンドの一つであるokbanとのスプリットに提供した楽曲である第1曲「Los Restos De La Esfera」は12分にも及ぶ長尺の楽曲であり、冒頭部分の厳かなギターフレーズからミドルテンポで芸術的に展開される楽曲と泣きのギターが炸裂しまくり、そこから一転してクラストサウンドを展開していく瞬間は鳥肌物。バンドとしての表現力も美意識も格段に向上し、スパニッシュネオクラストの孤高のバンドとしてオリジナリティを確立している。理知的な要素に説得力が加わり、更にバンドとしての肉体的な強さも手にしたIctusは完全に無敵状態であり、しかも長尺であるにも関わらず、聴いてて全く冗長さを感じさせないし、楽曲が常にフルスロットルで展開され、目まぐるしく展開し、しかもどのパートも常に必殺のフレーズが渦巻いているから凄い。ドラマティックでありながら、絶妙な緩急によって、単に壮大な大作志向に走るのではなく、強いバンドアンサンブルと常に直情的なサウンドのカタルシスはもうとんでもないし、沸点なんてとっくにブチ超えてしまっている!!
 更にそれを深化させたのがThis Thing Called Dyingとのスプリットに提供した楽曲である16分半にも及ぶ第2曲「Sed De Venganza」だ。壮絶なる物語の始まりを告げるに相応しい冒頭に異形さからのっけからクライマックスで突っ走る本当にジェットコースターの様なサウンドに失禁!!Ictusの楽曲は常にメロディアスでドラマティックな泣きのフレーズが炸裂しまくり、基本的にネオクラストの疾走するサウンドが展開されているし、常に血管ブチ切れそうなボーカルが炸裂しているし、ボーカルもギターもビートも全てが天井知らずのハイテンション具合と熱さを誇り、長尺でも冗長さを感じさせないのは、引きのパートもしっかり用意しながらも、それを本当に必要最低限の部分でのみ導入し、基本的にはフルスロットルさを全開にしているからだし、ダウンテンポになるパートでも、泣きとブチ切れたテンションに衰えは全く無いからだ。見事なまでの美意識と構成力を持っているし、それがバンドの熾烈過ぎるダークな泣きのクラストサウンドと最高の形で結びついているからこそなのだ。特に終盤のダークさを全開にして煉獄のクラストサウンドが暴走しまくるパートからビートダウンして更なる邪炎を生み出し、そして燃え尽きる様にクライマックスを迎える瞬間は、もう本当に震えるしかない…
 そして決定打はdisc2に収録されている1曲40分近くの最高傑作である2ndアルバム「Imprivm」だ。スプリットの楽曲でもIctusが大作志向になっていたけど、それを更に突き詰めたのが「Imprivm」であり、冒頭から失禁と脱糞必死な激泣き&激ダークネスなサウンドが展開されている、これまでのIctusを受け継ぎながら、完全過ぎる進化を成し遂げたのだ。アメリカという国に対するアンチテーゼを膨大な歌詞に記し、政治的なメッセージを持つ大問題作であるが、その言葉も思想もサウンドも怒りもテンションも本当に桁違い過ぎて震える。当初から存在していたメロデス要素の強かった泣きのギターワークは完全にオリジナリティを確立し、北欧メロデスとダークサイドクラストを完全な形で融合させたツインギターのギターワークは完璧過ぎるし、もう常にキラーリフで攻めに攻めまくる!!更にIctus史上最も複雑な楽曲展開を見せながらも、フックを格段に生かし、最強のリフ、最強のバンドのテンションを生かした転調やキメの数々はもう卑怯過ぎるレベルだ。Ictusが目指したネオクラストの集大成であると同時に、既存のスタイルにも既存の体制にも反抗し続けたバンドだからこそ生み出せたオリジナリティだと思うし、これは「本物のネオクラスト」であると同時に僕は「本物のオルタナティブ」の一つの到達点だとすら思う。特に終盤のポエトリーリーディングからが凄すぎる。壮絶な芸術性を感じるサウンドと共に徐々に怒りを露にしていくポエトリーリーディング、最終的には怒りに満ちた叫びになり、クライマックスを感じさせるメロディが展開され、ハイハットの乱打を皮切りの最強のクライマックスとも言える10分が展開され、暴走するギターリフとピロピロとしたタッピングのフレーズが生み出す混沌の坩堝、最後の最後は美しい余韻を残し、壮絶過ぎる約40分を締めくくる。その瞬間にIctusが唯一無二のバンドである事を俺達はその五感全てで知る事になるのだ。



 本当に長々と御託を並べたけど、Ictusは徹底した理知的な美意識を持ちながら、バンドとして圧倒的な肉体的な強さを持ったバンドであるし、だからこそ長尺の曲が多いにも関わらずずっと聴いてても全然飽きないし、何度聴いてもカタルシスが常に新鮮な状態で訪れる。本当に聴き込めば聴き込む程に新たな発見と感動があるし、ネオクラスト最強バンドの一つとして伝説になったのも納得だ。こんな素晴らしい音がこれまで長い間入手困難だったというどうにかしないといけない状況をどうにかし、こうして完全過ぎる形で世に甦らせた3LAというレーベルの成し遂げた偉業は全世界で賞賛されるべき事であると思うし、こうしてネオクラスト最強バンドの最強の編集盤によってIctusというバンドの熱き血潮に燃やされる人間はこれから全世界で多数生れるだろう。余計な能書きなんかいらねえんだ。この熱すぎる音に身を焼かれながら拳を突き上げるだけで良いのだ。何から何まで最高最強の屈指の編集盤。今作は勿論3LAにて購入する事が出来る。さあ最強のネオクラストサウンドの世界をこの耳で体感せよ!!!!!



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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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