■The Donor
■Agony/The Donor
![]() | AGONY (2014/06/25) The Donor (ザ・ドナー) 商品詳細を見る |
これは完全に激音の極地だ。SEC DIMENSIONの元メンバー達によって結成され、あのGREENMACHiNEのメンバーが在籍する金沢のThe Donorの2014年の待望の1stアルバムだが、完全に期待を超えるどころか、極限の極限の音が生み出されてしまった。凄いベタでアレな言い方だけど、ジャンルの壁を本当に破壊しているし、ありとあらゆるエクストリームミュージックを吸収し、それをシンプルな3ピース編成で鳴らしながらも、全音圧殺のサウンドしか無い、メタルだとかハードコアだとかを超えて、全てのエクストリームミュージックフリーク必聴の大名盤だろ!!リリースはINCLUSIVE inc.とTILL YOUR DEATH RECORDSの共同リリース。
各地で本当に絶賛しか浴びてないし、先日観たライブも圧巻だったけど、このバンドに先ず言えるのは全ての音がボーダーレス過ぎる。メタル・ハードコアの線引きなんて完全に無効でしかねえし、ハードコアパンク・スラッシュメタル・デスメタル・スラッジ・ドゥーム・ネオクラスト・ブラッケンドハードコア・グラインドとこのバンドの音を形成する要素を挙げると本当にキリが無いんだけど、それを全てヤサイニンニクアブラマシマシで食らって、捻り出したのが今作の音だし、全てを完全に消化してしまっている。それをシンプルな3ピースの編成で鳴らしながらも、圧巻させる音しかないのは海外でのライブ経験もあると思うけど、日本国内のバンドだったら音こそ違えど、それこそメンバーが在籍するGREENMACHiNEだったり、世界レベルバンドとして名を轟かせているChurch Of MiseryやCoffinsといったバンドと肩を並べるどころか、下手したらそんなバンドすら圧殺するレベルの音しかねえ!ヤンマーディーゼルが完全に倒産間違い無いな人力重機ドラムの破壊力と、本当に潰しに来てるとしか思えない圧殺のベース、そして血飛沫を振りまきながら惨殺する冴えまくりブチ切れまくりなギター、本当にたったそれだけでここまで人を殺せる音が生み出せてしまっている。
第1曲「Fearless」の最初の一音で完全に殺された。何をどうしたらこんな音が出るんや!!ワケワカンナイってかの西木野真姫が「ヴェエエエエエ」って叫び声上げるの間違いなしな激音で始まるし、つうかもうそれしかない。たった3分未満の楽曲なのに、いきなり暗黒重戦車のサウンドが暴走しまくり、がなり上げる咆哮と共に爆発する。ギターワークもドゥームだとかデスメタルだとかを完全に消化しまくっているし、ブラストビートの爆散と共に速さと遅さを行き来しながら、全てがヘビィ、その殺気はブラッケンド勢のそれであるのに、それらのバンドと完全に違うのは、GREENMACHiNEもそうなんだけど、誤解を招く言い方かもしれないけど、全てのギターフレーズが実は凄く耳に残るキャッチーさもあったりするからだし、何よりも完全にキラーリフしか弾いてねえもんこのバンドのギター。それと本当に単純に全てが強い。実は根底にシンプルなハードコアがこのバンドの音にはあると思ったりもするし、それをあらゆる激音を消化した末にとんでもなくビルドアップされた音になっているからこその激音なんだろう。ネオクラストらしいギターフレーズから始まり、暴走重音ハードコアを展開する第3曲「Circle」はひたすらに格好良いし、しかもボーカルが地味にシンガロングしたくなるボーカルだったりするのもまた熱い!タイトル通り業火を放ちまくる第5曲「Inferno」のグラインドなビートと最強に格好良いビートダウンパートから、ブラッケンドなテンションで焼き殺す様は狂気しか感じないし、その一方でサザンロック・スラッジ要素を充満させる漆黒のギターフレーズと全盛期Neurosisに迫る勢いの邪悪さに心奪われる第6曲「Feeding by the worm」、デスメタル影響下にあるネオクラストバンドのそれを感じさせるメロディがエモい第7曲「Unforgiven」。本当にこのバンドの武器の多さには驚くしかないし、それを小難しさなんてファックだと言わんばかりに、直球の音で生み出しているから最高なんだよ!!カオティックなタッピングフレーズから惨殺ビートダウンが迫りまくりながらも、やっぱりギターフレーズは本当に耳に残る第8曲「Face」、土石流を音にしちまったみてえな音を出しまくってる癖にギターソロはめっちゃハードロックな第10曲「Thousands come」も素晴らしい!そして終盤の第11曲「Shine」は激情系ハードコア好きな僕としては完全にブチ上がるしかない名曲で、泣きに泣きまくった美しいギターフレーズの応酬によるエモティブさに涙を流しそうになるけど、そんな曲でも全く日和らないし、轟音と共に縦断するビートの凄みは半端じゃないし、最終曲「Keshite」は今作で唯一の6分超えの長めの曲だけど、最後の最後はドゥーミーな煉獄の音で聴き手を亡骸にして、ラストのNeurosisやAmenraといったバンドを思い出させる美しき激重のクライマックスは鳥肌物だ。
もうこれは最高法規で全国民に聴くの義務付けるべき大名盤だと思うし、何よりもあらゆる音が渦巻き混迷する2014年のシーンに産み落とされるのが必然だったとしか思えない作品だ。本当に余計な不純物は全く無く、エクストリームミュージックの一番危険な成分だけしかない危険音源。しかし本当に単純に格好良すぎる作品だし、彼等もまた先を行くハードコアバンドでしか無いのだ。最強最高の大名盤!!